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一心不乱に戦っていると、今度は強烈な殺気が僕達を襲う。
その先にいたのは――――あの時の男だ。
「ガキ……まさかこんなところまで来るとはな」
「お久しぶりですね」
「あの時は見逃してやったが……ここに来たってことは殺されても文句は言えないぞ?」
「知ってのことです。それより、どうしてバギロス部族はオアシスを占領してるんですか!」
「どうして……だと? そんな簡単なこともわからないのか?」
「だって、みんな手を取り合って生きた方が――――」
男は大声でガハハ! と笑う。
「何を言い出すかと思えば、これだからガキはよ……いいか? 弱者は地面にはいつくばって生きてりゃいいんだよ! 俺達強者のために死ぬまで働く存在なんだ! オアシスを占領? それは違うな。これは強者である我らバギロス部族に与えられた当然の権利だ!」
「当然の権利じゃありません! これはここに住む人々の唯一の安寧……貴方達がそうするからみんな戦わざるを得ないじゃないですか!」
「それがどうした! ここは弱肉強食の世界! 弱者は弱者らしく這いつくばって生きてりゃいいんだよ!」
男が乗っているホウマドリは周りのホウマドリよりも一回り大きく、素早かった。
一瞬で距離を付けてきた男は、巨大な斧を振り回す。
アルトくんが距離を取った次の瞬間、斧の先が分裂して僕に目掛けて飛んできた。
『ワタル!』
「鋼鉄の盾!」
急いで盾を生成して斧を防ぐ。
『あいつの武器、伸びたぞ!?』
「うん。どうやら遠くの相手にも対処できるように作られたみたい」
彼が使った斧の頭部と枝が分離して鎖で繋がっているのが見えた。
すぐに元の斧状態に戻る。
帝国でもセレティアさんにいろんな場所を紹介されたけど、あそこまで凄い武器は見たことがない。
「ちっ。噂通りか」
「戦いはやめましょう! オアシスは大荒野に住むみんなで共有すべきです!」
「ふざけるな!」
こちらにやってくる男だが、アルトくんのスピードが一枚上手だ。
当たらない距離から鉄棒で攻撃をする。
しかし当てることはできず、男は僕の鉄棒をそのまま握り締めた。
僕の鉄棒を引っ張ったタイミングを見て、鉄棒を解除すると男が勢いよくホウマドリから転げ落ちる。
よし。これなら!
と思った矢先、倒れることなく着地した男が懐から何かを取り出してすぐにこちらに投げてきた。
飛んできたのは泥レンガの石だ。
「鋼鉄の盾!」
また盾を生成して石を防ぐ。
――――その時だった。
盾にぶつかって砕けた石の中から大きな爆発が起きる。
まさか……これは! 火薬!?
強烈な風圧でアルトくんから落とされてしまった。
『ワタル! 大丈夫か!』
「うん! 僕は全然大丈夫! それよりアルトくんは!?」
『我は問題ない!』
急いでアルトくんと合流しようとしたら、爆炎の向こうから巨体が現れる。
腕を振っているのが見えて急いで叢雲を生成して構える。
視界に映った斧だったが、まさかの頭部がなく鎖だけが見えた。
『ワタル! 上だ!』
アルトくんの声が聞こえた頃にはすでに斧の頭部が僕の頭の上にあった。
間に合わない――――!?
その時、カーン! と金属の音と共に僕の上から降りてくる斧の頭部に一本の黒い矢がぶつかる。
「ちっ! 小賢しい!」
エレナちゃんの援護を無駄にするわけにはいかない。
伸びる斧は確かに遠くを攻撃できるが、一つだけデメリットもある。
頭部が伸びた後は戻るまでどうしてもタイムラグがある。
その隙を見逃すわけにはいかない。
すかさず男の懐に飛び込んだ。
「電撃小槌!」
左手に生成した小さな槌を男の腹部に叩き込んだ。
「ぐあああああああ!」
強烈な電撃と共に、男が後ろに吹き飛ぶ。
こちらを見ていた全ての人の動きが止まる。
「聞いてください! オアシスを開放して大荒野に住む全ての部族で分け合いましょう! それがみんな幸せになる一歩だと思います!」
倒れた男を担ごうとした人が、俺を睨みつけた。
「ふざけんな! オアシスがなければ、俺達はただ野垂れ死にするしかないんだ! 何も知らないのに勝手に幸せを語るな!」
「それはオアシスを独占しようとしているからです! 全ての部族が手を取り合えば、きっとわかり合えます!」
そのとき、倒れたはずの男が「ゲホ!」と吐血を吐いて立ち上がった。
「大荒野は……強者しか生きられない。貴様が俺達を傲慢だというなら、貴様も結局は力に物を言わせた傲慢だ」
確かに男の言うことも一理あると思う。
僕もここに来るまで……力で相手とぶつかり合ってきた。
でも……!
「強さって……誰かを守るためにあるものじゃないんですか? 確かに僕もここに力で殴り込んできたかもしれません。ですが、誰かを恨む気持ちはありません。それに、誰も死んでいません」
「な……に?」
エレナちゃんが当てた人々も、僕が落とした人々も致命傷は避けている。
「皆さんのように強ければ……きっと誰かを守ることだってできるはずです! それぞれ部族が違うかもしれませんが、大荒野で一緒に住む仲間じゃないですか!」
「勝手に……仲間にするな……! 我らは常に戦ってきた。それが……大空の女神が残した最後の罰なんだよ!」
え……? 大空の女神の……罰?
「貴様がやっているのは、大荒野に住む全ての部族に対する侮辱だ! 我らはどこまで続く大空の女神の呪いで戦い続けなければならないんだ!」
「呪い……」
そういえばマグナ部族でもこの地を離れられないと言っていた。
もしかして……それが全て“大空の女神の罰”に関わっているのだろうか?
「その罰について教えてください!」
「くどい! 我らは死ぬまで貴様に屈することはないっ!」
「この……わからずや! 掟だとか、みんなが幸せになるためのものでしょう! 誰かが泣くような……そんなくだらないものに縛られて生きるなんて!」
「応援を呼べ! 絶対にこのガキをオアシスに近付けるな!」
知っているつもりだ。
対話が無理なことくらい。
掟だけじゃない。
たぶん……バギロス部族の中でもいろんな考えがあって、中には強者主義の人もいるだろう。
できれば対話で解決したかったけど……悲しいね。
そろそろ――――時間かな。
その先にいたのは――――あの時の男だ。
「ガキ……まさかこんなところまで来るとはな」
「お久しぶりですね」
「あの時は見逃してやったが……ここに来たってことは殺されても文句は言えないぞ?」
「知ってのことです。それより、どうしてバギロス部族はオアシスを占領してるんですか!」
「どうして……だと? そんな簡単なこともわからないのか?」
「だって、みんな手を取り合って生きた方が――――」
男は大声でガハハ! と笑う。
「何を言い出すかと思えば、これだからガキはよ……いいか? 弱者は地面にはいつくばって生きてりゃいいんだよ! 俺達強者のために死ぬまで働く存在なんだ! オアシスを占領? それは違うな。これは強者である我らバギロス部族に与えられた当然の権利だ!」
「当然の権利じゃありません! これはここに住む人々の唯一の安寧……貴方達がそうするからみんな戦わざるを得ないじゃないですか!」
「それがどうした! ここは弱肉強食の世界! 弱者は弱者らしく這いつくばって生きてりゃいいんだよ!」
男が乗っているホウマドリは周りのホウマドリよりも一回り大きく、素早かった。
一瞬で距離を付けてきた男は、巨大な斧を振り回す。
アルトくんが距離を取った次の瞬間、斧の先が分裂して僕に目掛けて飛んできた。
『ワタル!』
「鋼鉄の盾!」
急いで盾を生成して斧を防ぐ。
『あいつの武器、伸びたぞ!?』
「うん。どうやら遠くの相手にも対処できるように作られたみたい」
彼が使った斧の頭部と枝が分離して鎖で繋がっているのが見えた。
すぐに元の斧状態に戻る。
帝国でもセレティアさんにいろんな場所を紹介されたけど、あそこまで凄い武器は見たことがない。
「ちっ。噂通りか」
「戦いはやめましょう! オアシスは大荒野に住むみんなで共有すべきです!」
「ふざけるな!」
こちらにやってくる男だが、アルトくんのスピードが一枚上手だ。
当たらない距離から鉄棒で攻撃をする。
しかし当てることはできず、男は僕の鉄棒をそのまま握り締めた。
僕の鉄棒を引っ張ったタイミングを見て、鉄棒を解除すると男が勢いよくホウマドリから転げ落ちる。
よし。これなら!
と思った矢先、倒れることなく着地した男が懐から何かを取り出してすぐにこちらに投げてきた。
飛んできたのは泥レンガの石だ。
「鋼鉄の盾!」
また盾を生成して石を防ぐ。
――――その時だった。
盾にぶつかって砕けた石の中から大きな爆発が起きる。
まさか……これは! 火薬!?
強烈な風圧でアルトくんから落とされてしまった。
『ワタル! 大丈夫か!』
「うん! 僕は全然大丈夫! それよりアルトくんは!?」
『我は問題ない!』
急いでアルトくんと合流しようとしたら、爆炎の向こうから巨体が現れる。
腕を振っているのが見えて急いで叢雲を生成して構える。
視界に映った斧だったが、まさかの頭部がなく鎖だけが見えた。
『ワタル! 上だ!』
アルトくんの声が聞こえた頃にはすでに斧の頭部が僕の頭の上にあった。
間に合わない――――!?
その時、カーン! と金属の音と共に僕の上から降りてくる斧の頭部に一本の黒い矢がぶつかる。
「ちっ! 小賢しい!」
エレナちゃんの援護を無駄にするわけにはいかない。
伸びる斧は確かに遠くを攻撃できるが、一つだけデメリットもある。
頭部が伸びた後は戻るまでどうしてもタイムラグがある。
その隙を見逃すわけにはいかない。
すかさず男の懐に飛び込んだ。
「電撃小槌!」
左手に生成した小さな槌を男の腹部に叩き込んだ。
「ぐあああああああ!」
強烈な電撃と共に、男が後ろに吹き飛ぶ。
こちらを見ていた全ての人の動きが止まる。
「聞いてください! オアシスを開放して大荒野に住む全ての部族で分け合いましょう! それがみんな幸せになる一歩だと思います!」
倒れた男を担ごうとした人が、俺を睨みつけた。
「ふざけんな! オアシスがなければ、俺達はただ野垂れ死にするしかないんだ! 何も知らないのに勝手に幸せを語るな!」
「それはオアシスを独占しようとしているからです! 全ての部族が手を取り合えば、きっとわかり合えます!」
そのとき、倒れたはずの男が「ゲホ!」と吐血を吐いて立ち上がった。
「大荒野は……強者しか生きられない。貴様が俺達を傲慢だというなら、貴様も結局は力に物を言わせた傲慢だ」
確かに男の言うことも一理あると思う。
僕もここに来るまで……力で相手とぶつかり合ってきた。
でも……!
「強さって……誰かを守るためにあるものじゃないんですか? 確かに僕もここに力で殴り込んできたかもしれません。ですが、誰かを恨む気持ちはありません。それに、誰も死んでいません」
「な……に?」
エレナちゃんが当てた人々も、僕が落とした人々も致命傷は避けている。
「皆さんのように強ければ……きっと誰かを守ることだってできるはずです! それぞれ部族が違うかもしれませんが、大荒野で一緒に住む仲間じゃないですか!」
「勝手に……仲間にするな……! 我らは常に戦ってきた。それが……大空の女神が残した最後の罰なんだよ!」
え……? 大空の女神の……罰?
「貴様がやっているのは、大荒野に住む全ての部族に対する侮辱だ! 我らはどこまで続く大空の女神の呪いで戦い続けなければならないんだ!」
「呪い……」
そういえばマグナ部族でもこの地を離れられないと言っていた。
もしかして……それが全て“大空の女神の罰”に関わっているのだろうか?
「その罰について教えてください!」
「くどい! 我らは死ぬまで貴様に屈することはないっ!」
「この……わからずや! 掟だとか、みんなが幸せになるためのものでしょう! 誰かが泣くような……そんなくだらないものに縛られて生きるなんて!」
「応援を呼べ! 絶対にこのガキをオアシスに近付けるな!」
知っているつもりだ。
対話が無理なことくらい。
掟だけじゃない。
たぶん……バギロス部族の中でもいろんな考えがあって、中には強者主義の人もいるだろう。
できれば対話で解決したかったけど……悲しいね。
そろそろ――――時間かな。
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