便利すぎるチュートリアルスキルで異世界ぽよんぽよん生活

御峰。

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 目を開けると知らない天井だ。
 異世界に来てからというものの、誰かの家で眠ることが多くなったな。
 エレナちゃんはティナちゃんの部屋で一緒に寝てて、僕には居間を貸してくれた。
 フウちゃん達はみんなエレナちゃん達と一緒に眠っているから、僕は久しぶりに一人ぼっちだ。
 こう……コテツもフウちゃんもいなくて一人で寝たの……すごく久しぶりだね。
 そのとき、外からとても美味しそうな匂いがして、ゆっくり部屋を出てリビングに向かった。
「わんわん!」
「あっ! おはよう~ワタル! 朝ごはんできてるよ~」
「お、おはよう」
「ふふっ。どうしたの? まだ寝ぼけてる?」
「う、ううん。エプロン。すごく似合うね」
「ほんと? えへへ~ティナちゃんが似合うかもって貸してくれたの!」
 普段から服を作っているティナちゃんはすごくセンスがいいと思う。
 それから二人が作ってくれた朝食をご馳走になった。
 とても美味しくて自然と頬が緩む。
「美味しい!」
 エレナちゃんとティナちゃんが顔を合わせてニコッと笑ってハイタッチをした。
 朝食を食べ終えて、店がある一階に向かう。
 ティナちゃんとフウちゃんとタマちゃんが一緒に更衣室の中に入っていく。
「ワタル~フウちゃんとタマちゃんの新しい服、楽しみだね~」
「うん!」
 昨日は夕飯を食べてからも仕上げがあると頑張ってくれていた。
 どんな衣装なのかワクワクしていると、更衣室の扉が開いた。
「じゃじゃーん!」
「可愛い!」
 真っ先にエレナちゃんの黄色い声が店内に響く。
 そこには、ティナちゃんの背中にまるでリュックのように背負っているフウちゃんの姿があった。
「もしかしてカバン?」
「そうなの! フウちゃんもタマちゃんもスライムだから目立ってしまうけど、こうしてカバンみたいにして、二人は動かないでいれば一緒に歩いてても違和感ないと思うの! さあさあ、こちらのタマちゃんをエレナちゃんに……!」
 タマちゃんもフウちゃん同様に体の半分がカバンっぽい造りの服を着ていて、背中に背負い紐がある。
 エレナちゃんが背負うと、何だか小学生時代に背負っていたランドセルを思い出した。
 まあ、あまり似てはいないんだけどね。
 また懐かしいなと思っていると、エレナちゃんが僕を見ながら一回転して見せた。
「すごく似合うよ。せっかくの尻尾が外に出せないけど、タマちゃんの尻尾がいつものエレナちゃんの尻尾に見えてすごくいいね」
「そう! さすがワタルくん! 私もそれを意識した作りなのよ! タマちゃんの尻尾はチャームポイントの一つだからね!」
 ご満悦そうに笑顔になったエレナちゃんは、フウちゃんを連れて僕の背中に回った。
「はい。ワタルもね!」
「そういやそうだった。ティナちゃんが似合ってたから」
「ふふっ。ワタルくん? 私を褒めても何も出ないよ?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
 背中にフウちゃんのぽよんぽよんした感触が伝わってきた。
 いつもだと抱きかかえるか頭の上に乗ってるけど、こうして背中にくっつくのもまたいいな。
「フウちゃん。タマちゃん。昨日もたくさん言いましたけど、外で二人がスライムだとバレたらいけません! 今はワタルくんとエレナちゃんのカバンに擬態してるから動いたり、声を出したりしてはいけませんからね?」
 ティナちゃんの言葉に二人は全く反応しない。
 なるほど……衣装作りだけでなく、こういう状況説明もしっかりしてくれてたんだな。
「これなら二人もワタルくんとエレナちゃんと一緒に街を歩けるね」
「ティナちゃん。ありがとう。服の代金は――――」
「生地も大して使ってないし、昨日話した例の条件でいいよ。エレナちゃんの手料理もすごく美味しかったし」
「わかった」
「また何かあったら来てね」
 ティナちゃんと握手を交わし、僕達は店を後にした。

 街を歩いていると、相変わらずこちらに視線が集まる。
「ワタル? 今日もすごく見られてる気がするよ?」
「そうだね……」
 ただ、悪目立ちしている感じはしない。
 昨日も衣装で耳や尻尾を隠したエレナちゃんには、最初に来たときみたいな冷たい視線は感じなくなったし、今日もそうだ。
 コテツの衣装も僕の衣装に似てるし、首輪もちゃんと繋いでるから周りからはちゃんとした飼い犬に見えるはずだ。
 昨日より視線が集まるのは他でもなく――――フウちゃんとタマちゃんかな。
「可愛い!」
 声がした方に視線を向けると、お母さんと手を繋いだ女の子がこちらを指差していた。
 それに気づいたエレナちゃんが優しく手を振る。
「お姉ちゃん!」
 ダダダと走ってきた女の子にエレナちゃんがニコニコする。
「どうしたの?」
「背中のカバン、すごく可愛い!」
「ありがとう! この子は――――タマちゃんというカバンだよ!」
「タマちゃん! どこで売ってるの?」
「そこの表通りにある【エンジェルフェザー】という服屋さんだよ~」
「ありがとう!」
「そっちのお兄ちゃんのカバンも売ってるよ」
「可愛い! 白いぽよんぽよん!」
 フウちゃんは全く動かないけど、嬉しそうな気持ちが伝わってくる。
 女の子は手を振りながらエレナちゃんに教えてもらった方向にお母さんと向かった。
 ティナちゃんから提案されたものの一つがこれだ。
 フウちゃんとタマちゃんを模して作った本物のカバンを売る権利が欲しいというものだった。
 最初はどうしてかなと思ったけど、こうしてみるととても人気になりそうだし、ティナちゃんも忙しくなるとは思うけど、多くの子供達を笑顔にできると思うと僕も嬉しくなる。
「これでもっと一緒に旅ができるね」
「うん。ティナちゃんには感謝するばかりだよ。全部終わったらお礼にまた行こう」
「うん!」
 僕達はそのまま大通りを歩き始めた。
「ワタル? これからどうするの?」
「ドワーフ族の武器が買われているのはわかったけど、その理由が知りたい。他のお客さんよりも貴族に売るしかできない理由がね。そのために――――向こうに行ってみようかなと思ってるよ」
 僕が指差したところに視線を向けたエレナちゃんが首を傾げる。
「お城?」
「うん。そこにいけばきっとその理由がわかる気がするんだ。証拠集めとかね」
「証拠集め! また潜入だね!」
 危険ではあるが、確実な証拠を手に入れれば、ドワーフ族の問題も解決できるかもしれない。
 だって……あの姿は、望んで売っているとは思えないから。
 僕達はそのまま街の奥に見える城に向かった。
 近付いてみると、シェーン街にある城より一回り小さい感じだ。
 何人もの兵士が見回りをしたり、入口を守っている。
 少し殺伐とした雰囲気がある。
 何かあったのか……?
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