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承『記憶喪失の《討伐者》』
第16話 ダンジョン
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「で、どうするのだ?」
ヤツ……ドラゴンは俺に向かってそう言い放つ。
襲撃にあってから1日は経過しただろう。そろそろ行動に移さなければ、また襲撃される可能性だってある。しかし結論はまだ出せていない。
「レインマークに滞在している人間を巻き込むような真似はしてはいけない」とヤツは繰り返して言うが、ある程度巻き込まなければ役所の人間は反省などしないだろう。
ヤツの意見通りに事を進めるのも悪くはない。しかしそれでは、俺の腹の虫が収まってくれる訳がない。
「武器はここにあるのか? 剣だったり、鎧であったり……」と聞くと、ヤツは俯きながらこう言った。
「私が住む塔に大量に捨てられてある。私の住処だが、人間から”ダンジョン”と呼ばれているらしい、金銀財宝が眠っているという噂を聞きつけた人間らが塔にやってくる」
ダンジョンとはそもそも地下牢のことを指す言葉らしいが……。あの俺たちが連れて行かれた高い塔は、金銀財宝が眠っている塔として人間らに扱われていたのか。その塔の中で野垂れ死んだ者や、途中で攻略を諦めた者の装備品が置いてあるとのことらしい。
「取りに行くか?」とヤツが言うので、その言葉とヤツの背中に乗ることにした。
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ここは塔。塔の頂上は雲よりも高い場所に位置しているが、今回はそこに用はない。用があるのは下層の……過去の人々が挑むも失敗した場所だ。
ヤツの身体は入りきらないため、外で待ってもらうことにした。近くに村は無いため、人に見られる心配はない……らしい。
「これを持っていけ」とヤツに渡された物がある。これは……鈴か? 振るとリンリンと音が鳴る。この鈴を塔の中にいるモンスターの前で振ると襲って来なくなる……とのこと。
「グルルルル……」
塔の中に入るとすぐに鳴き声が聞こえた。ただの獣ではない、ここに生息している時点でモンスターだろう。
チリリン……
ヤツの言う通りに鈴を振ると、その通りにモンスターらは俺を襲うのをやめた。もはやこの鈴を見せるだけでだ。ドラゴンとそのモンスターらとの主従関係が確立されている証拠なのだろうか。信頼関係の可能性もある。
「何かお探しですか?」
背後から急に声が聞こえた。人だろうか、そのくらい鮮明に言語を発している。
振り向くと、そこには”スケルトン”がいた。俺と同じくらいの身長だ。前に見た絵と同じように、肉も臓器もない、骨だけの細白い生物が目の前に突っ立っていた。
保険として持っていた友情の証の盾を構えたが、そのスケルトンは俺の盾を触りながらこう言った。
「私は怪しい者ではありません。ただの死に損ないのスケルトンです」と。
目の前の骨野郎は、筋肉が無いはずだが器用に話している。声帯が特殊なのか、はたまた人間と構造が違うのか。
そもそもドラゴンのことを信頼している訳ではない。俺をこの塔に閉じ込めたところを、目の前にいる骨野郎らと共に潰すことだってヤツらからすれば可能である。しかしこのままでは事が進まない。それでは本末転倒であろう。
この骨野郎くらいであれば盾だけでも何とかできるだろうが、他のモンスターはどうだろうか。
「それで、何かお探しですか?」
考え込んでしまうクセがまた出た。今はこの骨野郎の質問に答えることが最優先だ。これ以上勘ぐっていては、余計不審に思われる。
「ここに眠っている装備を取りに来ました」
ヤツから渡された鈴を見せながら言うと、骨野郎は何かを察したかのように頷いた後、俺に告げた。
「この塔は、人間からはダンジョンと呼ばれていたらしく----」と。
先にドラゴンがした説明と全く同じ物であった。こいつもこの塔の中で人間を倒してきたのだろうか。だとすれば手強い奴なのかもしれない。
「まぁ、私はただの新参者ですが」
新参者……らしい、そう言っている。何か新しい情報が判明するかもしれない、その一心で俺はこいつの話を片耳に入れながら、装備品を探すこととした。
「私は元々、セルバー村という所で暮らしていました。元々……といっても、60年くらい前の話ですが。何とかスケルトン同士で集まることが出来たものの、内輪もめが起きまして。私の住む場所は無くなりました」
モンスターであっても喧嘩や内部抗争が起きるそうだ。人間とさほど変わらない。さらに人間の言葉を話せるヤツらもいるとなると、それはもはや人間以上の存在である。
「基本スケルトンは人間と同じくらいの身長ですが、そこにいた彼は20mを軽く超えるくらいの大きさでした。最初は立ち向かうことができましたが、徐々に彼も強くなり……」と俯きながら骨野郎はそう言った。
俺は空気が読めないのだろうか、螺旋階段の途中にあった鎧を手に取りこいつに聞いた。
「この鎧は?」
「その鎧は……だいぶ前に”モンスターハンター”を名乗る者が着ていましてね。呆気なく”ゴーレム”に握り潰されてしまいましてね」
新しい単語が一気に出てきた。モンスターハンターは……意味上は、討伐者と同じなのだろうか。ゴーレムは初めて聞く単語だ。どうやらレンガのような石のみで構成された身体を持つらしい。この塔内に居るということは、後でお目にかかることもあるだろう。
俺は次々に装備品を発見してゆく。
「この剣は?」
「その剣は、こちらの剣と合わせて使う物です。”二刀流の剣士”と自称する人間が使用されていました。残念ながら”スライム”にすり潰されてしまいましたが」
「この盾は?」
「そちらの盾は”盾の賢者”を名乗る者が使用されていました。残念ながら”ジャガーノート”に踏み潰されてしまいましたが」
このような感じで、装備品を漁ってた。解説も付いてくるため用途も分かりやすい。保存状態が良いからなのか、装備品に一切ウジ虫が湧いていない。
「----で、最終的にこの塔を選びました」
骨野郎の思い出話はここで終わった。
俺は二刀流用の剣2本と、錆びがかっている鎧、そして赤い布切れを使うこととした。
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「で、どうするのだ?」
ヤツ……ドラゴンは俺に向かってそう言い放つ。
襲撃にあってから1日は経過しただろう。そろそろ行動に移さなければ、また襲撃される可能性だってある。しかし結論はまだ出せていない。
「レインマークに滞在している人間を巻き込むような真似はしてはいけない」とヤツは繰り返して言うが、ある程度巻き込まなければ役所の人間は反省などしないだろう。
ヤツの意見通りに事を進めるのも悪くはない。しかしそれでは、俺の腹の虫が収まってくれる訳がない。
「武器はここにあるのか? 剣だったり、鎧であったり……」と聞くと、ヤツは俯きながらこう言った。
「私が住む塔に大量に捨てられてある。私の住処だが、人間から”ダンジョン”と呼ばれているらしい、金銀財宝が眠っているという噂を聞きつけた人間らが塔にやってくる」
ダンジョンとはそもそも地下牢のことを指す言葉らしいが……。あの俺たちが連れて行かれた高い塔は、金銀財宝が眠っている塔として人間らに扱われていたのか。その塔の中で野垂れ死んだ者や、途中で攻略を諦めた者の装備品が置いてあるとのことらしい。
「取りに行くか?」とヤツが言うので、その言葉とヤツの背中に乗ることにした。
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ここは塔。塔の頂上は雲よりも高い場所に位置しているが、今回はそこに用はない。用があるのは下層の……過去の人々が挑むも失敗した場所だ。
ヤツの身体は入りきらないため、外で待ってもらうことにした。近くに村は無いため、人に見られる心配はない……らしい。
「これを持っていけ」とヤツに渡された物がある。これは……鈴か? 振るとリンリンと音が鳴る。この鈴を塔の中にいるモンスターの前で振ると襲って来なくなる……とのこと。
「グルルルル……」
塔の中に入るとすぐに鳴き声が聞こえた。ただの獣ではない、ここに生息している時点でモンスターだろう。
チリリン……
ヤツの言う通りに鈴を振ると、その通りにモンスターらは俺を襲うのをやめた。もはやこの鈴を見せるだけでだ。ドラゴンとそのモンスターらとの主従関係が確立されている証拠なのだろうか。信頼関係の可能性もある。
「何かお探しですか?」
背後から急に声が聞こえた。人だろうか、そのくらい鮮明に言語を発している。
振り向くと、そこには”スケルトン”がいた。俺と同じくらいの身長だ。前に見た絵と同じように、肉も臓器もない、骨だけの細白い生物が目の前に突っ立っていた。
保険として持っていた友情の証の盾を構えたが、そのスケルトンは俺の盾を触りながらこう言った。
「私は怪しい者ではありません。ただの死に損ないのスケルトンです」と。
目の前の骨野郎は、筋肉が無いはずだが器用に話している。声帯が特殊なのか、はたまた人間と構造が違うのか。
そもそもドラゴンのことを信頼している訳ではない。俺をこの塔に閉じ込めたところを、目の前にいる骨野郎らと共に潰すことだってヤツらからすれば可能である。しかしこのままでは事が進まない。それでは本末転倒であろう。
この骨野郎くらいであれば盾だけでも何とかできるだろうが、他のモンスターはどうだろうか。
「それで、何かお探しですか?」
考え込んでしまうクセがまた出た。今はこの骨野郎の質問に答えることが最優先だ。これ以上勘ぐっていては、余計不審に思われる。
「ここに眠っている装備を取りに来ました」
ヤツから渡された鈴を見せながら言うと、骨野郎は何かを察したかのように頷いた後、俺に告げた。
「この塔は、人間からはダンジョンと呼ばれていたらしく----」と。
先にドラゴンがした説明と全く同じ物であった。こいつもこの塔の中で人間を倒してきたのだろうか。だとすれば手強い奴なのかもしれない。
「まぁ、私はただの新参者ですが」
新参者……らしい、そう言っている。何か新しい情報が判明するかもしれない、その一心で俺はこいつの話を片耳に入れながら、装備品を探すこととした。
「私は元々、セルバー村という所で暮らしていました。元々……といっても、60年くらい前の話ですが。何とかスケルトン同士で集まることが出来たものの、内輪もめが起きまして。私の住む場所は無くなりました」
モンスターであっても喧嘩や内部抗争が起きるそうだ。人間とさほど変わらない。さらに人間の言葉を話せるヤツらもいるとなると、それはもはや人間以上の存在である。
「基本スケルトンは人間と同じくらいの身長ですが、そこにいた彼は20mを軽く超えるくらいの大きさでした。最初は立ち向かうことができましたが、徐々に彼も強くなり……」と俯きながら骨野郎はそう言った。
俺は空気が読めないのだろうか、螺旋階段の途中にあった鎧を手に取りこいつに聞いた。
「この鎧は?」
「その鎧は……だいぶ前に”モンスターハンター”を名乗る者が着ていましてね。呆気なく”ゴーレム”に握り潰されてしまいましてね」
新しい単語が一気に出てきた。モンスターハンターは……意味上は、討伐者と同じなのだろうか。ゴーレムは初めて聞く単語だ。どうやらレンガのような石のみで構成された身体を持つらしい。この塔内に居るということは、後でお目にかかることもあるだろう。
俺は次々に装備品を発見してゆく。
「この剣は?」
「その剣は、こちらの剣と合わせて使う物です。”二刀流の剣士”と自称する人間が使用されていました。残念ながら”スライム”にすり潰されてしまいましたが」
「この盾は?」
「そちらの盾は”盾の賢者”を名乗る者が使用されていました。残念ながら”ジャガーノート”に踏み潰されてしまいましたが」
このような感じで、装備品を漁ってた。解説も付いてくるため用途も分かりやすい。保存状態が良いからなのか、装備品に一切ウジ虫が湧いていない。
「----で、最終的にこの塔を選びました」
骨野郎の思い出話はここで終わった。
俺は二刀流用の剣2本と、錆びがかっている鎧、そして赤い布切れを使うこととした。
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