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承『記憶喪失の《討伐者》』
第15話 滅亡
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「それで、何故俺たちをこの村らしき場所に連れてきた?」と俺は質問をした。
この村らしき場所は、少し前まで人が暮らしていたような痕跡が残っていた。このような僻地に人が暮らしていたかどうかはよく分からないが、以前までここで”生”が動いていたような予感がする。
「この村には……以前までホブゴブリンが暮らしていた。あくまで”以前”まで……だ」
ヤツは火を消したような目をしていた。
「2週間くらい前だろうか、はたまたもっと前だろうか。何者かがこの村で平和に暮らしていたホブゴブリンを殺した。生存したのは……1体もいなかった」
ヤツは火を消したような目から一転して、憎しみや怒りを宿している目になっていた。
「ホブゴブリンは人間を襲わない種として知られているだろうが、彼らは単に争いを好まない。人間に奴隷として扱われようとも、抵抗せずに生き抜いてきた」
彼らは過去に人間に奴隷として扱われていたのか。そもそも人間のような弱者が、モンスターを奴隷という形で操ろうとしていたのも不思議である。
「私は……そのホブゴブリンが暮らすこの村を襲った者と、君たちの村を襲った者は同じではないかと考えている」
これは俺の見解だが、それは違うはずだ。
俺が知らないだけでモンスター同士の争いが存在するなら話は別だが、わざわざこのような僻地に暮らしているホブゴブリンを襲うような輩がいるのだろうか。
俺たちの村を襲っていたのは間違いなくゴブリンである。それも持っていたのは棍棒ではなく、誰かが故意に与えたであろうナイフ。
そのことを伝えると、ヤツは目を丸くしながら俺に詰め寄ってきた。
「何故それを早く言わなかった?」
聞かれていないからだ、と言うべきだったのだろうか。が、それを言うと話が進まない。ヤツの話に耳を傾けることにした。
「モンスター同士の争いも存在するには存在する。しかしナイフを持ったゴブリンの存在は聞いたことがない。誰かがゴブリンに武器を与え、その村を襲わせたに違いない」
わざわざ俺たちのストラート村を、モンスターを使って間接的に襲おうとする輩なんて存在するのか。この村と仲がいいアオイ村やステラ村の村人だろうか。だが、それにしても抗争などの存在を俺は知らない。
もしかすると……。
「都市の人間が襲わせたか?」
俺もヤツもこの考えに行き着いた。わざわざこの村を襲わせるよう洗脳する人など近くの村に存在しないであろう。そして逆に、最近俺たちの村の人間に歯向かわれた人々といえば……都市のお偉いさん方だろう。奴らなら、誰かしら1人くらいは草を使用することができる人間もいるだろう。
それでは、ホブゴブリンの村を襲ったのは何故だろう。彼らの一部がレインマークの人間に逆らったのだろうか。
「悪い、少し下に戻った方が良いと思われるぞ」
と、ヤツが突然口を開いた。
「彼が目を覚ました。何か叫んでいるが……」
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「シアンはどこだ!」
彼……ガイアさんの声が聞こえる。
シアンさんの心配をしているのは分かるが、声が大きすぎる。周りの村人が落ち着かそうと努力しているが、それでも彼は怪我している腕を振りながら騒いでいる。
「スカイ……お前生きていたのか。シアンはどこにいる?」と彼は曇った顔を一気に明るくさせ、そう話しかけてきた。シアンさんがどこにいるかなんて俺も知らない。
そのことを彼に伝えると、また彼は顔を曇らせその場に座り込んだ。
「チッ……」
彼は大きな舌打ちをし、木を思いっきり蹴った。物に当たっているのは分かるが、グギっという大きな音も聞こえた。足を捻った音なのか、挫いた音なのか。腕を怪我している上に、足まで怪我したとなると……それは本末転倒である。
だがそもそもの話……彼がレインマークから帰ってきた際に彼女は居なかった。村の中にいるのであれば、俺が分かる。逆にレインマークに行ったのであれば俺は知らない。更に、キミカさんも見ていない。
「俺は研究所に居ると思います」と彼に伝えると、また彼は明るい顔を俺に見せた。あくまで仮定だが、村でゴブリンに殺られたという可能性を俺は考えたくはない。
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討伐者ですら1つも武器を持っていないこの状況、もしも今俺たちがいる場所に襲撃があったらどうなるのか。ドラゴン曰く「この場所に入る方法を知っている者は限られている」らしいが、ホブゴブリンが過去に襲われている時点でここも安全ではない。
そのため、俺たちは先手を打つことにした。
ドラゴンの視力は計り知れないほど強いらしく、集中すれば雲の高さからでも人を認識できるらしい。その視力を駆使し、ストラート村から帰るゴブリンたちの現在位置を突き止める。ヤツらがレインマークの方へと帰り始めれば、犯人を特定できる。
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あのゴブリンの集団に村を襲撃されてから約4時間が経過した……。まだそれくらいしか経っていないのである。この4時間だけでも色々な出来事が並行して起きている。俺でもヤツでも把握できないほどに。
「で、結果は?」
俺が尋ねると、ヤツは目を細めて話し始めた。
「予想通りだった。生存していたゴブリンらはレインマークに向かって歩いていた。証拠を消すためだろう、彼らは道中で黒ずくめの剣士に斬られていた。その瞬間もこの目で確かに見た」
想定通りの結果であった。
モンスターは死亡すると、辺りに血を散らせるように爆散する。証拠隠滅にはもってこいの生物だ。
ここからが問題だ。
レインマークの連中がそう洗脳させているのが分かったところで、上手く報復する方法が見当たらない。「わざわざ報復するべきでない」という意見もあるのかもしれないが、これ以上犠牲者を増やしてはならない。また犯人が分かっただけで、腹の虫が収まるような人間ではない。
「レインマークを滅亡させるか」とボソッと呟くと、ヤツは異常に反応を見せた。
「ダメだ。関係ない人間を襲うとなると、それはヤツらが行っていることと同じことだ!」
レインマークに深く関係のある人を襲えば、レインマーク全体がは大騒ぎになる。その内に市民共々レインマークを乗っ取ることだって可能となる。乗っ取ることが目的ではないが。
なら、そのレインマークの役所……具体的にはお偉いさん方が集う場所を襲う方がより効果的である。同じ気持ちを味わってもらいたかったが、無実の一般人を殺るのは反対された。ならばお偉いさん方だけでも……。
しかしここに留まるとなると、食糧が尽きるのも近い。何故かこの村には元から食糧がある程度保存されてあった。その食糧をホブゴブリンらは食べていたのだろうか。
細かいことを気にしている暇はない。結論を出さねば。
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「それで、何故俺たちをこの村らしき場所に連れてきた?」と俺は質問をした。
この村らしき場所は、少し前まで人が暮らしていたような痕跡が残っていた。このような僻地に人が暮らしていたかどうかはよく分からないが、以前までここで”生”が動いていたような予感がする。
「この村には……以前までホブゴブリンが暮らしていた。あくまで”以前”まで……だ」
ヤツは火を消したような目をしていた。
「2週間くらい前だろうか、はたまたもっと前だろうか。何者かがこの村で平和に暮らしていたホブゴブリンを殺した。生存したのは……1体もいなかった」
ヤツは火を消したような目から一転して、憎しみや怒りを宿している目になっていた。
「ホブゴブリンは人間を襲わない種として知られているだろうが、彼らは単に争いを好まない。人間に奴隷として扱われようとも、抵抗せずに生き抜いてきた」
彼らは過去に人間に奴隷として扱われていたのか。そもそも人間のような弱者が、モンスターを奴隷という形で操ろうとしていたのも不思議である。
「私は……そのホブゴブリンが暮らすこの村を襲った者と、君たちの村を襲った者は同じではないかと考えている」
これは俺の見解だが、それは違うはずだ。
俺が知らないだけでモンスター同士の争いが存在するなら話は別だが、わざわざこのような僻地に暮らしているホブゴブリンを襲うような輩がいるのだろうか。
俺たちの村を襲っていたのは間違いなくゴブリンである。それも持っていたのは棍棒ではなく、誰かが故意に与えたであろうナイフ。
そのことを伝えると、ヤツは目を丸くしながら俺に詰め寄ってきた。
「何故それを早く言わなかった?」
聞かれていないからだ、と言うべきだったのだろうか。が、それを言うと話が進まない。ヤツの話に耳を傾けることにした。
「モンスター同士の争いも存在するには存在する。しかしナイフを持ったゴブリンの存在は聞いたことがない。誰かがゴブリンに武器を与え、その村を襲わせたに違いない」
わざわざ俺たちのストラート村を、モンスターを使って間接的に襲おうとする輩なんて存在するのか。この村と仲がいいアオイ村やステラ村の村人だろうか。だが、それにしても抗争などの存在を俺は知らない。
もしかすると……。
「都市の人間が襲わせたか?」
俺もヤツもこの考えに行き着いた。わざわざこの村を襲わせるよう洗脳する人など近くの村に存在しないであろう。そして逆に、最近俺たちの村の人間に歯向かわれた人々といえば……都市のお偉いさん方だろう。奴らなら、誰かしら1人くらいは草を使用することができる人間もいるだろう。
それでは、ホブゴブリンの村を襲ったのは何故だろう。彼らの一部がレインマークの人間に逆らったのだろうか。
「悪い、少し下に戻った方が良いと思われるぞ」
と、ヤツが突然口を開いた。
「彼が目を覚ました。何か叫んでいるが……」
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「シアンはどこだ!」
彼……ガイアさんの声が聞こえる。
シアンさんの心配をしているのは分かるが、声が大きすぎる。周りの村人が落ち着かそうと努力しているが、それでも彼は怪我している腕を振りながら騒いでいる。
「スカイ……お前生きていたのか。シアンはどこにいる?」と彼は曇った顔を一気に明るくさせ、そう話しかけてきた。シアンさんがどこにいるかなんて俺も知らない。
そのことを彼に伝えると、また彼は顔を曇らせその場に座り込んだ。
「チッ……」
彼は大きな舌打ちをし、木を思いっきり蹴った。物に当たっているのは分かるが、グギっという大きな音も聞こえた。足を捻った音なのか、挫いた音なのか。腕を怪我している上に、足まで怪我したとなると……それは本末転倒である。
だがそもそもの話……彼がレインマークから帰ってきた際に彼女は居なかった。村の中にいるのであれば、俺が分かる。逆にレインマークに行ったのであれば俺は知らない。更に、キミカさんも見ていない。
「俺は研究所に居ると思います」と彼に伝えると、また彼は明るい顔を俺に見せた。あくまで仮定だが、村でゴブリンに殺られたという可能性を俺は考えたくはない。
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討伐者ですら1つも武器を持っていないこの状況、もしも今俺たちがいる場所に襲撃があったらどうなるのか。ドラゴン曰く「この場所に入る方法を知っている者は限られている」らしいが、ホブゴブリンが過去に襲われている時点でここも安全ではない。
そのため、俺たちは先手を打つことにした。
ドラゴンの視力は計り知れないほど強いらしく、集中すれば雲の高さからでも人を認識できるらしい。その視力を駆使し、ストラート村から帰るゴブリンたちの現在位置を突き止める。ヤツらがレインマークの方へと帰り始めれば、犯人を特定できる。
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あのゴブリンの集団に村を襲撃されてから約4時間が経過した……。まだそれくらいしか経っていないのである。この4時間だけでも色々な出来事が並行して起きている。俺でもヤツでも把握できないほどに。
「で、結果は?」
俺が尋ねると、ヤツは目を細めて話し始めた。
「予想通りだった。生存していたゴブリンらはレインマークに向かって歩いていた。証拠を消すためだろう、彼らは道中で黒ずくめの剣士に斬られていた。その瞬間もこの目で確かに見た」
想定通りの結果であった。
モンスターは死亡すると、辺りに血を散らせるように爆散する。証拠隠滅にはもってこいの生物だ。
ここからが問題だ。
レインマークの連中がそう洗脳させているのが分かったところで、上手く報復する方法が見当たらない。「わざわざ報復するべきでない」という意見もあるのかもしれないが、これ以上犠牲者を増やしてはならない。また犯人が分かっただけで、腹の虫が収まるような人間ではない。
「レインマークを滅亡させるか」とボソッと呟くと、ヤツは異常に反応を見せた。
「ダメだ。関係ない人間を襲うとなると、それはヤツらが行っていることと同じことだ!」
レインマークに深く関係のある人を襲えば、レインマーク全体がは大騒ぎになる。その内に市民共々レインマークを乗っ取ることだって可能となる。乗っ取ることが目的ではないが。
なら、そのレインマークの役所……具体的にはお偉いさん方が集う場所を襲う方がより効果的である。同じ気持ちを味わってもらいたかったが、無実の一般人を殺るのは反対された。ならばお偉いさん方だけでも……。
しかしここに留まるとなると、食糧が尽きるのも近い。何故かこの村には元から食糧がある程度保存されてあった。その食糧をホブゴブリンらは食べていたのだろうか。
細かいことを気にしている暇はない。結論を出さねば。
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