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承『記憶喪失の《討伐者》』
第20話 能力
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「何故お前は自ら人質になった?」
「この先には何がある?」
繰り返し質問をするが、側近は答えない。
逆に質問で返された。
「君はそこまでしてモンスターを解放したいのか?」と。
敬語は外れているがそこは関係ない。モンスターを解放することが主な目的ではない。解放できるのならしたいが、村を襲った犯人に一泡吹かせたいだけだ。一泡というよりかは魂一つを吹かせてやりたい。
「ほら、着いたぞ」
側近はそう言う。屋上に繋がる扉を開けると、あのドラゴンが倒れ込んでいた。ここまで飛んで来たのだろうか。あの翼でよく城まで……となるが、何故この側近はここに連れてきたのだろうか。
「ドラゴン様にこの薬を飲ませてやれ」
ドラゴンに様を付ける側近は、ポケットから小さな瓶に入った薬を取り出し俺に渡した。飲ませるか飲ませないか躊躇うと、彼は俺から瓶を奪い取りドラゴンの口に突っ込んだ。
「ウグァァァアアアア!!」
ドラゴンは疼き声を上げる。「何をした?」と彼に聞くが、またこれも無視されてしまう。危険な薬品なら……と思い吐き出させようとするが、それは彼に遮られてしまう。
「ドラゴン様を回復させている。お前は触れるな」と彼は俺に強く言い放つ。それなら最初からそう言え……と思うが。
仕方なく見守っているとヤツの目は見るからに輝きを取り戻した。
「行くぞ」
ヤツは一言発した後、俺らを乗せて飛び立った。
城から徐々に遠ざかってゆくが、俺が考えているのは横にいる”側近”のことだけだ。
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「ここは?」と声に出してみたが、見覚えのある場所だった。ここは、木の上。少し前まで滞在していた場所。
根元にはストラート村の村人がいる。木のテッペンには、俺とヤツと側近の男の3人……いや、2人と1匹。
「遅れた、私の名前はロックだ。よろしく」
側近の男の名前はロック、随分と固そうな名前をしている。
「君が疑問に思っていることは3つ。何故私がドラゴン様が屋上に居ることを知っていたか、何故都合よくドラゴン様を回復させる薬を持っていたか……」
「そしてもう1つ、何故君たちを逃がしたのか」
その通りである。俺をレインマークから逃がすように屋上に連れていくと、何故かヤツが屋上に居た。疲労困憊なヤツに薬を飲ませると回復したのも事実である。
「答える前に、私の過去の話を聞いてもらおうか」
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「私は30年前、この世で生を享けた。普通の家族の中で育ち、”ほぼ普通の教育”を受けた……はずだった」
「私には特殊な能力がある。”魔法”などでは決してないが、私にしかない固有の能力だ」
彼の顔つきが急に変わった。モンスター相手に敬語を使う変な人間という印象だったが、特殊な能力故の行動なのかもしれない。特殊な能力を持つとされる彼の言葉に飲み込まれていくように俺の顔つきも徐々に変わる。
「私の能力は……”モンスターの位置特定”だ。その名の通り、近くのモンスターの位置が分かる。君を助けに来たドラゴンの位置もその能力で特定した」
彼の言葉を半信半疑で聞いていたが、妙に説得力がある。これは信じても良さそうだ。モンスター専用の薬もその能力が故に常に持参していたのだろうか。
「ドラゴン様が体力を失っていた理由は、”黒の剣士”が使用した、”ドラゴン様の体力を奪う草”の効果によるものだろう。ある意味”解毒薬”ということだ」
彼は黒の剣士の存在を知っていた。やはり黒ずくめの剣士はレインマークから派遣されてきた者だったのか。それにしても何故あのような少年が……。
「モンスターの位置特定など最初は必要ない能力だと認識していたが、ライムートの悪魔的政策の裏に気づいた」
彼は黒ずくめの剣士についての詳しい説明もせずに話を続けた。
俺もヤツも彼の話をじっくりと聞くしかない。
「まさか昔はモンスターと共存できていたなんて知らなかった。そこから私はモンスター保護団体として活動している。レインマークの役所にスパイとして潜入した」
モンスター保護団体……となる団体がこの世に存在するのか。ヤツも初耳のような反応を示している。彼は俺たちの表情から察し、説明を加えた。
「モンスター保護団体は……その名の通り、モンスターを保護したいと考える団体だ。洗脳を逃れた遠方の人間が裏で立ち上げた物で、団体員は世界各地に散らばっている。もはや私も誰がどこにいるか把握していない」
俺にもヤツにも疑問の花がひらりと咲いたようだ。
「世界各地に散らばっている……なら連絡はどうしているのだ?」と、俺より先にドラゴンが彼に質問した。
俺が聞きたかったのはそっちではないが、それも気になるためそのままにしておいた。
「常に連絡を取っているというわけではありません。数年に一度、ある都市での集会で結果を報告し合います。そこで様々な情報を知るのです」
急に敬語を使い出す彼に、どこか奇妙さを覚える俺であった。
「その都市は……?」とヤツが聞く。
「その都市は……アミティエです」
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「アミティエ……か」
俺が無意識にそう呟いた。
「その都市はここからとてつもなく離れている場所にある。このドラゴン様の飛行能力を使えば行けなくもないが……」
彼は説明中に、急に俯き始めた。説明中にだ。俺だって説明中に話を切られたら続きが気になる。
「どうした?」と俺が聞くと、彼は意を決したように続けた。
「半年前くらいか、アミティエ付近にあるブルート村の住民が全員死亡しているのが発見された。その後ライムートはモンスターの仕業と考え、取り締まりを強化した」
住民が全員死亡……それもモンスターの仕業とされている。死因がどうかはよく分からないが、人間にはできっこない事だろう。その現場を直接見たわけではないが、モンスターの仕業と考えた方がライムートからしても便利だろう。
ここでヤツがある提案をした。
「その……アミティエに行かないか?」
彼も俺もヤツの提案に乗ることにした。行かない手は無い。国の取り締まりが強化されているという点は気がかりだが。
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「何故お前は自ら人質になった?」
「この先には何がある?」
繰り返し質問をするが、側近は答えない。
逆に質問で返された。
「君はそこまでしてモンスターを解放したいのか?」と。
敬語は外れているがそこは関係ない。モンスターを解放することが主な目的ではない。解放できるのならしたいが、村を襲った犯人に一泡吹かせたいだけだ。一泡というよりかは魂一つを吹かせてやりたい。
「ほら、着いたぞ」
側近はそう言う。屋上に繋がる扉を開けると、あのドラゴンが倒れ込んでいた。ここまで飛んで来たのだろうか。あの翼でよく城まで……となるが、何故この側近はここに連れてきたのだろうか。
「ドラゴン様にこの薬を飲ませてやれ」
ドラゴンに様を付ける側近は、ポケットから小さな瓶に入った薬を取り出し俺に渡した。飲ませるか飲ませないか躊躇うと、彼は俺から瓶を奪い取りドラゴンの口に突っ込んだ。
「ウグァァァアアアア!!」
ドラゴンは疼き声を上げる。「何をした?」と彼に聞くが、またこれも無視されてしまう。危険な薬品なら……と思い吐き出させようとするが、それは彼に遮られてしまう。
「ドラゴン様を回復させている。お前は触れるな」と彼は俺に強く言い放つ。それなら最初からそう言え……と思うが。
仕方なく見守っているとヤツの目は見るからに輝きを取り戻した。
「行くぞ」
ヤツは一言発した後、俺らを乗せて飛び立った。
城から徐々に遠ざかってゆくが、俺が考えているのは横にいる”側近”のことだけだ。
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「ここは?」と声に出してみたが、見覚えのある場所だった。ここは、木の上。少し前まで滞在していた場所。
根元にはストラート村の村人がいる。木のテッペンには、俺とヤツと側近の男の3人……いや、2人と1匹。
「遅れた、私の名前はロックだ。よろしく」
側近の男の名前はロック、随分と固そうな名前をしている。
「君が疑問に思っていることは3つ。何故私がドラゴン様が屋上に居ることを知っていたか、何故都合よくドラゴン様を回復させる薬を持っていたか……」
「そしてもう1つ、何故君たちを逃がしたのか」
その通りである。俺をレインマークから逃がすように屋上に連れていくと、何故かヤツが屋上に居た。疲労困憊なヤツに薬を飲ませると回復したのも事実である。
「答える前に、私の過去の話を聞いてもらおうか」
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「私は30年前、この世で生を享けた。普通の家族の中で育ち、”ほぼ普通の教育”を受けた……はずだった」
「私には特殊な能力がある。”魔法”などでは決してないが、私にしかない固有の能力だ」
彼の顔つきが急に変わった。モンスター相手に敬語を使う変な人間という印象だったが、特殊な能力故の行動なのかもしれない。特殊な能力を持つとされる彼の言葉に飲み込まれていくように俺の顔つきも徐々に変わる。
「私の能力は……”モンスターの位置特定”だ。その名の通り、近くのモンスターの位置が分かる。君を助けに来たドラゴンの位置もその能力で特定した」
彼の言葉を半信半疑で聞いていたが、妙に説得力がある。これは信じても良さそうだ。モンスター専用の薬もその能力が故に常に持参していたのだろうか。
「ドラゴン様が体力を失っていた理由は、”黒の剣士”が使用した、”ドラゴン様の体力を奪う草”の効果によるものだろう。ある意味”解毒薬”ということだ」
彼は黒の剣士の存在を知っていた。やはり黒ずくめの剣士はレインマークから派遣されてきた者だったのか。それにしても何故あのような少年が……。
「モンスターの位置特定など最初は必要ない能力だと認識していたが、ライムートの悪魔的政策の裏に気づいた」
彼は黒ずくめの剣士についての詳しい説明もせずに話を続けた。
俺もヤツも彼の話をじっくりと聞くしかない。
「まさか昔はモンスターと共存できていたなんて知らなかった。そこから私はモンスター保護団体として活動している。レインマークの役所にスパイとして潜入した」
モンスター保護団体……となる団体がこの世に存在するのか。ヤツも初耳のような反応を示している。彼は俺たちの表情から察し、説明を加えた。
「モンスター保護団体は……その名の通り、モンスターを保護したいと考える団体だ。洗脳を逃れた遠方の人間が裏で立ち上げた物で、団体員は世界各地に散らばっている。もはや私も誰がどこにいるか把握していない」
俺にもヤツにも疑問の花がひらりと咲いたようだ。
「世界各地に散らばっている……なら連絡はどうしているのだ?」と、俺より先にドラゴンが彼に質問した。
俺が聞きたかったのはそっちではないが、それも気になるためそのままにしておいた。
「常に連絡を取っているというわけではありません。数年に一度、ある都市での集会で結果を報告し合います。そこで様々な情報を知るのです」
急に敬語を使い出す彼に、どこか奇妙さを覚える俺であった。
「その都市は……?」とヤツが聞く。
「その都市は……アミティエです」
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「アミティエ……か」
俺が無意識にそう呟いた。
「その都市はここからとてつもなく離れている場所にある。このドラゴン様の飛行能力を使えば行けなくもないが……」
彼は説明中に、急に俯き始めた。説明中にだ。俺だって説明中に話を切られたら続きが気になる。
「どうした?」と俺が聞くと、彼は意を決したように続けた。
「半年前くらいか、アミティエ付近にあるブルート村の住民が全員死亡しているのが発見された。その後ライムートはモンスターの仕業と考え、取り締まりを強化した」
住民が全員死亡……それもモンスターの仕業とされている。死因がどうかはよく分からないが、人間にはできっこない事だろう。その現場を直接見たわけではないが、モンスターの仕業と考えた方がライムートからしても便利だろう。
ここでヤツがある提案をした。
「その……アミティエに行かないか?」
彼も俺もヤツの提案に乗ることにした。行かない手は無い。国の取り締まりが強化されているという点は気がかりだが。
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