49 / 87
承『記憶喪失の《討伐者》』
第35話 決戦9「爆発音」
しおりを挟む
----------
薄暗い通路を注意しながら歩み進める。
先から聞こえていた戦闘音が一切聞こえなくなった。戦闘が無事に終わったのならいいが、勝ったのはどっちだ。全てはスカイとドラゴン様に委ねられている。頼むから、無事でいてくれ。
それにしてもこの通路、終わりがない。かれこれ数分間ずっと歩いているが、先が見えない。
「この通路、本当に合っているのか?」
アレアもこの道を疑っていた。
来た道を戻るべきか、それとも先に進むべきか、この選択は私に委ねられた。
一旦、立ち止まる。壁によっかかり、深く考えることにしよう。
ササッ……
砂のような何かが零れ落ちる音が聞こえた。通路からではない、また近くに空洞がある。
足元……には何も無い。ならば天井……には何かがある。スイッチか?
2人で協力して天井のスイッチを押すと、どこからか大きな音がした。方向的には……私たちが来た方向から聞こえたな。
少しだけ戻ると、少し前までは壁だったところに通路が開いていた。こっちの通路は少し明るく、先に階段も見えた。出口が近い……!
階段を上ると、地上へ続く扉らしき物が見えた。鍵は必要なかったが、複雑な構造をしていて、簡単には開けられないようになっていた。
ガチャガチャ……カチャン……
「開いた」
アレアと協力し、何とか開けることができた。かかった時間は僅か10秒。グリーランでの修行の成果が出ているな。
扉を開けて外に出てみると、ここは森の中。ユー・エンドの地下室と同じやり方。かつてこの地下室に出入りしていた人間も、私たちと同じように、外に情報が一切漏れないように警戒をしていたのだろう。
この通路を見るだけで、ユー・エンドでの事件が思い出させられる。二度と起きてはいけない、起こしてもいけない。
森の外に出てみると、いつの間にか雨が降っていた。通路の中は防音で全く音が聞こえなかったから知らなかったが。それにしても雷が落ちた跡もある、ここまで局地的に落ちることなんてあるのか。
そうして見つけた、傷だらけのドラゴン様が横たわっているのを。
思わず声を出しそうになったが、それよりもアレアが何かを見つけた。
「ガイアさん!」とアレアが叫んだ。
赤く染まった草原に、屈強な男ガイアが立っている。その横には、マキシミと思われる男が横たわっていた。その前にドラゴン様が傷だらけで倒れているという状況だが、ここにはスカイが居ない。
マキシミを倒したのか。よかった。
ガイアに駆け寄ろうとすると、マキシミと思われる男が強く赤く発光した。奴の目からも口からも、穴という穴から赤い光が見える。
これは……死ぬ直前に下手な情報を漏らさないように、機密保持として自爆する奴らと同じ手口だ。となると……危ない!
急いでアレアの首根っこを掴んで引き戻そうとしたものの、間に合わなかった。
「ガイ……ア!」
ドゴォン!!
----------
巨大な爆発音で、俺は目覚めた。
俺の名前は……スカイで合っているよな?
ここは……マキシミの城の跡地で、何がどうなったんだっけ。ドラゴンと共に奴を倒そうと努力したが、その努力も虚しく……ドラゴンは死んだんだった。
更に俺も奴の足に……なら、何で俺は生きている? 奴の足に踏み潰された時の感触も記憶もある、だが生きている。
自分の身体を見渡すも、何一つ傷がついていない。背中に差していた剣や盾やマントは消え、それどころか上半身の服は破れたのか無くなっており、直接肌が見える。
上半身裸の俺が目覚めたの場所は、草原。城の跡地からは離れており、周りには赤く染まった草が生えている。城の瓦礫の山の方に走ると、より赤く染まった草や地面が見えた。間違いない、ここで奴と戦った。
所々赤い地面が円形に抉れており、若干歩きにくい。1番抉れている地形の中心部には1人の男が横たわっていた。
傷だらけだがガイアさんだ、間違いない。全身赤く染まっていた。モンスターの血を全身に浴びたようなものだ。彼の元に駆け寄って、呼吸しているかどうか確認する。頭を持ち、口のところに耳を近づけて、彼の胸が上がっているかどうか確認する。
……ない、呼吸していない。
どうすれば呼吸が再び戻るかなんて知らない。そうだ、ヘイトリッドとロックは何処に行ったんだ。あの2人なら、絶対分かる。そうだよな。
ドラゴンの元にも駆け寄る。ヤツは完全に息を引き取っており、既に身体は青白く硬直していた。ここから助かる見込みはもうないだろう。
ヤツの陰に2人の人間がいた。間違いない、ヘイトリッドとロックだ。彼らもまた横たわっていたが、彼らは呼吸をしている。どうにか起こせないか。
「おい、大丈夫か?」と顔をペチペチ叩きながら彼らを起こす。
「ここは……?」
よかった、ヘイトリッドもロックも無事に起きた。彼らもまた傷だらけだが……。
「生きていたのか?」
ロックは形相を変えて俺に尋ねる。
「あぁ、何とかな」と返答すると、彼らはほっとした様子を見せた。
「それよりもガイアさんを……!」
----------
薄暗い通路を注意しながら歩み進める。
先から聞こえていた戦闘音が一切聞こえなくなった。戦闘が無事に終わったのならいいが、勝ったのはどっちだ。全てはスカイとドラゴン様に委ねられている。頼むから、無事でいてくれ。
それにしてもこの通路、終わりがない。かれこれ数分間ずっと歩いているが、先が見えない。
「この通路、本当に合っているのか?」
アレアもこの道を疑っていた。
来た道を戻るべきか、それとも先に進むべきか、この選択は私に委ねられた。
一旦、立ち止まる。壁によっかかり、深く考えることにしよう。
ササッ……
砂のような何かが零れ落ちる音が聞こえた。通路からではない、また近くに空洞がある。
足元……には何も無い。ならば天井……には何かがある。スイッチか?
2人で協力して天井のスイッチを押すと、どこからか大きな音がした。方向的には……私たちが来た方向から聞こえたな。
少しだけ戻ると、少し前までは壁だったところに通路が開いていた。こっちの通路は少し明るく、先に階段も見えた。出口が近い……!
階段を上ると、地上へ続く扉らしき物が見えた。鍵は必要なかったが、複雑な構造をしていて、簡単には開けられないようになっていた。
ガチャガチャ……カチャン……
「開いた」
アレアと協力し、何とか開けることができた。かかった時間は僅か10秒。グリーランでの修行の成果が出ているな。
扉を開けて外に出てみると、ここは森の中。ユー・エンドの地下室と同じやり方。かつてこの地下室に出入りしていた人間も、私たちと同じように、外に情報が一切漏れないように警戒をしていたのだろう。
この通路を見るだけで、ユー・エンドでの事件が思い出させられる。二度と起きてはいけない、起こしてもいけない。
森の外に出てみると、いつの間にか雨が降っていた。通路の中は防音で全く音が聞こえなかったから知らなかったが。それにしても雷が落ちた跡もある、ここまで局地的に落ちることなんてあるのか。
そうして見つけた、傷だらけのドラゴン様が横たわっているのを。
思わず声を出しそうになったが、それよりもアレアが何かを見つけた。
「ガイアさん!」とアレアが叫んだ。
赤く染まった草原に、屈強な男ガイアが立っている。その横には、マキシミと思われる男が横たわっていた。その前にドラゴン様が傷だらけで倒れているという状況だが、ここにはスカイが居ない。
マキシミを倒したのか。よかった。
ガイアに駆け寄ろうとすると、マキシミと思われる男が強く赤く発光した。奴の目からも口からも、穴という穴から赤い光が見える。
これは……死ぬ直前に下手な情報を漏らさないように、機密保持として自爆する奴らと同じ手口だ。となると……危ない!
急いでアレアの首根っこを掴んで引き戻そうとしたものの、間に合わなかった。
「ガイ……ア!」
ドゴォン!!
----------
巨大な爆発音で、俺は目覚めた。
俺の名前は……スカイで合っているよな?
ここは……マキシミの城の跡地で、何がどうなったんだっけ。ドラゴンと共に奴を倒そうと努力したが、その努力も虚しく……ドラゴンは死んだんだった。
更に俺も奴の足に……なら、何で俺は生きている? 奴の足に踏み潰された時の感触も記憶もある、だが生きている。
自分の身体を見渡すも、何一つ傷がついていない。背中に差していた剣や盾やマントは消え、それどころか上半身の服は破れたのか無くなっており、直接肌が見える。
上半身裸の俺が目覚めたの場所は、草原。城の跡地からは離れており、周りには赤く染まった草が生えている。城の瓦礫の山の方に走ると、より赤く染まった草や地面が見えた。間違いない、ここで奴と戦った。
所々赤い地面が円形に抉れており、若干歩きにくい。1番抉れている地形の中心部には1人の男が横たわっていた。
傷だらけだがガイアさんだ、間違いない。全身赤く染まっていた。モンスターの血を全身に浴びたようなものだ。彼の元に駆け寄って、呼吸しているかどうか確認する。頭を持ち、口のところに耳を近づけて、彼の胸が上がっているかどうか確認する。
……ない、呼吸していない。
どうすれば呼吸が再び戻るかなんて知らない。そうだ、ヘイトリッドとロックは何処に行ったんだ。あの2人なら、絶対分かる。そうだよな。
ドラゴンの元にも駆け寄る。ヤツは完全に息を引き取っており、既に身体は青白く硬直していた。ここから助かる見込みはもうないだろう。
ヤツの陰に2人の人間がいた。間違いない、ヘイトリッドとロックだ。彼らもまた横たわっていたが、彼らは呼吸をしている。どうにか起こせないか。
「おい、大丈夫か?」と顔をペチペチ叩きながら彼らを起こす。
「ここは……?」
よかった、ヘイトリッドもロックも無事に起きた。彼らもまた傷だらけだが……。
「生きていたのか?」
ロックは形相を変えて俺に尋ねる。
「あぁ、何とかな」と返答すると、彼らはほっとした様子を見せた。
「それよりもガイアさんを……!」
----------
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
二月から週二回更新になります。お気に入り・感想、宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる