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承『記憶喪失の《討伐者》』
第60話 ハルカーレ
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今日はハルカーレに行かなければならない。都市の方から直接、ある任務を頂いた。それの説明があるため、馬で向かっている最中だ。
「今日はいい天気だね!」
別の馬にキミカも乗っている。彼女は彼女で、週に一回、都市にある新たなモンスターの研究所に通っているらしい。行き先が同じなため、2人で行くことにした。シアンやロックはリバイル村に残っている。
そもそもの話、俺はキミカとそこまで話したことがない。初対面の時から、彼女は不思議な人だった。俺が白蛇を討伐したことを見抜いていたり、やけに人を殺すことに覚悟があったりと。
研究熱心な少女であるシアンとは違って、一歩引いて周りを見ている、でも言動や行動はどこか不思議な少女、と言った方がいいのかもしれない。
「そーいえば、戸籍も取れて良かったね!」
懐かしい、記憶喪失で身元不明の俺は戸籍が取れなかった。俺が記憶喪失としてストラート村に保護された当時、無宿人となれば強制労働所に収容されるという噂が村人の間で立っていた。
ガイアさんはそれを信じて、親戚と偽って俺を村に泊めていた。まぁ強制労働所は存在したし、無宿人のままだったら収容されていたのも事実。
しかし洗脳が解けて、強制労働所が消滅した今。世界の帝王の一連の出来事で家を失った者がいた。また、モンスターを迫害していた60年間くらいの記憶がスッポリと抜け落ちている者もいる。重度の記憶喪失で、自身の名前も覚えていないという者も増えた。
都市や国はこの由々しき事態を対処すべく、記憶を失った者に新たな戸籍を与えた。二重戸籍が存在しないよう、調査に調査を重ねるが、俺はそれで戸籍を獲得した。
名前は、スカイ・ケイオン。スカイというのはシアンが名付けてくれたものをそのまま、ケイオンというのはケーリュケイオンの上を取ったもの。結局皆からはスカイと呼ばれるし、ケイオンと呼ぶ者は都市の人間しかいない。違和感なんてすぐに慣れる。
突然、乗っている馬が大きな声で鳴き出した。周囲に敵がいる訳でもない。何か異物があった訳でもない。馬は俺を振り落とすくらいの速さで、周りをグルグルと回り始めた。
その後馬は、実際に俺を振り落とし、更にまた乗ろうとした俺を蹴り上げた。
「どうしたの、クウグくん!」
キミカはすぐ馬とかモンスターに名前を付ける。俺は呼んでいないが、俺の乗っている馬に”クウグ”という名前をつけている。キミカが乗っている馬は”アギラ”というらしい。俺は呼んでいない。
ここは周りには何もない、だだっ広い草原の中。近くには村もないため、今ここで移動手段を失ったら、村まで走ることになる。どうにか逃げないように馬を止めているが、次第にキミカの乗っている馬も暴れ始めた。
「アギラ、止まってよ!」
キミカの声も聞かずに、2頭の馬はそのままどこかへ走り去っていった。止めようとしたものの、ここで大きな地震が発生した。
立つことすらできない。地面が低い声を上げながら、激しく揺れている。オオオ、オオオと、地中に眠っていた巨大な生物が目覚めたかのように、大きく横に揺れる。
「何これ、どうなってるの?」
俺もキミカも低い体勢で揺れが収まるのを待つ。ここは地震が多い地域でも無かったはず。
揺れが収まり、辺りを見渡すと、馬が2頭ともいなくなっていた。草原で周りには障害物も何もない。地震で揺れている間に、2頭はどこか遠くに行ってしまったのだろう。
もしかしたら、2頭の馬が暴れていたのは、地震を予兆していたのかもしれない。それなら悪いことをした、だから早く戻ってきてほしい。
ハルカーレの説明会に間に合わないし、馬を2頭とも見失ったとなると、後でディールに怒られる上、他の皆に迷惑をかけることになる。
ともかく、先を急がねば。
ここで神の力を使うのはまずいだろうが、周りには事情を知っているキミカしかいない。空から見上げた方が、馬は探しやすい。
胸に力を込め、その場で踏ん張る。
今まで神の力を使おうと思ったことは無い。だが、力を呼び起こす時の感覚はある程度覚えている。
全身に力を込める、念じながら、力を使った時のことを思い出す。
ゴロロ、ゴロロと雷鳴が響いているのが分かる。が、一向に力を使える気はしない。
「力、使えない?」
そうキミカが困ったように聞いてくる。俺も分からない。力が使えている感覚は無い。力を使っていた時、俺は妙な昂りを覚えていた。何でも壊せそうな、何でも潰せそうな。それが、今は無い。
なるほどな、危機的な状況に陥らないと、俺の力は使えないってか。
力が無くとも使える、あの自慢の脚力で、どこかへ走り去っていった馬たちを探すことにした。
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「良かった、間に合ったんだね!」
ハルカーレの研究所から帰るキミカと合流した。結局、馬を発見し、説明会には間に合ったが、そこまで重要な説明はされなかった。ハルカーレから離れた場所に位置する別の都市・ミラトレムに、ライムートの王子が訪れるらしい。それの警備に駆り出されるわけなんだが。
昔のライムートの王は、マキシミだった。今はもちろん別の人だし、王子もマキシミとは関係ない人。あくまでも警備、直接関わることは無いな。
「ところで、ちょっと話したいことがあるの。私の過去の話なんだけどね」
彼女は急に暗い声で、あることを話し始めた。
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今日はハルカーレに行かなければならない。都市の方から直接、ある任務を頂いた。それの説明があるため、馬で向かっている最中だ。
「今日はいい天気だね!」
別の馬にキミカも乗っている。彼女は彼女で、週に一回、都市にある新たなモンスターの研究所に通っているらしい。行き先が同じなため、2人で行くことにした。シアンやロックはリバイル村に残っている。
そもそもの話、俺はキミカとそこまで話したことがない。初対面の時から、彼女は不思議な人だった。俺が白蛇を討伐したことを見抜いていたり、やけに人を殺すことに覚悟があったりと。
研究熱心な少女であるシアンとは違って、一歩引いて周りを見ている、でも言動や行動はどこか不思議な少女、と言った方がいいのかもしれない。
「そーいえば、戸籍も取れて良かったね!」
懐かしい、記憶喪失で身元不明の俺は戸籍が取れなかった。俺が記憶喪失としてストラート村に保護された当時、無宿人となれば強制労働所に収容されるという噂が村人の間で立っていた。
ガイアさんはそれを信じて、親戚と偽って俺を村に泊めていた。まぁ強制労働所は存在したし、無宿人のままだったら収容されていたのも事実。
しかし洗脳が解けて、強制労働所が消滅した今。世界の帝王の一連の出来事で家を失った者がいた。また、モンスターを迫害していた60年間くらいの記憶がスッポリと抜け落ちている者もいる。重度の記憶喪失で、自身の名前も覚えていないという者も増えた。
都市や国はこの由々しき事態を対処すべく、記憶を失った者に新たな戸籍を与えた。二重戸籍が存在しないよう、調査に調査を重ねるが、俺はそれで戸籍を獲得した。
名前は、スカイ・ケイオン。スカイというのはシアンが名付けてくれたものをそのまま、ケイオンというのはケーリュケイオンの上を取ったもの。結局皆からはスカイと呼ばれるし、ケイオンと呼ぶ者は都市の人間しかいない。違和感なんてすぐに慣れる。
突然、乗っている馬が大きな声で鳴き出した。周囲に敵がいる訳でもない。何か異物があった訳でもない。馬は俺を振り落とすくらいの速さで、周りをグルグルと回り始めた。
その後馬は、実際に俺を振り落とし、更にまた乗ろうとした俺を蹴り上げた。
「どうしたの、クウグくん!」
キミカはすぐ馬とかモンスターに名前を付ける。俺は呼んでいないが、俺の乗っている馬に”クウグ”という名前をつけている。キミカが乗っている馬は”アギラ”というらしい。俺は呼んでいない。
ここは周りには何もない、だだっ広い草原の中。近くには村もないため、今ここで移動手段を失ったら、村まで走ることになる。どうにか逃げないように馬を止めているが、次第にキミカの乗っている馬も暴れ始めた。
「アギラ、止まってよ!」
キミカの声も聞かずに、2頭の馬はそのままどこかへ走り去っていった。止めようとしたものの、ここで大きな地震が発生した。
立つことすらできない。地面が低い声を上げながら、激しく揺れている。オオオ、オオオと、地中に眠っていた巨大な生物が目覚めたかのように、大きく横に揺れる。
「何これ、どうなってるの?」
俺もキミカも低い体勢で揺れが収まるのを待つ。ここは地震が多い地域でも無かったはず。
揺れが収まり、辺りを見渡すと、馬が2頭ともいなくなっていた。草原で周りには障害物も何もない。地震で揺れている間に、2頭はどこか遠くに行ってしまったのだろう。
もしかしたら、2頭の馬が暴れていたのは、地震を予兆していたのかもしれない。それなら悪いことをした、だから早く戻ってきてほしい。
ハルカーレの説明会に間に合わないし、馬を2頭とも見失ったとなると、後でディールに怒られる上、他の皆に迷惑をかけることになる。
ともかく、先を急がねば。
ここで神の力を使うのはまずいだろうが、周りには事情を知っているキミカしかいない。空から見上げた方が、馬は探しやすい。
胸に力を込め、その場で踏ん張る。
今まで神の力を使おうと思ったことは無い。だが、力を呼び起こす時の感覚はある程度覚えている。
全身に力を込める、念じながら、力を使った時のことを思い出す。
ゴロロ、ゴロロと雷鳴が響いているのが分かる。が、一向に力を使える気はしない。
「力、使えない?」
そうキミカが困ったように聞いてくる。俺も分からない。力が使えている感覚は無い。力を使っていた時、俺は妙な昂りを覚えていた。何でも壊せそうな、何でも潰せそうな。それが、今は無い。
なるほどな、危機的な状況に陥らないと、俺の力は使えないってか。
力が無くとも使える、あの自慢の脚力で、どこかへ走り去っていった馬たちを探すことにした。
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「良かった、間に合ったんだね!」
ハルカーレの研究所から帰るキミカと合流した。結局、馬を発見し、説明会には間に合ったが、そこまで重要な説明はされなかった。ハルカーレから離れた場所に位置する別の都市・ミラトレムに、ライムートの王子が訪れるらしい。それの警備に駆り出されるわけなんだが。
昔のライムートの王は、マキシミだった。今はもちろん別の人だし、王子もマキシミとは関係ない人。あくまでも警備、直接関わることは無いな。
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彼女は急に暗い声で、あることを話し始めた。
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