破滅のアダムとイヴ 〜Sランクと記憶喪失と東京と〜

新進真

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承『記憶喪失の《討伐者》』

第65話 光り輝く

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「スカイ、どうした!」
「キミカ……ごめん」

 ロックとシアンの声が聞こえる、しかし何を言っているかは分からない。
 俺の身体に走った電流は、空と俺を結ぶ糸になった。俺が腕を上げれば、電流の糸も呼応するかのようにビリビリと鳴り響く。手を広げれば、糸も広がり、正方形の形となる。

 今の俺は、トールだ。トールの力が、使える。これで、奴を同じ目に合わせてやれる。キミカと同じように、下半身を潰して、顔面を血まみれにしてやる。

 俺はこの場から強く跳び、巨大な奴の目の前に降り立った。奴はキミカのいた草原から移動しており、普通の人間では追いつけない程の距離が既についていた。が、俺は普通じゃない。その気になれば、一瞬で奴の目の前に移動することができるのだ。

「何故お前がここに、何故お前が光り輝くのだ」

 奴も骨しか無いくせに驚いた様子を見せ、目の前に降り立った俺を潰そうと手を振りかざすが、俺はそれを避け、逆に奴の何も無い顔面に向かって拳を一発ぶち込んだ。

 すかさず二発目を入れようとしたが、奴もそれに気づいたようで、すぐさま空中に浮かぶ俺を両手で掴み、握り潰そうと強く握った。
 俺をキミカと同じように潰す気だな、しかしそうはさせない。奴の腕にピンポイントに雷を落とし、掴む手を解かせる。更に追撃だ、俺は飛びながら奴の全身に大量の雷を浴びせる。

 奴の骨は硬いため、俺の雷だけでは奴の下半身を潰せる気がしない。だからと言ってはなんだが、奴に大量の雷を浴びせることで、処刑しようと思う。本来ならばキミカが食らった物をそのままやりたかったが、どちらにせよ殺せるなら手段を選ぶ必要性は無い。殺せるなら。

「死んじまえ」

 俺自身、冷静さを保てているとは思えない。私情が混ざれば、何かしらミスが発生する。しかし、今の俺には、それらの制御は無理だ。殺せるなら、殺してやる。村長の仇、キミカの仇だ。

「ぐっちゃぐちゃに、今すぐ潰す」

 思っていることをそのまま口に出しつつ、奴の全身という全身に雷を浴びせる。
 奴も感電したのか全身がビリビリと激しく揺れているも、死に直結する程の攻撃ではない様子で、逆に俺に反撃しようと、揺れながらも腕を何とか動かそうとしている。

 更に追撃として雷を浴びせても無駄。奴は俺をまた両手で掴み、下半身と上半身を引きちぎろうと双方向に引っ張る。
 何度雷を落としても無駄である、俺を掴む奴の手はガッチリと固められており、俺が雷を落としても、それらが離れることはない。
 
「望み通り、お前をぐちゃぐちゃに……」

 奴は俺を強く握り潰そうとしたが、何故か止め、俺を掴んだまま目線を地面の方に落とした。ロックとシアンは置いていったため、2人ではないはずだ。この距離、流石に馬でもこんなに早くは辿り着けないはずだ。

「やめてください」

 地面の方から声が聞こえる。どうにか目線を地面の方に落とすと、そこにはスケルトンがいた。俺たちと何度も共闘した、今日はリバイル村に残っていたはずのスケルトンが。

「そこに居るのは、ジャティキか?」
「はい、会うのは何十年ぶりでしょうか。もう二度と会えないと思っていましたが、まさか出会うことになるとは」

 巨大なスケルトンと普通の大きさのスケルトンが会話をしている。
 なるほど、普通の大きさのスケルトンはジャティキという名前なのか、初めて知った。それにしても、このスケルトン達の顔は皆変わらないが、声だけで判別できるものなのか。

 会話をするのはいいが、その手を離してからにしてくれないか。

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「どうやってここまで来た?」
「骨の力、としか言いようがありません。後、騒がしいので」

「それで、ジャティキは何をしに来た。今更私の計画に加担するつもりか?」
「いいえ、貴方と話がしたいと思いまして」

「何の話がしたい。セルバー村の昔話でもしてやろうか」
「いいえ、思い出したくない過去の話です」

 小さい方のスケルトンは、50年以上前くらいにセルバー村から追放された。それがある争いが原因だとか、20mを超えるスケルトンに負けたとか言っていたが……そうだな、こいつだ。

「人間と共存し、ほのぼのと暮らしていましたが、貴方は人間を支配しようと計画を企てましたね。私たちはそれに反対しましたが……仲間は殺され、私は追放という形で村を去りました」

「いいや違う、お前は追放なんてされていない。逃げたのだ、仲間が殺されていく前で。それに、巨大な身体を持つ我は人間共に恐れられた。更に人間は我々を”モンスター”と呼称し、我々を手中に収めようとしたのだ」

 確かに、この巨大な身体では人々に恐れられること間違いなしだろう。俺でも初見なら驚く。ここまで聞くと、勝手にモンスターと呼称され、勝手に恐れられたスケルトン側の意見も理解できる。

 が、同じように巨大な身体を持つドラゴンたちは、自ら誰も踏み入れないような地に塔を建て、遮断した場で生活をしていた。奴だってそうすればいいのにも関わらず、結局人間を襲おうとした。

「その後、結界の技術を持った人間らに拘束され、丘の上にあった古城の地下に埋められ、封印させられたのだ。同胞も殺され月日が経ったが、何とか封印を解かれた。その点については礼を言う、我を解いてくれてな」

 結果、俺が封印を解いたのか。
 キミカを殺し、セルバー村の村人や村長を殺したあのスケルトンの封印を解いたのは、俺か。

 全て、俺のせいだ。
 俺が封印を解かなければ、わざわざ古城の地下を掘り起こす人はいないから、永遠に封印を解かれなくて済んだのに。キミカも助かったのに。全て俺のせいだ。

 まだ下半身は奴に掴まれたままだが、どうにか思考を張り巡らせる。しかし、打開策なんてものは思い浮かばない。キミカは死んだ、俺はどうしたらいい。雷も効かない奴を、俺はどうやって倒したらいい。

「後悔したか、我の封印を解いたことに」

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