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承『記憶喪失の《討伐者》』
第73話 洗脳魔法
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「起きたか、いい報告がある」
目を覚ますと、そこはいつも通りの風景。寝床があって、ロックがいて、剣が無造作に放り投げられている。さっきまで見ていたのは何だったんだ。夢か、それにしては、やけに現実的だったな。過去の記憶ではない、俺が雷の力を使っていたからな。ということは、夢だな。
「新たに緑色の石のかけらが発見された。これで手元に3つある」
ロックは慎重に、1番小さな欠片を寝起きの俺に渡し、それを握るよう言った。
俺も俺で慎重にそれを握ると、ちっぽけな欠片が強く緑色に光り始めた。同時に、大きな力も感じた。俺の中にいるトールと呼応するように、謎の気迫に覆われた。
小石よりも小さなこの欠片に、これ程の力が込められているとは……逆に恐ろしい。
「で、彼女が言っていた『3つ目の地』についての調査も始めている。私たちがいるこの場が『1つ目の地』とすると、少年のいたランセル王国が『2つ目の地』と考えられる」
ロックの推理が正しければ、俺たちが知らない3つ目の地に奴がいることになる。が、俺たちは2つ目の地についても知らなければ、3つ目の地についても知らない。
魔法が使える国すら聞いたことないのに、何の情報もない地にどう辿り着けばいいのか。
何かしらでいい、何か俺たちに情報をくれ。
「それで、もう立てるか? 無茶をするが、やりたいことがある。少年たちも待っている」
ロックは俺にある提案をした。内容は教えてくれなかったが、俺はもう元気だ。ベッドから起き上がり、朝食を食べ、外に出れるよう整えた。
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外に出ると、既に皆集合していた。
いるのは、ロック、ガイアさん、シアン、俺。ルカとディールはまた都市の方に行ったらしい。で、ドラゴンは先に帰ったとも聞いた。
「集まったか。先に言うが、ドラゴン様に石を1つ持たせた。ドラゴン様目線からの見解も聞きたいから」
ロックはほぼ独断で、ドラゴンに石を渡していたみたいだ。これでも元役所の人間だもんな、勝手がすぎる。まぁ、ドラゴンたちなら何かしら知っているだろう。
「それでだが、2つ目の地に飛んでみようと思う。多少無理があるかもしれないが、やるしかない」
突然の提案すぎる。無茶だ。
そもそもどうやって飛ぶつもりなんだろうか。石の力を使ってか、ならどうやって知った。石にそのような力があるのか。いつの間に情報を得たのか。
「いいか、スカイ。やるしかないんだ、多少無茶でも」
無茶すぎる提案に、一同疑問に思っているが、確かにやるしかない。俺たち以外にできる人はいない。相当無茶なことを言っていると自覚していないのか、彼は目を輝かせながらそう言っている。
それに彼は何故か方法を理解しているようだった。
「石の欠片を地面に置いて、皆でそれを触る。あとは念じればいい、飛べ……と」
俺が寝ている間に秘かに研究でもしていたのか? または、奴に直接教えられたのか。それを疑わざるを得ないくらい、彼は順調に飛ぶ準備を進めている。
仕方ない、俺は今まで彼に迷惑ばかりかけてきた。今回ばかりは、彼の迷惑を受けてやろう。俺は彼の言う通りに、欠片に指を当てた。
他の皆も指を当てたのを確認し、ロックがある言葉を発した。
「飛べ」
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目を開けると、そこには見たこともない景色が広がっていた。景色、いや、どこかの城の中だな。高貴なカーペットと、高貴な白い壁、間違いなく誰かの城だ。
エストの様子を見てみると、異常な反応を示していた。驚いたような、または怯えているような、色々な感情が入り乱れた顔をしている。
となると、ここはランセル王国の王の城、エストが心の傷を負いまくった場か。
彼からすればここは、王には追放され、大事な仲間を失い、同期には顔を蹴られ、奴には裏切られた場所ということになる。
まぁ、俺が同期のやつの立場だったら……同じことをしかねないが。
俺は持っていないが、ガイアさんとシアンは剣を持っている。俺はシアンから剣を借り、皆の剣と盾になって進む。ロックはどうしてか、不安そうな顔を浮かべながら、武器も持たずに、息を切らしながら歩いている。彼が1番準備万端と思いきや、そうでもなかった様子。逆に俺以上に無防備に近い。
「どうして、こんなことを」
彼はそう小声で呟いていた。今更後悔しても遅い、自身で行こうとしていたくせに。少し彼に対して苛立ちを覚えたが、今言っても意味が無い。せめて、少し探索してから戻ろう。
「いや、戻れない」
彼はまた小声で呟いた。
戻れない……とはどういうことだ? あれは片道専用の石ってか? または、1度きりってやつか。1度しか使えず、1度使うと石が消滅する。そういう系か?
「お見事。ここはゴールじゃないから、もう少し進んでね」
どこからか奴……レッドの声が聞こえた。辺りを見渡すも、誰もいる気配はない。俺だけに聞こえているのか、いや違うな、ここにいる皆に聞こえているようで、ロックとエストは怯えたように、床に姿勢を落としている。
「空間の石の力、世界を越えて会話ができるの。君の仲間さん、ロックって人に洗脳魔法をかけて、傀儡として操ってただけよ。二度と村に帰れないようにするために、ここに来させたの」
なるほど、ロックが無理矢理でも俺たちを第2の地に連れ出そうとしていた理由が分かった。ロックも本意ではなく、奴に操られていたのか。それに、世界を越えて……という言い方が気になる。国を越えて、ではなく、世界を越える。これこそ、本格的に裏世界が存在するのか疑わざるを得なくなってきた。
「君たちは二度とリバイル村に帰れない。私もこれ以上は介入しないけど、魔法が使える異国で、どうやって生き抜くつもりかな? 君の横には、王を襲った少年もいるんだし、速攻で牢獄行きじゃない?」
これで、奴の声は聞こえなくなった。
ここは異国、異世界の地。ほとんどの国民が魔法を使える世界で、俺たちはどうにかしなきゃいけない。元の世界、リバイル村に戻る方法はないのか。
しかし、俺の横にはエストがいる。エストなら何かしら知っていないのか。ただ、エストは王を襲った犯人として、今も尚追われているはず。王国は頼れない、俺たちだけでやらねば。
「いたぞ! 王を襲った奴らだ!」
廊下の向こう側から、大量の兵士が駆けつけてきた。俺たちのことを指し、他の兵士に何かを連絡している様子。
兵士の居ない方へ向かったが、そちらにも大量の兵士が駆けつけてきた。一本道の廊下で、どちらを向いても、大量の兵士が剣を持って構えている。
「まずい、ここまでか」
エストは裏切られた時の心の傷を思い出したのか、また声を上げながら、泣き叫ぶ。今泣いている場合じゃないのに……一体どうしろって言うんだ。
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「起きたか、いい報告がある」
目を覚ますと、そこはいつも通りの風景。寝床があって、ロックがいて、剣が無造作に放り投げられている。さっきまで見ていたのは何だったんだ。夢か、それにしては、やけに現実的だったな。過去の記憶ではない、俺が雷の力を使っていたからな。ということは、夢だな。
「新たに緑色の石のかけらが発見された。これで手元に3つある」
ロックは慎重に、1番小さな欠片を寝起きの俺に渡し、それを握るよう言った。
俺も俺で慎重にそれを握ると、ちっぽけな欠片が強く緑色に光り始めた。同時に、大きな力も感じた。俺の中にいるトールと呼応するように、謎の気迫に覆われた。
小石よりも小さなこの欠片に、これ程の力が込められているとは……逆に恐ろしい。
「で、彼女が言っていた『3つ目の地』についての調査も始めている。私たちがいるこの場が『1つ目の地』とすると、少年のいたランセル王国が『2つ目の地』と考えられる」
ロックの推理が正しければ、俺たちが知らない3つ目の地に奴がいることになる。が、俺たちは2つ目の地についても知らなければ、3つ目の地についても知らない。
魔法が使える国すら聞いたことないのに、何の情報もない地にどう辿り着けばいいのか。
何かしらでいい、何か俺たちに情報をくれ。
「それで、もう立てるか? 無茶をするが、やりたいことがある。少年たちも待っている」
ロックは俺にある提案をした。内容は教えてくれなかったが、俺はもう元気だ。ベッドから起き上がり、朝食を食べ、外に出れるよう整えた。
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外に出ると、既に皆集合していた。
いるのは、ロック、ガイアさん、シアン、俺。ルカとディールはまた都市の方に行ったらしい。で、ドラゴンは先に帰ったとも聞いた。
「集まったか。先に言うが、ドラゴン様に石を1つ持たせた。ドラゴン様目線からの見解も聞きたいから」
ロックはほぼ独断で、ドラゴンに石を渡していたみたいだ。これでも元役所の人間だもんな、勝手がすぎる。まぁ、ドラゴンたちなら何かしら知っているだろう。
「それでだが、2つ目の地に飛んでみようと思う。多少無理があるかもしれないが、やるしかない」
突然の提案すぎる。無茶だ。
そもそもどうやって飛ぶつもりなんだろうか。石の力を使ってか、ならどうやって知った。石にそのような力があるのか。いつの間に情報を得たのか。
「いいか、スカイ。やるしかないんだ、多少無茶でも」
無茶すぎる提案に、一同疑問に思っているが、確かにやるしかない。俺たち以外にできる人はいない。相当無茶なことを言っていると自覚していないのか、彼は目を輝かせながらそう言っている。
それに彼は何故か方法を理解しているようだった。
「石の欠片を地面に置いて、皆でそれを触る。あとは念じればいい、飛べ……と」
俺が寝ている間に秘かに研究でもしていたのか? または、奴に直接教えられたのか。それを疑わざるを得ないくらい、彼は順調に飛ぶ準備を進めている。
仕方ない、俺は今まで彼に迷惑ばかりかけてきた。今回ばかりは、彼の迷惑を受けてやろう。俺は彼の言う通りに、欠片に指を当てた。
他の皆も指を当てたのを確認し、ロックがある言葉を発した。
「飛べ」
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目を開けると、そこには見たこともない景色が広がっていた。景色、いや、どこかの城の中だな。高貴なカーペットと、高貴な白い壁、間違いなく誰かの城だ。
エストの様子を見てみると、異常な反応を示していた。驚いたような、または怯えているような、色々な感情が入り乱れた顔をしている。
となると、ここはランセル王国の王の城、エストが心の傷を負いまくった場か。
彼からすればここは、王には追放され、大事な仲間を失い、同期には顔を蹴られ、奴には裏切られた場所ということになる。
まぁ、俺が同期のやつの立場だったら……同じことをしかねないが。
俺は持っていないが、ガイアさんとシアンは剣を持っている。俺はシアンから剣を借り、皆の剣と盾になって進む。ロックはどうしてか、不安そうな顔を浮かべながら、武器も持たずに、息を切らしながら歩いている。彼が1番準備万端と思いきや、そうでもなかった様子。逆に俺以上に無防備に近い。
「どうして、こんなことを」
彼はそう小声で呟いていた。今更後悔しても遅い、自身で行こうとしていたくせに。少し彼に対して苛立ちを覚えたが、今言っても意味が無い。せめて、少し探索してから戻ろう。
「いや、戻れない」
彼はまた小声で呟いた。
戻れない……とはどういうことだ? あれは片道専用の石ってか? または、1度きりってやつか。1度しか使えず、1度使うと石が消滅する。そういう系か?
「お見事。ここはゴールじゃないから、もう少し進んでね」
どこからか奴……レッドの声が聞こえた。辺りを見渡すも、誰もいる気配はない。俺だけに聞こえているのか、いや違うな、ここにいる皆に聞こえているようで、ロックとエストは怯えたように、床に姿勢を落としている。
「空間の石の力、世界を越えて会話ができるの。君の仲間さん、ロックって人に洗脳魔法をかけて、傀儡として操ってただけよ。二度と村に帰れないようにするために、ここに来させたの」
なるほど、ロックが無理矢理でも俺たちを第2の地に連れ出そうとしていた理由が分かった。ロックも本意ではなく、奴に操られていたのか。それに、世界を越えて……という言い方が気になる。国を越えて、ではなく、世界を越える。これこそ、本格的に裏世界が存在するのか疑わざるを得なくなってきた。
「君たちは二度とリバイル村に帰れない。私もこれ以上は介入しないけど、魔法が使える異国で、どうやって生き抜くつもりかな? 君の横には、王を襲った少年もいるんだし、速攻で牢獄行きじゃない?」
これで、奴の声は聞こえなくなった。
ここは異国、異世界の地。ほとんどの国民が魔法を使える世界で、俺たちはどうにかしなきゃいけない。元の世界、リバイル村に戻る方法はないのか。
しかし、俺の横にはエストがいる。エストなら何かしら知っていないのか。ただ、エストは王を襲った犯人として、今も尚追われているはず。王国は頼れない、俺たちだけでやらねば。
「いたぞ! 王を襲った奴らだ!」
廊下の向こう側から、大量の兵士が駆けつけてきた。俺たちのことを指し、他の兵士に何かを連絡している様子。
兵士の居ない方へ向かったが、そちらにも大量の兵士が駆けつけてきた。一本道の廊下で、どちらを向いても、大量の兵士が剣を持って構えている。
「まずい、ここまでか」
エストは裏切られた時の心の傷を思い出したのか、また声を上げながら、泣き叫ぶ。今泣いている場合じゃないのに……一体どうしろって言うんだ。
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