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冒険者組のなんちゃって優等生吉川達は、一先ずダンジョンにさえ行かなければ現時点で四宮達は脅威ではないと判断し、王都に飛ぶ事にしていた。
あの空間から飛ぶ直前では、ダンジョンマスター側の吉川達と共存のような事を言って湯原と水野を共通の敵として仄めかしてはいたが、本気でそのような事を思ってもいないし、吉川側も同じ考えだろうと思っていた。
現に、互いの移動先を公開する事も相談する事もなく、勝手に話を進めてほぼ同時にあの空間から消えたのだから。
だが、この場にいない、どちら側の立場なのかも知らない湯原と水野が気に入らないのは、この場の四人全員の総意ではある。
湯原は、その厳つい体と厳しい視線が単純に気に入らないし、その湯原を庇う水野も同時に気に入らないと言う、何とも言えない理不尽な理由ではあるのだが、感情とはそう言うものだ。
「ここがギルドっぽいな」
この中では最も長身である175cmの吉川を先頭にギルドに入る。
両開きの扉を押して中に入ると想像通りに喧騒としており、当たり前だが初めての雰囲気に少しだけ飲まれて、思わず眼鏡を指でかけ直す。
「よっし~、何か依頼でも受けるの?それとも、情報収取?」
こんな雰囲気はお構いなしとばかりに、椎名 理沙が黒いツインテールをたなびかせながら、垂れ目がちなその視線を楽しそうに吉川に向ける。
「フフ、理沙は流石ね。吉川君。ここは情報収集をした方が良いと思うけど?」
「自分も藤代殿の案に賛成だ」
藤代に続いて吉川にまでこう言われると、突然依頼を受けるのも良くないと思い情報収集をする事にした。
具体的に何をするのかと言うと、突然異世界に来たために大した事ができるわけもなく、周囲の冒険者やギルドの受付に話しかけて、聞ける事を全て聞くだけだ。
冒険者達からは有益な情報を得る事は出来ず、得られた情報と言えば、やはり基本的にはダンジョン攻略、そしてダンジョンから溢れて勝手に増殖している魔物達を始末する事で生計を立てていると言う事だった。
逆に受付からは、何と先行して送られている召喚者の話を聞く事が出来た。
この世界で認識されているのは、召喚者が定期的に現れてダンジョンを生成するものと冒険者としてダンジョンを潰す者に分かれて活動していると言う事。
召喚者の冒険者は、この世界でかなり強い部類のレベル20を初期状態で持っている事を教えて貰えた。
この情報、レベル20が相当強いと言う事だけでも貴重な情報だったのだ。
恐らく召喚に対しての情報は、自分達と同じ先輩召喚者達がギルドに報告したのだろうと推測できた四人は、これ以上の情報収集は必要ないと判断して依頼を受ける事にした。
早速適当な依頼を受けるべく依頼書のある場所で各書類を見るのだが……何が良い依頼なのかはよく分からない。
そこで再び受付に向かって、吉川がこう問いかける。
「申し訳ない。俺達に適切な依頼を教えてもらいたいのだが……」
「……初めて当ギルドに来られた方ですね。今のレベルを教えていただけますか?」
既に得た情報では、召喚者が初期状態でこの大陸では最強に近いレベル20であると知られている。
その召喚者に対してギルドの面々がどう感じているのかまでは聞くのを忘れていた吉川達は一瞬声に詰まるが、そこはあまり深く考えない椎名が、全てを曝け出す。
「あの、理沙達は召喚者で、レベル20です。どう証明すれば良いですか?」
予想通りにざわつくギルドだが、どうやら自分達に対して敵対するようなざわつきではなさそうで、安心している四人の表情を正確に読み取った受付。
「フフ、ご安心ください。周囲の冒険者達は、皆さんと共に召喚されているはずのダンジョンマスターに対して沸き立っているのですよ。召喚直後のダンジョンマスターは異常に弱い事が知られていますが得られる経験値は膨大で、更に破壊後のコアを持ち込めば一攫千金ですから、こうなるのも仕方がないのです」
どうやら完全に敵対する立場になっているダンジョンマスターについて同郷の者が召喚されているとは先輩達も言えなかったらしく、吉川達に一切躊躇せずにダンジョンマスター達を始末するべく沸き立っていると教えてくれる受付だ。
「一応皆さんがレベル20なのかを確認させて頂きますので、御一人ずつこの板に手を置いて頂けますか?」
言われたとおりに四人が順に手を置くと、全員が等しく板に20と表示された。
「おいおい、本当かよ?俺達の時代に召喚者が来るとはな。うまくすれば、一生遊んで暮らせるぜ!」
その表示をのぞき込んでいた冒険者は、大声を出すと周囲の冒険者の一部と共にあっという間にいなくなる。
「申し訳ありません。一生に一度経験すれば非常に幸運と言われている召喚ですから、全員このチャンスを逃したくないのですよ。既に育ってしまったダンジョンを完全攻略するのは至難の業ですからね」
そう言いつつも適当に依頼書をめくっている受付は、とあるページで手を止めて吉川に差し出す。
<ラグリアの討伐……推奨レベル19>
これだけ書かれた依頼書なので、取り敢えず詳細を聞く吉川達。
あの空間から飛ぶ直前では、ダンジョンマスター側の吉川達と共存のような事を言って湯原と水野を共通の敵として仄めかしてはいたが、本気でそのような事を思ってもいないし、吉川側も同じ考えだろうと思っていた。
現に、互いの移動先を公開する事も相談する事もなく、勝手に話を進めてほぼ同時にあの空間から消えたのだから。
だが、この場にいない、どちら側の立場なのかも知らない湯原と水野が気に入らないのは、この場の四人全員の総意ではある。
湯原は、その厳つい体と厳しい視線が単純に気に入らないし、その湯原を庇う水野も同時に気に入らないと言う、何とも言えない理不尽な理由ではあるのだが、感情とはそう言うものだ。
「ここがギルドっぽいな」
この中では最も長身である175cmの吉川を先頭にギルドに入る。
両開きの扉を押して中に入ると想像通りに喧騒としており、当たり前だが初めての雰囲気に少しだけ飲まれて、思わず眼鏡を指でかけ直す。
「よっし~、何か依頼でも受けるの?それとも、情報収取?」
こんな雰囲気はお構いなしとばかりに、椎名 理沙が黒いツインテールをたなびかせながら、垂れ目がちなその視線を楽しそうに吉川に向ける。
「フフ、理沙は流石ね。吉川君。ここは情報収集をした方が良いと思うけど?」
「自分も藤代殿の案に賛成だ」
藤代に続いて吉川にまでこう言われると、突然依頼を受けるのも良くないと思い情報収集をする事にした。
具体的に何をするのかと言うと、突然異世界に来たために大した事ができるわけもなく、周囲の冒険者やギルドの受付に話しかけて、聞ける事を全て聞くだけだ。
冒険者達からは有益な情報を得る事は出来ず、得られた情報と言えば、やはり基本的にはダンジョン攻略、そしてダンジョンから溢れて勝手に増殖している魔物達を始末する事で生計を立てていると言う事だった。
逆に受付からは、何と先行して送られている召喚者の話を聞く事が出来た。
この世界で認識されているのは、召喚者が定期的に現れてダンジョンを生成するものと冒険者としてダンジョンを潰す者に分かれて活動していると言う事。
召喚者の冒険者は、この世界でかなり強い部類のレベル20を初期状態で持っている事を教えて貰えた。
この情報、レベル20が相当強いと言う事だけでも貴重な情報だったのだ。
恐らく召喚に対しての情報は、自分達と同じ先輩召喚者達がギルドに報告したのだろうと推測できた四人は、これ以上の情報収集は必要ないと判断して依頼を受ける事にした。
早速適当な依頼を受けるべく依頼書のある場所で各書類を見るのだが……何が良い依頼なのかはよく分からない。
そこで再び受付に向かって、吉川がこう問いかける。
「申し訳ない。俺達に適切な依頼を教えてもらいたいのだが……」
「……初めて当ギルドに来られた方ですね。今のレベルを教えていただけますか?」
既に得た情報では、召喚者が初期状態でこの大陸では最強に近いレベル20であると知られている。
その召喚者に対してギルドの面々がどう感じているのかまでは聞くのを忘れていた吉川達は一瞬声に詰まるが、そこはあまり深く考えない椎名が、全てを曝け出す。
「あの、理沙達は召喚者で、レベル20です。どう証明すれば良いですか?」
予想通りにざわつくギルドだが、どうやら自分達に対して敵対するようなざわつきではなさそうで、安心している四人の表情を正確に読み取った受付。
「フフ、ご安心ください。周囲の冒険者達は、皆さんと共に召喚されているはずのダンジョンマスターに対して沸き立っているのですよ。召喚直後のダンジョンマスターは異常に弱い事が知られていますが得られる経験値は膨大で、更に破壊後のコアを持ち込めば一攫千金ですから、こうなるのも仕方がないのです」
どうやら完全に敵対する立場になっているダンジョンマスターについて同郷の者が召喚されているとは先輩達も言えなかったらしく、吉川達に一切躊躇せずにダンジョンマスター達を始末するべく沸き立っていると教えてくれる受付だ。
「一応皆さんがレベル20なのかを確認させて頂きますので、御一人ずつこの板に手を置いて頂けますか?」
言われたとおりに四人が順に手を置くと、全員が等しく板に20と表示された。
「おいおい、本当かよ?俺達の時代に召喚者が来るとはな。うまくすれば、一生遊んで暮らせるぜ!」
その表示をのぞき込んでいた冒険者は、大声を出すと周囲の冒険者の一部と共にあっという間にいなくなる。
「申し訳ありません。一生に一度経験すれば非常に幸運と言われている召喚ですから、全員このチャンスを逃したくないのですよ。既に育ってしまったダンジョンを完全攻略するのは至難の業ですからね」
そう言いつつも適当に依頼書をめくっている受付は、とあるページで手を止めて吉川に差し出す。
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これだけ書かれた依頼書なので、取り敢えず詳細を聞く吉川達。
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