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この日からは、幌馬車の中からも護衛の冒険者二人と時折会話をしながら進んでいる湯原と水野。
どうやらこの二人は目的地の村で一日滞在し、折り返しの馬車の護衛をして王都に戻った後は、自らが拠点としている隣国であるコッタ帝国に戻るらしい。
口ではダンジョンマスターを始末して一攫千金と言ってはいるが、雲をつかむような話であり、観光ついでに幸運があれば良いな……程度で来ているようで、まるで日本の宝くじの様だと水野は思っていた。
同時にこの二人が数日で王都に戻ると聞き、自分達が徒歩なり馬車なりで例のダンジョン跡地に向かって帰ってこなくても怪しまれる事が無い事に安堵している。
「次が最後の町で、その後が目的の村だぜ」
御者に情報を聞いて来てくれた冒険者の男性が、幌馬車の中から周囲の風景を楽しそうに見ている水野に声をかける。
水野は顔だけを出しているのだが、実は座っている足元、太ももの位置には湯原の頭が有ったりする。
何故か今、湯原は水野に膝枕をしてもらっているので、この冒険者の話に対して返事が出来るのは水野だけだ。
「ありがとうございます。間もなく皆さんとの短い旅も終了ですね」
「おぉ、そうだな。だが、未だ目的地じゃねーから、油断する事はねーよ。安心してくれな、若奥さん!」
そう、こう言った感じに煽られるので、ダンジョンマスターと疑っていたと言われた時に、今この時を楽しまなければいつ死んでしまうか分からないと吹っ切れた二人は逆に見せつけてやろうとばかりに行動するのだが、やはりどこか恥ずかしく、一部隠してしまっていたりする。
「よし、無事に最後の町に着いたぜ。後は一日行けば、村……目的地だ」
「今日も大した獲物は出なかったから、体が鈍って仕方がないわよ。最終日も……期待できそうにないわね」
町に入って馬車から降りると、既に馬から降りて今日の感想を言い合っている冒険者二人を追うように宿に向かう。
御者は、幌馬車と冒険者が乗っている馬が預けられる別の宿に宿泊する為に別行動だ。
「そこの冒険者のお二人さん!どうだい、良い商品が入ったよ!」
宿に向かう途中、この町では見た事の無い顔である二人の冒険者を見かけたとある商人が、行く手を若干遮るようにして話しかける。
間もなく目的地と言う事もあって、多少の気晴らしは必要かもしれないと思った二人は足を止めて商人の話を聞く体制に入った。
この二人が御者から宿の場所を聞いているので、二人が止まれば必然的に湯原と水野も足を止めざるを得ないので、商人の話は嫌でも耳に入ってくる。
「実は、今日の商品は猫獣人!戦闘能力が高く、気配察知も優れている。冒険者には身を守る盾にもなるし、戦力にもなる貴重な奴隷!更に今回は双子!!お二人に一人つければ、依頼を簡単に達成できる事間違いなし!」
「……なんでこんな辺鄙な所にいる?普通なら王都とかもっと冒険者がわんさかいる所で商売する方がいいはずだがな?そこんとこ、どうだ?」
腰に差している杖にわざと目立つように手を掛けながら、少々威嚇するように商人に問いかける冒険者の男。
「そ、それは……正直に言うと、正確な年齢が分からないけれど小さい事と、少し怪我をしているからで……思い切って、二人で白金貨11枚(110万円)でどうだ?」
猫獣人と言う存在……日本の知識によれば人と変わらないと思っている湯原と水野は、その二人の命が白金貨11枚(110万円)程度で買われて行く現実に悲しくなるが、世界が違えば常識も違う事、自分達の手持ちは白金貨1枚(10万円)しかない事から、何もできずに口を噤む。
そもそも奴隷と言う立場が違法であるかどうかの知識を得ていないので、無駄に騒いで注目を浴びてしまう事を防ぐ必要があったのだ。
「高けーな。お前、見る目がねーんじゃねーか?俺達がそんなに金持っているように見えるか?そもそも……だ。怪我をして幼いと言っている商品を見せずに値段交渉とは、お頭は大丈夫か?」
ポンポンと杖で軽く商人の頭を叩く冒険者の男。
商人は少し悔しそうにしながらも、視線で商人の店の前に立っている男に合図をすると、即座に男達が籠を持ってくる。
「これが商品だ。よく見てくれ」
「おいおい、傷が化膿しているじゃねーかよ。結構な大怪我だぞ?これが……お前、相当ぼったくってんな?良い度胸だ」
「ま、まってくれ、下さい。わかった。クソ、仕方がない。確かにこの商品は王都での売れ残り。既に黒字は出ているから、お兄さんの厳しい指摘を勉強代と考えて、白金貨3枚(30万円)だ」
「いらね!」
少々煽っていたので購入するのかと湯原と水野を含めてこの場の誰しもが思っていたのだが、悩む素振りもなく一刀両断して見せた。
「お前、既に黒字なんだろ?で、売れ残りでも儲けようとしていやがる。ハッキリ言うぜ?こいつらを買っても、傷を治すだけでこっちは大赤字だ。本来テメーはこいつらを捨てるつもりだったんだろ?それをホイホイ買う程のバカじゃねーんだよ」
男は、伊達に長きに渡って冒険者をしていない。
全てを見透かして見せたのだ。
どうやらこの二人は目的地の村で一日滞在し、折り返しの馬車の護衛をして王都に戻った後は、自らが拠点としている隣国であるコッタ帝国に戻るらしい。
口ではダンジョンマスターを始末して一攫千金と言ってはいるが、雲をつかむような話であり、観光ついでに幸運があれば良いな……程度で来ているようで、まるで日本の宝くじの様だと水野は思っていた。
同時にこの二人が数日で王都に戻ると聞き、自分達が徒歩なり馬車なりで例のダンジョン跡地に向かって帰ってこなくても怪しまれる事が無い事に安堵している。
「次が最後の町で、その後が目的の村だぜ」
御者に情報を聞いて来てくれた冒険者の男性が、幌馬車の中から周囲の風景を楽しそうに見ている水野に声をかける。
水野は顔だけを出しているのだが、実は座っている足元、太ももの位置には湯原の頭が有ったりする。
何故か今、湯原は水野に膝枕をしてもらっているので、この冒険者の話に対して返事が出来るのは水野だけだ。
「ありがとうございます。間もなく皆さんとの短い旅も終了ですね」
「おぉ、そうだな。だが、未だ目的地じゃねーから、油断する事はねーよ。安心してくれな、若奥さん!」
そう、こう言った感じに煽られるので、ダンジョンマスターと疑っていたと言われた時に、今この時を楽しまなければいつ死んでしまうか分からないと吹っ切れた二人は逆に見せつけてやろうとばかりに行動するのだが、やはりどこか恥ずかしく、一部隠してしまっていたりする。
「よし、無事に最後の町に着いたぜ。後は一日行けば、村……目的地だ」
「今日も大した獲物は出なかったから、体が鈍って仕方がないわよ。最終日も……期待できそうにないわね」
町に入って馬車から降りると、既に馬から降りて今日の感想を言い合っている冒険者二人を追うように宿に向かう。
御者は、幌馬車と冒険者が乗っている馬が預けられる別の宿に宿泊する為に別行動だ。
「そこの冒険者のお二人さん!どうだい、良い商品が入ったよ!」
宿に向かう途中、この町では見た事の無い顔である二人の冒険者を見かけたとある商人が、行く手を若干遮るようにして話しかける。
間もなく目的地と言う事もあって、多少の気晴らしは必要かもしれないと思った二人は足を止めて商人の話を聞く体制に入った。
この二人が御者から宿の場所を聞いているので、二人が止まれば必然的に湯原と水野も足を止めざるを得ないので、商人の話は嫌でも耳に入ってくる。
「実は、今日の商品は猫獣人!戦闘能力が高く、気配察知も優れている。冒険者には身を守る盾にもなるし、戦力にもなる貴重な奴隷!更に今回は双子!!お二人に一人つければ、依頼を簡単に達成できる事間違いなし!」
「……なんでこんな辺鄙な所にいる?普通なら王都とかもっと冒険者がわんさかいる所で商売する方がいいはずだがな?そこんとこ、どうだ?」
腰に差している杖にわざと目立つように手を掛けながら、少々威嚇するように商人に問いかける冒険者の男。
「そ、それは……正直に言うと、正確な年齢が分からないけれど小さい事と、少し怪我をしているからで……思い切って、二人で白金貨11枚(110万円)でどうだ?」
猫獣人と言う存在……日本の知識によれば人と変わらないと思っている湯原と水野は、その二人の命が白金貨11枚(110万円)程度で買われて行く現実に悲しくなるが、世界が違えば常識も違う事、自分達の手持ちは白金貨1枚(10万円)しかない事から、何もできずに口を噤む。
そもそも奴隷と言う立場が違法であるかどうかの知識を得ていないので、無駄に騒いで注目を浴びてしまう事を防ぐ必要があったのだ。
「高けーな。お前、見る目がねーんじゃねーか?俺達がそんなに金持っているように見えるか?そもそも……だ。怪我をして幼いと言っている商品を見せずに値段交渉とは、お頭は大丈夫か?」
ポンポンと杖で軽く商人の頭を叩く冒険者の男。
商人は少し悔しそうにしながらも、視線で商人の店の前に立っている男に合図をすると、即座に男達が籠を持ってくる。
「これが商品だ。よく見てくれ」
「おいおい、傷が化膿しているじゃねーかよ。結構な大怪我だぞ?これが……お前、相当ぼったくってんな?良い度胸だ」
「ま、まってくれ、下さい。わかった。クソ、仕方がない。確かにこの商品は王都での売れ残り。既に黒字は出ているから、お兄さんの厳しい指摘を勉強代と考えて、白金貨3枚(30万円)だ」
「いらね!」
少々煽っていたので購入するのかと湯原と水野を含めてこの場の誰しもが思っていたのだが、悩む素振りもなく一刀両断して見せた。
「お前、既に黒字なんだろ?で、売れ残りでも儲けようとしていやがる。ハッキリ言うぜ?こいつらを買っても、傷を治すだけでこっちは大赤字だ。本来テメーはこいつらを捨てるつもりだったんだろ?それをホイホイ買う程のバカじゃねーんだよ」
男は、伊達に長きに渡って冒険者をしていない。
全てを見透かして見せたのだ。
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