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コアルームでハライチの報告を聞いている湯原と水野。
召喚冒険者の岩本は、一階層侵入の時点でアイズの監視に引っかかってここに至るまでの行動も全て把握されており、湯原達は余裕でお茶を楽しみながら映像を見ていたりする。
各階層のアイズによって鑑定がなされ、三体のアイズが全て同じ情報を伝えてきた事から、間違いのない情報としてハライチが湯原に伝えたのだ。
「フーン。なんだか必死にスクロールを集めているね。俺達をこき使うとか言っていて癪だから、一旦スクロールは停止しようか?」
「私も賛成です、セーギ君。本当に失礼ですよね!」
可愛くプンスカ怒っている水野を優しく微笑みながら見つめて、ハライチとミズイチが美しく一礼する。
「「承知いたしました」」
この一言で、これ以降岩本はどれ程頑張ってもスクロールを発見する事が出来ない地獄に陥るのだが、期待に胸を膨らませているので、片っ端からレベルの低いスケルトンに対して必死で攻撃を仕掛けていた。
「レベル43であれば、どれ程あの階層でスケルトンを仕留めてもレベル上昇は見込めませんのでご安心ください」
このスケルトンは内包魔力を使用して召喚した魔物であり、初期に召喚した50体が全滅しても、既に相当数のスケルトンが自然分裂しているので、一時的な減少はあれどもその全てが消滅する事はない。
当然ダンジョン内部で分裂・自然交配した魔物もダンジョンの配下になっているので、制御は可能だ。
仮に、本当に万が一全滅したとしても、コアルーム横の亜空間には多数の魔物が保管されており、その中に当然スケルトンも含まれているので問題ないのだ。
ミズイチからの補足が入るが、その間も必死で最大レベル8のスケルトンを倒し続けており、時折怪我程度の罠にかかっているのだが、見事な体さばきでかすり傷一つ負わずに済んでいる。
「俺が思うに、本当にここのマスターは性悪だな。雑魚ばかり配置している割には、報酬は最初の数個だけ。挙句に経路まで変更する姑息な手を使う。俺の厳しい教育が必要なようだな」
口は開きつつも手は止まらない岩本だが、レベルは高いとは言え一人で常に緊張を強いられる戦闘を行っているために、少々足元が疎かになっている。
今まで踏んだ罠も大した罠ではかった事から油断しており、五階層侵入から体感で7時間程度経過した疲労もあってか、とある罠を踏んでしまう。
「また罠か。今度は……」
どうせかすり傷程度の罠だろうと、攻撃が来るのを待ち構えながら周囲に全神経を張り巡らせる岩本だが、瞬時に目の前の風景が変わった事に気が付く。
「チィ、俺が思うに、転移罠だな。まさか、致死性の部屋に強制転移?」
確かに転移罠である事は間違いないのだが、その景色には見覚えがある…・・
「このクソマスター!!俺が思うに、本当にクソマスターだ。配下にした後は、キッチリと痛めつけてやるからな!!」
切れ散らかしている岩本がいるのは、五階層の入り口。
そう、7時間必死で進んだ距離を無かった事にされたのだから、岩本の怒りは口では言い表せない程になっている。
「アハハハ、なんだか怒っているよ」
「フフフ、目も真っ赤ですね。大丈夫ですかね?」
湯原と水野としては岩本をコケにするつもりは一切ないのだが、結果的に二人に大いなる笑いを届けてしまっている召喚冒険者の岩本。
地団太を踏んで、髪を掻き毟りながら怒り狂っている。
「ハハハハ、あの荒れようだと、今日はもう無理かな?」
「主様。私の予想ですと、あのようにプライドの無駄に高い人間が、格下と思っている存在にバカにされたと感じている以上は、諦める事はないと思われます」
ハライチの予想にミズイチも頷き、そしてこの予想通りに少しだけ落ち着きを取り戻した岩本は、再び槍を構えて迷路の入り口に突入したのだ。
今度はスケルトンを積極的に始末する方法ではなく、なるべく最短で五階層を攻略する方向に変更したようだ。
「凄く早いですね。この速度だと、どの程度で突破されそうですか?」
「主様。進路変更の状況にもよりますが、恐らく……四時間程度かと思われます」
迷路の階層で時折経路が変わるにしても、レベル43の猛者が全力疾走で四時間必要とする階層……もうこの時点で明らかにおかしいと気が付くべきだが、頭に血が上ってしまい、一刻も早く数階層下にいるのであろうダジョンマスターを配下にしようと躍起になっている岩本。
ミズイチの予想よりも少し多く時間がかかり、五時間後……もう湯原と水野は睡眠時間となっておりこの場にいないので映像すら見ていないのだが、五階層だけで合計十二時間ぶっ通しで攻略していた岩本。
流石に目に見える程に疲労が溜まっており、疲れ切った状態で六階層に降りた所で……再び罠を踏んでしまう。
その罠は転移魔法陣Aであり、十二時間かけて攻略した五階層入り口に飛ばされてしまったのだ。
召喚冒険者の岩本は、一階層侵入の時点でアイズの監視に引っかかってここに至るまでの行動も全て把握されており、湯原達は余裕でお茶を楽しみながら映像を見ていたりする。
各階層のアイズによって鑑定がなされ、三体のアイズが全て同じ情報を伝えてきた事から、間違いのない情報としてハライチが湯原に伝えたのだ。
「フーン。なんだか必死にスクロールを集めているね。俺達をこき使うとか言っていて癪だから、一旦スクロールは停止しようか?」
「私も賛成です、セーギ君。本当に失礼ですよね!」
可愛くプンスカ怒っている水野を優しく微笑みながら見つめて、ハライチとミズイチが美しく一礼する。
「「承知いたしました」」
この一言で、これ以降岩本はどれ程頑張ってもスクロールを発見する事が出来ない地獄に陥るのだが、期待に胸を膨らませているので、片っ端からレベルの低いスケルトンに対して必死で攻撃を仕掛けていた。
「レベル43であれば、どれ程あの階層でスケルトンを仕留めてもレベル上昇は見込めませんのでご安心ください」
このスケルトンは内包魔力を使用して召喚した魔物であり、初期に召喚した50体が全滅しても、既に相当数のスケルトンが自然分裂しているので、一時的な減少はあれどもその全てが消滅する事はない。
当然ダンジョン内部で分裂・自然交配した魔物もダンジョンの配下になっているので、制御は可能だ。
仮に、本当に万が一全滅したとしても、コアルーム横の亜空間には多数の魔物が保管されており、その中に当然スケルトンも含まれているので問題ないのだ。
ミズイチからの補足が入るが、その間も必死で最大レベル8のスケルトンを倒し続けており、時折怪我程度の罠にかかっているのだが、見事な体さばきでかすり傷一つ負わずに済んでいる。
「俺が思うに、本当にここのマスターは性悪だな。雑魚ばかり配置している割には、報酬は最初の数個だけ。挙句に経路まで変更する姑息な手を使う。俺の厳しい教育が必要なようだな」
口は開きつつも手は止まらない岩本だが、レベルは高いとは言え一人で常に緊張を強いられる戦闘を行っているために、少々足元が疎かになっている。
今まで踏んだ罠も大した罠ではかった事から油断しており、五階層侵入から体感で7時間程度経過した疲労もあってか、とある罠を踏んでしまう。
「また罠か。今度は……」
どうせかすり傷程度の罠だろうと、攻撃が来るのを待ち構えながら周囲に全神経を張り巡らせる岩本だが、瞬時に目の前の風景が変わった事に気が付く。
「チィ、俺が思うに、転移罠だな。まさか、致死性の部屋に強制転移?」
確かに転移罠である事は間違いないのだが、その景色には見覚えがある…・・
「このクソマスター!!俺が思うに、本当にクソマスターだ。配下にした後は、キッチリと痛めつけてやるからな!!」
切れ散らかしている岩本がいるのは、五階層の入り口。
そう、7時間必死で進んだ距離を無かった事にされたのだから、岩本の怒りは口では言い表せない程になっている。
「アハハハ、なんだか怒っているよ」
「フフフ、目も真っ赤ですね。大丈夫ですかね?」
湯原と水野としては岩本をコケにするつもりは一切ないのだが、結果的に二人に大いなる笑いを届けてしまっている召喚冒険者の岩本。
地団太を踏んで、髪を掻き毟りながら怒り狂っている。
「ハハハハ、あの荒れようだと、今日はもう無理かな?」
「主様。私の予想ですと、あのようにプライドの無駄に高い人間が、格下と思っている存在にバカにされたと感じている以上は、諦める事はないと思われます」
ハライチの予想にミズイチも頷き、そしてこの予想通りに少しだけ落ち着きを取り戻した岩本は、再び槍を構えて迷路の入り口に突入したのだ。
今度はスケルトンを積極的に始末する方法ではなく、なるべく最短で五階層を攻略する方向に変更したようだ。
「凄く早いですね。この速度だと、どの程度で突破されそうですか?」
「主様。進路変更の状況にもよりますが、恐らく……四時間程度かと思われます」
迷路の階層で時折経路が変わるにしても、レベル43の猛者が全力疾走で四時間必要とする階層……もうこの時点で明らかにおかしいと気が付くべきだが、頭に血が上ってしまい、一刻も早く数階層下にいるのであろうダジョンマスターを配下にしようと躍起になっている岩本。
ミズイチの予想よりも少し多く時間がかかり、五時間後……もう湯原と水野は睡眠時間となっておりこの場にいないので映像すら見ていないのだが、五階層だけで合計十二時間ぶっ通しで攻略していた岩本。
流石に目に見える程に疲労が溜まっており、疲れ切った状態で六階層に降りた所で……再び罠を踏んでしまう。
その罠は転移魔法陣Aであり、十二時間かけて攻略した五階層入り口に飛ばされてしまったのだ。
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