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正直ハライチとミズイチ、そして他の眷属達も一刻も早く確実に敵意の有る四人の召喚冒険者前から主である湯原と水野を退避させたい気持ちがあるので、水野の宣言に湯原が同意した瞬間に最下層に飛ぶ。
残ったのは、未だに地面を蠢いて一言もしゃべる事が出来なかった四人の処置を任されたチェーとレイン。
ゴースト達とアイズは消えているが、そもそもアイズを四人は認識していないし、ゴーストがいなくとも何故かそれ以上に恐怖の対象になっているレインとチェーがいるので、未だに誰も一言も口を開く事が出来ていない。
「これからあなた方を一階層に送ります。再びこのダンジョンに臨むのは自由ですが、主の許可も得ている事から二度目は容赦しませんよ」
その直後に一回層入り口の建屋裏に雑に転送される四人は、チェーの捕縛は既に外れているのだが、暫くその場で放心状態になっている。
同じようにある程度デルから事情を聞かされている三原と岩本も同じ場所に放り出される。
岩本に至っては、本人さえ知らない内にチェーによってダンジョン関連の者に使える契約の能力を剥奪されている。
目の前に怨敵がいる三原と、その三原をしっかりと視認している四人の召喚冒険者である吉川、笹岡、藤代、椎名だが争いには発展しなかった。
両者ともに直接<三傑>の力の一部を目の当たりにしてしまい、ダンジョンの中で暴れる等恐ろしくてできなかった。
やがて先にこの場に転送されている四人が動けるようになると、誰も何も言わずにこのダンジョンから出て行く。
この四人の向かった先は隣国コッタ帝国にある美智のダンジョン。
一方、四人がダンジョンを出てから程なくして三原と岩本も出て行くのだが、この二人が向かう先はラスリ王国の王都にある王城。
「ここまでくれば……いや、まだだな」
二人共に相当長く冒険者として活動しており、同郷が管理しているダンジョンについても知識があるので、これからすべき事は言わずともわかっているのだが、敢えて口には出さない。
ダンジョンの外とは言え、あれほどの力を持っているダンジョンマスターの配下が聞いているかもしれないからだ。
湯原と水野のダンジョンを出た各自の目的は同じだが、手段が異なる。
四人の冒険者達は、美智のダンジョンを攻略してレベルを上げてから再び自分に情けをかけてきた湯原と水野のダンジョンを攻略して始末しようと思っており、岩本と三原は国家としての力を使ってダンジョンを攻略しようと考えていた。
吉川と笹岡にしてみれば、たった今受けた恐怖よりも少し前に美智のダンジョンで受けた恐怖の方がましであり、且つ同郷の藤代と椎名も同行する事からより安全に攻略できると考えていた。
その行動全てをしっかりとチェーの分裂体が把握している中で、各自が行動する。
謁見の間に着いた岩本は、同行している三原は味方だと説明した上で外部に話が漏れない場所への移動を要求する。
召喚冒険者二人が真剣な表情で伝えてくるので、国王であるミド・ラスリは余程の大事だろうと言われた通りに外部に会話が漏れない部屋に移動する。
「で、何があったのだ?」
床下にチェーの分裂体がいるとはわからない国王は、目の間にいる岩本と初めて見る三原に話を促す。
「俺が思うに、あのダンジョンは危険すぎます。正直今の俺達、ここにいる三原と共闘しても攻略は不可能です」
今まで尊大な態度をとり続けている岩本があっさりと自らの力不足を認めた事に、余程の事があったのだろうと判断するラスリ国王。
「で、そのまま放置なのか?一階層は住民が多く住んでいる様なので魔物があふれ出てきた場合は住民ごと飲まれるぞ?」
「俺が思うに、1階層入り口直結の転移罠があるので、外部に侵攻する際にはそこから魔物を出すはずです。今の所あの雰囲気では他に侵攻するような性格ではなさそう、所謂甘ちゃんマスターである事だけは確かです」
「あの雰囲気?その方、ダンジョンマスターに会ったのか?」
コクリと頷く岩本と三原。
会ったと言うよりも転がされて上から見下ろされただけなのだが……
「フム、であれば時間的余裕はある……と。だが、時間が経てば向こうも住民がいる以上力を得るだろう。わかった。ではこうしよう。少し前に魔物共が地上に溢れた時の情報を精査したのだが、淀島と水元のダンジョンがコッタ帝国の弦間のダンジョンと争っていたらしい。通常争いの有ったダンジョンはどこかが枯れるはずだが、そのいずれも残っているのは不思議だが、何れにしても戦力が激減する事だけは間違いないだろう」
「なるほど。俺が思うにその三つのダンジョンを攻略して力を上げてからあの忌々しいダンジョンを攻略するのですね?」
「その通りだ。流石は岩本だ。我が国も魔物共の騒ぎの時から縁結びの聖地にできたダンジョンへの移住者が絶えないのでな。ダンジョン内部に居住を構える等普通に考えて有り得んだろう?誰の管轄でもない以上税を獲る訳にはいかんが、そう言った事情もあってあのダンジョンには消えてもらいたいところだ」
国家運営の大きな妨げになっているので、非常に目障りな存在になっているダンジョンを潰したくて仕方がない国王。
本来は岩本の力で制御して、内部の素材を好き放題とる宝の山であったはずなのだがその目論見は大きく外れている。
こうして全てを聞かれているとは知らない召喚冒険者の二人は、手始めに最も近い水元のダンジョン攻略に向かうのだった。
残ったのは、未だに地面を蠢いて一言もしゃべる事が出来なかった四人の処置を任されたチェーとレイン。
ゴースト達とアイズは消えているが、そもそもアイズを四人は認識していないし、ゴーストがいなくとも何故かそれ以上に恐怖の対象になっているレインとチェーがいるので、未だに誰も一言も口を開く事が出来ていない。
「これからあなた方を一階層に送ります。再びこのダンジョンに臨むのは自由ですが、主の許可も得ている事から二度目は容赦しませんよ」
その直後に一回層入り口の建屋裏に雑に転送される四人は、チェーの捕縛は既に外れているのだが、暫くその場で放心状態になっている。
同じようにある程度デルから事情を聞かされている三原と岩本も同じ場所に放り出される。
岩本に至っては、本人さえ知らない内にチェーによってダンジョン関連の者に使える契約の能力を剥奪されている。
目の前に怨敵がいる三原と、その三原をしっかりと視認している四人の召喚冒険者である吉川、笹岡、藤代、椎名だが争いには発展しなかった。
両者ともに直接<三傑>の力の一部を目の当たりにしてしまい、ダンジョンの中で暴れる等恐ろしくてできなかった。
やがて先にこの場に転送されている四人が動けるようになると、誰も何も言わずにこのダンジョンから出て行く。
この四人の向かった先は隣国コッタ帝国にある美智のダンジョン。
一方、四人がダンジョンを出てから程なくして三原と岩本も出て行くのだが、この二人が向かう先はラスリ王国の王都にある王城。
「ここまでくれば……いや、まだだな」
二人共に相当長く冒険者として活動しており、同郷が管理しているダンジョンについても知識があるので、これからすべき事は言わずともわかっているのだが、敢えて口には出さない。
ダンジョンの外とは言え、あれほどの力を持っているダンジョンマスターの配下が聞いているかもしれないからだ。
湯原と水野のダンジョンを出た各自の目的は同じだが、手段が異なる。
四人の冒険者達は、美智のダンジョンを攻略してレベルを上げてから再び自分に情けをかけてきた湯原と水野のダンジョンを攻略して始末しようと思っており、岩本と三原は国家としての力を使ってダンジョンを攻略しようと考えていた。
吉川と笹岡にしてみれば、たった今受けた恐怖よりも少し前に美智のダンジョンで受けた恐怖の方がましであり、且つ同郷の藤代と椎名も同行する事からより安全に攻略できると考えていた。
その行動全てをしっかりとチェーの分裂体が把握している中で、各自が行動する。
謁見の間に着いた岩本は、同行している三原は味方だと説明した上で外部に話が漏れない場所への移動を要求する。
召喚冒険者二人が真剣な表情で伝えてくるので、国王であるミド・ラスリは余程の大事だろうと言われた通りに外部に会話が漏れない部屋に移動する。
「で、何があったのだ?」
床下にチェーの分裂体がいるとはわからない国王は、目の間にいる岩本と初めて見る三原に話を促す。
「俺が思うに、あのダンジョンは危険すぎます。正直今の俺達、ここにいる三原と共闘しても攻略は不可能です」
今まで尊大な態度をとり続けている岩本があっさりと自らの力不足を認めた事に、余程の事があったのだろうと判断するラスリ国王。
「で、そのまま放置なのか?一階層は住民が多く住んでいる様なので魔物があふれ出てきた場合は住民ごと飲まれるぞ?」
「俺が思うに、1階層入り口直結の転移罠があるので、外部に侵攻する際にはそこから魔物を出すはずです。今の所あの雰囲気では他に侵攻するような性格ではなさそう、所謂甘ちゃんマスターである事だけは確かです」
「あの雰囲気?その方、ダンジョンマスターに会ったのか?」
コクリと頷く岩本と三原。
会ったと言うよりも転がされて上から見下ろされただけなのだが……
「フム、であれば時間的余裕はある……と。だが、時間が経てば向こうも住民がいる以上力を得るだろう。わかった。ではこうしよう。少し前に魔物共が地上に溢れた時の情報を精査したのだが、淀島と水元のダンジョンがコッタ帝国の弦間のダンジョンと争っていたらしい。通常争いの有ったダンジョンはどこかが枯れるはずだが、そのいずれも残っているのは不思議だが、何れにしても戦力が激減する事だけは間違いないだろう」
「なるほど。俺が思うにその三つのダンジョンを攻略して力を上げてからあの忌々しいダンジョンを攻略するのですね?」
「その通りだ。流石は岩本だ。我が国も魔物共の騒ぎの時から縁結びの聖地にできたダンジョンへの移住者が絶えないのでな。ダンジョン内部に居住を構える等普通に考えて有り得んだろう?誰の管轄でもない以上税を獲る訳にはいかんが、そう言った事情もあってあのダンジョンには消えてもらいたいところだ」
国家運営の大きな妨げになっているので、非常に目障りな存在になっているダンジョンを潰したくて仕方がない国王。
本来は岩本の力で制御して、内部の素材を好き放題とる宝の山であったはずなのだがその目論見は大きく外れている。
こうして全てを聞かれているとは知らない召喚冒険者の二人は、手始めに最も近い水元のダンジョン攻略に向かうのだった。
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【作者より、感謝を込めて】
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
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