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「ふぃ~、やっぱちょっと遠いぜ。流石に馬車でこれだけ過ごすとケツが痛てーよ」
「何を情けない事を!全くスマートじゃないね、相変らず!」
「そりゃねーよ。お前だってケツを摩っているじゃねーかよ!」
以前はこのダンジョン前まで来なかった乗合馬車も、1階層の町が有名になってから毎日のようにやってくる。
その馬車から賑やかにおりてきたのは、ダンジョン生成場所を探す旅をしていた湯原と水野を護衛していた冒険者の二人、リリアとハシムだ。
「アンタねぇ、そんな品のない事を言うからいつまでたってもむさくるしいのよ!」
降りてからもギャーギャー目立っているのだが、縁結びの聖地と言われていた洞窟の入り口に入った瞬間に大人しくなる。
「コレって、すげーな」
「噂以上だね。確か、入り口の建屋……うっ、結構人が並んでいるけど、あそこで申請すれば空いている家を使って良いって噂だから、本当だったら助かるけど……」
「まっ、並んでみりゃわかるだろ?」
二人の情報はアイズによってチェックされているのだが、湯原と水野も二人の名前すら聞いていないので一般の冒険者として認識されている。
相当な列だが、かなりの速度で処理されているようで停滞する事なく進み、やがて建屋の中に入る二人は、その場にいた<光族>とみられる男性にとある列に並び、二人同時に受付に向かうように指示される。
「こりゃー、しっかりしているな」
「これならば早く受付に行けそうだね」
並んでいる最中もレベル99のアイズによりチェックされているので、二人が仲間であるとの情報は建屋内部の岡島の元眷属であった<光族>のヒカリを含めた面々に展開されている。
「お待たせしました。お二人は……冒険者の方ですね。移住希望でしょうか?」
「あぁ、その……俺達はコッタ帝国から来たんだが、この1階層に見えたあの広大な町の空き家を自由に使えるって聞いたんだが、本当か?」
「はい。ですが、必要以上に確保する事は固く禁止しておりますので、このカードを家族または仲間で一枚配布します。これを門に差していただければ他人が使用者の許可なく侵入する事はできません。使用者の認識はこちらのカード、これは各自で大切に保管してください」
「じゃ、じゃあ、門の所にこのカードがない家を探せば、好きに住んで良いんだね?」
「はい。それと、各家の近くには畑もありますので自由にお使いください。果樹園その他については住民共有で使う事になります。住居等の詳細はあちらの方の説明を聞いて下さい。冒険者としての活動は、2階層からになります。ここから転移魔方陣によって双方向に行き来出来ますが……」
冒険者としての説明を聞き終わると、受付が指示してくれた人、住民の纏め役的な立場を任されているジッタがいる場所に向かう。
「良し、ある程度集まったので説明する。聞いての通りに家の門にカードがある場所は既に使用されているので……」
同じような説明がなされた後に建屋を後にして町に向かう二人。
「あの噂は事実だったな」
「本当だね。まさかここまで……なんと言うか、ダンジョンなのに……冒険者だけじゃないけど、敵対する可能性のある人に優しいなんて。よっぽど人の好いマスターなんだね」
あの長蛇の列を見れば住む場所が無くなってしまうと焦って急ぎ足になると思われがちだが、受付やジッタの説明によればまだまだ十分建屋に余裕があると説明を受けているので、周囲を散策しながらゆっくりと歩いているリリアとハシム。
「あれ?アンタ。あっちを見てよ。どっかで見た事ない?」
「ん?あぁ、あの人も移住したのか。ホラ、あの村で薬師をしていた人だよ。あの猫獣人の二人の怪我を何とかしたくて村中探した時があっただろ?その時に見つけた薬師だよ」
イーシャとプリマの傷の進行を止める為に、このダンジョンに最も近い村に湯原と水野が到着した際に探し当てた薬師であるジョーザがいた。
「あの人がいるなら、イーシャちゃんとかプリマちゃんとかに会えるかな?って、そうだ!あの人が二人の状態を知っているかもしれない!」
ハシムの言葉を聞く前に走ってジョーザの店に行ってしまうリリアを、呆れた表情で見ながらも追いかけるハシム。
ハシムが店に到着した時には話は終わっていたようだ。
「アンタ!あの二人は傷が治って元気に過ごしているみたいだよ!少し前にセーギ君とカーリちゃんと一緒に歩いていたんだって。これだけ広い町だけど、ここに住んでいればいつかは会えそうだね!」
「そりゃー良かった。無事だったか。やっぱり心配だからな」
この個人名、イーシャとプリマだけではなく湯原と水野の名前を直接話している二人を、一階層に散らばって地中で警戒している召喚魔物のチェーが聞き取り、眷属のチェー本体からミズイチ、ハライチ、そして湯原と水野、イーシャとプリマに状況が報告される。
「あ!あの二人か!」
「セーギ君。お礼を伝えに行かないと!」
「「行くなの!!」」
「何を情けない事を!全くスマートじゃないね、相変らず!」
「そりゃねーよ。お前だってケツを摩っているじゃねーかよ!」
以前はこのダンジョン前まで来なかった乗合馬車も、1階層の町が有名になってから毎日のようにやってくる。
その馬車から賑やかにおりてきたのは、ダンジョン生成場所を探す旅をしていた湯原と水野を護衛していた冒険者の二人、リリアとハシムだ。
「アンタねぇ、そんな品のない事を言うからいつまでたってもむさくるしいのよ!」
降りてからもギャーギャー目立っているのだが、縁結びの聖地と言われていた洞窟の入り口に入った瞬間に大人しくなる。
「コレって、すげーな」
「噂以上だね。確か、入り口の建屋……うっ、結構人が並んでいるけど、あそこで申請すれば空いている家を使って良いって噂だから、本当だったら助かるけど……」
「まっ、並んでみりゃわかるだろ?」
二人の情報はアイズによってチェックされているのだが、湯原と水野も二人の名前すら聞いていないので一般の冒険者として認識されている。
相当な列だが、かなりの速度で処理されているようで停滞する事なく進み、やがて建屋の中に入る二人は、その場にいた<光族>とみられる男性にとある列に並び、二人同時に受付に向かうように指示される。
「こりゃー、しっかりしているな」
「これならば早く受付に行けそうだね」
並んでいる最中もレベル99のアイズによりチェックされているので、二人が仲間であるとの情報は建屋内部の岡島の元眷属であった<光族>のヒカリを含めた面々に展開されている。
「お待たせしました。お二人は……冒険者の方ですね。移住希望でしょうか?」
「あぁ、その……俺達はコッタ帝国から来たんだが、この1階層に見えたあの広大な町の空き家を自由に使えるって聞いたんだが、本当か?」
「はい。ですが、必要以上に確保する事は固く禁止しておりますので、このカードを家族または仲間で一枚配布します。これを門に差していただければ他人が使用者の許可なく侵入する事はできません。使用者の認識はこちらのカード、これは各自で大切に保管してください」
「じゃ、じゃあ、門の所にこのカードがない家を探せば、好きに住んで良いんだね?」
「はい。それと、各家の近くには畑もありますので自由にお使いください。果樹園その他については住民共有で使う事になります。住居等の詳細はあちらの方の説明を聞いて下さい。冒険者としての活動は、2階層からになります。ここから転移魔方陣によって双方向に行き来出来ますが……」
冒険者としての説明を聞き終わると、受付が指示してくれた人、住民の纏め役的な立場を任されているジッタがいる場所に向かう。
「良し、ある程度集まったので説明する。聞いての通りに家の門にカードがある場所は既に使用されているので……」
同じような説明がなされた後に建屋を後にして町に向かう二人。
「あの噂は事実だったな」
「本当だね。まさかここまで……なんと言うか、ダンジョンなのに……冒険者だけじゃないけど、敵対する可能性のある人に優しいなんて。よっぽど人の好いマスターなんだね」
あの長蛇の列を見れば住む場所が無くなってしまうと焦って急ぎ足になると思われがちだが、受付やジッタの説明によればまだまだ十分建屋に余裕があると説明を受けているので、周囲を散策しながらゆっくりと歩いているリリアとハシム。
「あれ?アンタ。あっちを見てよ。どっかで見た事ない?」
「ん?あぁ、あの人も移住したのか。ホラ、あの村で薬師をしていた人だよ。あの猫獣人の二人の怪我を何とかしたくて村中探した時があっただろ?その時に見つけた薬師だよ」
イーシャとプリマの傷の進行を止める為に、このダンジョンに最も近い村に湯原と水野が到着した際に探し当てた薬師であるジョーザがいた。
「あの人がいるなら、イーシャちゃんとかプリマちゃんとかに会えるかな?って、そうだ!あの人が二人の状態を知っているかもしれない!」
ハシムの言葉を聞く前に走ってジョーザの店に行ってしまうリリアを、呆れた表情で見ながらも追いかけるハシム。
ハシムが店に到着した時には話は終わっていたようだ。
「アンタ!あの二人は傷が治って元気に過ごしているみたいだよ!少し前にセーギ君とカーリちゃんと一緒に歩いていたんだって。これだけ広い町だけど、ここに住んでいればいつかは会えそうだね!」
「そりゃー良かった。無事だったか。やっぱり心配だからな」
この個人名、イーシャとプリマだけではなく湯原と水野の名前を直接話している二人を、一階層に散らばって地中で警戒している召喚魔物のチェーが聞き取り、眷属のチェー本体からミズイチ、ハライチ、そして湯原と水野、イーシャとプリマに状況が報告される。
「あ!あの二人か!」
「セーギ君。お礼を伝えに行かないと!」
「「行くなの!!」」
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楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
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本当に、ありがとうございます。
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