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流石に毎晩酒盛りをしているわけではない女子会組。
今日は休肝日のようで、水野もダンジョン最下層の城で寛いでいる。
「そう言えばカーリ、少し前に普通の冒険者が5階層に至ったそうだよ」
「そうなのですか?とっても凄いですね。それで、魔法のスクロールは入手できたのでしょうか?」
「いや、流石にそこまで余裕はなかったみたいだけど、前に5階層の情報を持ち帰った岩本が広めた情報が正しいのか検証したようだね」
時折出現するスクロール持ち、スケルトン一体が一個持っている個体を素早く倒せば、そのスクロールを得る事ができると言う情報を検証してから撤退した冒険者一行。
慎重に行動しているようで、迷路の階層入り口付近で行動し、深追いせずに撤退した慎重なパーティーらしい。
この頃には1階層の住民ほぼ全てに二人がダンジョンマスターである事は知れ渡っており、本当に一部の冒険者が、二人が1階層の建屋にあるギルドを視察に来た際にもっと安全に下層に行けるように要求していた。
上には上がいるもので、他には3階層までに十分な宝を今の安全度のままで配置するように要求してくる者もいたのだが、その全てを無視している。
ギルド支部長であるトレアリナとしても、ダンジョンと冒険者は共存共栄が基本であると理解しており、その中でもこの番のダンジョンは異常とも言える高待遇で冒険者を迎えている。
慎重に自分の実力を判断してダンジョン下層に向かえば絶対に死亡する事は無いし、不測の事態で大怪我を負っても三階層まで戻れば安全な環境で回復する事ができるのだ。
湯原としてもこのような冒険者の欲望を聞いていると無償で益を配れと言う事に繋がる事、この世界の常識に照らし合わせても不条理な事を言っている事から一切対応していない。
そのような冒険者は無視されると例外なく湯原に詰め寄ろうとするので、即座に鎖族によって捕縛の上でダンジョン外部に放り出されており、二度と内部に入る事は出来なくなっている。
一時期そう言った移住者が増えたのでスキートを使ってハライチとミズイチが情報収集した結果、その大半がラスリ王国の王都にあるギルドを拠点としていた冒険者達である事が判明した。
とは言え、その全てがこのような人材であるとは思っていない湯原達は、以前の拠点がどうであれ1階層への移住を拒否する事はしなかった。
「随分と賑やかになりましたね」
「確かにね。ダンジョンの攻略階層も増えて来たし、楽しみではあるね」
護衛を引き連れて散策している二人のダンジョンマスターだが、今回召喚冒険者ではない普通の冒険者が5階層に侵入できるとは思っていなかったので、ギルド視察のついでに詳しく事情を聞こうと思っていた。
ハライチやミズイチに聞けば、ダンジョン内部の事であれば完璧な回答を貰えるのだが、住民達との触れ合いの意味もあって自らギルド支部に向かっている。
湯原と水野が向かっている事は1階層の建屋で働いている者達には情報が即座に流れるので、この場での二人の安全を確保すべく緊張が走る。
最近は同じクラスメイトであった星出と岡島も湯原と水野を最大限尊重するような行動を自発的に取るようになっており、そのおかげかこの職場の雰囲気は非常に良い。
「あ、今日はあっちだったのね」
湯原と水野がギルドに向かったのを視認した岡島の一言で、今日この場所に湯原と水野が来たのはギルド支部側に用があったのだと理解した同郷の星出だが、ギルド支部は隣接しているので警戒態勢を解く事は無い。
ギルド支部側では、トレアリナを始めとした職員が緊張した面持ちで周囲の冒険者を注意深く見ており、この状況になっている理由を知っている慣れた冒険者達は意にも介していないのだが、移住後間もない冒険者は少しオロオロしている。
「忙しい所ごめんね、トレアリナさん。今日はちょっと聞きたい事があって」
「承知しました。こちらへどうぞ」
護衛と共に奥にある個室に案内するトレアリナ。
部屋に入ると、何故か護衛の立ち位置のハライチが紅茶とお菓子を用意し、トレアリナの分も配る。
「あ、いつもありがとうございます。この紅茶を飲むと、何故か疲れが無くなった気がするのですよ」
もちろんビー特性の回復薬入りの紅茶だ。
「無理をしないでくださいね。人が足りなければ、こちらから出す事もできますので」
「ありがとうございます、カーリ様。それで、今日はどう言ったご用件でしょうか?」
こうして5階層初侵入の状況を聞く二人のダンジョンマスターだが、改めてトレアリナの有能さを知る事になった。
全ての冒険者の依頼内容、達成状況を完全に把握した上で、時折各自に練武や模擬戦を課して最新の実力も踏まえたうえで、適正な依頼を提示しているとの事だったのだ。
今回の5階層初侵入は確かに冒険者の力量が上がった事も一つの要因なのだろうが、最大の功労者はギルド支部に有った事がわかり、非常に優秀な人材が来てくれた事を喜んでいる湯原と水野。
既にこの事実を把握しているミズイチやハライチは何も言わないが、湯原と水野と同じ考えであり、ダンジョン侵入階層が増えた事を怯えるような者は誰一人としていなかった。
今日は休肝日のようで、水野もダンジョン最下層の城で寛いでいる。
「そう言えばカーリ、少し前に普通の冒険者が5階層に至ったそうだよ」
「そうなのですか?とっても凄いですね。それで、魔法のスクロールは入手できたのでしょうか?」
「いや、流石にそこまで余裕はなかったみたいだけど、前に5階層の情報を持ち帰った岩本が広めた情報が正しいのか検証したようだね」
時折出現するスクロール持ち、スケルトン一体が一個持っている個体を素早く倒せば、そのスクロールを得る事ができると言う情報を検証してから撤退した冒険者一行。
慎重に行動しているようで、迷路の階層入り口付近で行動し、深追いせずに撤退した慎重なパーティーらしい。
この頃には1階層の住民ほぼ全てに二人がダンジョンマスターである事は知れ渡っており、本当に一部の冒険者が、二人が1階層の建屋にあるギルドを視察に来た際にもっと安全に下層に行けるように要求していた。
上には上がいるもので、他には3階層までに十分な宝を今の安全度のままで配置するように要求してくる者もいたのだが、その全てを無視している。
ギルド支部長であるトレアリナとしても、ダンジョンと冒険者は共存共栄が基本であると理解しており、その中でもこの番のダンジョンは異常とも言える高待遇で冒険者を迎えている。
慎重に自分の実力を判断してダンジョン下層に向かえば絶対に死亡する事は無いし、不測の事態で大怪我を負っても三階層まで戻れば安全な環境で回復する事ができるのだ。
湯原としてもこのような冒険者の欲望を聞いていると無償で益を配れと言う事に繋がる事、この世界の常識に照らし合わせても不条理な事を言っている事から一切対応していない。
そのような冒険者は無視されると例外なく湯原に詰め寄ろうとするので、即座に鎖族によって捕縛の上でダンジョン外部に放り出されており、二度と内部に入る事は出来なくなっている。
一時期そう言った移住者が増えたのでスキートを使ってハライチとミズイチが情報収集した結果、その大半がラスリ王国の王都にあるギルドを拠点としていた冒険者達である事が判明した。
とは言え、その全てがこのような人材であるとは思っていない湯原達は、以前の拠点がどうであれ1階層への移住を拒否する事はしなかった。
「随分と賑やかになりましたね」
「確かにね。ダンジョンの攻略階層も増えて来たし、楽しみではあるね」
護衛を引き連れて散策している二人のダンジョンマスターだが、今回召喚冒険者ではない普通の冒険者が5階層に侵入できるとは思っていなかったので、ギルド視察のついでに詳しく事情を聞こうと思っていた。
ハライチやミズイチに聞けば、ダンジョン内部の事であれば完璧な回答を貰えるのだが、住民達との触れ合いの意味もあって自らギルド支部に向かっている。
湯原と水野が向かっている事は1階層の建屋で働いている者達には情報が即座に流れるので、この場での二人の安全を確保すべく緊張が走る。
最近は同じクラスメイトであった星出と岡島も湯原と水野を最大限尊重するような行動を自発的に取るようになっており、そのおかげかこの職場の雰囲気は非常に良い。
「あ、今日はあっちだったのね」
湯原と水野がギルドに向かったのを視認した岡島の一言で、今日この場所に湯原と水野が来たのはギルド支部側に用があったのだと理解した同郷の星出だが、ギルド支部は隣接しているので警戒態勢を解く事は無い。
ギルド支部側では、トレアリナを始めとした職員が緊張した面持ちで周囲の冒険者を注意深く見ており、この状況になっている理由を知っている慣れた冒険者達は意にも介していないのだが、移住後間もない冒険者は少しオロオロしている。
「忙しい所ごめんね、トレアリナさん。今日はちょっと聞きたい事があって」
「承知しました。こちらへどうぞ」
護衛と共に奥にある個室に案内するトレアリナ。
部屋に入ると、何故か護衛の立ち位置のハライチが紅茶とお菓子を用意し、トレアリナの分も配る。
「あ、いつもありがとうございます。この紅茶を飲むと、何故か疲れが無くなった気がするのですよ」
もちろんビー特性の回復薬入りの紅茶だ。
「無理をしないでくださいね。人が足りなければ、こちらから出す事もできますので」
「ありがとうございます、カーリ様。それで、今日はどう言ったご用件でしょうか?」
こうして5階層初侵入の状況を聞く二人のダンジョンマスターだが、改めてトレアリナの有能さを知る事になった。
全ての冒険者の依頼内容、達成状況を完全に把握した上で、時折各自に練武や模擬戦を課して最新の実力も踏まえたうえで、適正な依頼を提示しているとの事だったのだ。
今回の5階層初侵入は確かに冒険者の力量が上がった事も一つの要因なのだろうが、最大の功労者はギルド支部に有った事がわかり、非常に優秀な人材が来てくれた事を喜んでいる湯原と水野。
既にこの事実を把握しているミズイチやハライチは何も言わないが、湯原と水野と同じ考えであり、ダンジョン侵入階層が増えた事を怯えるような者は誰一人としていなかった。
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【作者より、感謝を込めて】
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