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閑話:無剣と六剣(ユリナスの手紙)
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俺は本を初めて見た時は驚いたのを覚えている。
いや、本ではなくその中身にだ。
これは無剣所持者となった時と同等の驚きだった。
歴代の俺の先祖である無剣所有者たちがその機能を解き明かし、後世に残してくれていたんだ。
夢中で読み進めていたら、最後は母さんが書いたページになった。
その―ページには六剣の配下についての記載がある。そして、俺宛の手紙も挟んでくれていた。
中身を見ない状態でも、母さんを思い出して涙してしまった。
まずは、母さんの記載した配下についての記載を紹介したい。
要約するが、
能力アップの恩恵が受けられる配下は数人が限界で、六剣所持者が資格を失ったり死亡した場合、更には六剣所持者から配下として不適格とされた場合、その他の理由で一旦恩恵の対象から外した場合は、能力アップ分は消失する。
但し、能力アップ時にはかなり高ランクの魔獣討伐を行える状態になっており、その討伐によるレベルアップ分は消失しない。
つまり、恩恵を受けた配下はその間に得たレベルアップ分は実際に地力が上がっている事になる。
なので、この機能を使用すれば、多少時間はかかるが部隊の多数のレベル底上げができるという事だ。
こんな事を書いたという事は、母さんの身近でこの現象が起きたのだろうな。
そして、いよいよ手紙の内容だ。そこにはこう書いてあった。
------------------------
親愛なるロイド君、そして私達に力を貸し続けてくれているヨナへ
この手紙を読んでいる時には、本当に悲しいけれどお母さんはもういない状況になっているのかな?
冒険者と言う職業は、どんなに強くてもいつ命を落とすかわからない職業だから、そうなったときに悔いが残らないように手紙を送るね。
まずはあの本に書かれている事だけれど、全部は試せていないけど、私のお父さん、ロイド君のお爺ちゃんの時から結構試して、今の所書かれている事は全部本当だったよ。
なので、あの本をよく読んで良く勉強してね。
ヨナにもためになることがたくさん書いてあるから、ロイド君はヨナにも本を見せてあげると良いわよ。
そうそう、あまり詳しく本には書けなかったんだけれど、配下の件、あれは凄いわよ。
初代様が書いた部分読んだかしら?六剣の力を、その時の所有者の地力の状態に応じて解放してくれる剣があるっていう話。
お母さんが勝手に想像したんだけれど、実際は剣が調整してくれたんじゃなくて、初代様と一緒に悪魔討伐を行っていた六剣所持者の弟子が、配下としての恩恵を受けて地力が上がったの。
その状態で六剣を移譲したので、そんなに苦労せずに六剣を使いこなせた配下がいたんじゃないかしら。
それを見た初代様があんな書き方をしたのかもしれないわね。
ヨナは心当たりあるでしょ?
ヨナも、先代の闇剣所有者であったお父さんの配下になって、相当地力を上げたものね。
六剣所有者に誰かをさせる場合、その位の事をしてからではないと、いきなり力の制御ができる人なんて殆どいないから、正直大変かもしれないわよ。
本に書かれている通り、水剣を開放できると良いかもしれないわね。
お母さんに直接ついてくれたのは闇剣のヨナだけだから、六剣所有者を新たに作る事はしていなかったので、この程度しかアドバイスできないの。ごめんね。
でも、ロイド君とヨナなら、何の問題もないわよね。
良い仲間に恵まれると信じているわ。
それじゃあ、無剣と六剣について、無剣所持者に口伝で伝わる話を書いちゃうわね。
ヨナは信用できるし、別にお手紙にしても良いわよね?うん。良い。書いちゃおう。
実は、この世界って言うのかしら、この大陸ではなくて空を見ると光っている物、星って言うみたいだけど、同じように世界が広がっているらしいの。
いまロイド君やヨナが住んでいる場所も、星の一つなのよ。
その多くを管理している神が、星に生物ができた場所には慈しみを与えて、豊かな生活を送れるようにしてくれているの。
当然神と相反する魔神もいて、神が作った豊かな星を壊して負のエネルギーを糧にしているので、常に争っているそうよ。
その中でもこの星は豊かに育ったので秘匿し続けていたけれど、魔神に見つかって、魔神の力を与えられた悪魔が顕現してしまい今に至るみたい。
神々はどういう仕組みかは分からないけど、直接この星々に干渉できないので、力を分け与えた者達でこの場所を守っているのよ。
無剣はその神が強大な力を分け与えた剣なの!!
初めはその剣の所有者となる私達のご先祖様、初代の無剣所持者に無剣が使える程の魔力も与えて攻勢だったようだけど、魔神も新たな悪魔を多数顕現させて、その悪魔が更に悪魔を召喚できるようになり、多勢に無勢でかなり押されてしまったわ。
そこで神は、この星の発展のために当初から生み出しておいたこの世界だけの神に、無剣所持者に力を貸すようにお願いしたの。
もちろんこの星の神は喜んでその身を差し出したわ。
たとえ元の神の姿に戻れないとわかっていてもね。
それが、それぞれの<基礎属性>を司る六剣で、無剣に絶対の忠誠を誓っている理由もそこなのよ。
あのロイド君が大好きな絵本に逢った通りついに悪魔を討伐して、六剣は徐々に継承されなくなって封印状態になっているの。でも、全ての悪魔が討伐できたわけじゃないことは、今も悪魔がいる事からわかるわよね。
むしろ今残っている悪魔たちは、狡猾で力もあるので余計に厄介になっていると思うわ。
そして、六剣所有者になるには無剣所有者からの信頼と承認、六剣自体からも認められる必要があるけれど、無剣所有者になるには、膨大な魔力が必要になるの。
初代様が神から頂いたお母さんがしている指輪、これをロイド君に継承したら、何か心に温かい物を感じることができるはずよ。これは初代様から続いて磨かれてきた魔力なの。一族の魔力が混ざっているので、残念だけれど一族以外には継承できないんだ。そこは気を付けてね。
お母さんもロイド君の為に沢山の魔力を込めておくね。
と、これで秘密の話はおしまいね。
ね?口伝じゃなくってお手紙が良かったでしょ?
お母さんもこの話を聞いた時に、ビックリしたし覚えるのが大変だったもん。
でも、ロイド君とヨナならきっといい仲間に恵まれてこの星を豊かにしてくれると信じてる。
でも、ロイド君はロイド君の思うままに、幸せに生きてほしいな。
ヨナも、私達一族に使え続けてくれてありがとう。ヨナも幸せになってね。
そうそう、六剣に姿を変えたこの星の神は、この星の管理はもうできないの。でもその代わりに少し力は落ちるけど、神の代わりに精霊を生み出してくださったのよ。だからその辺りは安心してね。
最後にお願い。
私の亡骸は、あの王国には埋葬しないで欲しいの。できればだけど・・・
私の一族が眠る場所、本当はお母さんが一度でもロイド君を連れて行かなきゃいけなかったんだけど、そこに埋葬してくれると嬉しいな。
場所はヨナが知っているので、本当にできればだけど・・・お願いね。
それじゃあこれでお手紙は終わりにするわね。
愛するロイド君、そしていつも自分よりも私達を優先し続けてくれたヨナ、本当にありがとう。
私はとっても、とっても幸せでした。
私もご先祖様達と一緒に見守っています。
幸多からんことを・・・
ユリナス
------------------------
母さんの亡骸は指輪の<無限収納>に収めている。
この<無限収納>は時間経過がないので、いつかきっと希望を叶えるよ母さん。
でももう少しだけ待ってくれ。俺はまだこの場所を離れるわけにはいかないんだ。
正直、俺は母さんの姿を見続けていたいが、<無限収納>から出してしまうと時間経過が起こってしまうので、それも叶わない。
母さんは俺達の幸せを本当に願ってくれていたのは知っている。
でも、俺はあいつ等だけは決して許せないんだ。
あっちで俺を見守ってくれている母さんは、困った顔をしているだろうか?
それでも、最終的には俺の判断を微笑みながら認めてくれるだろう。
いや、本ではなくその中身にだ。
これは無剣所持者となった時と同等の驚きだった。
歴代の俺の先祖である無剣所有者たちがその機能を解き明かし、後世に残してくれていたんだ。
夢中で読み進めていたら、最後は母さんが書いたページになった。
その―ページには六剣の配下についての記載がある。そして、俺宛の手紙も挟んでくれていた。
中身を見ない状態でも、母さんを思い出して涙してしまった。
まずは、母さんの記載した配下についての記載を紹介したい。
要約するが、
能力アップの恩恵が受けられる配下は数人が限界で、六剣所持者が資格を失ったり死亡した場合、更には六剣所持者から配下として不適格とされた場合、その他の理由で一旦恩恵の対象から外した場合は、能力アップ分は消失する。
但し、能力アップ時にはかなり高ランクの魔獣討伐を行える状態になっており、その討伐によるレベルアップ分は消失しない。
つまり、恩恵を受けた配下はその間に得たレベルアップ分は実際に地力が上がっている事になる。
なので、この機能を使用すれば、多少時間はかかるが部隊の多数のレベル底上げができるという事だ。
こんな事を書いたという事は、母さんの身近でこの現象が起きたのだろうな。
そして、いよいよ手紙の内容だ。そこにはこう書いてあった。
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親愛なるロイド君、そして私達に力を貸し続けてくれているヨナへ
この手紙を読んでいる時には、本当に悲しいけれどお母さんはもういない状況になっているのかな?
冒険者と言う職業は、どんなに強くてもいつ命を落とすかわからない職業だから、そうなったときに悔いが残らないように手紙を送るね。
まずはあの本に書かれている事だけれど、全部は試せていないけど、私のお父さん、ロイド君のお爺ちゃんの時から結構試して、今の所書かれている事は全部本当だったよ。
なので、あの本をよく読んで良く勉強してね。
ヨナにもためになることがたくさん書いてあるから、ロイド君はヨナにも本を見せてあげると良いわよ。
そうそう、あまり詳しく本には書けなかったんだけれど、配下の件、あれは凄いわよ。
初代様が書いた部分読んだかしら?六剣の力を、その時の所有者の地力の状態に応じて解放してくれる剣があるっていう話。
お母さんが勝手に想像したんだけれど、実際は剣が調整してくれたんじゃなくて、初代様と一緒に悪魔討伐を行っていた六剣所持者の弟子が、配下としての恩恵を受けて地力が上がったの。
その状態で六剣を移譲したので、そんなに苦労せずに六剣を使いこなせた配下がいたんじゃないかしら。
それを見た初代様があんな書き方をしたのかもしれないわね。
ヨナは心当たりあるでしょ?
ヨナも、先代の闇剣所有者であったお父さんの配下になって、相当地力を上げたものね。
六剣所有者に誰かをさせる場合、その位の事をしてからではないと、いきなり力の制御ができる人なんて殆どいないから、正直大変かもしれないわよ。
本に書かれている通り、水剣を開放できると良いかもしれないわね。
お母さんに直接ついてくれたのは闇剣のヨナだけだから、六剣所有者を新たに作る事はしていなかったので、この程度しかアドバイスできないの。ごめんね。
でも、ロイド君とヨナなら、何の問題もないわよね。
良い仲間に恵まれると信じているわ。
それじゃあ、無剣と六剣について、無剣所持者に口伝で伝わる話を書いちゃうわね。
ヨナは信用できるし、別にお手紙にしても良いわよね?うん。良い。書いちゃおう。
実は、この世界って言うのかしら、この大陸ではなくて空を見ると光っている物、星って言うみたいだけど、同じように世界が広がっているらしいの。
いまロイド君やヨナが住んでいる場所も、星の一つなのよ。
その多くを管理している神が、星に生物ができた場所には慈しみを与えて、豊かな生活を送れるようにしてくれているの。
当然神と相反する魔神もいて、神が作った豊かな星を壊して負のエネルギーを糧にしているので、常に争っているそうよ。
その中でもこの星は豊かに育ったので秘匿し続けていたけれど、魔神に見つかって、魔神の力を与えられた悪魔が顕現してしまい今に至るみたい。
神々はどういう仕組みかは分からないけど、直接この星々に干渉できないので、力を分け与えた者達でこの場所を守っているのよ。
無剣はその神が強大な力を分け与えた剣なの!!
初めはその剣の所有者となる私達のご先祖様、初代の無剣所持者に無剣が使える程の魔力も与えて攻勢だったようだけど、魔神も新たな悪魔を多数顕現させて、その悪魔が更に悪魔を召喚できるようになり、多勢に無勢でかなり押されてしまったわ。
そこで神は、この星の発展のために当初から生み出しておいたこの世界だけの神に、無剣所持者に力を貸すようにお願いしたの。
もちろんこの星の神は喜んでその身を差し出したわ。
たとえ元の神の姿に戻れないとわかっていてもね。
それが、それぞれの<基礎属性>を司る六剣で、無剣に絶対の忠誠を誓っている理由もそこなのよ。
あのロイド君が大好きな絵本に逢った通りついに悪魔を討伐して、六剣は徐々に継承されなくなって封印状態になっているの。でも、全ての悪魔が討伐できたわけじゃないことは、今も悪魔がいる事からわかるわよね。
むしろ今残っている悪魔たちは、狡猾で力もあるので余計に厄介になっていると思うわ。
そして、六剣所有者になるには無剣所有者からの信頼と承認、六剣自体からも認められる必要があるけれど、無剣所有者になるには、膨大な魔力が必要になるの。
初代様が神から頂いたお母さんがしている指輪、これをロイド君に継承したら、何か心に温かい物を感じることができるはずよ。これは初代様から続いて磨かれてきた魔力なの。一族の魔力が混ざっているので、残念だけれど一族以外には継承できないんだ。そこは気を付けてね。
お母さんもロイド君の為に沢山の魔力を込めておくね。
と、これで秘密の話はおしまいね。
ね?口伝じゃなくってお手紙が良かったでしょ?
お母さんもこの話を聞いた時に、ビックリしたし覚えるのが大変だったもん。
でも、ロイド君とヨナならきっといい仲間に恵まれてこの星を豊かにしてくれると信じてる。
でも、ロイド君はロイド君の思うままに、幸せに生きてほしいな。
ヨナも、私達一族に使え続けてくれてありがとう。ヨナも幸せになってね。
そうそう、六剣に姿を変えたこの星の神は、この星の管理はもうできないの。でもその代わりに少し力は落ちるけど、神の代わりに精霊を生み出してくださったのよ。だからその辺りは安心してね。
最後にお願い。
私の亡骸は、あの王国には埋葬しないで欲しいの。できればだけど・・・
私の一族が眠る場所、本当はお母さんが一度でもロイド君を連れて行かなきゃいけなかったんだけど、そこに埋葬してくれると嬉しいな。
場所はヨナが知っているので、本当にできればだけど・・・お願いね。
それじゃあこれでお手紙は終わりにするわね。
愛するロイド君、そしていつも自分よりも私達を優先し続けてくれたヨナ、本当にありがとう。
私はとっても、とっても幸せでした。
私もご先祖様達と一緒に見守っています。
幸多からんことを・・・
ユリナス
------------------------
母さんの亡骸は指輪の<無限収納>に収めている。
この<無限収納>は時間経過がないので、いつかきっと希望を叶えるよ母さん。
でももう少しだけ待ってくれ。俺はまだこの場所を離れるわけにはいかないんだ。
正直、俺は母さんの姿を見続けていたいが、<無限収納>から出してしまうと時間経過が起こってしまうので、それも叶わない。
母さんは俺達の幸せを本当に願ってくれていたのは知っている。
でも、俺はあいつ等だけは決して許せないんだ。
あっちで俺を見守ってくれている母さんは、困った顔をしているだろうか?
それでも、最終的には俺の判断を微笑みながら認めてくれるだろう。
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