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国王、ロイド達に襲撃を受ける
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俺達は、避難用の転移魔道具を起動しようとして必死に魔力を供給して魔力枯渇状態に陥り、力なく机の上に体を預けているフロキル王国の国王の部屋に侵入することにした。俺はこいつの名前など忘れ去っている。
部屋に転移した際、外部への情報遮断は<水剣>のスミカの仕事になった。
「テスラムさん、今回も<水剣>を顕現させてもいいんですよね?」
「本来はそろそろ顕現させなくても行けるはずなのですが、今回は良しとしましょう。ただし詠唱は認めません。術の発動も顕現から0.2秒までとします」
「わかりました!!やった!!!これならきっと大丈夫。うん、大丈夫!」
「頼むぞスミカ。お前がしくじったら俺も惨い目にあうんだからな。ホントに頼むぞ!!」
スミカの使用する能力がテスラムさんの判断で不足していると認定されてしまうと、ヘイロンもセットで修行と言う名の罰ゲームになるらしいのだ。
なので、なぜかヘイロンも必死だ。
「ヘイロン殿、スミカ殿を信じてやれ。それが騎士道精神と言う物だ。万が一修行となっても良いではないか」
「そりゃそうだがな・・・」
消え入るような声でアルフォナに返事をしているヘイロン。
どれだけきつい修行なのか、想像できないな。
だが、彼らの力が大幅に上昇しているのは<六剣>を従えている<無剣>所持者の俺には体で理解できる。
彼らの力が俺にも<無剣>を通して俺にも流れ込んでくるからだ。
これが、最強の剣たる所以だろう。
「よし、それじゃあ一丁挨拶に行ってやるか。少し早いが、夕飯としゃれこむか?」
「良いですな。皆様は今回は肉と魚、どちらが宜しいですか?」
料理の腕も相当なのだろう。いつもどこからともなくおいしい料理を提供してくれるテスラムさん。
もちろんヨナが準備してくれている料理も相当にうまい。
「俺肉!肉だ肉!!」
「私は・・・お肉が続いておりますのでお魚にさせて頂けると・・・」
いつも通り肉食のヘイロンと、控えめなナユラ。
「それでしたらば、肉料理は私が、魚料理はヨナ殿にお任せしてもよろしいですか?」
「大丈夫」
「じゃあ早速行くか?」
俺の<空間転移>で、国王の私室に転移した。
すかさずスミカが<水剣>を抜剣して、結界を張る。
前回と同様に青い膜が見えるが、膜の向こうが見えない位濃い色をしている。
国王はあまりの疲労からか、俺達の侵入に気が付いていない。
このままいてもしょうがないので、俺達はわざと大きい音を出しつつ早めの夕食の準備を始めた。
「ヘイロン殿とアルフォナ殿、そして私が肉料理、ロイド様、スミカ殿、ヨナ殿、ナユラ殿が魚料理で宜しいですな?」
全員が頷くと、ヨナとテスラムさんが手慣れた様子で準備を着々と進めてくれる。
結構な音と良い匂いがするので、国王は机に突っ伏している状態ではあるが、そのまま顔だけをこちらに向けた。
「な、貴様ロイド!!」
俺、いや俺達の存在に気が付くと椅子を倒す勢いで立ち上がった。
「なぜ貴様がここにいる。どうやって来た。それに・・・その食料はどこから・・・・・」
疑問は多々あるのだろうが、ナユラを見て国王は目を細めた。
「そこにいるのはリスド王国のナユラ王女ではないか?報告は受けていたが、まさか事実とは。リスド王国はこのような魔獣や魔族を使った搦手で我がフロキル王国を攻め落とそうとしている。失望したぞ」
そんな事を言われても、ナユラは堂々として眉一つ動かさない。
謂れのない言いがかりだから当然なのだが・・・
優雅に一歩進み出ると、美しく一礼した。
「お久しぶりでございます。私は早くお魚のお料理を食べたいので、事実だけをお伝えします。先ずはこの状況、これはリスド王国は一切関与しておりません。完全な言いがかりです。むしろあなた方が、このような状況にならないようにしてくれていた第四防壁の住民を蔑ろにしたことが最大の原因ですよ」
「フン、あんな連中に何ができる?」
「もちろん魔獣の討伐です。あなた方の圧政、謂れなき差別を受けていた第四防壁の方々は全員我がリスド王国に移住いたしました。その結果、魔獣を狩る者達が一切いなくなったのです」
「バカを言うな。都度騎士を派遣していたはずだ。それに・・・もういないが我が子であるゾルドンも近衛騎士団と共に定期的に修行を兼ねて出撃していたぞ」
「フフフ、やはりあなたは愚王ですね。実際に討伐していたのは第四防壁の住民たちだけですよ。そのゾルドン王子でしたか?彼らは<六剣>を抜剣するのに夢中で魔獣討伐は一切行っておりませんよ。そんな事も気が付かなかったのですか?」
「ば・・・」
実際にこんな状況になっているのだ。反論する術をなくした国王は黙り込んだ。
そして、唯一抜剣しているスミカを見る。
その手には、伝説になっている<六剣>である<水剣>が握られている。
しかし、既に魚料理へ意識が言っているのか国王の視線に気が付いていない。
術を維持するのが楽なのか、<水剣>を顕現させたままの状態で椅子の近くに軽く突き刺し、ちゃっかりと椅子に座ってしまった。
既に事実を知っている国王は、一瞬目を見開きこそすれ慌てることは無かった。
「その方らが<六剣>を持っていると言う報告も受けていた」
「ですが、第三者から奪ったと言う報告でしたはずですよ?あのゾルドン王子でしたか?その方の報告では。ですが、先程ギルドマスター殿から使いこなせていると改めて報告を受けたのですよね」
「何故そこまで知っている???いや、伝説の<六剣>を使いこなせる者ならばその程度は可能かもしれんな」
「もう一つ教えて差し上げます。あなたの愚息は、魔族討伐の英雄などと言っておりましたが、あの時は一切手を出していませんよ。第四防壁の住民たちが陳情していたはずです」
「手も足も出ずに足手まといになって、そのせいで優位に戦いを進めていたユリナスが重症を負った。その後は第四防壁以内の住民たちはユリナスを一切助けず・・・」
ドカン・・・
「グッ・・・」
「てめーごときがユリナス様を気安く呼ぶんじゃねー!!殺すぞ!!クソ野郎!!!」
ブチ切れたヘイロンが、瞬間移動かと思う程の速度で机ごと国王を蹴り飛ばした。
<六剣>全ての力を持っている俺でも、目で追うのがやっとの速度だ。
ヘイロンの母さんに対する忠心?はとてつもなく高い。そんなヘイロンに対してあの時の事を軽い感じで話してしまったのだ。
ブチ切れるのも理解できる。
アルフォナも腰を落とした状態で固まっているので、ヘイロンに先を越されてしまったのだろう。
あのアルフォナでさえ出遅れてしまうレベルの速度だったのだ。
「おお!ヘイロン殿素晴らしいではないですか」
和やかに拍手をしながらヘイロンを褒めるテスラムさん。大絶賛だ!
「修行中も常にその力を発揮していただけると良いのですが・・・」
文句を言うのも忘れない。
だが、その文句を聞いてヘイロンは少し落ち着きを取り戻した。
「スマン、少々熱くなったな」
踵を返して、スミカの座っている隣の席に腰を下ろし、落ち着くためか長い息を吐きだした。
「まだまだ言いたいことはありますが、今から楽しみにしていたお魚のお料理を食べますので失礼いたします」
常に冷静なナユラと共に、俺達は壁際まで吹き飛ばされて痛みに唸っている国王を無視して食事を始めることにした。
「皆スマン。こんな状態だと、あいつには俺達の食事を羨む余裕はなさそうだな。ユリナス様の事を言われて我を忘れてしまった」
「いやヘイロン殿、全く問題ないと思うぞ。私も同じことをしようと思っていた。だが驚いた。修行中にはあんな動きはできたことは無かったではないか?潜在能力が素晴らしいと言う事だな。まさか先を越されるとは思わなかったぞ。これから騎士道精神と共に鍛えるべきだ」
俺はチラッと苦しんでいる国王を見る。
確かにあの状態では、当初の目的である食事についての嫌がらせは意味がないかもしれないな・・・
どうするか・・・
部屋に転移した際、外部への情報遮断は<水剣>のスミカの仕事になった。
「テスラムさん、今回も<水剣>を顕現させてもいいんですよね?」
「本来はそろそろ顕現させなくても行けるはずなのですが、今回は良しとしましょう。ただし詠唱は認めません。術の発動も顕現から0.2秒までとします」
「わかりました!!やった!!!これならきっと大丈夫。うん、大丈夫!」
「頼むぞスミカ。お前がしくじったら俺も惨い目にあうんだからな。ホントに頼むぞ!!」
スミカの使用する能力がテスラムさんの判断で不足していると認定されてしまうと、ヘイロンもセットで修行と言う名の罰ゲームになるらしいのだ。
なので、なぜかヘイロンも必死だ。
「ヘイロン殿、スミカ殿を信じてやれ。それが騎士道精神と言う物だ。万が一修行となっても良いではないか」
「そりゃそうだがな・・・」
消え入るような声でアルフォナに返事をしているヘイロン。
どれだけきつい修行なのか、想像できないな。
だが、彼らの力が大幅に上昇しているのは<六剣>を従えている<無剣>所持者の俺には体で理解できる。
彼らの力が俺にも<無剣>を通して俺にも流れ込んでくるからだ。
これが、最強の剣たる所以だろう。
「よし、それじゃあ一丁挨拶に行ってやるか。少し早いが、夕飯としゃれこむか?」
「良いですな。皆様は今回は肉と魚、どちらが宜しいですか?」
料理の腕も相当なのだろう。いつもどこからともなくおいしい料理を提供してくれるテスラムさん。
もちろんヨナが準備してくれている料理も相当にうまい。
「俺肉!肉だ肉!!」
「私は・・・お肉が続いておりますのでお魚にさせて頂けると・・・」
いつも通り肉食のヘイロンと、控えめなナユラ。
「それでしたらば、肉料理は私が、魚料理はヨナ殿にお任せしてもよろしいですか?」
「大丈夫」
「じゃあ早速行くか?」
俺の<空間転移>で、国王の私室に転移した。
すかさずスミカが<水剣>を抜剣して、結界を張る。
前回と同様に青い膜が見えるが、膜の向こうが見えない位濃い色をしている。
国王はあまりの疲労からか、俺達の侵入に気が付いていない。
このままいてもしょうがないので、俺達はわざと大きい音を出しつつ早めの夕食の準備を始めた。
「ヘイロン殿とアルフォナ殿、そして私が肉料理、ロイド様、スミカ殿、ヨナ殿、ナユラ殿が魚料理で宜しいですな?」
全員が頷くと、ヨナとテスラムさんが手慣れた様子で準備を着々と進めてくれる。
結構な音と良い匂いがするので、国王は机に突っ伏している状態ではあるが、そのまま顔だけをこちらに向けた。
「な、貴様ロイド!!」
俺、いや俺達の存在に気が付くと椅子を倒す勢いで立ち上がった。
「なぜ貴様がここにいる。どうやって来た。それに・・・その食料はどこから・・・・・」
疑問は多々あるのだろうが、ナユラを見て国王は目を細めた。
「そこにいるのはリスド王国のナユラ王女ではないか?報告は受けていたが、まさか事実とは。リスド王国はこのような魔獣や魔族を使った搦手で我がフロキル王国を攻め落とそうとしている。失望したぞ」
そんな事を言われても、ナユラは堂々として眉一つ動かさない。
謂れのない言いがかりだから当然なのだが・・・
優雅に一歩進み出ると、美しく一礼した。
「お久しぶりでございます。私は早くお魚のお料理を食べたいので、事実だけをお伝えします。先ずはこの状況、これはリスド王国は一切関与しておりません。完全な言いがかりです。むしろあなた方が、このような状況にならないようにしてくれていた第四防壁の住民を蔑ろにしたことが最大の原因ですよ」
「フン、あんな連中に何ができる?」
「もちろん魔獣の討伐です。あなた方の圧政、謂れなき差別を受けていた第四防壁の方々は全員我がリスド王国に移住いたしました。その結果、魔獣を狩る者達が一切いなくなったのです」
「バカを言うな。都度騎士を派遣していたはずだ。それに・・・もういないが我が子であるゾルドンも近衛騎士団と共に定期的に修行を兼ねて出撃していたぞ」
「フフフ、やはりあなたは愚王ですね。実際に討伐していたのは第四防壁の住民たちだけですよ。そのゾルドン王子でしたか?彼らは<六剣>を抜剣するのに夢中で魔獣討伐は一切行っておりませんよ。そんな事も気が付かなかったのですか?」
「ば・・・」
実際にこんな状況になっているのだ。反論する術をなくした国王は黙り込んだ。
そして、唯一抜剣しているスミカを見る。
その手には、伝説になっている<六剣>である<水剣>が握られている。
しかし、既に魚料理へ意識が言っているのか国王の視線に気が付いていない。
術を維持するのが楽なのか、<水剣>を顕現させたままの状態で椅子の近くに軽く突き刺し、ちゃっかりと椅子に座ってしまった。
既に事実を知っている国王は、一瞬目を見開きこそすれ慌てることは無かった。
「その方らが<六剣>を持っていると言う報告も受けていた」
「ですが、第三者から奪ったと言う報告でしたはずですよ?あのゾルドン王子でしたか?その方の報告では。ですが、先程ギルドマスター殿から使いこなせていると改めて報告を受けたのですよね」
「何故そこまで知っている???いや、伝説の<六剣>を使いこなせる者ならばその程度は可能かもしれんな」
「もう一つ教えて差し上げます。あなたの愚息は、魔族討伐の英雄などと言っておりましたが、あの時は一切手を出していませんよ。第四防壁の住民たちが陳情していたはずです」
「手も足も出ずに足手まといになって、そのせいで優位に戦いを進めていたユリナスが重症を負った。その後は第四防壁以内の住民たちはユリナスを一切助けず・・・」
ドカン・・・
「グッ・・・」
「てめーごときがユリナス様を気安く呼ぶんじゃねー!!殺すぞ!!クソ野郎!!!」
ブチ切れたヘイロンが、瞬間移動かと思う程の速度で机ごと国王を蹴り飛ばした。
<六剣>全ての力を持っている俺でも、目で追うのがやっとの速度だ。
ヘイロンの母さんに対する忠心?はとてつもなく高い。そんなヘイロンに対してあの時の事を軽い感じで話してしまったのだ。
ブチ切れるのも理解できる。
アルフォナも腰を落とした状態で固まっているので、ヘイロンに先を越されてしまったのだろう。
あのアルフォナでさえ出遅れてしまうレベルの速度だったのだ。
「おお!ヘイロン殿素晴らしいではないですか」
和やかに拍手をしながらヘイロンを褒めるテスラムさん。大絶賛だ!
「修行中も常にその力を発揮していただけると良いのですが・・・」
文句を言うのも忘れない。
だが、その文句を聞いてヘイロンは少し落ち着きを取り戻した。
「スマン、少々熱くなったな」
踵を返して、スミカの座っている隣の席に腰を下ろし、落ち着くためか長い息を吐きだした。
「まだまだ言いたいことはありますが、今から楽しみにしていたお魚のお料理を食べますので失礼いたします」
常に冷静なナユラと共に、俺達は壁際まで吹き飛ばされて痛みに唸っている国王を無視して食事を始めることにした。
「皆スマン。こんな状態だと、あいつには俺達の食事を羨む余裕はなさそうだな。ユリナス様の事を言われて我を忘れてしまった」
「いやヘイロン殿、全く問題ないと思うぞ。私も同じことをしようと思っていた。だが驚いた。修行中にはあんな動きはできたことは無かったではないか?潜在能力が素晴らしいと言う事だな。まさか先を越されるとは思わなかったぞ。これから騎士道精神と共に鍛えるべきだ」
俺はチラッと苦しんでいる国王を見る。
確かにあの状態では、当初の目的である食事についての嫌がらせは意味がないかもしれないな・・・
どうするか・・・
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