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ソレントスの後悔
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今代魔王であるアミストナの洗脳を解除するために、<光剣>のナユラ、そして護衛的な立ち位置で、<土剣>のアルフォナ、<闇剣>のヨナ、更には転移門を使用するために第一階位の悪魔である悪魔のユルゲンが魔王のいる謁見に最も近い転移門から現れる。
「謁見の間では、瘴気がない者を自動で攻撃する設定がなされている。<六剣>の皆様は瘴気を持っていないので攻撃されてしまうが・・・私ではあの罠は解除できない。如何しますか?」
「全て私が<浄化>しますので問題ありません」
<光剣>の特化能力である<浄化>に自信を持てるようになったナユラは、アミストナと共に謁見の間の罠もまとめて浄化する予定だ。
「そんなことが・・・いえ、できるのでしょうな」
ユルゲンは驚きつつも、ナユラの力が決して誇張ではない事を理解しているので、途中で言葉を飲み込んだ。
「ここから謁見の間までは少々離れております。遅れずに来てください」
「念のため、<闇魔法>で存在を隠蔽している。探知される事を危惧しているのなら問題ない。でも急ぐのは賛成」
ユルゲンは、ヨナの言う通り他の悪魔や魔王であるアミストナに<六剣>の存在を探知され、無駄に戦闘が行われる事を回避したかった。
主であるアミストナが傷つく所を見たくなかったのだ。
その為、少しでも早く謁見の間にたどり着き、<浄化>を行ってもらう方法を取ったのだが、その心配は杞憂に終わった。
<闇剣>の特化能力である<闇魔法>による隠蔽を済ませてくれていたからだ。
改めて<六剣>所持者達の高い能力に驚かされつつも、急ぎ謁見の間を目指す。
一方ロイド達は、全ての元凶である第一階位の悪魔であるソレントスの元に向かっている。
「第一階位と言っても、あんた達や魔王に気が付かれないように洗脳できるくらいだ。こう言っては申し訳ないが、魔王すら凌ぐ力があるんじゃないのか?」
ロイドの疑問に、同行している悪魔であるサファリアも同意した。
「お恥ずかしながら、いつ洗脳されたか分かりません。その結果を考えると、確かにソレントスは力を隠している可能性が高いです」
転移門を出ると、比較的近くにソレントスとサファリア、そしてユルゲンが作戦を決めるために使用していた部屋がある。
ソレントスはその部屋から出ることはほとんどなく、出たとしても謁見の間に向かうだけだ。
すると、目の前のドアを開けると元凶がいる・・・はずなのだが、ロイドだけではなくヘイロンも警戒態勢を取らなかった。
その意味を理解した<六剣>所持者達。
「ロイド様、ソレントスの行先は私はつかめておりません。何かお判りになりますか?」
「いや、俺もわからない。ヘイロンはどうだ?」
「悪い。わからねー」
<探索>や、高い情報収集能力を持つテスラムでもソレントスの行方はわからない状態になっている。
「どう言う事ですか?この中にソレントスはいない・・・と??」
訝しむサファリア。
「ああ、偶然か何だか知らねーが、俺達の状況・・・情報が漏れたんだろうな」
実際にヘイロンの言う通り、ほんの数十秒前まではこの部屋の中にいたソレントス。だが、彼は警戒心が異常に強かった。
そのせいか、魔王領に現れた<六剣>と<無剣>の強大な力を常に監視していたのだ。
そこに分断の為に向かったサファリアとユルゲン。
しかし、いつまでたっても分断される様子はない。
その時点で安全のために避難したのだ。
避難先は・・・時間制限はある物の、この世界からは一切探知されることのない異空間に避難したのだ。
つまり、部屋の中に異空間を作ってその中に逃げ込んだことになる。
これが、あっという間に<探索>でも見つけることができない理由であり、即姿をくらませることができた理由でもある。
「ロイド、どうするよ?」
ドアを乱雑に開けながら中に侵入するヘイロン。
机の上には湯気が立っている飲み物が置かれている。
「つい先程までここにはいたようですな。サファリア、ソレントスは<転移>を使えますか?」
「いいえ、使えないはずです」
「それじゃあ、近くをしらみつぶしに探すっきゃねーのか?」
「この部屋に何か手掛かりがあるかもしれない。テスラムさん、この部屋はスライムに任せていいか?」
「お任せください、ロイド様」
こうしてロイド一行は、はスライムをあの部屋に残して、辺りを調査することにした。
一方、部屋に隠れているソレントスは焦りを隠せないでいる。
部屋の中を確認すると、テスラムが放ったスライムがいる。
今まではスライムは道端の石と同じ扱いをしていたのだが、先代魔王の眷属であるスライムを継承したのはテスラムだ。
その事実を思い出し、スライムに対して高い警戒をしている。
「くそ、スライムとは厄介な。どこにでも存在する連中だからな。見つからずに動くことは不可能か?」
逃走経路について考えるソレントス。
だが、どう考えても魔王領のみならず、人族の領域でも腐るほど存在しているスライムに見つかることなく逃走するなど不可能だ。
そう考えると、先代魔王の眷属であるスライムをバカにしていたが、その力を認識すると、とてつもない力であることが今更ながら理解できる。
ソレントスは逃走する事を諦めて、この場で戦闘する方法を選んだ。
常に最悪の状況を考えていたソレントス。
異空間に隠れられる時間もあまり残っていない為、この空間内部で奥の手を使うことにした。
懐からある薬剤を取り出すと、躊躇なく飲み込んだ。
これは自分の存在を一段階高めてくれるが、その分寿命が縮まる。
ソレントスは、そのデメリットを改善すべく日夜研究に励んでいたが、改善されるまでもなくこの日を迎えてしまった。
ここまで追い詰められてしまったのだから仕方がないのだが、寿命を犠牲にしてまでもこの薬剤を使用するべき事態だと判断したのだ。
異空間の中で目を閉じて苦痛の表情を浮かべるソレントス。
この苦しみが寿命を縮めている証拠なのだ。
この時間が長ければ長い程寿命は大きく削られていることになる。
どれだけこの薬剤に耐性があるかが縮む寿命の長さに関係があるのだが、飲んでみなければわからないのだ。
長時間の苦痛に耐え、ようやく落ち着いたソレントス。
体中びっしりと汗を掻いているが、表情は穏やかだ。
一段上の強さを手に入れた余裕なのかもしれない。
「フフ、寿命と言う犠牲を払う事になったが、十分な力だ。これならば<六剣>が相手でも問題ないだろう。フハハハ。最早こうなってしまってはアミストナを傀儡にしておいても仕方がない。せいぜい<六剣>の戦闘時の盾として使う事にしよう」
だが、その盾となり得る今代魔王であるアミストナは、<光剣>ナユラの力である<浄化>によって洗脳がとけている事を知らない。
更には、同僚としてふるまっていた傀儡であるユルゲンとサファリアの洗脳も効果を無くしており、むしろソレントスの敵となっているのだ。
つまり・・・最終的にはソレントス対魔王、配下、そして<六剣><無剣>になっている。
これでは、いくらソレントスの存在が一段上がっとしても勝ち目はないだろう。
しかし、異空間にいるソレントスにそんなことがわかるわけもなく、輝く未来を想像しながら時間切れとなった隔離空間から姿を現した。
「謁見の間では、瘴気がない者を自動で攻撃する設定がなされている。<六剣>の皆様は瘴気を持っていないので攻撃されてしまうが・・・私ではあの罠は解除できない。如何しますか?」
「全て私が<浄化>しますので問題ありません」
<光剣>の特化能力である<浄化>に自信を持てるようになったナユラは、アミストナと共に謁見の間の罠もまとめて浄化する予定だ。
「そんなことが・・・いえ、できるのでしょうな」
ユルゲンは驚きつつも、ナユラの力が決して誇張ではない事を理解しているので、途中で言葉を飲み込んだ。
「ここから謁見の間までは少々離れております。遅れずに来てください」
「念のため、<闇魔法>で存在を隠蔽している。探知される事を危惧しているのなら問題ない。でも急ぐのは賛成」
ユルゲンは、ヨナの言う通り他の悪魔や魔王であるアミストナに<六剣>の存在を探知され、無駄に戦闘が行われる事を回避したかった。
主であるアミストナが傷つく所を見たくなかったのだ。
その為、少しでも早く謁見の間にたどり着き、<浄化>を行ってもらう方法を取ったのだが、その心配は杞憂に終わった。
<闇剣>の特化能力である<闇魔法>による隠蔽を済ませてくれていたからだ。
改めて<六剣>所持者達の高い能力に驚かされつつも、急ぎ謁見の間を目指す。
一方ロイド達は、全ての元凶である第一階位の悪魔であるソレントスの元に向かっている。
「第一階位と言っても、あんた達や魔王に気が付かれないように洗脳できるくらいだ。こう言っては申し訳ないが、魔王すら凌ぐ力があるんじゃないのか?」
ロイドの疑問に、同行している悪魔であるサファリアも同意した。
「お恥ずかしながら、いつ洗脳されたか分かりません。その結果を考えると、確かにソレントスは力を隠している可能性が高いです」
転移門を出ると、比較的近くにソレントスとサファリア、そしてユルゲンが作戦を決めるために使用していた部屋がある。
ソレントスはその部屋から出ることはほとんどなく、出たとしても謁見の間に向かうだけだ。
すると、目の前のドアを開けると元凶がいる・・・はずなのだが、ロイドだけではなくヘイロンも警戒態勢を取らなかった。
その意味を理解した<六剣>所持者達。
「ロイド様、ソレントスの行先は私はつかめておりません。何かお判りになりますか?」
「いや、俺もわからない。ヘイロンはどうだ?」
「悪い。わからねー」
<探索>や、高い情報収集能力を持つテスラムでもソレントスの行方はわからない状態になっている。
「どう言う事ですか?この中にソレントスはいない・・・と??」
訝しむサファリア。
「ああ、偶然か何だか知らねーが、俺達の状況・・・情報が漏れたんだろうな」
実際にヘイロンの言う通り、ほんの数十秒前まではこの部屋の中にいたソレントス。だが、彼は警戒心が異常に強かった。
そのせいか、魔王領に現れた<六剣>と<無剣>の強大な力を常に監視していたのだ。
そこに分断の為に向かったサファリアとユルゲン。
しかし、いつまでたっても分断される様子はない。
その時点で安全のために避難したのだ。
避難先は・・・時間制限はある物の、この世界からは一切探知されることのない異空間に避難したのだ。
つまり、部屋の中に異空間を作ってその中に逃げ込んだことになる。
これが、あっという間に<探索>でも見つけることができない理由であり、即姿をくらませることができた理由でもある。
「ロイド、どうするよ?」
ドアを乱雑に開けながら中に侵入するヘイロン。
机の上には湯気が立っている飲み物が置かれている。
「つい先程までここにはいたようですな。サファリア、ソレントスは<転移>を使えますか?」
「いいえ、使えないはずです」
「それじゃあ、近くをしらみつぶしに探すっきゃねーのか?」
「この部屋に何か手掛かりがあるかもしれない。テスラムさん、この部屋はスライムに任せていいか?」
「お任せください、ロイド様」
こうしてロイド一行は、はスライムをあの部屋に残して、辺りを調査することにした。
一方、部屋に隠れているソレントスは焦りを隠せないでいる。
部屋の中を確認すると、テスラムが放ったスライムがいる。
今まではスライムは道端の石と同じ扱いをしていたのだが、先代魔王の眷属であるスライムを継承したのはテスラムだ。
その事実を思い出し、スライムに対して高い警戒をしている。
「くそ、スライムとは厄介な。どこにでも存在する連中だからな。見つからずに動くことは不可能か?」
逃走経路について考えるソレントス。
だが、どう考えても魔王領のみならず、人族の領域でも腐るほど存在しているスライムに見つかることなく逃走するなど不可能だ。
そう考えると、先代魔王の眷属であるスライムをバカにしていたが、その力を認識すると、とてつもない力であることが今更ながら理解できる。
ソレントスは逃走する事を諦めて、この場で戦闘する方法を選んだ。
常に最悪の状況を考えていたソレントス。
異空間に隠れられる時間もあまり残っていない為、この空間内部で奥の手を使うことにした。
懐からある薬剤を取り出すと、躊躇なく飲み込んだ。
これは自分の存在を一段階高めてくれるが、その分寿命が縮まる。
ソレントスは、そのデメリットを改善すべく日夜研究に励んでいたが、改善されるまでもなくこの日を迎えてしまった。
ここまで追い詰められてしまったのだから仕方がないのだが、寿命を犠牲にしてまでもこの薬剤を使用するべき事態だと判断したのだ。
異空間の中で目を閉じて苦痛の表情を浮かべるソレントス。
この苦しみが寿命を縮めている証拠なのだ。
この時間が長ければ長い程寿命は大きく削られていることになる。
どれだけこの薬剤に耐性があるかが縮む寿命の長さに関係があるのだが、飲んでみなければわからないのだ。
長時間の苦痛に耐え、ようやく落ち着いたソレントス。
体中びっしりと汗を掻いているが、表情は穏やかだ。
一段上の強さを手に入れた余裕なのかもしれない。
「フフ、寿命と言う犠牲を払う事になったが、十分な力だ。これならば<六剣>が相手でも問題ないだろう。フハハハ。最早こうなってしまってはアミストナを傀儡にしておいても仕方がない。せいぜい<六剣>の戦闘時の盾として使う事にしよう」
だが、その盾となり得る今代魔王であるアミストナは、<光剣>ナユラの力である<浄化>によって洗脳がとけている事を知らない。
更には、同僚としてふるまっていた傀儡であるユルゲンとサファリアの洗脳も効果を無くしており、むしろソレントスの敵となっているのだ。
つまり・・・最終的にはソレントス対魔王、配下、そして<六剣><無剣>になっている。
これでは、いくらソレントスの存在が一段上がっとしても勝ち目はないだろう。
しかし、異空間にいるソレントスにそんなことがわかるわけもなく、輝く未来を想像しながら時間切れとなった隔離空間から姿を現した。
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