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(8)ドノデラの実力
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料理長ドノデラ。
クノデラの力で強引に料理長と言う立場になれたのだが、料理の経験など一切なく食べる専門。
今まで適当に見様見真似で調理してきたのだが、どうすればここまで不味くできるのだと言う程に壊滅的な料理を出し続け、今では職員専用食堂だが誰も来ない空間と化していた。
ドノデラとしては無駄な作業をする事なく高い給料が入るので、むしろ客は来ない方が良いと考えており、副料理長になっている前料理長を含めて一切調理をさせなかった。
そこに珍しく朝に客が来たと思えば、昼には自分が嫌がらせの為に指定した高級食材が大量に届き、いつの間にか自分が冒険者達に食事を振舞う事になっている。
助けを求めるような視線を兄でありギルドマスターでもあるクノデラに向けるのだが、その兄も冒険者におだてられて料理を待ち望んでいるかのような態度だ。
『俺が料理なんてできないのを知っているだろうが!』
そんな心の声など届くわけもなく、大量の食材を前に途方に暮れてしまうドノデラ。
これらの食材の一部は冒険者達が命の危険を冒してまで入手している物もあるので、仮にその食材を無駄にしようものならドノデラだけではなくその兄のクノデラの評判も一気に下がる事は確実だ。
厨房の中を楽しそうに覗いて来る冒険者もいるので、何とかしなければならないと焦るドノデラは、副料理長に調理するように指示を出す。
「き、今日俺は少々調子が悪い。副料理長。これだけ立派な食材があるのだから、当然ふさわしい料理を作ることができるよな?普段お世話になっている冒険者への感謝の意味もある今回のこの企画、成功させるために一肌脱いでくれ」
まるで自分が今回の出来事を企画したのだと言わんばかりの物言いなのだが、嬉しそうにしている冒険者とは異なり、副料理長を始めとした料理人達は非常に険しい表情でドノデラを見ている。
意を決した副料理長が大きく息を吸い込むと、突然大声でこう告げる。
「バカを言うんじゃねーよ。食材を丸焦げにした料理と言えない物しか出せねー奴が、何を偉そうに!それに調理場は俺達料理人の神聖な戦場だ。そんな場所で平気でタバコを吸うような奴がほざくな!今まで散々俺達が料理しようとした所を邪魔しやがっただろうが。丁度良い、俺達もお前の自慢の料理を食べさせて貰おうじゃねーか」
さんざん煮え湯を飲まされてきた前料理長は、逆らうと暫くは無給、最悪は無職になってしまう恐怖から耐えてきたのだが、いざピンチになると自分達に丸投げする態度にほとほと嫌気がさして鬱憤を一気にぶちまけた。
シーンと静まり返る食堂。
冒険者やクノデラでさえもドノデラに視線を向けており、引くに引けないドノデラは売り言葉に買い言葉で応じてしまう。
「はっ、そこまで言うのならば見せてやるぜ。だがわかっているだろうな?お前は仕事を自ら放棄した。つまり、クビだ!テメー等、グズグズするな。おい、レノアも手伝え!」
取り巻きに加えてレノア達にも手伝わせようとするのだが、取り巻き以外は前料理長と共に食堂に移動して座ってしまう。
「チッ、お前等もそこの前副料理長と同じだ。クビだ!」
実際に雇われ料理長にそのような権限はないのだが、勢いでこう宣言してしまうドノデラは取り巻きと共に今迄と同じように調理を始める。
こうなるとドノデラ達の一挙手一投足に全ての視線が向けられるので、厳しい言葉も投げかけられる。
「おいおい、テメー!手も洗わねーのかよ!」
「何だその切り方!肉が潰れているじゃねーか!俺達冒険者でも武器はしっかりメンテするのに、料理人は刃物の手入れをしねーのかよ?」
だんだんと化けの皮がはがれてしまうこの状況に更に焦り、いつも以上に手際が悪くなる一行。
と同時に、ドノデラを料理長に推した事を知っている冒険者達から厳しい視線を向けられているクノデラの視線も下に移動し、今ではすっかり表情を伺う事が出来ない程に顔を下に向けている。
……ボンッ……ズゴォ~……ダンダン……バキッ……グチョ……
およそ調理中とは思えない音が厨房を支配している。
やがて煙が厨房を包み、食堂にまで煙が充満し始める。
「この野郎!俺達が命がけでとってきている食材を、まともに調理出来ねーのかよ!」
ここでついに冒険者達が完全に切れてしまう。
その理由は至極真っ当な理由であり、ギルドマスターのクノデラもこの状況でドノデラを庇うような行動はとれない。
「う、うるせー。無駄にしたなんて勝手に決めるんじゃねーよ!少しぐらい黙って待ちやがれ!」
もう破れかぶれでドノデラも応戦し、視界が奪われているこの状況では動けない冒険者達は一時大人しくなる。
ここで漸く換気を行う事に気が付いたドノデラの取り巻きによって煙が徐々に薄れ、その後に料理が各机に大皿に乗った状態で乱暴に配られる。
煙が充満していた事からもわかる通りに、全てが黒の物体となり果てた何かが各机に乗っており、誰一人としてその物体に手を伸ばす者はいない。
「おい、ギルマスよ。お前があいつを料理長に推薦したんだよな?あれほど立派な食材をこんな謎の物体にしか出来ねー奴をよ!先ずは責任を取ってテメーが一口食ってみろ!」
クノデラの力で強引に料理長と言う立場になれたのだが、料理の経験など一切なく食べる専門。
今まで適当に見様見真似で調理してきたのだが、どうすればここまで不味くできるのだと言う程に壊滅的な料理を出し続け、今では職員専用食堂だが誰も来ない空間と化していた。
ドノデラとしては無駄な作業をする事なく高い給料が入るので、むしろ客は来ない方が良いと考えており、副料理長になっている前料理長を含めて一切調理をさせなかった。
そこに珍しく朝に客が来たと思えば、昼には自分が嫌がらせの為に指定した高級食材が大量に届き、いつの間にか自分が冒険者達に食事を振舞う事になっている。
助けを求めるような視線を兄でありギルドマスターでもあるクノデラに向けるのだが、その兄も冒険者におだてられて料理を待ち望んでいるかのような態度だ。
『俺が料理なんてできないのを知っているだろうが!』
そんな心の声など届くわけもなく、大量の食材を前に途方に暮れてしまうドノデラ。
これらの食材の一部は冒険者達が命の危険を冒してまで入手している物もあるので、仮にその食材を無駄にしようものならドノデラだけではなくその兄のクノデラの評判も一気に下がる事は確実だ。
厨房の中を楽しそうに覗いて来る冒険者もいるので、何とかしなければならないと焦るドノデラは、副料理長に調理するように指示を出す。
「き、今日俺は少々調子が悪い。副料理長。これだけ立派な食材があるのだから、当然ふさわしい料理を作ることができるよな?普段お世話になっている冒険者への感謝の意味もある今回のこの企画、成功させるために一肌脱いでくれ」
まるで自分が今回の出来事を企画したのだと言わんばかりの物言いなのだが、嬉しそうにしている冒険者とは異なり、副料理長を始めとした料理人達は非常に険しい表情でドノデラを見ている。
意を決した副料理長が大きく息を吸い込むと、突然大声でこう告げる。
「バカを言うんじゃねーよ。食材を丸焦げにした料理と言えない物しか出せねー奴が、何を偉そうに!それに調理場は俺達料理人の神聖な戦場だ。そんな場所で平気でタバコを吸うような奴がほざくな!今まで散々俺達が料理しようとした所を邪魔しやがっただろうが。丁度良い、俺達もお前の自慢の料理を食べさせて貰おうじゃねーか」
さんざん煮え湯を飲まされてきた前料理長は、逆らうと暫くは無給、最悪は無職になってしまう恐怖から耐えてきたのだが、いざピンチになると自分達に丸投げする態度にほとほと嫌気がさして鬱憤を一気にぶちまけた。
シーンと静まり返る食堂。
冒険者やクノデラでさえもドノデラに視線を向けており、引くに引けないドノデラは売り言葉に買い言葉で応じてしまう。
「はっ、そこまで言うのならば見せてやるぜ。だがわかっているだろうな?お前は仕事を自ら放棄した。つまり、クビだ!テメー等、グズグズするな。おい、レノアも手伝え!」
取り巻きに加えてレノア達にも手伝わせようとするのだが、取り巻き以外は前料理長と共に食堂に移動して座ってしまう。
「チッ、お前等もそこの前副料理長と同じだ。クビだ!」
実際に雇われ料理長にそのような権限はないのだが、勢いでこう宣言してしまうドノデラは取り巻きと共に今迄と同じように調理を始める。
こうなるとドノデラ達の一挙手一投足に全ての視線が向けられるので、厳しい言葉も投げかけられる。
「おいおい、テメー!手も洗わねーのかよ!」
「何だその切り方!肉が潰れているじゃねーか!俺達冒険者でも武器はしっかりメンテするのに、料理人は刃物の手入れをしねーのかよ?」
だんだんと化けの皮がはがれてしまうこの状況に更に焦り、いつも以上に手際が悪くなる一行。
と同時に、ドノデラを料理長に推した事を知っている冒険者達から厳しい視線を向けられているクノデラの視線も下に移動し、今ではすっかり表情を伺う事が出来ない程に顔を下に向けている。
……ボンッ……ズゴォ~……ダンダン……バキッ……グチョ……
およそ調理中とは思えない音が厨房を支配している。
やがて煙が厨房を包み、食堂にまで煙が充満し始める。
「この野郎!俺達が命がけでとってきている食材を、まともに調理出来ねーのかよ!」
ここでついに冒険者達が完全に切れてしまう。
その理由は至極真っ当な理由であり、ギルドマスターのクノデラもこの状況でドノデラを庇うような行動はとれない。
「う、うるせー。無駄にしたなんて勝手に決めるんじゃねーよ!少しぐらい黙って待ちやがれ!」
もう破れかぶれでドノデラも応戦し、視界が奪われているこの状況では動けない冒険者達は一時大人しくなる。
ここで漸く換気を行う事に気が付いたドノデラの取り巻きによって煙が徐々に薄れ、その後に料理が各机に大皿に乗った状態で乱暴に配られる。
煙が充満していた事からもわかる通りに、全てが黒の物体となり果てた何かが各机に乗っており、誰一人としてその物体に手を伸ばす者はいない。
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