暴走能力によって、いつの間にか大陸に名を轟かせる商会長!

焼納豆

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(14)とある出会い

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 ロイが自らの体力のなさを嘆くのだが、ロイ至上主義の召喚者達はそうは思っていない。

「そのような事はございません、我が主。至高の主に二日も歩かせるような距離のある町が悪いのです。そうだ!町をここまで持ってくるのは如何でしょうか?」

 突然何を言い出すのかと思えば、とんでもない事を平気で言い始めるスペードキングと、“なるほど”と言わんばかりの表情で頷くダイヤ部隊の二人。

 その話を聞いたロイは町を丸々移動させるなど流石にできそうにないのだが、自分ロイの為ならば部隊総出でやりかねないと思い、そこは冷静に断る事にする。

……パチパチ……

 やがて食事も終わってスペードキングはロイの陰に潜り、ダイヤ部隊の二人は片づけを始めている。

 焚火の前に一人座っているロイは、ついさっきスペードキングから周囲の状況を聞いて意識を少し遠くにある荷馬車に乗っている一行に向けている。

 スペードキングとしては主であるロイに危険がない事から黙っていたが、聞かれなければ答える必要のない些細な事を聞かれた為に、しっかりと報告していた。

「スペードクィーン!」

「如何致しましたか、ご主人様」

 各部隊のキング、クィーン、ジャックはそれぞれ同じ顔、同じ声であり、各部隊のエースからテンまでも全て同じなので、呼んで現れた状態でないと誰が誰だかわからないロイ。

 相変らず誰だか良く分からないと、そんな事を考えつつも、目の前に現れているスペードクィーンに荷馬車の情報を集めるように指示をする。

「……でございます、ご主人様」

「ありがとう、戻ってくれ」

 指示をしてから数秒ほどで情報を完全に得たスペードクィーンは、荷馬車の荷台で休んでいる一団の情報をロイに報告していた。

「スペードキングの情報通りだな。どうするか?」

 荷馬車の中にはその装備から冒険者の一団が休んでおり、結構な怪我をしている者が一人いた。

 どうやらその怪我を治す為にロイが向かっている町に向かっているようで、そこの教会に勤めている、熟練度の高い回復魔法を使える神父に診てもらおうとしている途中のようだ。

「俺の足で二日。あの荷馬車だと……一日かからないとしても、厳しいか?」

 傷が化膿して悪化している状況も報告を受けており、残りの命の灯まで聞かされているロイは今夜が山だと聞いているので、このままでは荷台で苦しそうにしている冒険者は助からない。

「袖振り合うも多生の縁……か」

 何故か日本の諺を無意識で呟いているロイとしては助ける事は確定事項なのだが、どうやって助けるかで悩み始める。

 自分が行っても役に立たないが、選択肢としてダイヤ部隊の力で作った効果の高いポーションを渡す事はできる。

 またはハート部隊の誰かを向かわせて光魔法、それで回復しなければ上位版である聖魔法を行使させれば良いのだが、部隊を使えば恐らく作ったような美男美女の顔は覚えられてしまうし、自分の印象に残りそうもない顔も覚えられると後々面倒だと思っている。

「ダイヤキング!」

 ここは最も頭脳の良い召喚者に頼るべきと判断したロイは迷う事なくダイヤキングを召喚して、既に知っているだろうが改めて事情を説明し始める。

「なるほど。では、とある不思議な存在が助けると言う事に致しましょう。そうですね、我が主を頂点とした万屋など如何でしょうか?」

 ダイヤキングの説明を聞いて、一瞬で不安になるロイ。

 またシンロイ商会のように訳の分からない名前の店を作られてはたまらないと思っている。

 その表情を見たダイヤキングは、真剣にこう告げる。

「我が主。シンロイ商会は我が主の表の顔。そして裏の顔として万屋を仕切れば良いのです。裏であるが故に自ら公にせず、活動も秘密裏に。如何でしょうか?」

 悪目立ちする事はなさそうだと安堵したロイは、ダイヤキングの提案を受け入れる。
 いや、受け入れてしまう。

 ロイはトップの頭脳を持つダイヤキングに、一度シンロイ商会なる店の名前をつけられてしまっているのに、残念ながらその反省を活かし切れていなかった。

「では、我らが準備したこのポーションと共に手紙を認め、念のためにスペード部隊に秘密裏に置かせましょう」
 
 裏故に秘密の活動を徹底すると主張するかのように、過剰なまでの対策を提案するダイヤキング。

「わかった。それで頼むよ。スペードテン!」

 早く苦しんでいる冒険者を助けてあげたい事、ダイヤキングの勢いに負けている事もあってスペードテンを召喚後、作業をダイヤキングに任せてしまったロイは自分の想像していない所で万屋の名前が広がって行くきっかけを作ってしまった。

 そんな事には気が付かないまま、笑顔のダイヤキングの顔を見てもう問題ないだろうと思い、ふかふかのベッドで眠るのだった。
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