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(31)スーレシアの行動と……(1)
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「そう言えば、王都とか実家の領地では気にならなかったけど、距離の離れた人数の少ない店舗の商品って、誰が準備しているの?」
あまりにも有り得ない品揃いとショーケースのような魔道具、止めは自分をあからさまにこれ以上ない程持ち上げている説明文を見させられて、何も考えられずに漠然と街道を目的も無く歩いているロイは、既に開店している各店舗の仕入れについてどうしているのか、どうでも良い所が今更ながら気になった。
「ダイヤキングによれば、クラブフォース、フィフス、そして我が部隊のスペードエースが担当しているようです」
陰に潜っているスペードキングからの回答があったのだが、そもそも自分の部隊の状況すら良く把握していないと自白しているに等しい回答だったりする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ある意味呑気に旅を続けているロイがこのような話をしている頃、シンロイ商会の存在と新たな街道ができたおかげで、集落の様な場所が間違いなく栄えるとわかった町民達が盛り上がっているアザヨ町の喧騒で休んですぐに目が覚めてしまったスーレシア達。
「煩いわね!まぁ、昼近くだし仕方がない……か」
恐らくこの喧騒は収まらないだろうと思ったスーレシアは、多少なりともしっかりと休めた事で気を取り直し、町を散策する事にした。
「あれ?思ったよりも……寂れている?」
喧騒しか記憶になかったので、改めてこの町を散策すると少々寂れている事に気が付くスーレシアだが、周辺住民、特に一部の者達は薄汚れて多少の怪我をしたままで生活しているように見えるので、やはり移動してきて正解だったと胸を撫でおろす。
薄汚れた人達と言うのは行方不明扱いになっていた開拓者達であり、商会の開店や街道の出現に驚愕し、更には自分を心配してくれていた人々への謝罪行脚に忙しくて体裁を整える時間がなかった人々だ。
そのような人々は、スーレシアにとってみればジンタ町での経験から、多少困窮しながらも必死で生活をしている肥えたカモに見える。
「フフフ、でも良い町じゃない?拠点はどこにしようかしら?」
以前は教会に根を張ったのだが、同じように教会があればある意味乗っ取れば良いし、なければそれなりの宿なり空き家なりを拠点にすればよいと周辺を散策する。
その最中でも色々な話が耳に入ってくるので、特に商会だの街道だのと言った言葉に気をとられているうちに、出来立てと言わんばかりに立派に整備されている街道に到着する。
町の寂れ具合からどう見てもアンバランスであり、町民達が嬉しそうに不思議な事態だと言っていた事から、この場所が、噂が流れている場所だと判断してそのまま流れに沿って街道を進むと……
「こっちの方が随分と寂れて……と言うよりも、部落?集落?まともな家がないじゃない!」
あまりにも酷い環境であればスーレシアに支払う対価を持っていない可能性が高いので、この場所には客となり得る存在がいないと判断し、一見して不機嫌になる。
「なんでこんな場所に続く街道なんかを嬉しそうに話すのよ!」
と、愚痴を零しながらも荒れている集落モドキの場所を散策すると、小高い丘がある場所にどう考えても場違いな建屋が嫌でも目に入る。
「な、何?なんなの、コレ?」
周囲の人々が店舗に入って行くので、スーレシアも流れに沿って店の中に入り……周囲の町民を見てショーケースの機能に驚愕し、品種に言葉を無くし、品質に腰を抜かしていた。
「で、でも……いくら薬草が沢山あっても、これほどならば相応な値段になるはず。大丈夫よ!」
腐っても回復を行える技術を持っているので関連する知識がある為に、店舗に並んでいる薬草は普通の人々でさえ手が出る金額ではなく、ましてやこのような部落の様な場所に住むような人では購入する事などできないと思っている。
その結果、有り得ない金額の薬草よりも少し値を下げておけば、自分達に癒しを求めてくるはずだと自分を納得させる。
「お母さん、凄いね!この商会。本当に欲しいと思ったら品物がいつの間にか手元に出てきたよ!」
腰を抜かしているスーレシアはこの店に来ている親娘に見える二人が視界に入り、そこにとんでもない美貌を持つ女性、雰囲気からしてこの店舗の店員が近づいてしゃがみこみ、少女に笑顔で説明をしているのを目の当たりにする。
「ようこそ、シンロイ商会へお越しくださいました。今後、このアザヨ町の発展の一助となれるように、皆様に良い品をお安く提供させて頂きます」
「わ~、綺麗なお姉さん!」
「ちょ、ごめんなさい。娘がはしゃいじゃって」
ここまでは、まぁ良くある光景と言える範囲ではあるのだが、店員とのやり取りを最後まで聞く事になったスーレシアは、腰を抜かしているまま完全に動けなくなる。
「綺麗なお姉さん、コレって薬草ですよね?」
「ありがとうございます。お母さまもお気になさらずに。はい、それは当商会自慢の薬草ですので、多少の怪我や病気は直ぐに良くなりますよ?」
「お父さんに買ってあげたいので、いくらか教えて頂けますか?」
値段の話になったので、ここまではまだ動く事が出来たスーレシアは、今後自ら得られる報酬に直結してくる内容なので多少前のめりになる。
スーレシアが判断するに、少女が手にしている薬草の効果は店員がサラッとさも普通の商品のように言っているのだが、その通りに絶大な効果があり、一般的には相当高位の冒険者や貴族達が買う品物だ。
あまりにも有り得ない品揃いとショーケースのような魔道具、止めは自分をあからさまにこれ以上ない程持ち上げている説明文を見させられて、何も考えられずに漠然と街道を目的も無く歩いているロイは、既に開店している各店舗の仕入れについてどうしているのか、どうでも良い所が今更ながら気になった。
「ダイヤキングによれば、クラブフォース、フィフス、そして我が部隊のスペードエースが担当しているようです」
陰に潜っているスペードキングからの回答があったのだが、そもそも自分の部隊の状況すら良く把握していないと自白しているに等しい回答だったりする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ある意味呑気に旅を続けているロイがこのような話をしている頃、シンロイ商会の存在と新たな街道ができたおかげで、集落の様な場所が間違いなく栄えるとわかった町民達が盛り上がっているアザヨ町の喧騒で休んですぐに目が覚めてしまったスーレシア達。
「煩いわね!まぁ、昼近くだし仕方がない……か」
恐らくこの喧騒は収まらないだろうと思ったスーレシアは、多少なりともしっかりと休めた事で気を取り直し、町を散策する事にした。
「あれ?思ったよりも……寂れている?」
喧騒しか記憶になかったので、改めてこの町を散策すると少々寂れている事に気が付くスーレシアだが、周辺住民、特に一部の者達は薄汚れて多少の怪我をしたままで生活しているように見えるので、やはり移動してきて正解だったと胸を撫でおろす。
薄汚れた人達と言うのは行方不明扱いになっていた開拓者達であり、商会の開店や街道の出現に驚愕し、更には自分を心配してくれていた人々への謝罪行脚に忙しくて体裁を整える時間がなかった人々だ。
そのような人々は、スーレシアにとってみればジンタ町での経験から、多少困窮しながらも必死で生活をしている肥えたカモに見える。
「フフフ、でも良い町じゃない?拠点はどこにしようかしら?」
以前は教会に根を張ったのだが、同じように教会があればある意味乗っ取れば良いし、なければそれなりの宿なり空き家なりを拠点にすればよいと周辺を散策する。
その最中でも色々な話が耳に入ってくるので、特に商会だの街道だのと言った言葉に気をとられているうちに、出来立てと言わんばかりに立派に整備されている街道に到着する。
町の寂れ具合からどう見てもアンバランスであり、町民達が嬉しそうに不思議な事態だと言っていた事から、この場所が、噂が流れている場所だと判断してそのまま流れに沿って街道を進むと……
「こっちの方が随分と寂れて……と言うよりも、部落?集落?まともな家がないじゃない!」
あまりにも酷い環境であればスーレシアに支払う対価を持っていない可能性が高いので、この場所には客となり得る存在がいないと判断し、一見して不機嫌になる。
「なんでこんな場所に続く街道なんかを嬉しそうに話すのよ!」
と、愚痴を零しながらも荒れている集落モドキの場所を散策すると、小高い丘がある場所にどう考えても場違いな建屋が嫌でも目に入る。
「な、何?なんなの、コレ?」
周囲の人々が店舗に入って行くので、スーレシアも流れに沿って店の中に入り……周囲の町民を見てショーケースの機能に驚愕し、品種に言葉を無くし、品質に腰を抜かしていた。
「で、でも……いくら薬草が沢山あっても、これほどならば相応な値段になるはず。大丈夫よ!」
腐っても回復を行える技術を持っているので関連する知識がある為に、店舗に並んでいる薬草は普通の人々でさえ手が出る金額ではなく、ましてやこのような部落の様な場所に住むような人では購入する事などできないと思っている。
その結果、有り得ない金額の薬草よりも少し値を下げておけば、自分達に癒しを求めてくるはずだと自分を納得させる。
「お母さん、凄いね!この商会。本当に欲しいと思ったら品物がいつの間にか手元に出てきたよ!」
腰を抜かしているスーレシアはこの店に来ている親娘に見える二人が視界に入り、そこにとんでもない美貌を持つ女性、雰囲気からしてこの店舗の店員が近づいてしゃがみこみ、少女に笑顔で説明をしているのを目の当たりにする。
「ようこそ、シンロイ商会へお越しくださいました。今後、このアザヨ町の発展の一助となれるように、皆様に良い品をお安く提供させて頂きます」
「わ~、綺麗なお姉さん!」
「ちょ、ごめんなさい。娘がはしゃいじゃって」
ここまでは、まぁ良くある光景と言える範囲ではあるのだが、店員とのやり取りを最後まで聞く事になったスーレシアは、腰を抜かしているまま完全に動けなくなる。
「綺麗なお姉さん、コレって薬草ですよね?」
「ありがとうございます。お母さまもお気になさらずに。はい、それは当商会自慢の薬草ですので、多少の怪我や病気は直ぐに良くなりますよ?」
「お父さんに買ってあげたいので、いくらか教えて頂けますか?」
値段の話になったので、ここまではまだ動く事が出来たスーレシアは、今後自ら得られる報酬に直結してくる内容なので多少前のめりになる。
スーレシアが判断するに、少女が手にしている薬草の効果は店員がサラッとさも普通の商品のように言っているのだが、その通りに絶大な効果があり、一般的には相当高位の冒険者や貴族達が買う品物だ。
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