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(59)ハイス子爵家と王家(1)
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「ここの所、随分とハイス子爵の所が栄えている様子ではないか?古龍すら歯牙にもかけぬ収納持ちのリーンが不在となり状況が悪化するかと思ったのだが……」
ソシケ王国の王城では、国王のバレントが宰相と何やらコソコソ話をしており、すっかり例外的な存在になってしまったので首輪が取れてしまったリーンがハイス子爵家の領地、王都の邸宅共に顔を出しておらずに、出来損ないのギルド職員である弟のロイを追いかけて行ったとの情報を掴んでいた。
収納持ち、更には他の魔法も行使する事が出来て古龍すら従える存在だと思っているので、その動向を追うのは当然と言える。
「陛下、実際にリーンが弟であるロイを追いかけて行く前と現在、陛下のご指摘の通りに何ら変化は起きていないようです」
ハイス子爵家の面々、残された使用人や兄であるルホーク、両親のグァイスとテレシアは、ロイに強引に渡す金銭や補給物資の準備をする時間が無くなってしまい少々手持無沙汰になっているだけで、納税や民の暮らしについては上向き続けている。
当然ロイのフォローによるカード部隊が暗躍しているからなのだが、いくら王家の者達が調査を入れようが、流石にカードについてわかる訳もない。
「これだけ調べても何も出てこないのですから、相当内部に入り込まなければ情報は出てこないでしょう」
「……であるか。当然だろうな」
ハイス子爵家の中でロイはあくまでおまけ的な存在と認識している国王なので、最も制御しなくてはならず、且つ子爵家繁栄の要と考えられるリーンを手中に収める方向に軌道修正する。
「では、如何されますか?」
「仕方あるまい。子爵程度が王家の血に混ざるのは腹が立つが、背に腹は代えられぬ。ハンブルの妃……いや、妾として迎えてやろう。どうだ?ブライアン」
「……なるほど。王家として取り込むわけですね。身内になった事で王家を栄えるために謎の力をふるってくれる可能性が高いですが」
差し当たりソシケ王国が傾いているような状況ではないのだが、子爵と言う爵位の低い貴族の所だけが突出して栄えており、その理由が規格外の存在であるリーンにあるのかと思っていた中で、当人が突然ロイを追って出て行ってしまったその後もハイス子爵家の状態に一切変化がない事から、その理由を知って国家として更に栄える……当然王家としても相当な益を手中に収めようとする考えの方が多いのだが、その秘密を知り手に入れようと画策していた。
「はっ、欲の皮が突っ張った国王……精々じゃじゃ馬を抑えたつもりで内部を食い破られないようにするんですね。いいえ、寧ろ食い荒らして崩壊させてもらった方が国の為になるのかもしれません」
面会を終えている国家の頭脳であるブライアンと呼ばれていた宰相だが、この言葉からわかる通り実は王家が嫌いである中で、自分が生まれ育ったこの国、自分の家族も住むこの国家を上手く回そうと必死で働いている人物だ。
その心労からか、就任当初から比べて随分と……良い表現をすればスマートな体形になっており、神経質そうに眼鏡を手入れする姿が良く見られている。
ブライアンがこれだけ王家を嫌うのには訳があり、欲を隠そうともせずに、あたかも国家の為と言う体で益を我が物にしようとする国王と、その国王の血を色濃く継いだ王子の態度に辟易している。
リーンを未来の王妃ではなく妾に向かえると言い切った所も呆れるところなのだが、今の時点で王子であるハンブルに妃がいる訳ではなく、通常王子となれば相手がいて当然なのだが、なるほど!と言わせるほどの容姿をしている。
何を食べればそのようになれるのかと言う程に肥え太り、少し動くだけで脂汗をかいて少々きつめの匂いを撒き散らす存在になっているので、王家に娘を嫁がせれば権力を握れると思っている親であっても、流石に娘を嫁に……とは言えない程の姿で、当然性格も相当に悪い。
何故か自らの益になる事だけには異常に決断と行動が速い国王バレントなので、翌々日にはハイス子爵が王城に呼び出されており、国王と宰相がいる部屋で不思議そうな顔をして座っている。
「ハイス子爵。今日余がその方を呼び出したのは他でもない。収納持ちのリーンの事だ」
「リーン……でございますか?娘は見分を広げると旅に出たロイを追って出て行きましたが?」
「それは知っておる。だが、何時までも永遠に旅に出ていると言う訳でもないだろう?そろそろ良い年に差し掛かっている事もある。そこで、その方に良い話を余自らが持って来てやった。おい、ハンブル!」
「失礼しますよっと。はぁ」
国王の呼びかけで扉が開くと、ギリギリ通れるかと言えるほどに肥え太った次期国王であるハンブルがドスドスと足音を立てて入室してくる。
「よっこいしょっと。はぁ」
少し歩いて座るだけでも相当気怠そうにしており、いちいちため息をつくところも他人をイラつかせる天才と言えるのかもしれない。
―――ギシィ―――ミシミシ―――
国王の部屋に備え付けられている立派なソファーが悲鳴を上げているのだが、国王バレントはまるで意に介さずに話を続ける。
「その方も知っておろう?次期ソシケ王国の国主になる我が息子のハンブルだ。今回、子爵家の娘でありながら、次期国王の妾になる事を許してやる。リーンが戻り次第王城に住む事を許そう」
ハイス子爵だけではなくリーンすらも喜んで受け入れると一切の疑いなく思っている所がおめでたく、この話をこの場で初めて聞いたハンブルも興奮している。
「え?あの収納を持ちながら他の能力も持っているリーン?グフフフ、いいねぇ。可愛がってあげるよ」
ソシケ王国の王城では、国王のバレントが宰相と何やらコソコソ話をしており、すっかり例外的な存在になってしまったので首輪が取れてしまったリーンがハイス子爵家の領地、王都の邸宅共に顔を出しておらずに、出来損ないのギルド職員である弟のロイを追いかけて行ったとの情報を掴んでいた。
収納持ち、更には他の魔法も行使する事が出来て古龍すら従える存在だと思っているので、その動向を追うのは当然と言える。
「陛下、実際にリーンが弟であるロイを追いかけて行く前と現在、陛下のご指摘の通りに何ら変化は起きていないようです」
ハイス子爵家の面々、残された使用人や兄であるルホーク、両親のグァイスとテレシアは、ロイに強引に渡す金銭や補給物資の準備をする時間が無くなってしまい少々手持無沙汰になっているだけで、納税や民の暮らしについては上向き続けている。
当然ロイのフォローによるカード部隊が暗躍しているからなのだが、いくら王家の者達が調査を入れようが、流石にカードについてわかる訳もない。
「これだけ調べても何も出てこないのですから、相当内部に入り込まなければ情報は出てこないでしょう」
「……であるか。当然だろうな」
ハイス子爵家の中でロイはあくまでおまけ的な存在と認識している国王なので、最も制御しなくてはならず、且つ子爵家繁栄の要と考えられるリーンを手中に収める方向に軌道修正する。
「では、如何されますか?」
「仕方あるまい。子爵程度が王家の血に混ざるのは腹が立つが、背に腹は代えられぬ。ハンブルの妃……いや、妾として迎えてやろう。どうだ?ブライアン」
「……なるほど。王家として取り込むわけですね。身内になった事で王家を栄えるために謎の力をふるってくれる可能性が高いですが」
差し当たりソシケ王国が傾いているような状況ではないのだが、子爵と言う爵位の低い貴族の所だけが突出して栄えており、その理由が規格外の存在であるリーンにあるのかと思っていた中で、当人が突然ロイを追って出て行ってしまったその後もハイス子爵家の状態に一切変化がない事から、その理由を知って国家として更に栄える……当然王家としても相当な益を手中に収めようとする考えの方が多いのだが、その秘密を知り手に入れようと画策していた。
「はっ、欲の皮が突っ張った国王……精々じゃじゃ馬を抑えたつもりで内部を食い破られないようにするんですね。いいえ、寧ろ食い荒らして崩壊させてもらった方が国の為になるのかもしれません」
面会を終えている国家の頭脳であるブライアンと呼ばれていた宰相だが、この言葉からわかる通り実は王家が嫌いである中で、自分が生まれ育ったこの国、自分の家族も住むこの国家を上手く回そうと必死で働いている人物だ。
その心労からか、就任当初から比べて随分と……良い表現をすればスマートな体形になっており、神経質そうに眼鏡を手入れする姿が良く見られている。
ブライアンがこれだけ王家を嫌うのには訳があり、欲を隠そうともせずに、あたかも国家の為と言う体で益を我が物にしようとする国王と、その国王の血を色濃く継いだ王子の態度に辟易している。
リーンを未来の王妃ではなく妾に向かえると言い切った所も呆れるところなのだが、今の時点で王子であるハンブルに妃がいる訳ではなく、通常王子となれば相手がいて当然なのだが、なるほど!と言わせるほどの容姿をしている。
何を食べればそのようになれるのかと言う程に肥え太り、少し動くだけで脂汗をかいて少々きつめの匂いを撒き散らす存在になっているので、王家に娘を嫁がせれば権力を握れると思っている親であっても、流石に娘を嫁に……とは言えない程の姿で、当然性格も相当に悪い。
何故か自らの益になる事だけには異常に決断と行動が速い国王バレントなので、翌々日にはハイス子爵が王城に呼び出されており、国王と宰相がいる部屋で不思議そうな顔をして座っている。
「ハイス子爵。今日余がその方を呼び出したのは他でもない。収納持ちのリーンの事だ」
「リーン……でございますか?娘は見分を広げると旅に出たロイを追って出て行きましたが?」
「それは知っておる。だが、何時までも永遠に旅に出ていると言う訳でもないだろう?そろそろ良い年に差し掛かっている事もある。そこで、その方に良い話を余自らが持って来てやった。おい、ハンブル!」
「失礼しますよっと。はぁ」
国王の呼びかけで扉が開くと、ギリギリ通れるかと言えるほどに肥え太った次期国王であるハンブルがドスドスと足音を立てて入室してくる。
「よっこいしょっと。はぁ」
少し歩いて座るだけでも相当気怠そうにしており、いちいちため息をつくところも他人をイラつかせる天才と言えるのかもしれない。
―――ギシィ―――ミシミシ―――
国王の部屋に備え付けられている立派なソファーが悲鳴を上げているのだが、国王バレントはまるで意に介さずに話を続ける。
「その方も知っておろう?次期ソシケ王国の国主になる我が息子のハンブルだ。今回、子爵家の娘でありながら、次期国王の妾になる事を許してやる。リーンが戻り次第王城に住む事を許そう」
ハイス子爵だけではなくリーンすらも喜んで受け入れると一切の疑いなく思っている所がおめでたく、この話をこの場で初めて聞いたハンブルも興奮している。
「え?あの収納を持ちながら他の能力も持っているリーン?グフフフ、いいねぇ。可愛がってあげるよ」
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