前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

文字の大きさ
46 / 170
領地アルダ

<アルダ>建国へ向けて・・<フラウス王国>へ準備(3)

しおりを挟む
 皆で父さんの執務室に到着し、マーニカの紹介、ウェインやその他召喚魔獣との顔合わせ、近衛への装備譲渡と意外とやることがあるので、幹部?を皆集めてもらうことにした。

 各族長・・もちろんガジムもいる。そして俺たち家族、近衛騎士、召喚魔獣、神獣と執務室隣のホールに揃った。

 ここで父より、明日出立する旨伝えられた。

「皆、忙しいところすまない。我ら<アルダ>一族は、近衛とジンの召喚魔獣、神獣を連れて新たな交易先としたい<フラウス王国>に明朝出立することとした。<フラウス王国>は<シータ王国>と一切の交流がないため、残念ながら何の情報もない。ただ、壁には一部門のようなところがあるので、こちらから向こうへは行けるはずだ。今回の交渉は何としても成功させたいと思っている」

「防衛はどのような体制になるのでしょうか?」

 龍人族の族長が聞いてきた。外の警備を担当しているので当然の反応だな。

「ここにいる召喚魔獣のリーダーであるウェインと、見事な魔法防壁を作成したドワーフ族族長のガジムを主体に防衛してもらおうと考えている。実は<魔界森>と<神猫>の内部にいる魔獣も軽くコントロールできるらしく、魔獣は領内には決して攻めないが、領外の者は攻撃対象になる可能性があるから、そのあたりの注意点はウェインからしてもらう。細かいコントロールはできないらしい。大まかなコントロールはウェインに実施してもらうことになっている」

「改めまして、大役を仰せつかりましたウェインです。ダン様がおっしゃったとおり、迷宮内部にいるときに命令はできるのですが、命令を実行しようと外に出た瞬間から追加の命令はできなくなるため、細かい制御ができません。よって、王族の皆様が<フラウス王国>に行かれている間に敵が来た場合は、外で迎え撃つのではなく、即<アルダ王国>内に帰還いただき、門を閉鎖します。その後防衛班で対処が厳しい状態となってしまった場合に迷宮より魔獣を出現させて挟み撃ちとすることにします」

「承知した」

 龍人族以外の族長もうなずいてくれている。

「もしそのような事態に陥った場合には、敵の気配を察知した時点で<神猫>攻略者は強制的にジン様の<神の権能>をお借りし私ウェインが<アルダ王国>内部に転移させます」

 うん、一応穴はないかな。うまく行きそうな気がする。
 そういえば、<シータ王国>や他の辺境伯の情報はどうなっているんだろうか?

「ウェイン、今諜報部隊は既に配置が終わっているので、俺がいない間の報告は全て受けて貰い、必要な情報を俺達に直接<念話>で飛ばしてくれないか?」

「承知しました」

 よし、これで情報も徐々に入ってくるだろう。

 そして、一度解散し各族長は退出していった。

 最初に父さん母さんに、ドロップの指輪を渡した。

「父さん、母さん、この指輪を受け取ってほしい。これは光魔法Lv2と危機回避Lv2が使えるようになるもので、万が一の時に回復や危険を回避できるんだ」

 そうして父さんに光魔法の指輪、母さんに危機回避の指輪を渡した。

 そもそものLvがない状態ではこのドロップはメリットがあまりないかもしれない。
 しかし、スキルを持たない者でも使用できるため、練度を上げればドロップに依存しないで使用できるようになる・・つまりスキルを得られて、Lvも上げられるのだ。

 このドロップの凄まじい性能は実はそこではなく、どんなLvにいるものでも必ず指定のLv分だけ上昇できることにある。

 そもそも人族最強と言われている<S:帝級>クラスになると、スキルのLvは<Lv5・・上級>程度になる。
 この高いLvから一つLvを上げるのは至難の業なのだ。

 そのため、必ず指定Lvが上がるドロップというのは、破格の性能と言える。

 父さんはある程度体を動かせるので、万が一には自分にも回復魔法を掛けることができるだろう。

 母さんは、おっとりしていて動きも少し遅いので、致命傷を受けると回復する術がないかもしれない。 
 そんな状態を防ぐために母さんに危機回避を付けて貰うことにした。

 影に潜む護衛とは、逆の性能を持たせる形をとったのだ。

「「ジン、ありがとう」」

 二人が指輪を付けて、優しく抱きしめてくれた。
 暖かい。本当に暖かいんだよ。こんな前世の記憶がある俺を無条件で受け入れてくれて・・・

 ありがとう。


 よし、気を取り直して近衛だ。
 ちょうどミーナには聞いていた通りの装備だし・・・きっと水晶さんも聞いていたんだろう。

 
 母さんの近衛騎士、魔族のオルド。
  <槍:帝級>
 
 姉さんの近衛騎士、魔族のハルド。彼はオルドの弟だ。
  <双刀:帝級>

 兄さんの近衛騎士、猫獣人のミーナ。
  <手足装甲:帝級>

 の腕輪をそれぞれ渡した。
 彼らは嬉しそうに腕輪を装着し

「「「ジン様、ありがとうございます(にゃあ)、今装備を出してみてもいいでしょうか(にゃ)?」」」


「もちろんだよ」

 皆が装備を展開すると、腕輪が発光し、
  オルドには、持ち手は黄金、刃は銀の槍が。
  ハルドには、銀の刀と、赤の刀2本の刀が
  ミーナには、黄色のガントレット、茶色のソルレット
 が装備された。

 一見して明らかに力が上がっているのがわかる状態で、彼らもあまりの力の上昇に若干戸惑っているようだ。

 当然俺の近衛騎士ラムと父さんの近衛騎士二コラは同レベルの装備を持っていて既に腕輪を付けている。

「ジンよ、素晴らしいな。何の力もないこの私にも、明らかに尋常ではないほど近衛騎士達の力が上昇しているのがわかる」

 流石は父さんだ。

「少し力が上昇しすぎているから、上手くコントロールして装備に振り回されないように若干鍛錬した方が良いかもしれないね?」

 ということで、ラムと二コラも含む近衛騎士全員は鍛錬場に喜々として向かって行った。

 ここの鍛錬場は、俺が産まれる前にガジム率いるドワーフ族が整備したらしく、少々暴れても周りには被害が出ない優れものらしい。

 今の状態であれば、場内で護衛は必要ないと伝えてようやく行ってくれたのだ。
 本当は皆すぐにでも装備を使いたさそうにしていたのにね・・本当に忠誠心が高いよ。

 そして残ったのは、俺の家族と神獣だけとなった。
 そこで、俺はお土産?用のドロップを取り出し説明した。

----------
名 称:風魔法の指輪
効 果:風魔法スキルLv1UP × 1

名 称:土魔法の指輪
効 果:土魔法スキルLv1UP × 1
----------

「父さん母さんにつけて貰ったものと同じで、風と土のLv1を付与できる指輪になっているんだ。これも相当レアなので、喜んでもらえると思う」

「そうか、ただこのドロップアイテムを装備して初めてわかることだが、これは性能が高すぎるのではないか?今回は建国した<アルダ王国>と交易という交渉のため友好的に行くが、<フラウス王国>も人族至上主義、他種族排他主義であれば摩擦は避けられないだろう。その可能性が捨てきれない状態であまりにも性能の良い、戦力状況アイテムというのは若干腰が引けてしまうな」

「父さん、大丈夫だよ。正直個数も2つだし、俺たちの近衛や影に潜む護衛の契約魔獣Lvでは全く問題なく対処できるから。それにこれは国宝という事にしてもう在庫はないと言っておけば恩も売れるし、追加で要求してくることもないでしょ?」

 一応俺も父さんと同じ懸念はあったのだが、全方向敵だらけのこの状態では多少はデメリットを受け入れてでも良い印象を与える必要があると考えたのだ。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...