63 / 170
<アルダ王国>として
国際会議(4)・・開催
しおりを挟む
<ロガリア王国>の王都にある会場で会議は実施されるのだが、前にも紹介した通り、普通に馬車で行けば凡そ一ヵ月の道のりだ。
俺達は<転移>を使用して瞬時に移動することにしているが、他の国はどうしているのかが気になった。
そもそも具体的な会議開催日の連絡が直接俺達には来ないのだ。
この会議への参加は俺達の建国をこの世界中に宣言すると共に、<ゴルデア王国>と<フラウス王国>の承認を正式に得ていることを宣言し、国家として完全に認められることを目的としている。
このあたりを父さんが<ゴルデア王国>のシャプール国王と、<フラウス王国>のリンデム国王と話をした結果、最終的にはこの二カ国からの招待という形で参加することとしていたため、何れかの国から開催日や移動方法の連絡があるはずなのだ。
と先日までやきもきしていた。
そもそも、俺達<アルダ王国>と<フラウス王国>は隣国であり、開催国との距離が両国とも馬車で一ヵ月程度なのだ。
しかし、先日<フラウス王国>のリノス第二王子を通して、開催日が15日後であると連絡が来た。
<転移>を使用しなければ到底間に合う時間ではないが、実は会議開催時点で、<フラウス王国>が作成した魔道具を次回開催国と参加国に配っており、この魔道具を使用すると瞬時に開催国側に転移することができるので、移動時間を考える必要がないそうなのだ。
この魔道具を使用した転移の情報を得て俺達は防衛についても改めて考えたが、特に大きな変更は必要ないだろうと判断した。
仮に<シータ王国>が会議終了後即自国に戻り転移・・または自国に戻る座標を指示する魔道具を、俺たちの領地近くに移動しておいて、そちらに転移した・・としても、俺達自体が即帰還できるので問題ないのだ。
しかし、そんなアイテムまで作成してしまうとは・・さすがは<フラウス王国>だ。このおかげかはわからないが、<フラウス王国>は他の国と比べると発言力があるらしい。
こうなると、<ロガリア王国>の管理体制が甘いのは理解できた。
転移されてしまえばいくら入国を厳しくしてもどうしようもない。
俺だったら、<ロガリア王国>の王都ではなく、門の外に転移させて各自のチェックを行うけどね。
・・というよりも、普通はするよな?直前に会場と共にウェインに調べておいてもらおう。
そうそう、今回は<フラウス王国>と共に転移させてもらうこととした。
防衛体制、出立方法、同行者、護衛全てが決定し、あとは会議直前の諜報部隊からの最新情報の入手とウェインの調査結果を待つだけとなり、ゆったりとした日々を過ごしていた。・・ロイド兄さん以外・・。
ロイド兄さんは今後領主になった時の事も含めて勉強漬けにされており、もはや精気が完全に失われている状態になっている。そして・・その勉強の様子を見ている・・見続けさせらている近衛騎士のミーナも何故か青白い顔をしているが、放っておこう。
そうしていよいよ開催日になった。会議自体は昼を食べながら進むとのことで、朝に転移すれば問題ない。
父さん、ソフィア姉さん、俺、近衛騎士である二コラ、ハルド、ラム、そして影に潜る神獣のソラ、トーカ、シロ、モモだ。
シロとモモは俺、ソラはソフィア姉さん、トーカは父さんの影に潜ってもらうこととした。
この配置にもひと悶着あったのだが・・この話は良いだろう。
諜報部隊の情報は目新しい物はないが、<シータ王国>のLvアップ作業はどうやら終了しているらしかった。この会議があるために一時的に中断しているのかもしれないが、今後の動きを更に警戒する必要がある。
ウェインの報告は、やはりというか当たり前だが、転移先の座標を記す魔道具は領地外に置かれていたそうだ。会議開催会場は変わりなく緩い警備だそうで、継続して参加メンバーに振る舞われる食事や飲み物に対する警戒を実施してくれる。
正直<危険察知>や<光魔法>でどうとでもなりそうな気がするが、<シータ王国>の属国である<ロガリア王国>が開催国になっている為、警戒しすぎて悪いことはないな。
そして朝一番で参加メンバー皆を<転移>で<フラウス王国>まで連れて行き、<フラウス王国>の参加者であるリンデム国王、そして<フラウス王国>から一緒に帰還してきたリノス第二王子、彼らの護衛合計4名と魔道具を使用して<ロガリア王国>入口近くに転移した。
既にいくつかの王国は到着しているようで入口には若干の列ができているが、大した検査もないので比較的スムーズに入国することができた。もちろん俺の後ろには続々到着する国家代表が列を作っていたが・・
そして、俺達の席は今回の会議参加提案国である<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の隣・・この2つの国に両サイドを挟まれた位置になっている。
会議の席は中央部分が低く外周に行く程高くなっていて、会場を上から見下ろすと、丁度三日月状に席が並んでいる形となっている。
その三日月形状が欠けている部分に、今回の開催国である<ロガリア王国>の国王が座り、進行を行うらしい。
<シータ王国>は、俺達とはちょうど反対側・・つまり直接顔を正面から見られる位置に座っている。
国王ドルロイ、辺境東伯ザイド、辺境南伯ロウンが参加者の様だ。
俺達はこの会議で国として認められる予定のため、体裁上ソフィア姉さんを連れてきてはいるが、他の国は安全上の観点からかは分からないが、護衛を除き今のところ男性しか見ていない。
一部若い王族がちらちらソフィア姉さんやラムを見ている。
二人ともきれいだからね。でも残念でした。ソフィア姉さんには偶然?隣に座っているリノス王子と良い感じだもんね。ラムは分からないけど・・
そうこうしている内に続々と各国の王族と護衛がこの会議室に入室し、席が埋まってきた。
この段階で<神の権能>を使用してLvの高い要注意人物を探しておこう。
と思ったが、モモから<念話>で、
『ご主人様、この会場での最大戦力は事前にお話しされていた通り、<シータ王国>の護衛で<S:帝級>の三人で間違いありません。この領内にいる者でそれ以上の者も現在の所はおりません』
と影の中から教えてくれた。
『ありがとう』
モモ達も、この会議で何が起こるかわからないので警戒してくれている。
『ウェイン、聞こえるか?まもなく配膳が開始されそうだが、そっちの状況はどうだ?』
『ジン様、材料や調理につきましては全く問題がありません。配膳中の混入については今警戒をしているところです』
こっちも問題なさそうだ。皆と連絡を取っている間に、開催国国王が挨拶を始めた。
「これより定例の国際会議を始める。今回の議題としては<ゴルデア王国>と<フラウス王国>から出されている新国家承認の件と、各国の産業に関する報告、特に地下迷宮産出品の二つとなる。まずは経済問題になっている地下迷宮産出品から先に意見を求めたい」
すると、<シータ王国>ドルロイ国王が早速こちらを牽制してきた。
「<シータ王国>のドルロイだ。皆も知っている通り我が国には4大地下迷宮と言われている<神>の名を冠する地下迷宮が4つあり、それぞれを辺境の東南西北に分けて辺境伯として管理させていた。それぞれの産出品は特色があり、いまだ浅層しか攻略できていないが、装備系、ポーション等のアイテム系、付与系アイテム、そして魔法のスキルを得やすい環境・・また討伐した魔獣自体も高Lvの物が多く、素材や食料としていた。いたのだが、今目の前に座っているそこの辺境北伯が謀反を起こし、どんな手を使ったかわからないが4大地下迷宮に入ることができなくなっていて、そのせいで辺境東、南、西については産業が成り立たず、領民が離脱する事態が起きている。このような暴挙を世界が許していいのかこの場で問いかけたい」
言いたいだけ言うと、ドカ・・と音を立てて激しく椅子に座った。
正直俺達にしてみれば今更何を言っているのかと言う所だが、今まで通りに自分の意見が賛同されるものだと思っているのだろう。
すかさず父さんが、
「皆さん、先程紹介頂きました今回この会議にて国家承認を頂く予定の<アルダ王国>初代国王、ダン・アルダと言います。今話がありました通り、確かに以前私は<シータ王国>辺境北伯をしておりましたが、激しい他種族差別、我が<アルダ>領地への嫌がらせや各種妨害に耐えかねて、今回建国を決意した次第です。<神>の名を冠する4大地下迷宮の進入禁止につきましては、私は一切何もしておりません。と言うよりもできる力を持っておりません。そもそも最大戦力と普段豪語しているどこぞの国でも低層しか攻略できていない・・と言っているのになぜ私がそのような大それた事をできるのか不思議でなりません。私からは以上です」
流石父さん。嫌味も織り交ぜる所が素晴らしい。
<シータ王国>のドルロイ国王はイライラし始めている。
そこへ、各国王族の前に配膳が行われ始めた。
ここの料理おいしいんだよな。
そんなことを考えていると、ウェインより
『ジン様、入室直前で何やら<アルダ王国><フラウス王国><ゴルデア王国>の配膳に異物・・ジン様の<神の権能>をお借りしてみると、毒物が混入されました。飲み物には何も入っておりませんので食べ物は口にしないようお伝えください』
やはり来たか。
そう思い、事前に<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の会議参加メンバーには緊急時には<念話>で連絡する旨伝えておいたので、報告を入れた。
俺達は<転移>を使用して瞬時に移動することにしているが、他の国はどうしているのかが気になった。
そもそも具体的な会議開催日の連絡が直接俺達には来ないのだ。
この会議への参加は俺達の建国をこの世界中に宣言すると共に、<ゴルデア王国>と<フラウス王国>の承認を正式に得ていることを宣言し、国家として完全に認められることを目的としている。
このあたりを父さんが<ゴルデア王国>のシャプール国王と、<フラウス王国>のリンデム国王と話をした結果、最終的にはこの二カ国からの招待という形で参加することとしていたため、何れかの国から開催日や移動方法の連絡があるはずなのだ。
と先日までやきもきしていた。
そもそも、俺達<アルダ王国>と<フラウス王国>は隣国であり、開催国との距離が両国とも馬車で一ヵ月程度なのだ。
しかし、先日<フラウス王国>のリノス第二王子を通して、開催日が15日後であると連絡が来た。
<転移>を使用しなければ到底間に合う時間ではないが、実は会議開催時点で、<フラウス王国>が作成した魔道具を次回開催国と参加国に配っており、この魔道具を使用すると瞬時に開催国側に転移することができるので、移動時間を考える必要がないそうなのだ。
この魔道具を使用した転移の情報を得て俺達は防衛についても改めて考えたが、特に大きな変更は必要ないだろうと判断した。
仮に<シータ王国>が会議終了後即自国に戻り転移・・または自国に戻る座標を指示する魔道具を、俺たちの領地近くに移動しておいて、そちらに転移した・・としても、俺達自体が即帰還できるので問題ないのだ。
しかし、そんなアイテムまで作成してしまうとは・・さすがは<フラウス王国>だ。このおかげかはわからないが、<フラウス王国>は他の国と比べると発言力があるらしい。
こうなると、<ロガリア王国>の管理体制が甘いのは理解できた。
転移されてしまえばいくら入国を厳しくしてもどうしようもない。
俺だったら、<ロガリア王国>の王都ではなく、門の外に転移させて各自のチェックを行うけどね。
・・というよりも、普通はするよな?直前に会場と共にウェインに調べておいてもらおう。
そうそう、今回は<フラウス王国>と共に転移させてもらうこととした。
防衛体制、出立方法、同行者、護衛全てが決定し、あとは会議直前の諜報部隊からの最新情報の入手とウェインの調査結果を待つだけとなり、ゆったりとした日々を過ごしていた。・・ロイド兄さん以外・・。
ロイド兄さんは今後領主になった時の事も含めて勉強漬けにされており、もはや精気が完全に失われている状態になっている。そして・・その勉強の様子を見ている・・見続けさせらている近衛騎士のミーナも何故か青白い顔をしているが、放っておこう。
そうしていよいよ開催日になった。会議自体は昼を食べながら進むとのことで、朝に転移すれば問題ない。
父さん、ソフィア姉さん、俺、近衛騎士である二コラ、ハルド、ラム、そして影に潜る神獣のソラ、トーカ、シロ、モモだ。
シロとモモは俺、ソラはソフィア姉さん、トーカは父さんの影に潜ってもらうこととした。
この配置にもひと悶着あったのだが・・この話は良いだろう。
諜報部隊の情報は目新しい物はないが、<シータ王国>のLvアップ作業はどうやら終了しているらしかった。この会議があるために一時的に中断しているのかもしれないが、今後の動きを更に警戒する必要がある。
ウェインの報告は、やはりというか当たり前だが、転移先の座標を記す魔道具は領地外に置かれていたそうだ。会議開催会場は変わりなく緩い警備だそうで、継続して参加メンバーに振る舞われる食事や飲み物に対する警戒を実施してくれる。
正直<危険察知>や<光魔法>でどうとでもなりそうな気がするが、<シータ王国>の属国である<ロガリア王国>が開催国になっている為、警戒しすぎて悪いことはないな。
そして朝一番で参加メンバー皆を<転移>で<フラウス王国>まで連れて行き、<フラウス王国>の参加者であるリンデム国王、そして<フラウス王国>から一緒に帰還してきたリノス第二王子、彼らの護衛合計4名と魔道具を使用して<ロガリア王国>入口近くに転移した。
既にいくつかの王国は到着しているようで入口には若干の列ができているが、大した検査もないので比較的スムーズに入国することができた。もちろん俺の後ろには続々到着する国家代表が列を作っていたが・・
そして、俺達の席は今回の会議参加提案国である<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の隣・・この2つの国に両サイドを挟まれた位置になっている。
会議の席は中央部分が低く外周に行く程高くなっていて、会場を上から見下ろすと、丁度三日月状に席が並んでいる形となっている。
その三日月形状が欠けている部分に、今回の開催国である<ロガリア王国>の国王が座り、進行を行うらしい。
<シータ王国>は、俺達とはちょうど反対側・・つまり直接顔を正面から見られる位置に座っている。
国王ドルロイ、辺境東伯ザイド、辺境南伯ロウンが参加者の様だ。
俺達はこの会議で国として認められる予定のため、体裁上ソフィア姉さんを連れてきてはいるが、他の国は安全上の観点からかは分からないが、護衛を除き今のところ男性しか見ていない。
一部若い王族がちらちらソフィア姉さんやラムを見ている。
二人ともきれいだからね。でも残念でした。ソフィア姉さんには偶然?隣に座っているリノス王子と良い感じだもんね。ラムは分からないけど・・
そうこうしている内に続々と各国の王族と護衛がこの会議室に入室し、席が埋まってきた。
この段階で<神の権能>を使用してLvの高い要注意人物を探しておこう。
と思ったが、モモから<念話>で、
『ご主人様、この会場での最大戦力は事前にお話しされていた通り、<シータ王国>の護衛で<S:帝級>の三人で間違いありません。この領内にいる者でそれ以上の者も現在の所はおりません』
と影の中から教えてくれた。
『ありがとう』
モモ達も、この会議で何が起こるかわからないので警戒してくれている。
『ウェイン、聞こえるか?まもなく配膳が開始されそうだが、そっちの状況はどうだ?』
『ジン様、材料や調理につきましては全く問題がありません。配膳中の混入については今警戒をしているところです』
こっちも問題なさそうだ。皆と連絡を取っている間に、開催国国王が挨拶を始めた。
「これより定例の国際会議を始める。今回の議題としては<ゴルデア王国>と<フラウス王国>から出されている新国家承認の件と、各国の産業に関する報告、特に地下迷宮産出品の二つとなる。まずは経済問題になっている地下迷宮産出品から先に意見を求めたい」
すると、<シータ王国>ドルロイ国王が早速こちらを牽制してきた。
「<シータ王国>のドルロイだ。皆も知っている通り我が国には4大地下迷宮と言われている<神>の名を冠する地下迷宮が4つあり、それぞれを辺境の東南西北に分けて辺境伯として管理させていた。それぞれの産出品は特色があり、いまだ浅層しか攻略できていないが、装備系、ポーション等のアイテム系、付与系アイテム、そして魔法のスキルを得やすい環境・・また討伐した魔獣自体も高Lvの物が多く、素材や食料としていた。いたのだが、今目の前に座っているそこの辺境北伯が謀反を起こし、どんな手を使ったかわからないが4大地下迷宮に入ることができなくなっていて、そのせいで辺境東、南、西については産業が成り立たず、領民が離脱する事態が起きている。このような暴挙を世界が許していいのかこの場で問いかけたい」
言いたいだけ言うと、ドカ・・と音を立てて激しく椅子に座った。
正直俺達にしてみれば今更何を言っているのかと言う所だが、今まで通りに自分の意見が賛同されるものだと思っているのだろう。
すかさず父さんが、
「皆さん、先程紹介頂きました今回この会議にて国家承認を頂く予定の<アルダ王国>初代国王、ダン・アルダと言います。今話がありました通り、確かに以前私は<シータ王国>辺境北伯をしておりましたが、激しい他種族差別、我が<アルダ>領地への嫌がらせや各種妨害に耐えかねて、今回建国を決意した次第です。<神>の名を冠する4大地下迷宮の進入禁止につきましては、私は一切何もしておりません。と言うよりもできる力を持っておりません。そもそも最大戦力と普段豪語しているどこぞの国でも低層しか攻略できていない・・と言っているのになぜ私がそのような大それた事をできるのか不思議でなりません。私からは以上です」
流石父さん。嫌味も織り交ぜる所が素晴らしい。
<シータ王国>のドルロイ国王はイライラし始めている。
そこへ、各国王族の前に配膳が行われ始めた。
ここの料理おいしいんだよな。
そんなことを考えていると、ウェインより
『ジン様、入室直前で何やら<アルダ王国><フラウス王国><ゴルデア王国>の配膳に異物・・ジン様の<神の権能>をお借りしてみると、毒物が混入されました。飲み物には何も入っておりませんので食べ物は口にしないようお伝えください』
やはり来たか。
そう思い、事前に<フラウス王国>と<ゴルデア王国>の会議参加メンバーには緊急時には<念話>で連絡する旨伝えておいたので、報告を入れた。
0
あなたにおすすめの小説
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。
帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。
しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。
自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。
※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。
※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。
〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜
・クリス(男・エルフ・570歳)
チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが……
・アキラ(男・人間・29歳)
杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が……
・ジャック(男・人間・34歳)
怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが……
・ランラン(女・人間・25歳)
優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は……
・シエナ(女・人間・28歳)
絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます
竹桜
ファンタジー
ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。
そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。
そして、ヒロインは4人いる。
ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。
エンドのルートしては六種類ある。
バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。
残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。
大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。
そして、主人公は不幸にも死んでしまった。
次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。
だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。
主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。
そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる