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<シータ王国>VS<アルダ王国>
<シータ王国>の出撃と緊張
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『ジン様、<シータ王国>にいる諜報部隊から緊急報告です。いよいよ部隊編成をして出撃準備を整えているとの事。詳細は分かり次第都度ご報告します』
神獣の皆と<魔界森>の塔4階層の模様替えを終了して、ラムは<魔界森>外周に植林や作物を作成、俺達は5階層のソファでのんびりしていると、突然ウェインから連絡が来た。
いよいよ来たか。
まずはやつらの移動方法だな。魔道具関連で転移されるとこちらにあっという間に到着してしまう。
そして、戦略だ。何やら怪しい動きをしているという報告は受けていたが、詳細はつかめないままなのだ。
こちらが大同盟を組み、カードシステム関連で忙しかった状況は少なくとも理解しているだろう。その間に攻めてこず、このタイミングにしたという事は何か奥の手があり、準備が整ったと見るべきだ。
『ウェイン、先ずは父さん、そして幻獣部隊と近衛騎士、ガジムを始めとした族長に即報告をしてくれ。そしてこれからの報告は皆一斉に聞けるように<念話>を飛ばして。ラムにはこちらから伝えておく』
『承知しました』
『もう一つ、速報として大同盟の各国王にも連絡をお願いするように父さんに伝えておいて。俺達もすぐ<アルダ王国>に戻る』
『承りました』
「皆、いよいよ<シータ王国>が攻めてくるようだ。一旦<アルダ王国>に戻ろう」
「「「「わかりました」」」」
即、塔の外に転移し、ラムに声をかけて帰還した。
帰還中に俺達が持つカードから、緊急事態宣言なる告知が出てきた。
詳細も書かれているようだが、読まずに帰還を優先した。
父さんの執務室に向かうと、各部族の長、重鎮A、B、ソフィア姉さん、ロイド兄さん、近衛騎士、両ギルドの長、リノス第二王子が既に執務室の隣の円卓のある部屋に集まっていた。
血生臭い話になるので、母さんは欠席だ。なので、母さんの護衛担当である近衛騎士のオルドと幻獣のレイラもいない。
俺達が入室したら、父さんが、
「皆揃ったな。ウェインから報告があった通り、いよいよ<シータ>のやつらが攻めてきそうだ。速報だけに今後の動きは分からないが、同盟国には既に一報入れてある。そしておそらく最初の攻撃対象になっている我が国の国民に対しては、カードを通して緊急事態の宣言を実施した。今の時点で最悪の事態に備えて荷物を纏めている最中だろう。せっかくカードの運用も安定して大同盟もうまく機能し始めたところで余計な横やりだが、国民、そして大同盟のため迎撃する」
「お任せください。このガジム、何人たりとも城壁を超えさせません。迎撃部隊のエルフ族も良いな?」
「もちろん準備は整っている。我らが国民には指一本触れさせん」
とそこに重鎮A、Bが参戦してきた。
「いや我のこの魔道具・・「いやいや我の魔道具こそ・・・」」
相変わらず重鎮A、Bはこの緊迫した場面でもマイペースだ。
とりあえず彼らは遊撃と言う名の放置で勝手にしてもらうとしたところ、魔道具の最終調整をしたいと言って退出してしまった。
確か五感のうち2つをランダムで奪う魔道具と、大気を密集して一気に開放する疑似的な風魔法の魔道具だったな。
「以前防衛関連の話をしていた時にジンから指摘があったが、彼らの移動方法によってこちらが対処できる時間に大きな差が出る。常に最悪の事態を想定する必要があるので、転移魔道具を使用されると見ておいた方が良いだろう。そしてやつらには何やら奥の手がありそうだという事だ。この情報は今この時まで詳細をつかめていない。ウェイン、この場にいるメンバーに常に最新の情報が伝わるように頼む」
父さんが改めで場を仕切ってくれた。
「かしこまりました。現在の状況を報告いたします。ダン様そしてジン様のご指摘の通り<シータ王国>は転移魔道具を準備しており、移動は魔道具で間違いなさそうです。そして、部隊の状況ですが・・国王以外は全員<A:上級>と<S:帝級>です。装備に関しては・・少々お待ちください・・・<A:上級>部隊の装備は何やら鑑定できないようです。という事は、この装備が奥の手かもしれません。装備は槍、弓、剣、短剣、杖・・盾もあるようです。そして<S:帝級>の装備はドロップアイテムですが、一本のみ<剣:上級>があり、その他は全て<中級>アイテムとの報告です」
今現在通信しながら報告をしてくれている。
この報告によれば、<A:上級>に鑑定できない程の良い装備を持たせていることになる。
いや、鑑定できないだけで、良い装備ではないのか??
あいつらもこちらが装備を鑑定できること位は分かっているだろう。
それを踏まえた陽動か?わからない。
「皆、聞いた通りだ。ステータスの低い者に良い装備を与えて、戦力を均等にしているのか、ウェインの言う通り何かの秘策なのか・・もし秘策だとしたら、なぜLvの低い者に良い装備を持たせるのかがわからない」
父さんも困惑しているようだ。
ともあれ、間もなくこの<アルダ王国>魔法防壁近くに来ることは間違いない。
既にカードによる緊急事態宣言がなされており、魔法防壁の外にいる者は中に続々と入ってきている。
カードシステムのおかげでスムーズに入国できるので、あいつらの襲撃前には皆魔法防壁内部に避難することができるだろう。
避難が終了し次第門は閉鎖される。
<神猫>内部にいる者については、1階層入口近傍は避難が間に合いそうだが、いつ<シータ王国>が来るかわからないので、全員<神猫>の中にいて貰うことにした。
<神猫>の入退場管理をしている者にその旨伝え、その者も<神猫>に避難してもらうのだ。もちろん水晶さんに伝えて、この緊急事態が終了するまで<神猫>に魔獣は出てこないようにした。
ので、残念ながら、<神猫>の魔獣を使用した挟み撃ちは使用できない。
魔獣にはあまり複雑な命令はできないので仕方がない・・この戦法は準備時間がある時のみ使用できるのだという事がわかっただけでも今回は良しとしよう。
「父さん、<神猫>は内部にいる冒険者と入退場を管理している者の避難所にしたため、魔獣を出せない。なので、以前話したことのある挟み撃ちはできないよ」
「そうか、わかった。住民の避難だが、<魔界森>に避難する前提で動いてもらっている。魔法防壁に対して少しでも損傷を与えるような事態や、不測の事態が生じた場合にはカードを通して即避難指示を出す。今回の方針は、防御はもちろんの事、二度とこのようなことが起きないように積極的に狩り尽くせ!!」
着席している者も一気に立ち上がり、父さんに深く一礼して退出していった。
「父さん、姉さん、兄さん、万が一住民が避難することになったとすると、避難先に力のある物が少しはいないと不安になると思うので、王族である皆にはそちらのケアをお願いしたいんだけど。この場にいない母さんもね」
「いや、ジン、何を言うんだ。俺がブァーっと蹴散らせば済むことだろ?」
「そうですよ、あなたを守るために私たちは強くなったのですからね?」
「国王である私が、戦闘している者を残して国から離れるわけにはいかん!」
皆想像通りの答えだった。
「そうだよね、気持ちはわかるけど・・皆父さんを始めとして俺達王族のために動いてくれているんだよ?父さんたちが残ったら、戦闘部隊も避難できなくなるよ?それに、兄さんは緊急時に意思の疎通が難しいし、姉さんはリノス王子を守らなきゃ。そうそう、父さん、<魔界森>も国土だから、国から離れることにはならないよ!」
屁理屈も混ぜてみたが、皆考え込んでしまった。
すると、何か忘れ物でもしたのか族長が再度入室してきた。
代表してドワーフ族長ガジムが、
「失礼します。実は各部族の戦闘能力がなく、移動に時間がかかりそうな者を先行して<魔界森>に避難させて頂きたくお伺いに来ましたが・・申し訳ありません。聞く気はなかったのですが聞こえてしまいました。ジン様の仰る通り、王族の皆様には皆と一緒に避難していただきたい。これは国民全員の総意です。そこだけは絶対に譲れません。むしろ先行して移動させて頂く者と共に<魔界森>に行っていただきたい。連絡などは魔道具を使えば容易にできるはずです。なにとぞ!!」
一斉に頭を下げてきた。運良く?俺の後押しをしてくれる形になったな。
どうやら皆一時避難してくれそうな感じだ。いままでの忠誠から、決して折れてくれないとわかっているのだろう。
でも、俺は残るよ?わかってるよね??
「むぅ、わかった。そこまで言われるならば避難しよう。しかし、近衛騎士と幻獣は戦闘に参加させるぞ!」
父さんは折衷案を提示してきた。
「いえ、誰も護衛がいないのも問題です。避難民がそこまで状況が悪いのか・・と不安になる可能性があるからです。よって、そうですね・・先程の会議でもいらっしゃらなかったヤリス様の護衛担当である、近衛騎士のオルド殿と幻獣のレイラ殿は<魔界森>に同行していただくことでいかがでしょうか?いえ、そうしていただきます」
半ば強引に戦闘態勢が決定した。
その後すぐに一時避難が開始されたのだ。
神獣の皆と<魔界森>の塔4階層の模様替えを終了して、ラムは<魔界森>外周に植林や作物を作成、俺達は5階層のソファでのんびりしていると、突然ウェインから連絡が来た。
いよいよ来たか。
まずはやつらの移動方法だな。魔道具関連で転移されるとこちらにあっという間に到着してしまう。
そして、戦略だ。何やら怪しい動きをしているという報告は受けていたが、詳細はつかめないままなのだ。
こちらが大同盟を組み、カードシステム関連で忙しかった状況は少なくとも理解しているだろう。その間に攻めてこず、このタイミングにしたという事は何か奥の手があり、準備が整ったと見るべきだ。
『ウェイン、先ずは父さん、そして幻獣部隊と近衛騎士、ガジムを始めとした族長に即報告をしてくれ。そしてこれからの報告は皆一斉に聞けるように<念話>を飛ばして。ラムにはこちらから伝えておく』
『承知しました』
『もう一つ、速報として大同盟の各国王にも連絡をお願いするように父さんに伝えておいて。俺達もすぐ<アルダ王国>に戻る』
『承りました』
「皆、いよいよ<シータ王国>が攻めてくるようだ。一旦<アルダ王国>に戻ろう」
「「「「わかりました」」」」
即、塔の外に転移し、ラムに声をかけて帰還した。
帰還中に俺達が持つカードから、緊急事態宣言なる告知が出てきた。
詳細も書かれているようだが、読まずに帰還を優先した。
父さんの執務室に向かうと、各部族の長、重鎮A、B、ソフィア姉さん、ロイド兄さん、近衛騎士、両ギルドの長、リノス第二王子が既に執務室の隣の円卓のある部屋に集まっていた。
血生臭い話になるので、母さんは欠席だ。なので、母さんの護衛担当である近衛騎士のオルドと幻獣のレイラもいない。
俺達が入室したら、父さんが、
「皆揃ったな。ウェインから報告があった通り、いよいよ<シータ>のやつらが攻めてきそうだ。速報だけに今後の動きは分からないが、同盟国には既に一報入れてある。そしておそらく最初の攻撃対象になっている我が国の国民に対しては、カードを通して緊急事態の宣言を実施した。今の時点で最悪の事態に備えて荷物を纏めている最中だろう。せっかくカードの運用も安定して大同盟もうまく機能し始めたところで余計な横やりだが、国民、そして大同盟のため迎撃する」
「お任せください。このガジム、何人たりとも城壁を超えさせません。迎撃部隊のエルフ族も良いな?」
「もちろん準備は整っている。我らが国民には指一本触れさせん」
とそこに重鎮A、Bが参戦してきた。
「いや我のこの魔道具・・「いやいや我の魔道具こそ・・・」」
相変わらず重鎮A、Bはこの緊迫した場面でもマイペースだ。
とりあえず彼らは遊撃と言う名の放置で勝手にしてもらうとしたところ、魔道具の最終調整をしたいと言って退出してしまった。
確か五感のうち2つをランダムで奪う魔道具と、大気を密集して一気に開放する疑似的な風魔法の魔道具だったな。
「以前防衛関連の話をしていた時にジンから指摘があったが、彼らの移動方法によってこちらが対処できる時間に大きな差が出る。常に最悪の事態を想定する必要があるので、転移魔道具を使用されると見ておいた方が良いだろう。そしてやつらには何やら奥の手がありそうだという事だ。この情報は今この時まで詳細をつかめていない。ウェイン、この場にいるメンバーに常に最新の情報が伝わるように頼む」
父さんが改めで場を仕切ってくれた。
「かしこまりました。現在の状況を報告いたします。ダン様そしてジン様のご指摘の通り<シータ王国>は転移魔道具を準備しており、移動は魔道具で間違いなさそうです。そして、部隊の状況ですが・・国王以外は全員<A:上級>と<S:帝級>です。装備に関しては・・少々お待ちください・・・<A:上級>部隊の装備は何やら鑑定できないようです。という事は、この装備が奥の手かもしれません。装備は槍、弓、剣、短剣、杖・・盾もあるようです。そして<S:帝級>の装備はドロップアイテムですが、一本のみ<剣:上級>があり、その他は全て<中級>アイテムとの報告です」
今現在通信しながら報告をしてくれている。
この報告によれば、<A:上級>に鑑定できない程の良い装備を持たせていることになる。
いや、鑑定できないだけで、良い装備ではないのか??
あいつらもこちらが装備を鑑定できること位は分かっているだろう。
それを踏まえた陽動か?わからない。
「皆、聞いた通りだ。ステータスの低い者に良い装備を与えて、戦力を均等にしているのか、ウェインの言う通り何かの秘策なのか・・もし秘策だとしたら、なぜLvの低い者に良い装備を持たせるのかがわからない」
父さんも困惑しているようだ。
ともあれ、間もなくこの<アルダ王国>魔法防壁近くに来ることは間違いない。
既にカードによる緊急事態宣言がなされており、魔法防壁の外にいる者は中に続々と入ってきている。
カードシステムのおかげでスムーズに入国できるので、あいつらの襲撃前には皆魔法防壁内部に避難することができるだろう。
避難が終了し次第門は閉鎖される。
<神猫>内部にいる者については、1階層入口近傍は避難が間に合いそうだが、いつ<シータ王国>が来るかわからないので、全員<神猫>の中にいて貰うことにした。
<神猫>の入退場管理をしている者にその旨伝え、その者も<神猫>に避難してもらうのだ。もちろん水晶さんに伝えて、この緊急事態が終了するまで<神猫>に魔獣は出てこないようにした。
ので、残念ながら、<神猫>の魔獣を使用した挟み撃ちは使用できない。
魔獣にはあまり複雑な命令はできないので仕方がない・・この戦法は準備時間がある時のみ使用できるのだという事がわかっただけでも今回は良しとしよう。
「父さん、<神猫>は内部にいる冒険者と入退場を管理している者の避難所にしたため、魔獣を出せない。なので、以前話したことのある挟み撃ちはできないよ」
「そうか、わかった。住民の避難だが、<魔界森>に避難する前提で動いてもらっている。魔法防壁に対して少しでも損傷を与えるような事態や、不測の事態が生じた場合にはカードを通して即避難指示を出す。今回の方針は、防御はもちろんの事、二度とこのようなことが起きないように積極的に狩り尽くせ!!」
着席している者も一気に立ち上がり、父さんに深く一礼して退出していった。
「父さん、姉さん、兄さん、万が一住民が避難することになったとすると、避難先に力のある物が少しはいないと不安になると思うので、王族である皆にはそちらのケアをお願いしたいんだけど。この場にいない母さんもね」
「いや、ジン、何を言うんだ。俺がブァーっと蹴散らせば済むことだろ?」
「そうですよ、あなたを守るために私たちは強くなったのですからね?」
「国王である私が、戦闘している者を残して国から離れるわけにはいかん!」
皆想像通りの答えだった。
「そうだよね、気持ちはわかるけど・・皆父さんを始めとして俺達王族のために動いてくれているんだよ?父さんたちが残ったら、戦闘部隊も避難できなくなるよ?それに、兄さんは緊急時に意思の疎通が難しいし、姉さんはリノス王子を守らなきゃ。そうそう、父さん、<魔界森>も国土だから、国から離れることにはならないよ!」
屁理屈も混ぜてみたが、皆考え込んでしまった。
すると、何か忘れ物でもしたのか族長が再度入室してきた。
代表してドワーフ族長ガジムが、
「失礼します。実は各部族の戦闘能力がなく、移動に時間がかかりそうな者を先行して<魔界森>に避難させて頂きたくお伺いに来ましたが・・申し訳ありません。聞く気はなかったのですが聞こえてしまいました。ジン様の仰る通り、王族の皆様には皆と一緒に避難していただきたい。これは国民全員の総意です。そこだけは絶対に譲れません。むしろ先行して移動させて頂く者と共に<魔界森>に行っていただきたい。連絡などは魔道具を使えば容易にできるはずです。なにとぞ!!」
一斉に頭を下げてきた。運良く?俺の後押しをしてくれる形になったな。
どうやら皆一時避難してくれそうな感じだ。いままでの忠誠から、決して折れてくれないとわかっているのだろう。
でも、俺は残るよ?わかってるよね??
「むぅ、わかった。そこまで言われるならば避難しよう。しかし、近衛騎士と幻獣は戦闘に参加させるぞ!」
父さんは折衷案を提示してきた。
「いえ、誰も護衛がいないのも問題です。避難民がそこまで状況が悪いのか・・と不安になる可能性があるからです。よって、そうですね・・先程の会議でもいらっしゃらなかったヤリス様の護衛担当である、近衛騎士のオルド殿と幻獣のレイラ殿は<魔界森>に同行していただくことでいかがでしょうか?いえ、そうしていただきます」
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