前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる

焼納豆

文字の大きさ
102 / 170
大同盟

大同盟の交流・・(26)大会2日目 終了後

しおりを挟む
 大会2日目の試合がすべて終了し、一旦王都にある王城に戻って休んだ。
 闘技場周りの出店、闘技場で行われた素晴らしい戦いに、<アルダ王国>の国民は元より、同盟各国から来てくれている人々も大満足頂けたはずだ。

 そして翌日早朝から幹部達と、昨日の感想、今日の懸案事項や動きについて打ち合わせを行っている。

 幻獣達や、護衛についてくれていた近衛達も、交代で闘技場周りの出店を堪能することができている。
 やはり一番話題に出てくるのは<ベネチカット王国>の疑似観光!
 だが、この空中遊覧型の疑似観光は、<神狼>の町にある闘技場前でしか経験することができないのが残念だ。必要な道具が足りずに、ここにしか出店できなかったために、こうなってしまっている。

 しかし、この模擬観光、<フラウス王国>や<ゴルデア王国>の技術供与があったとしても、素晴らしい出来栄えだったのだ。
 来場者を楽しませる方法が素晴らしいし、記憶に残る為、今後現実的に<ベネチカット王国>の集客に大きく寄与できるだろう。

 と、そこで、ウェインに【諜報部隊】のメンバーから連絡が入ったそうで、一旦会話から抜けて席を外した。
 まもなく席に戻ってきたが、報告が俺達の予想の上を言っていた。
 そう、あの<シータ王国>のドルロイ王が、奥の手を展開したようなのだ。

 丁度幹部全員が在籍している為、この場で報告と対策を考えることとした。

「ウェイン、早速今掴んでいる情報を教えてくれ」

「承知しました。【諜報部隊】隊員からの報告によりますと、現在<シータ王国>に潜入している者からの報告になりますが、<シータ王国>のドルロイが、異世界からの召喚術を決行したようなのです。と言うのも、その召喚によってこの世界に来た者の一名と接触したようで、その者が言うには合計6名の異世界召喚術を決行したようです。この情報から、明らかにドルロイはまだ<アルダ王国>への侵攻をあきらめていないように見えるため、至急本人と接触し情報を得ると共に、ドルロイを捕獲・連行してきます」

 あの時、止めを刺さなかったのが悔やまれる。次はないと警告しておいたのだが・・もしまたこちらに被害を出すようなことをしたら、確実に止めを出す必要があるだろう。

 父さんがウェインに指示をだす。

「ウェインよ、至急その者と接触して情報を得てくれ。6名召喚と言っていたが、その者は1名なのか?また、その者は<アルダ王国>に対して無害なのかは最低でも今この場で確認させて報告してくれ」

「・・・その召喚されたものは一名でおり、既に魔道具によるチェックも問題なかったようで<アルダ王国>に害意はないそうです。参考までに、<アルダ王国>に来ることを望んでおり、年はジン様と同じ程度、男性との事です」

「わかった。では早速その者と接触後、ドルロイを連れて来てくれ」

「承知しました。それでは」

 そういい、ウェインは<転移>していった。

「モモ、ドルロイの行動はどう思う?宝物庫では俺達に害を与える可能性がある物はあそこにある物が全てと言った。真偽も確認した上での回答なので間違いないはずだが?」

「わかりません。ただ、召喚の理由を考えると、<シータ王国>の復興の為に召喚したのではなく、<アルダ王国>に対しての戦力として召喚したと考える方が妥当だと思います。シロは何かわかりますか?」

「おそらくですが、ドルロイ自身が何かのアイテムを身に着けていたのではないでしょうか?その場合は、あの時点では全てのアイテムは宝物庫に存在していることになりますし・・悪知恵の働きそうな王でしたから」

 なるほど、それならばあの場で嘘は言っていないことになる。
 確かに俺が質問した瞬間には、<アルダ王国>に対して害を与えるアイテムはあの宝物庫の中に全てがあった。

 してやられたと言う所か。

 程無くして、ウェインよりエレノアを現場に来させるように依頼が来た。
 ウェイン自体はドルロイの捕獲に向かい、エレノアが<転移>で召喚者を連れてくるためだそうだ。

 もちろん許可を出し、即この場からエレノアも<転移>でいなくなった。

「ジンよ、いきなり召喚されて異界の地に来た右も左もわからぬ若者が、私のように王といきなり謁見などとなると心労が多いだろう。年が近いという事らしいので、お前がまずはあってくれないか?護衛はラム、そして神獣の皆、更には幻獣部隊がいれば問題ないだろう」

「わかったよ。じゃあとりあえず謁見の間に行ってくるね」

 そして皆と謁見の間に移動し、話をしながら召喚者を待った。もちろん玉座には座っていないよ。

「異世界の召喚者って、もし本当・・いや、真偽のマジックアイテムを使って確認しているはずだから本当なのだろう。でも異世界と言っても広いと思うんだ。どこの世界から来たんだろう。もし、もしもだよ?俺達がいた世界から来た人だったら、色々聞けるんじゃないかな」

「そうですね、そうだとすると、とても楽しそうですね。でも、時間軸はどの様になっているかわかりません。私達は、ご主人様がこちらの世界に来ていただけるまでは100年の時を過ごしています。なので、仮に日本から来た方だとしても、どの時代から来た方かは・・同じ時代の方だと良いのですが」

 そうだった。同じ時代から転生した俺達も100年以上こっちの世界に来るタイミングがずれていたんだ。

「どの時代だったとしても、いや、かなり昔だと話が全く通じないかもしれないけど、ある程度近代的な時代に生まれて来てくれた人であれば、時間をかけずに仲良くなれるんじゃないかな。・・しまった!髪の毛の色や目の色を聞いておくんだった。そうすれば少なくとも大体の国は想像できたのに!!」

「ジン、もうすぐ会えるんだから、今更しょうがないでしょ?」

「トーカの言う通りよ、もうちょっとの我慢ね」

 トーカとソラが俺を落ち着かせてくれた。

 すると、護衛の位置にいる幻獣のユフロから、エレノアが召喚者と共に入国門に到着した旨連絡してくれた。
 
 いよいよだ。どんな挨拶が良いかな。

 きっとかなり緊張しているだろう。場合によっては命の危険さえも感じているかもしれない。なるべく友好的に、緊張を解く感じで行かないと。

 俺が逆の立場なら、ここにいる絶世の美女に囲まれている時点で緊張マックスだが・・・
 でも、もしもかなりのイケメンだったら、そして、あのクズの北野のような奴だったら・・いやいや、魔道具のチェックも終わっているし問題ないはずだ。

 なんだか俺も緊張して考えが纏まらない。
 神獣の4人にが優しく俺を包んでくれて落ち着きを取り戻したところで、いよいよ召喚者を連れてエレノアが謁見の部屋の前の扉までやってきた。

 そして扉を開いて入ってくる。
 その者を見て、俺と神獣の4人は完全に思考が停止してしまった。
  
 おそらくそんな俺達を見ている幻獣の皆は、若干動揺しているだろう。

 しかし、俺達の思考が停止するのもしょうがない。前の世界で唯一と言っていい親友である斎藤雄二がそこにいたのだから・・・

 何故か不思議なハチマキ・・男とプリントされている物をしているが、こいつは俺を励まそうとするときは何故か不思議なアイテムをプレゼントしてくれていた。

 そして、決して自分はそのようなアイテムをつけないのだ。唯一着けるのは、俺に渡す直前までつけるくらいで、普段どんなもの・・たとえ目立たない物でもつけていることは見たことがない。

 そう考えると、この何とも言えないハチマキは俺に渡すために準備していた物のはずだ。

 俺の前世での唯一と言っていい心残り。大親友が何の因果かドルロイの再度の悪だくみに巻き込まれてしまったのだが、結果的に俺達の再開の一助となったのだ。

 こうして俺達は、想像もしない世界で運命的な再開を果たした。
 
 この世界では雄二はユージになっているらしいが、このユージをここまで連れて来てくれた・・いや、ユージをここに来るきっかけを与えてくれたのは、【諜報部隊】の猫獣人であるキャムで、ユージと一緒に同行してきてくれている。
 
 ウェインの計らいで、少しでも慣れた人が同席する方が良いだろうとの事で、一時任務を中断して同行してくれているそうなのだ。
 
 キャムよ、よくやった!!
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

悪役顔のモブに転生しました。特に影響が無いようなので好きに生きます

竹桜
ファンタジー
 ある部屋の中で男が画面に向かいながら、ゲームをしていた。  そのゲームは主人公の勇者が魔王を倒し、ヒロインと結ばれるというものだ。  そして、ヒロインは4人いる。  ヒロイン達は聖女、剣士、武闘家、魔法使いだ。  エンドのルートしては六種類ある。  バットエンドを抜かすと、ハッピーエンドが五種類あり、ハッピーエンドの四種類、ヒロインの中の誰か1人と結ばれる。  残りのハッピーエンドはハーレムエンドである。  大好きなゲームの十回目のエンディングを迎えた主人公はお腹が空いたので、ご飯を食べようと思い、台所に行こうとして、足を滑らせ、頭を強く打ってしまった。  そして、主人公は不幸にも死んでしまった。    次に、主人公が目覚めると大好きなゲームの中に転生していた。  だが、主人公はゲームの中で名前しか出てこない悪役顔のモブに転生してしまった。  主人公は大好きなゲームの中に転生したことを心の底から喜んだ。  そして、折角転生したから、この世界を好きに生きようと考えた。  

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

処理中です...