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結果は①
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普通の会話ではあるもののやはり幸次の結果については少々気になるので、伍葉が幸次だけを指名するのではなく、二人の手ごたえを聞いている。
「私は、いつもと同じくらいだと思います」
「当然余は全て満点だぞ?」
少しだけ自信なさげな吉田もどんなに悪くとも総合で400点を切った事は無いのだが、未だ散々な成績しか記録に残っていない幸次は500点満点だと自信満々だ。
「流石は幸次君ね。でも、満点って意外と難しいのよ?私も絶対間違いないと思っていたけれどいくつか間違っていたことがよくあったわね……」
「あっ!先生、わかります!」
伍葉と吉田が共感しているので敢えて否定するような事はしないが、幸次としては絶対の自信がある。
こんな会話がなされた後に解散し、翌日生徒達が休日を満喫している間に教師は出勤して採点に勤しんでいる。
「伍葉先生!」
教育実習生なのだが担任の仕事を職員室で行っている伍葉の元に、時間をおいてそれぞれの科目を受け持っている教師が驚きと共に訪問してきた。
そして翌日……
「はい!皆さん昨日は羽目を外しすぎませんでしたか?今日は朝から各教科のテスト返却の後に球技大会になりますから、よろしくお願いします」
「お!いよいよ誰かさんの学生最終日となる訳だ!」
相変わらず煩い石崎を無視する形で国語から返却される事になるのだが、ここ相律学園では定期テストの返却は担任が纏めて実施するのでそう時間がかからずに全教科が返却されたうえで、総合順位、点数等の資料も各個人に配布される。
「では、国語のトップベスト3を発表します」
伍葉は今回の賭けの結果を既に把握しているので余裕の表情を保ちつつも、他の担任からのアドバイスを受けた……今後の目標にさせてやる気を出させる一つの手法として各科目で順位を発表してから返却する事にした。
「では第三位!91点の吉田さん!」
―――パチパチパチ―――
未だ石崎からの虐めの影響が残っているのでクラスの拍手はまばらになっているのだが、一際大きな拍手を隣に座る幸次が笑顔でしてくれているので全く気にならなくなっている吉田は、笑顔で幸次と伍葉に軽く一礼する。
「では第二位です!吉田さんと本当に僅差でした。92点の原君!」
原は当然と言わんばかりの表情をしているのだが、内心一位ではない事に納得しておらず、自分以上の点数をたたき出した人物が想像できなかったのだ。
「おいおい、相変らずスゲーな、原!」
二位であっても92点であれば幸次などに負けるわけがないと思っている石崎は、一位は自分ではない事だけは分かっている上で原を褒め称える。
「それでは第一位です。何と100点満点。中々取れない満点で一位を勝ち取ったのは!三島 幸次君!おめでとう!」
「余として本気を出した以上、至極当然の結果だが……」
ニヤリと笑い後ろを振り向き、石崎と原の茫然としている顔を見て満足したのか正面に向き直る幸次。
「では、他の方も出席番号順にテストを返却します……」
「おい!なんであんなバカが満点なんだよ!負けちまっているじゃねーか!」
まさかの一科目目からの敗北に焦り始める石崎だが、頭で負けた事が受け入れられない原は自分を鼓舞する意味もあって大丈夫だと言い張る。
「まだ一科目だけだ。それもたった8点差。偶然国語が得意になったか、山が当たったんだろう?今回は5教科総合だから全く問題ない!」
何時もとは違う雰囲気に少々気後れした石崎は、確かにその通りだと納得させられて大人しくなるのだが……賭けについて詳細を把握し、書面すら準備していた伍葉の落ち着いた態度が何を意味するのか、所詮高校一年生の井の中の蛙では理解する事は出来なかった。
「はい、国語は終わりました。今回のテストのどの科目もそうですが、理解しきれていないと思った箇所については各科目担当の先生に遠慮なく聞いて下さいね。次は、英語です!これは私が担当させて頂いている科目ですから気になっていましたが、クラス平均は65点でした。前回の平均が58点でしたから、頑張って頂けたのが嬉しいです」
担任としての活動や科目を受け持った活動期間は短いが、やはり自分が携わった科目に対して目に見えた成果が出ると嬉しい伍葉だ。
「はい、同じようにベスト3です!先ずは第三位!89点の原君!」
この時点でかなり不安になってきた原と石崎。
いつもの成績を見れば一位か二位に吉田が入っているのは間違いないのだが、残り一枠に幸次がいる可能性が捨てきれないからだ。
「第二位は、吉田さん!惜しかったですね。一問間違いの98点です!」
こうなると一位は満点以外に有り得ず、少し前の国語の発表を思い出してしまう石崎と原は、無意識で嫌でも目に入る幸次の後ろ姿を見てしまう。
「では第一位。吉田さんの点数からわかる通りに100点満点での一位は、国語と同じく三島 幸次君!素晴らしいです。頑張りましたね!」
「私は、いつもと同じくらいだと思います」
「当然余は全て満点だぞ?」
少しだけ自信なさげな吉田もどんなに悪くとも総合で400点を切った事は無いのだが、未だ散々な成績しか記録に残っていない幸次は500点満点だと自信満々だ。
「流石は幸次君ね。でも、満点って意外と難しいのよ?私も絶対間違いないと思っていたけれどいくつか間違っていたことがよくあったわね……」
「あっ!先生、わかります!」
伍葉と吉田が共感しているので敢えて否定するような事はしないが、幸次としては絶対の自信がある。
こんな会話がなされた後に解散し、翌日生徒達が休日を満喫している間に教師は出勤して採点に勤しんでいる。
「伍葉先生!」
教育実習生なのだが担任の仕事を職員室で行っている伍葉の元に、時間をおいてそれぞれの科目を受け持っている教師が驚きと共に訪問してきた。
そして翌日……
「はい!皆さん昨日は羽目を外しすぎませんでしたか?今日は朝から各教科のテスト返却の後に球技大会になりますから、よろしくお願いします」
「お!いよいよ誰かさんの学生最終日となる訳だ!」
相変わらず煩い石崎を無視する形で国語から返却される事になるのだが、ここ相律学園では定期テストの返却は担任が纏めて実施するのでそう時間がかからずに全教科が返却されたうえで、総合順位、点数等の資料も各個人に配布される。
「では、国語のトップベスト3を発表します」
伍葉は今回の賭けの結果を既に把握しているので余裕の表情を保ちつつも、他の担任からのアドバイスを受けた……今後の目標にさせてやる気を出させる一つの手法として各科目で順位を発表してから返却する事にした。
「では第三位!91点の吉田さん!」
―――パチパチパチ―――
未だ石崎からの虐めの影響が残っているのでクラスの拍手はまばらになっているのだが、一際大きな拍手を隣に座る幸次が笑顔でしてくれているので全く気にならなくなっている吉田は、笑顔で幸次と伍葉に軽く一礼する。
「では第二位です!吉田さんと本当に僅差でした。92点の原君!」
原は当然と言わんばかりの表情をしているのだが、内心一位ではない事に納得しておらず、自分以上の点数をたたき出した人物が想像できなかったのだ。
「おいおい、相変らずスゲーな、原!」
二位であっても92点であれば幸次などに負けるわけがないと思っている石崎は、一位は自分ではない事だけは分かっている上で原を褒め称える。
「それでは第一位です。何と100点満点。中々取れない満点で一位を勝ち取ったのは!三島 幸次君!おめでとう!」
「余として本気を出した以上、至極当然の結果だが……」
ニヤリと笑い後ろを振り向き、石崎と原の茫然としている顔を見て満足したのか正面に向き直る幸次。
「では、他の方も出席番号順にテストを返却します……」
「おい!なんであんなバカが満点なんだよ!負けちまっているじゃねーか!」
まさかの一科目目からの敗北に焦り始める石崎だが、頭で負けた事が受け入れられない原は自分を鼓舞する意味もあって大丈夫だと言い張る。
「まだ一科目だけだ。それもたった8点差。偶然国語が得意になったか、山が当たったんだろう?今回は5教科総合だから全く問題ない!」
何時もとは違う雰囲気に少々気後れした石崎は、確かにその通りだと納得させられて大人しくなるのだが……賭けについて詳細を把握し、書面すら準備していた伍葉の落ち着いた態度が何を意味するのか、所詮高校一年生の井の中の蛙では理解する事は出来なかった。
「はい、国語は終わりました。今回のテストのどの科目もそうですが、理解しきれていないと思った箇所については各科目担当の先生に遠慮なく聞いて下さいね。次は、英語です!これは私が担当させて頂いている科目ですから気になっていましたが、クラス平均は65点でした。前回の平均が58点でしたから、頑張って頂けたのが嬉しいです」
担任としての活動や科目を受け持った活動期間は短いが、やはり自分が携わった科目に対して目に見えた成果が出ると嬉しい伍葉だ。
「はい、同じようにベスト3です!先ずは第三位!89点の原君!」
この時点でかなり不安になってきた原と石崎。
いつもの成績を見れば一位か二位に吉田が入っているのは間違いないのだが、残り一枠に幸次がいる可能性が捨てきれないからだ。
「第二位は、吉田さん!惜しかったですね。一問間違いの98点です!」
こうなると一位は満点以外に有り得ず、少し前の国語の発表を思い出してしまう石崎と原は、無意識で嫌でも目に入る幸次の後ろ姿を見てしまう。
「では第一位。吉田さんの点数からわかる通りに100点満点での一位は、国語と同じく三島 幸次君!素晴らしいです。頑張りましたね!」
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