【完結】蘇り令嬢と髑髏(しゃれこうべ)令息〜復讐も地味に地道に〜

ジュレヌク

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第十一章セリ12歳

セリ12歳〜空気全開!突撃隠密潜入〜

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「うわー、げっそりするわー」


セージさんからもたらされた情報を片手に、私は、棒読みのような驚きの声をあげる。

あのチューベローズさんが手玉に取っていたのは、なんと最上位学年の男性陣の過半数。

しかも、学年担当の教師にまで手を出していた。

怪しい薬を使って、今までに体験したこともないような快感を味わわせてくれる。

その甘い言葉に、次々引っかかったようだ。

しかも、深みにハマった生徒達には、娼館まで斡旋していた。

こう考えると、私が、前世で娼館に売られたのも、どうやら彼女の差金のように思える。

だって、無実を訴える私を鼻で笑った面々は、報告書に書かれている人達と同じ顔ぶれだから。

でも、良かった、ルドベキア様やケイトウお兄様のご学友が毒牙にかからなくて。

学年毎に校舎が分けられていたことが、功を奏したみたい。

さーて、皆のお陰で、彼女の行動パターンは、分かったわ。

毎週金曜の夕方は、オダマキ殿下とお出掛けのようね。

私は、この時の為に育てていた薬草『ハシリドコロ』のエキスを入れた小瓶をポケットの中で握り込んだ。

つい先程、怪しい薬が、彼女の手に渡ったことはセージさんの配下の少年から連絡済み。

なんでも、


「俺が渡したんで、間違いありません」


だそうだ。

密売人を途中で捕まえて、なりすましたらしい。

貴方達、一体何者?

東の国には、隠密行動を得意とする集団がいるとは聞いたことがあるけど。

それは、聞かぬが花ですよと笑われてしまったわ。

解せぬ。

それはさておき、さぁて、そろそろ私の出陣ね!



スタスタスタスタスタスタスタスタ



特に何かを気にするわけでもなく、最上学年の棟へと足を踏み入れる。

制服は、全学年同じ。

私と良く似た髪色の生徒も山盛り。

『空気』が見える人なんて、いないしねぇ~。

途中、綺麗なお姉様に絡むタチの悪そうな男子生徒二、三人に、蹴りを入れつつ目的の場所へと急ぐ。

そこは、チューベローズ嬢の控室兼密会部屋。

セージさんの配下の方が作ってくれた合鍵で難なく中に入る。

いや、だから、何者なのよ。

セージさんまで盗賊団の首領みたいに見えてきたわ。

元は、空き教室みたいだけど、貢物で飾られて、まるで高級娼婦の特別室みたい。

猫のような足のついたソファーは、真っ赤なベルベット仕様。

置かれたクッションは、ゴールド。

目がチカチカするわ!

私は、部屋を一瞥すると、豪華な化粧台の前まで歩いた。

大体ねー、娼婦が大事なものを隠す場所なんて、決まっているのよ。

それは、化粧台の引き出しに作った二重底の下。

自分だけしか触らない、男には触らせない、不可侵のテリトリー。

案の定、一番上の引き出しに鍵が掛かっていた。

でも、大丈夫。

私は、厚手の紙を一枚ポケットから取り出して、引き出しの上の隙間に差し込んだ。

そのままスライドすると回転式の鍵に引っかかり、カチリと開いた音がする。

ふふふ、前世で何回鍵をなくした妹分の引き出しを開けてやったと思ってるのよ。

引き出しを開けて、悪趣味なアクセサリーを退け、底蓋を開けると、そこには白い陶器の小瓶が並んでいた。

ひーふーみー…。

数えてみると、六本もあった。

うわー、大繁盛ね。

私は、中身を全て別の容器に移すと、持ってきた『ハシリドコロ』のエキスを入れた。

適量を使えば薬として使えるけど、量を間違えれば、幻覚や目眩、異常興奮を引き起こす。

私は、細心の注意を払って液体を小瓶に移した。

飲みすぎたら、死に至ることもある危険な物だから。

作業を終えると、私は、何もなかったかのように全てを元の状態に戻し、部屋に鍵をかけてその場を立ち去った。

オダマキ殿下、貴方がイケナイ事をしなければ、何も起こらないはずだけど、さぁて、どうなるかしら?
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