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ココナッツクッキーは、空港で買うべからず。硬くて、高くて、無念が残る。
しおりを挟むダナン旅行初日、遅延の洗礼を受けたのは、懐かしい思い出。
中途半端な時間しか無かった為、先にお土産を買おうとGOダナンへGOした我らは、格安土産として大量のココナッツクッキーを買った。
クッキーと言うより、超絶薄いクラッカーのようなもの。数枚ずつ個包装され、ばら撒くのに最高。
味は、最初薄味だが、噛めば噛むほどココナッツの含みが感じられる。
極薄なので、お年寄りの歯にも、とても優しい。なるべく水分と共に食したほうが良いのは、御愛嬌だ。
じゃないと、口内の水分を持ち去られてしまう。
必要最低限しか買わないケチな私は、来る前から必要個数を何度も確認し、サクッと購入。
釣られるように他の皆も買ったのは、想定内。
閉館の音楽と、翻訳機で「締まります」って見せてくる店員に押し出された為、他の面々は、どうやら買い物欲が不完全燃焼だったようだ。
次の日の観光後も、疲れた体に無鞭打って、再びタクシーに向かうメンバー三人。最年長は、追加のドライマンゴーを彼女達に頼み、早々にお風呂に入り、眠りについた。
だから、もう、御土産なんて、ちゃんと買い揃えられたと思うじゃないか!
それなのに、帰りの空港で、土産が足りないと騒ぎ出す最年長。他の人と違う物は駄目だとおっしゃるので、手分けして、ココナッツクッキーを探す。
無論、すぐに見つかる。なにせ、御土産だ。そして、その値段は、ドル表記。
桁数の多いベトナムドンに慣れ始めていた私達には、ドル表記は、安いような錯覚に陥る。
だが、現在のレートに換算すると、かーなーりーお高い。
「同じ物じゃないの?」
「え?パッケージ、激似だけど?」
「時間ないよ」
「ドン、使い切っちゃった」
最後の最後で、ドタバタ、ドタバタ。
結局、カードを切って、その怪しげなココナッツクッキーを購入。
あーやれやれ、無事に終わったと思っていたが、帰国後、一袋余ったからと、最年長がお茶菓子に空港で買ったココナッツクッキーを振る舞ってくれた時に衝撃の事実を知る。
カチッ
一口目、お菓子を噛んだとは思えない音がした。
「気をつけて、コレ、硬いよ」
「え?」
「瓦せんべい並に硬い」
サクサク歯ごたえをイメージしていた我らの前に、ガリガリ食感のココナッツクッキーが現れた。
厚みも、スーパーのものの三倍はある。歯が通らない。
「舐めてたら、柔かくならない?」
「無理したら、噛めなくもないよ」
どちらが本物のココナッツクッキーかなんて、私達には分からない。
もしかしたら、スーパーの方がバッタモンなのかもしれない。
でも、私達の期待してたのはコレじゃない感に、空気が沈む。
「ま、御土産だし」
慰めにもならない言葉を最年長にかける。
しかし、その御本人は、ココナッツクッキーの硬さに勝てず、コーヒーにポチャンと浸していた。
今、私は、あの激硬ココナッツクッキーが、お年寄りの手に渡っていないことだけを祈っている。
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