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14 処女ならどんな穴でもいい

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魔法少女だと……? あれ、俺は男じゃなかったのか?
もしかして生まれてくる性別を間違えたとか……。

「魔法少女かニャ……」
「なんだ知ってるのか?」
「当然ニャ! これでも神の手下ニャ!」

今までは突っ込まなかったけど、神の手下ってかなりの自虐じゃね?

「で、魔法少女ってなんだ?」
「魔法少女は……処女にしかなれない少女ニャ」
「……は?」
「処女にしかなれ」
「うん、もういい」

いや、あの……。神様? 俺をどうしたいんでしょうか。
チートとかチートじゃないとか関係なく、無理ゲーなんですけど……。

「俺、魔法少女になれなくね? 穴、ないし」
「なにを言ってるニャ? 穴ならあるニャ」

モコが指差す先を追ってみると、俺のケツだった。

「ま、待て。落ち着いて話そう」

そもそもケツって処女に入んのか? え、処女にしかなれないってくらいだから、もっと高潔で純粋なものじゃないのかよ。

「なにを話すニャ? 処女はあるんだから守れば良いだけニャ」
「それは永久に護り続けますけどねぇ!」
「なら話は終わりニャ」

終わっちゃダメだろ! どう考えても、ケツ穴は処女だから魔法少女になれまーす! じゃ済まないだろ!
なにこの世界……。前世は自殺して、転生してからも自殺したくなる事案が発生してんじゃん……。
「ちなみに口でもいいニャ」

なんでちょっと俺がソッチに興味あるみたい情報を与えてくんの? 俺はいますぐにでもモコのパンツを見たいくらい健全な思春期ボーイなんだけど?

「っ……ぁ! く、そ……」
「またふしだらなこと考えたニャ? 学習するニャ」

自分の胸を隠すような仕草を見せるモコは、軽蔑したような目で俺を見る。
いや、胸じゃなくて尻、パンツなんだけどな。それになんで、アナルは良くてパンツはアウトなんだ? ……神様の性癖か?

「黒のカードを使いこなせるようになるために、さっさと『黒の宝具』を手に入れるニャ」

モコって神様の手下なくせに、その『黒の宝具』とやらが簡単に手に入りそうなノリで言ってくるな。仮面野郎は、手に入れるのは簡単ではないし……そんな口調だったし、癪だけど仮面野郎の言うことを信じよう。

「で、『黒の宝具』ってどこのあんだよ」
「知らないニャ」
「神様の手下なのに?」
「神様の手下なのに」
………
……

「やっぱり食っていいか?」
「ダメニャ! それだけは許してニャ!」

えー……。『黒の宝具』がどこにあるのかもわからないような状態で、どうやって探せばいいんだ?

「とりあえずさっさと最強の魔導師になるニャ」
「いや、最強の魔導師になるためには『黒の宝具』が必要なんだけど?」
「……………………」
「……………………」
「……頑張って探すニャ」
「使えねえ……」

黒の宝具を早く手に入れなきゃなんねーのに、なんでいきなり躓くんだよ……。チートで最強! だったはずなのに、無理難題がいきなり降ってきやがった……。

どこへ向かえばいいのかすらわからない俺にも1つだけわかることがあった。

「今夜は猫鍋だな」

今日の晩飯のメニューだ
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