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3.どうしていつもそうなるの
侍女達の声に起こされ、フィオナが目を醒ましたのは、ルティアスが去って大分経った後で、日は高く昇っていた。起き上がって、いくぶんか朦朧とする頭で周囲を見回す。
彼の姿がないことは、いつも通りだ。
自分の元を訪れるのは突然で、去るときは音もなく早い。
天東界では通常、妻は夫よりも早く起きて乱れた姿は見せないもの、と侍女のサナに教えてもらっていたにも拘らず、フィオナは一度、髪はぼさぼさ、夜着は乱れた寝起き姿を彼に晒してしまった。
ルティアスは眠りが浅い質らしく、彼より早く目覚めるのはどうしても難しかったが、それでも起き抜けは気をつけるようにしている。ただ、よほど目も当てられない姿だったのか、あれ以来ルティアスに起こされることはなかった。
つい姿を探してしまうのは中々抜けない困った癖だ。
嫁いで間もない頃、添い寝をしてくれていた思い出に何度縋ってしまったことだろう。
「奥様、急いでください!」
感傷に浸りかけるも、憂鬱な気持ちを知ってか知らずか、サナが急かしてきた。
皇弟の正妻という立場もあって、フィオナの世話役の女性は五十名を優に越える。その中でも、直接関わりが深い侍女は厳選されていた。
基本的にはフィオナの指示に従うが、ルティアスの命令が最優先だ。彼女達は口が堅く、務めに徹する者ばかりだった。サナは人一倍明るく、細かいことまで気配りをしてくれる有能な侍女だ。
ルティアスと過ごした後は塞ぎこむことにも気づいているらしく、いつもなら気遣って声をかけてくれるサナが、こうも急かすのは珍しい。
「今日は何も予定がなかったはずだけど」
フィオナの妃としての公務は少なく、月に一度あるかないかだ。
嫁いでしばらくはルティアスも連れ出してくれていたが、今は滅多にフィオナを公の場に出さなくなった。それも夫の離心を感じる所で寂しくもあったが、もう慣れてしまっている。
フィオナの日常は講師に勉学を習ったり趣味をして過ごしたり、天気がよければ中庭を散歩したりする程度だ。
戸惑うフィオナに、サナは早口で答えた。
「東帝陛下がお呼びですわ!」
「陛下が……」
ルティアスの兄である東帝は、冷徹な為政者の顔も持つが、普段は柔和で朗らかな人なので、フィオナは義兄として慕っていた。夫と不和になった今でも東帝への親愛の情は変わらない。東帝は物腰が柔らかく、話題も豊富だから、話を聞いていても楽しかった。
外に出る機会も少ないだけに、これまでは呼ばれたら喜んで出向いていたが……。
――今は困るわ!
引きつった顔に笑顔を浮かべるのが精一杯で、寝台の上で固まる。東帝の召致の理由は察するに容易い。
「奥様?」
いつまでも動こうとしないフィオナに焦れたサナの声に我に変える。
「お断り……できないかしら?」
侍女全員がぴたりと動きを止め、驚愕の眼差しで見た。
「陛下のお召しを断られるなんて、どうされたのですか⁉」
天東界の最高権力者は、雲の上にも等しい存在だ。フィオナに仕えている侍女達は接する機会も多く、だからこそ、いっそう東帝に最大限の敬意を示す。
詰め寄られて、フィオナは返す言葉に困ったが、本当の理由は言えない。
「少し具合が悪いの。め、眩暈とか?」
「何てこと! それはいけませんわ、医師をお呼びします!」
「間違えたわ! 体が少しだるくて……っ」
「倦怠感もおありですかっ⁉ これは一大事です!」
サナを含め騒然となる侍女達に、フィオナは頭を抱えたかった。
彼女達は結婚当初からずっと過保護だ。針仕事の時に誤って鋏で指を切ってしまったり、庭先で石につまずいて転んだりしただけでも、医師が呼びつけられて大騒ぎになってしまう。
両界の友好の証である『天西界の末姫』に何かあってはいけないという責任感だろう。万が一のことがあれば、主人であるルティアスの名誉に関わる。
フィオナは侍女達が露ほども自分の言葉を疑っていないことに罪悪感を覚えたが、なだめる前にサナが最も困る発言をした。
「誰かルティアス様に急使を出して!」
「待って、どうしていつもそうなるの⁉」
慌てて起き出そうとしたフィオナは動揺のあまり座り損ねて、寝台から転がり落ち、侍女達の悲鳴が大きくなる。
「奥様ぁっ!」
騒然となる彼女達に、サナの手を借りて立ち上がったフィオナは呻いた。
たとえ本当に具合が悪くなっても、おちおち寝ていられないに違いない。
「だ、大丈夫よ。もう治ったから、ね⁉」
気だるいのは本当だったが、それを言うとまた騒ぎになる気がして黙っておく。
ルティアスと一夜を過ごすといつもこうだ。知らず知らずのうちに、気疲れしてしまっているのだろう。酷い時はしばらく立てないこともあるので、今日はまだましだ。
侍女達の説得を諦めたフィオナは、仕方なく身支度を始めた。
★ ★ ★
東帝の一族の住まう宮殿の一角にルティアスの宮があるものの、あまりに敷地が広すぎて天馬の脚力をもってしても小半時ほどかかる。天馬は人界の馬の数倍以上の体力と速度を誇るが、すぐとはいかない。
それでも最速の駿馬が用意されたお陰で早くに到着して、フィオナはまったく嬉しくなかった。馬車の中でどう言い訳しようか考えているうちに、着いてしまったからだ。
冷や汗を滲ませながら、義兄の待つ部屋に出向いた。
「フィオナ様がお着きでございます」
扉を開けた警護兵が、声高に宣言する。
フィオナは室内に入る前に、「失礼いたします」と告げ頭を垂れ軽く膝を折って、最敬礼を行う。
「よく来た、こちらへおいで」
嬉しそうな東帝の声が聞こえた。
通されたのは、多くの接見で使われる謁見の間ではなく、東帝の私室の一つだ。義理の妹となったフィオナを、東帝が身内として見てくれている証でもある。広い庭に面した一室で、爽やかな春の風が肌を撫でて、少しばかり汗が引く。
後ろにぴたりとついてきた侍女達も東帝の私室の中までは入らず、廊下で足を止め、兵士が扉を閉めるまで頭を垂れた。
二人きりになると、フィオナは庭先に向いた長椅子に身を預けている東帝の傍にまで歩み寄ると、立ち止まってお辞儀をした。
「東帝陛下。ご尊顔を拝し――」
挨拶の口上は、フィオナにとって苦ではない。天西界の礼儀作法を叩きこまれて育ち、天東界でも共通していることも多かったからだ。しかし、仰々しい挨拶になるのを察したらしき東帝から、すぐに止められた。
「挨拶はいいから、座って。貴女をいつまでも立たせておくのは忍びない」
東帝の優しさが、フィオナはありがたくない。本題に入られるのを少しでも伸ばそうと、できるだけ長く挨拶しようと思っていたからだ。東帝の善意も拒めず、向かいの長椅子に腰かける。
「フィオナ」
名を呼ばれ、そろそろと東帝を見返した。少し緊張してしまうのは、帝王たる者特有の覇気が滲み出ているからだ。白を基調とした衣に、金や銀でふんだんに装飾された豪奢な服を着て、絢爛豪華なそれらは彼の美を引き立たせることはしても、呑むことはない。
漆黒の艶やかな長い髪は流れ、女性よりも美しいとも思える。
中性的な顔立ちは柔和にも見せ、時に天界随一の猛者よりも恐ろしい顔も見せた。二十五歳のルティアスよりも三つ年上だ。切れ長の瞳の色は、琥珀。鋭い眼光を放つ夫と違って、東帝の眼差しはとても優しい。
「はい、陛下」
夫と同じ色の瞳に思わず顔が綻ばせながら返事をすると、東帝も目を細めた。
「貴女は相変わらず美しいな。ルティアスが一目で惚れ込んだのも頷ける」
「そんな……」
フィオナは返答に困った。
ルティアスの名前を出されると、どう答えていいか分からない。
しかも、一目惚れなどという、事実無根なことを言われれば尚更だ。
彼の姿がないことは、いつも通りだ。
自分の元を訪れるのは突然で、去るときは音もなく早い。
天東界では通常、妻は夫よりも早く起きて乱れた姿は見せないもの、と侍女のサナに教えてもらっていたにも拘らず、フィオナは一度、髪はぼさぼさ、夜着は乱れた寝起き姿を彼に晒してしまった。
ルティアスは眠りが浅い質らしく、彼より早く目覚めるのはどうしても難しかったが、それでも起き抜けは気をつけるようにしている。ただ、よほど目も当てられない姿だったのか、あれ以来ルティアスに起こされることはなかった。
つい姿を探してしまうのは中々抜けない困った癖だ。
嫁いで間もない頃、添い寝をしてくれていた思い出に何度縋ってしまったことだろう。
「奥様、急いでください!」
感傷に浸りかけるも、憂鬱な気持ちを知ってか知らずか、サナが急かしてきた。
皇弟の正妻という立場もあって、フィオナの世話役の女性は五十名を優に越える。その中でも、直接関わりが深い侍女は厳選されていた。
基本的にはフィオナの指示に従うが、ルティアスの命令が最優先だ。彼女達は口が堅く、務めに徹する者ばかりだった。サナは人一倍明るく、細かいことまで気配りをしてくれる有能な侍女だ。
ルティアスと過ごした後は塞ぎこむことにも気づいているらしく、いつもなら気遣って声をかけてくれるサナが、こうも急かすのは珍しい。
「今日は何も予定がなかったはずだけど」
フィオナの妃としての公務は少なく、月に一度あるかないかだ。
嫁いでしばらくはルティアスも連れ出してくれていたが、今は滅多にフィオナを公の場に出さなくなった。それも夫の離心を感じる所で寂しくもあったが、もう慣れてしまっている。
フィオナの日常は講師に勉学を習ったり趣味をして過ごしたり、天気がよければ中庭を散歩したりする程度だ。
戸惑うフィオナに、サナは早口で答えた。
「東帝陛下がお呼びですわ!」
「陛下が……」
ルティアスの兄である東帝は、冷徹な為政者の顔も持つが、普段は柔和で朗らかな人なので、フィオナは義兄として慕っていた。夫と不和になった今でも東帝への親愛の情は変わらない。東帝は物腰が柔らかく、話題も豊富だから、話を聞いていても楽しかった。
外に出る機会も少ないだけに、これまでは呼ばれたら喜んで出向いていたが……。
――今は困るわ!
引きつった顔に笑顔を浮かべるのが精一杯で、寝台の上で固まる。東帝の召致の理由は察するに容易い。
「奥様?」
いつまでも動こうとしないフィオナに焦れたサナの声に我に変える。
「お断り……できないかしら?」
侍女全員がぴたりと動きを止め、驚愕の眼差しで見た。
「陛下のお召しを断られるなんて、どうされたのですか⁉」
天東界の最高権力者は、雲の上にも等しい存在だ。フィオナに仕えている侍女達は接する機会も多く、だからこそ、いっそう東帝に最大限の敬意を示す。
詰め寄られて、フィオナは返す言葉に困ったが、本当の理由は言えない。
「少し具合が悪いの。め、眩暈とか?」
「何てこと! それはいけませんわ、医師をお呼びします!」
「間違えたわ! 体が少しだるくて……っ」
「倦怠感もおありですかっ⁉ これは一大事です!」
サナを含め騒然となる侍女達に、フィオナは頭を抱えたかった。
彼女達は結婚当初からずっと過保護だ。針仕事の時に誤って鋏で指を切ってしまったり、庭先で石につまずいて転んだりしただけでも、医師が呼びつけられて大騒ぎになってしまう。
両界の友好の証である『天西界の末姫』に何かあってはいけないという責任感だろう。万が一のことがあれば、主人であるルティアスの名誉に関わる。
フィオナは侍女達が露ほども自分の言葉を疑っていないことに罪悪感を覚えたが、なだめる前にサナが最も困る発言をした。
「誰かルティアス様に急使を出して!」
「待って、どうしていつもそうなるの⁉」
慌てて起き出そうとしたフィオナは動揺のあまり座り損ねて、寝台から転がり落ち、侍女達の悲鳴が大きくなる。
「奥様ぁっ!」
騒然となる彼女達に、サナの手を借りて立ち上がったフィオナは呻いた。
たとえ本当に具合が悪くなっても、おちおち寝ていられないに違いない。
「だ、大丈夫よ。もう治ったから、ね⁉」
気だるいのは本当だったが、それを言うとまた騒ぎになる気がして黙っておく。
ルティアスと一夜を過ごすといつもこうだ。知らず知らずのうちに、気疲れしてしまっているのだろう。酷い時はしばらく立てないこともあるので、今日はまだましだ。
侍女達の説得を諦めたフィオナは、仕方なく身支度を始めた。
★ ★ ★
東帝の一族の住まう宮殿の一角にルティアスの宮があるものの、あまりに敷地が広すぎて天馬の脚力をもってしても小半時ほどかかる。天馬は人界の馬の数倍以上の体力と速度を誇るが、すぐとはいかない。
それでも最速の駿馬が用意されたお陰で早くに到着して、フィオナはまったく嬉しくなかった。馬車の中でどう言い訳しようか考えているうちに、着いてしまったからだ。
冷や汗を滲ませながら、義兄の待つ部屋に出向いた。
「フィオナ様がお着きでございます」
扉を開けた警護兵が、声高に宣言する。
フィオナは室内に入る前に、「失礼いたします」と告げ頭を垂れ軽く膝を折って、最敬礼を行う。
「よく来た、こちらへおいで」
嬉しそうな東帝の声が聞こえた。
通されたのは、多くの接見で使われる謁見の間ではなく、東帝の私室の一つだ。義理の妹となったフィオナを、東帝が身内として見てくれている証でもある。広い庭に面した一室で、爽やかな春の風が肌を撫でて、少しばかり汗が引く。
後ろにぴたりとついてきた侍女達も東帝の私室の中までは入らず、廊下で足を止め、兵士が扉を閉めるまで頭を垂れた。
二人きりになると、フィオナは庭先に向いた長椅子に身を預けている東帝の傍にまで歩み寄ると、立ち止まってお辞儀をした。
「東帝陛下。ご尊顔を拝し――」
挨拶の口上は、フィオナにとって苦ではない。天西界の礼儀作法を叩きこまれて育ち、天東界でも共通していることも多かったからだ。しかし、仰々しい挨拶になるのを察したらしき東帝から、すぐに止められた。
「挨拶はいいから、座って。貴女をいつまでも立たせておくのは忍びない」
東帝の優しさが、フィオナはありがたくない。本題に入られるのを少しでも伸ばそうと、できるだけ長く挨拶しようと思っていたからだ。東帝の善意も拒めず、向かいの長椅子に腰かける。
「フィオナ」
名を呼ばれ、そろそろと東帝を見返した。少し緊張してしまうのは、帝王たる者特有の覇気が滲み出ているからだ。白を基調とした衣に、金や銀でふんだんに装飾された豪奢な服を着て、絢爛豪華なそれらは彼の美を引き立たせることはしても、呑むことはない。
漆黒の艶やかな長い髪は流れ、女性よりも美しいとも思える。
中性的な顔立ちは柔和にも見せ、時に天界随一の猛者よりも恐ろしい顔も見せた。二十五歳のルティアスよりも三つ年上だ。切れ長の瞳の色は、琥珀。鋭い眼光を放つ夫と違って、東帝の眼差しはとても優しい。
「はい、陛下」
夫と同じ色の瞳に思わず顔が綻ばせながら返事をすると、東帝も目を細めた。
「貴女は相変わらず美しいな。ルティアスが一目で惚れ込んだのも頷ける」
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