29 / 64
鼓動
告白
しおりを挟む
突然の友達宣言に、蒼音と琴音はびっくりした。
予想もしていなかった。いや、ありえないことだと思った。
自分をかばってくれたのだから、涼介は憎からず自分を認めてくれていると感じていたし、
クラスメイトとして受け入れてくれた・・・
くらいには感じていた。
しかし、友達と思っていてくれたなんて、蒼音には正直信じられなかった。
(菅沼君・・・・・
僕のこと友達だなんて・・・・)
「な、なんだよ・・・
そんなにびっくりした目で見るなよ。
なんとか言えよ園田君も。
それとも迷惑なのかよ、俺と友達なんて嫌なのかよ。
だったら今の撤回してもいいぜ」
「迷惑じゃない!
全然嫌なんかじゃない!驚いたんだ僕。
菅沼君に嫌われてると思ってたから。
僕みたいなめんどくさいやつ苦手だと思ってたから。
だから驚いたし、嬉しいんだよ!
それ嘘じゃないだろう?
本当に本当のことだろう?」
蒼音は不安げに涼介を問い詰めた。
「っとに園田君ってめんどくさいやつなんだね。
でもどこか憎めないキャラだよね。確かにどんくさいし、正直イラッとくることもあるけど、根っからの善人タイプだよな。
俺が偉そうに言えないけどさ」
涼介は照れながら本音で語ってくれた。
言い方はきつかったけど、悪意は全く感じなかった。
言葉の所々には温かさがこもっていた。
「うんありがとう。
僕も菅沼君と友達になりたかった。
本当だよ。
でも素直になれなくって。
運動も勉強もできる菅沼君に、僕が嫉妬していたことは事実だよ。
口は悪いし、なんでもはっきり言うところは正直むっとするけれど、でも裏表のないさっぱりした性格は安心できるよ」
真顔でさらりと相手のことをすっぱ抜く芸当は、天然系の蒼音らしいといえばそうだった。
しかし嘘偽りない気持ちだ。
本当は初めから、涼介と打ち解けたくて気になっていたのだ。
こんな偶然を待ち望んでいたのかもしれない。
「そ、そういう風に思われていたんだ俺って・・・
ふうん、でもお互い様だね。
園田君、転校してきてくれてありがとう」
涼介は右手を出して握手を求めてきた。
「う、うん、僕のほうこそ菅沼君と同じクラスでよかったよ」
蒼音は照れながらも右手を差し出して、しっかり握手を交わした。
「ふ~ん・・・・
なんだか青春ドラマみたいね。
二人とも今、自分の言葉に酔ってるでしょう?」
すぐ近くの椅子に座り、学級通信を清書していた琴音は、男子二人の友情物語を興味深く眺めていた。
「な、なんだよ琴音!
琴音だって仲間なんだぞ。青春ドラマの一員なんだぞ。
あの御神木の声が聞こえたのは俺たち三人だけなんだから。
俺たち同じ秘密を分かち合う仲間なんだからな」
同じ秘密を共有する仲間・・・・・
そう宣言されると、茜音のことをこのまま隠し通すのは気が引けた。
フェアじゃない気がした。
蒼音は一変して頭を悩ませた。
(どうしよう?
菅沼君にも全てを打ち明けた方がいいんだろうか?
あまり人には言わない方がいいのかな?茜音の姿が視えない人に話しても、信じてもらえないだろうし、変に思われるよね。
だからって、このままはぐらかし続けるのも限界だよな・・・・)
悩みに悩んだあげく、蒼音は茜音について話すことに決めた。
真剣な顔で涼介に向き直ると、彼の瞳をじっと見つめた。
「いきなりどうしたんだよ園田君?
何、怖いよ・・・・?」
あまりの蒼音の気迫に、涼介は後ろにひるんだ。
蒼音は教室の外に誰もいないことを確かめると、真実を打ち明けだした。
「菅沼君・・・
驚かないで聞いて欲しい。
今から僕の怪しい行動の本当の秘密を教えるよ。
でも誰にも言っちゃ駄目だよ。僕達だけの秘密だからね」
涼介はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「う・・うんわかった約束する」
「実は・・・
どうしてあの日僕が、山道を迷いもせず抜けたのには、秘密があるんだ。
あの日僕に道案内してくれた子がいるんだ。
正確に言うと、御神木の声を頼りに山の中を案内してくれた女の子がいたんだ。
あの場所にね」
「・・・え?
・・・女の子?
あ、あの場所にもう一人いたってこと?」
口角を引きつらせ、涼介は興味深々に聞いた。
「うん、いたんだ。
その子の案内のおかげで、僕は迷うことなく登山道まで出ることが可能だった。
残念ながら、誰もがその子の姿と声を感じることはできないんだ。
ただ、あの日しりとりの最後に“デカメロン”って言ったのは、その女の子なんだよ。
どういうわけかあの時の声だけは、菅沼君にも聞こえただろう?」
「うん聞こえたぞ!
やっぱりあれ空耳でもなく、園田君の声でもなかったんだな」
琴音は二人の会話に口を挟むでもなく、黙って話を聞いていた。
「で、その女の子って誰なんだ?」
「まあ・・・その・・・・
驚かないでね。
信じられないかもしれないけど、僕の・・・
僕の・・・
背後霊なんだ。つまり幽霊ってこと」
予想もしていなかった。いや、ありえないことだと思った。
自分をかばってくれたのだから、涼介は憎からず自分を認めてくれていると感じていたし、
クラスメイトとして受け入れてくれた・・・
くらいには感じていた。
しかし、友達と思っていてくれたなんて、蒼音には正直信じられなかった。
(菅沼君・・・・・
僕のこと友達だなんて・・・・)
「な、なんだよ・・・
そんなにびっくりした目で見るなよ。
なんとか言えよ園田君も。
それとも迷惑なのかよ、俺と友達なんて嫌なのかよ。
だったら今の撤回してもいいぜ」
「迷惑じゃない!
全然嫌なんかじゃない!驚いたんだ僕。
菅沼君に嫌われてると思ってたから。
僕みたいなめんどくさいやつ苦手だと思ってたから。
だから驚いたし、嬉しいんだよ!
それ嘘じゃないだろう?
本当に本当のことだろう?」
蒼音は不安げに涼介を問い詰めた。
「っとに園田君ってめんどくさいやつなんだね。
でもどこか憎めないキャラだよね。確かにどんくさいし、正直イラッとくることもあるけど、根っからの善人タイプだよな。
俺が偉そうに言えないけどさ」
涼介は照れながら本音で語ってくれた。
言い方はきつかったけど、悪意は全く感じなかった。
言葉の所々には温かさがこもっていた。
「うんありがとう。
僕も菅沼君と友達になりたかった。
本当だよ。
でも素直になれなくって。
運動も勉強もできる菅沼君に、僕が嫉妬していたことは事実だよ。
口は悪いし、なんでもはっきり言うところは正直むっとするけれど、でも裏表のないさっぱりした性格は安心できるよ」
真顔でさらりと相手のことをすっぱ抜く芸当は、天然系の蒼音らしいといえばそうだった。
しかし嘘偽りない気持ちだ。
本当は初めから、涼介と打ち解けたくて気になっていたのだ。
こんな偶然を待ち望んでいたのかもしれない。
「そ、そういう風に思われていたんだ俺って・・・
ふうん、でもお互い様だね。
園田君、転校してきてくれてありがとう」
涼介は右手を出して握手を求めてきた。
「う、うん、僕のほうこそ菅沼君と同じクラスでよかったよ」
蒼音は照れながらも右手を差し出して、しっかり握手を交わした。
「ふ~ん・・・・
なんだか青春ドラマみたいね。
二人とも今、自分の言葉に酔ってるでしょう?」
すぐ近くの椅子に座り、学級通信を清書していた琴音は、男子二人の友情物語を興味深く眺めていた。
「な、なんだよ琴音!
琴音だって仲間なんだぞ。青春ドラマの一員なんだぞ。
あの御神木の声が聞こえたのは俺たち三人だけなんだから。
俺たち同じ秘密を分かち合う仲間なんだからな」
同じ秘密を共有する仲間・・・・・
そう宣言されると、茜音のことをこのまま隠し通すのは気が引けた。
フェアじゃない気がした。
蒼音は一変して頭を悩ませた。
(どうしよう?
菅沼君にも全てを打ち明けた方がいいんだろうか?
あまり人には言わない方がいいのかな?茜音の姿が視えない人に話しても、信じてもらえないだろうし、変に思われるよね。
だからって、このままはぐらかし続けるのも限界だよな・・・・)
悩みに悩んだあげく、蒼音は茜音について話すことに決めた。
真剣な顔で涼介に向き直ると、彼の瞳をじっと見つめた。
「いきなりどうしたんだよ園田君?
何、怖いよ・・・・?」
あまりの蒼音の気迫に、涼介は後ろにひるんだ。
蒼音は教室の外に誰もいないことを確かめると、真実を打ち明けだした。
「菅沼君・・・
驚かないで聞いて欲しい。
今から僕の怪しい行動の本当の秘密を教えるよ。
でも誰にも言っちゃ駄目だよ。僕達だけの秘密だからね」
涼介はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「う・・うんわかった約束する」
「実は・・・
どうしてあの日僕が、山道を迷いもせず抜けたのには、秘密があるんだ。
あの日僕に道案内してくれた子がいるんだ。
正確に言うと、御神木の声を頼りに山の中を案内してくれた女の子がいたんだ。
あの場所にね」
「・・・え?
・・・女の子?
あ、あの場所にもう一人いたってこと?」
口角を引きつらせ、涼介は興味深々に聞いた。
「うん、いたんだ。
その子の案内のおかげで、僕は迷うことなく登山道まで出ることが可能だった。
残念ながら、誰もがその子の姿と声を感じることはできないんだ。
ただ、あの日しりとりの最後に“デカメロン”って言ったのは、その女の子なんだよ。
どういうわけかあの時の声だけは、菅沼君にも聞こえただろう?」
「うん聞こえたぞ!
やっぱりあれ空耳でもなく、園田君の声でもなかったんだな」
琴音は二人の会話に口を挟むでもなく、黙って話を聞いていた。
「で、その女の子って誰なんだ?」
「まあ・・・その・・・・
驚かないでね。
信じられないかもしれないけど、僕の・・・
僕の・・・
背後霊なんだ。つまり幽霊ってこと」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美味しいコーヒーの愉しみ方 Acidity and Bitterness
碧井夢夏
ライト文芸
<第五回ライト文芸大賞 最終選考・奨励賞>
住宅街とオフィスビルが共存するとある下町にある定食屋「まなべ」。
看板娘の利津(りつ)は毎日忙しくお店を手伝っている。
最近隣にできたコーヒーショップ「The Coffee Stand Natsu」。
どうやら、店長は有名なクリエイティブ・ディレクターで、脱サラして始めたお店らしく……?
神の舌を持つ定食屋の娘×クリエイティブ界の神と呼ばれた男 2人の出会いはやがて下町を変えていく――?
定食屋とコーヒーショップ、時々美容室、を中心に繰り広げられる出会いと挫折の物語。
過激表現はありませんが、重めの過去が出ることがあります。
俺と結婚してくれ〜若き御曹司の真実の愛
ラヴ KAZU
恋愛
村藤潤一郎
潤一郎は村藤コーポレーションの社長を就任したばかりの二十五歳。
大学卒業後、海外に留学した。
過去の恋愛にトラウマを抱えていた。
そんな時、気になる女性社員と巡り会う。
八神あやか
村藤コーポレーション社員の四十歳。
過去の恋愛にトラウマを抱えて、男性の言葉を信じられない。
恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。
そんな時、バッグを取られ、怪我をして潤一郎のマンションでお世話になる羽目に......
八神あやかは元恋人に騙されて借金を払う生活を送っていた。そんな矢先あやかの勤める村藤コーポレーション社長村藤潤一郎と巡り会う。ある日あやかはバッグを取られ、怪我をする。あやかを放っておけない潤一郎は自分のマンションへ誘った。あやかは優しい潤一郎に惹かれて行くが、会社が倒産の危機にあり、合併先のお嬢さんと婚約すると知る。潤一郎はあやかへの愛を貫こうとするが、あやかは潤一郎の前から姿を消すのであった。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる