稲穂ゆれる空の向こうに

塵あくた

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鼓動

告白

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突然の友達宣言に、蒼音と琴音はびっくりした。

予想もしていなかった。いや、ありえないことだと思った。

自分をかばってくれたのだから、涼介は憎からず自分を認めてくれていると感じていたし、
クラスメイトとして受け入れてくれた・・・
くらいには感じていた。

しかし、友達と思っていてくれたなんて、蒼音には正直信じられなかった。

(菅沼君・・・・・
僕のこと友達だなんて・・・・)

「な、なんだよ・・・
そんなにびっくりした目で見るなよ。
なんとか言えよ園田君も。

それとも迷惑なのかよ、俺と友達なんて嫌なのかよ。
だったら今の撤回してもいいぜ」

「迷惑じゃない!
全然嫌なんかじゃない!驚いたんだ僕。

菅沼君に嫌われてると思ってたから。
僕みたいなめんどくさいやつ苦手だと思ってたから。
だから驚いたし、嬉しいんだよ!

それ嘘じゃないだろう?
本当に本当のことだろう?」
蒼音は不安げに涼介を問い詰めた。

「っとに園田君ってめんどくさいやつなんだね。

でもどこか憎めないキャラだよね。確かにどんくさいし、正直イラッとくることもあるけど、根っからの善人タイプだよな。
俺が偉そうに言えないけどさ」
涼介は照れながら本音で語ってくれた。

言い方はきつかったけど、悪意は全く感じなかった。
言葉の所々には温かさがこもっていた。

「うんありがとう。
僕も菅沼君と友達になりたかった。
本当だよ。
でも素直になれなくって。

運動も勉強もできる菅沼君に、僕が嫉妬していたことは事実だよ。

口は悪いし、なんでもはっきり言うところは正直むっとするけれど、でも裏表のないさっぱりした性格は安心できるよ」
真顔でさらりと相手のことをすっぱ抜く芸当は、天然系の蒼音らしいといえばそうだった。

しかし嘘偽りない気持ちだ。
本当は初めから、涼介と打ち解けたくて気になっていたのだ。

こんな偶然を待ち望んでいたのかもしれない。

「そ、そういう風に思われていたんだ俺って・・・
ふうん、でもお互い様だね。

園田君、転校してきてくれてありがとう」
涼介は右手を出して握手を求めてきた。

「う、うん、僕のほうこそ菅沼君と同じクラスでよかったよ」
蒼音は照れながらも右手を差し出して、しっかり握手を交わした。


「ふ~ん・・・・
なんだか青春ドラマみたいね。
二人とも今、自分の言葉に酔ってるでしょう?」
すぐ近くの椅子に座り、学級通信を清書していた琴音は、男子二人の友情物語を興味深く眺めていた。

「な、なんだよ琴音!
琴音だって仲間なんだぞ。青春ドラマの一員なんだぞ。

あの御神木の声が聞こえたのは俺たち三人だけなんだから。
俺たち同じ秘密を分かち合う仲間なんだからな」

同じ秘密を共有する仲間・・・・・

そう宣言されると、茜音のことをこのまま隠し通すのは気が引けた。

フェアじゃない気がした。
蒼音は一変して頭を悩ませた。



(どうしよう?

菅沼君にも全てを打ち明けた方がいいんだろうか?
あまり人には言わない方がいいのかな?茜音の姿が視えない人に話しても、信じてもらえないだろうし、変に思われるよね。

だからって、このままはぐらかし続けるのも限界だよな・・・・)



悩みに悩んだあげく、蒼音は茜音について話すことに決めた。

真剣な顔で涼介に向き直ると、彼の瞳をじっと見つめた。

「いきなりどうしたんだよ園田君?
何、怖いよ・・・・?」


あまりの蒼音の気迫に、涼介は後ろにひるんだ。
蒼音は教室の外に誰もいないことを確かめると、真実を打ち明けだした。

「菅沼君・・・
驚かないで聞いて欲しい。

今から僕の怪しい行動の本当の秘密を教えるよ。
でも誰にも言っちゃ駄目だよ。僕達だけの秘密だからね」

涼介はゴクリと生唾を飲み込んだ。

「う・・うんわかった約束する」

「実は・・・

どうしてあの日僕が、山道を迷いもせず抜けたのには、秘密があるんだ。

あの日僕に道案内してくれた子がいるんだ。
正確に言うと、御神木の声を頼りに山の中を案内してくれた女の子がいたんだ。
あの場所にね」

「・・・え?
・・・女の子?
あ、あの場所にもう一人いたってこと?」
口角を引きつらせ、涼介は興味深々に聞いた。

「うん、いたんだ。

その子の案内のおかげで、僕は迷うことなく登山道まで出ることが可能だった。
残念ながら、誰もがその子の姿と声を感じることはできないんだ。

ただ、あの日しりとりの最後に“デカメロン”って言ったのは、その女の子なんだよ。
どういうわけかあの時の声だけは、菅沼君にも聞こえただろう?」

「うん聞こえたぞ!
やっぱりあれ空耳でもなく、園田君の声でもなかったんだな」
琴音は二人の会話に口を挟むでもなく、黙って話を聞いていた。

「で、その女の子って誰なんだ?」
「まあ・・・その・・・・

驚かないでね。

信じられないかもしれないけど、僕の・・・

僕の・・・


背後霊なんだ。つまり幽霊ってこと」

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