48 / 174
ロカール日常シリーズ ▶️50話
【王都への旅路】#1 いざ、王都へ。徒歩で。
しおりを挟む
「えーっと、じゃあ、あの、…行ってきます。」
「はい、行ってらっしゃい。気を付けて。道中、怪我なんてしないようにね?…それと、必ず帰ってくること。…君達の『ただいま』を楽しみにしています。」
「あー、はい。…はい。」
王都へ旅立つ日、出発の挨拶に訪れたギルドで、兄がいつもの兄じゃなかった。
(…普通に、挨拶してる。)
それほど、よっぽど、先日のイグナーツさんとのサシ飲みが堪えているのか。いつものウザ名乗りもせずに、普通に見送られてギルドを後にした。
「…兄さん、大丈夫?」
「え?何が?」
「…」
自覚も無いくらいの重症。そっとしておくことを決めた。
街を出て、街道を歩き出したところで、エルが大きく伸びをする。
「うーん☆王都かー、遠いねー?」
「…ですね。」
「誰かさんのせいで、乗り合い馬車にも乗れず、歩きだし?」
揶揄する言葉は、ルキに向けられたもの。
「…乗れなくはねぇよ?馬じゃなくて、馬車ならまだ…」
「アハハ!乗れるけど、馬がご機嫌斜めで大幅な遅延が発生するだけだよね?他のお客さんに超めいわくー☆」
「うっせー…」
「…エル。」
「だって!人馴れしてるはずの馬車馬にまで嫌がられるとかさ!ルキってば、どんだけなのって思うじゃない?」
「…ルキが、それだけ優秀だということです。」
「…乗り合いじゃなく、馬車買うか、借りるかすりゃあ、何とか…」
「ルキ、ルキが気にする必要は無いです。…私は、皆で歩き旅もいいと思います。」
「…そっか。」
「はい。」
ルキに頷いて、人を揶揄ってばかりのエルを睨んでおく。
「あ!はいはい!じゃあさ!俺の速度強化で王都まで全力疾走ってのは、」
「却下!」
「却下だな。」
「…嫌。」
「えーっ!?」
兄が「本気であり」だと思っていそうな提案は、三人で「なし」だと一蹴した。
(…王都まで、歩いて一週間。)
これだけ長い間、ルキと一緒に過ごすのは初めて。旅の目的がお仕事、S級試験を受けることなのだから、そんなこと、考えることも不謹慎だと分かっていても─
(…修学旅行、みたい。)
好きな人と一緒の旅路、浮かれるなという方が無理だと思う。
「はい、行ってらっしゃい。気を付けて。道中、怪我なんてしないようにね?…それと、必ず帰ってくること。…君達の『ただいま』を楽しみにしています。」
「あー、はい。…はい。」
王都へ旅立つ日、出発の挨拶に訪れたギルドで、兄がいつもの兄じゃなかった。
(…普通に、挨拶してる。)
それほど、よっぽど、先日のイグナーツさんとのサシ飲みが堪えているのか。いつものウザ名乗りもせずに、普通に見送られてギルドを後にした。
「…兄さん、大丈夫?」
「え?何が?」
「…」
自覚も無いくらいの重症。そっとしておくことを決めた。
街を出て、街道を歩き出したところで、エルが大きく伸びをする。
「うーん☆王都かー、遠いねー?」
「…ですね。」
「誰かさんのせいで、乗り合い馬車にも乗れず、歩きだし?」
揶揄する言葉は、ルキに向けられたもの。
「…乗れなくはねぇよ?馬じゃなくて、馬車ならまだ…」
「アハハ!乗れるけど、馬がご機嫌斜めで大幅な遅延が発生するだけだよね?他のお客さんに超めいわくー☆」
「うっせー…」
「…エル。」
「だって!人馴れしてるはずの馬車馬にまで嫌がられるとかさ!ルキってば、どんだけなのって思うじゃない?」
「…ルキが、それだけ優秀だということです。」
「…乗り合いじゃなく、馬車買うか、借りるかすりゃあ、何とか…」
「ルキ、ルキが気にする必要は無いです。…私は、皆で歩き旅もいいと思います。」
「…そっか。」
「はい。」
ルキに頷いて、人を揶揄ってばかりのエルを睨んでおく。
「あ!はいはい!じゃあさ!俺の速度強化で王都まで全力疾走ってのは、」
「却下!」
「却下だな。」
「…嫌。」
「えーっ!?」
兄が「本気であり」だと思っていそうな提案は、三人で「なし」だと一蹴した。
(…王都まで、歩いて一週間。)
これだけ長い間、ルキと一緒に過ごすのは初めて。旅の目的がお仕事、S級試験を受けることなのだから、そんなこと、考えることも不謹慎だと分かっていても─
(…修学旅行、みたい。)
好きな人と一緒の旅路、浮かれるなという方が無理だと思う。
37
あなたにおすすめの小説
ヒロインですが、舞台にも上がれなかったので田舎暮らしをします
未羊
ファンタジー
レイチェル・ウィルソンは公爵令嬢
十二歳の時に王都にある魔法学園の入学試験を受けたものの、なんと不合格になってしまう
好きなヒロインとの交流を進める恋愛ゲームのヒロインの一人なのに、なんとその舞台に上がれることもできずに退場となってしまったのだ
傷つきはしたものの、公爵の治める領地へと移り住むことになったことをきっかけに、レイチェルは前世の夢を叶えることを計画する
今日もレイチェルは、公爵領の片隅で畑を耕したり、お店をしたりと気ままに暮らすのだった
異世界に転生したので幸せに暮らします、多分
かのこkanoko
ファンタジー
物心ついたら、異世界に転生していた事を思い出した。
前世の分も幸せに暮らします!
平成30年3月26日完結しました。
番外編、書くかもです。
5月9日、番外編追加しました。
小説家になろう様でも公開してます。
エブリスタ様でも公開してます。
[完結]前世引きこもりの私が異世界転生して異世界で新しく人生やり直します
mikadozero
ファンタジー
私は、鈴木凛21歳。自分で言うのはなんだが可愛い名前をしている。だがこんなに可愛い名前をしていても現実は甘くなかった。
中高と私はクラスの隅で一人ぼっちで生きてきた。だから、コミュニケーション家族以外とは話せない。
私は社会では生きていけないほどダメ人間になっていた。
そんな私はもう人生が嫌だと思い…私は命を絶った。
自分はこんな世界で良かったのだろうかと少し後悔したが遅かった。次に目が覚めた時は暗闇の世界だった。私は死後の世界かと思ったが違かった。
目の前に女神が現れて言う。
「あなたは命を絶ってしまった。まだ若いもう一度チャンスを与えましょう」
そう言われて私は首を傾げる。
「神様…私もう一回人生やり直してもまた同じですよ?」
そう言うが神は聞く耳を持たない。私は神に対して呆れた。
神は書類を提示させてきて言う。
「これに書いてくれ」と言われて私は書く。
「鈴木凛」と署名する。そして、神は書いた紙を見て言う。
「鈴木凛…次の名前はソフィとかどう?」
私は頷くと神は笑顔で言う。
「次の人生頑張ってください」とそう言われて私の視界は白い世界に包まれた。
ーーーーーーーーー
毎話1500文字程度目安に書きます。
たまに2000文字が出るかもです。
ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。
千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。
気付いたら、異世界に転生していた。
なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!?
物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です!
※この話は小説家になろう様へも掲載しています
不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます
天田れおぽん
ファンタジー
ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。
ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。
サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める――――
※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ
凜
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます!
貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。
前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?
【完結】憧れのスローライフを異世界で?
さくらもち
ファンタジー
アラフォー独身女子 雪菜は最近ではネット小説しか楽しみが無い寂しく会社と自宅を往復するだけの生活をしていたが、仕事中に突然目眩がして気がつくと転生したようで幼女だった。
日々成長しつつネット小説テンプレキターと転生先でのんびりスローライフをするための地盤堅めに邁進する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる