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S級試験 ▶34話
#3 上手なやり方があるなら教えてほしい
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「それでは、エル。チャッチャと吐いて下さい。」
「…セリちゃん、容赦ないなぁー。」
困ったように笑うエルの前には、クリームたっぷりのパンケーキ。
試験会場を出た後、黙り込んでしまったエルを引きずるようにして、目についたカフェに連れ込んだ。兄とルキには、「二人でお茶して帰る」と告げて。
勝手に頼んだパンケーキに、いつもなら、キラキラ笑顔でキャーキャー言ってくれるエルの口から漏れたのはため息だけ、元気づけにもならなかったらしい。
(…エルに、こんな顔させるなんて。)
脳裏に浮かぶのは、先ほど試験会場で遭遇したイケメンの顔。エルはまだ何も言わないけど、私の中でイケメンへのヘイトが勝手に溜まっていく。
「…言いたくないなら、いいんです。だけど、話して、それでエルが少しでもスッキリするなら…」
「…うん、ありがとね?」
また一つ、小さくため息をこぼしてから、エルが話し出した。
「…さっきの、ライナートっていうんだけどさー、まぁ、昔の同僚って言うか…」
「エルが聖騎士だったころの騎士仲間、ですか?」
「うん、そう。…それで、まぁ…」
そこでまた口をつぐんでしまったエルが、言うか言うまいか悩んでいるようなので、こちらから突っ込んでみる。
「…あの人ですか?エルが前に言っていた、エルの好きな人というのは?」
「うん。…僕の態度、そんなに分かりやすかった?」
「いえ。ただ、私は前にエルの話を聞いていたから…」
ずっと以前、エルと二人で食事に行った時、酔いに任せてエルが吐露した所謂コイバナ。かつての職場、中央神殿で、聖騎士として共に働いていた仲間を好きになってしまい、騎士を辞めて冒険者になったという、冒険者になったきっかけ話でもあった。
その好きになった相手も、今は王都で冒険者をしていると言っていたし、パーティ構成がやや特殊だというのも聞いていた。だから恐らく、さっきの彼がエルの好きな人、なんだろうと―
(エルの態度だけで判断するなら、むしろ、嫌っているのかな?くらいだったし…)
「…私は、やっぱり、好きになれそうにありませんでした。」
「えー、セリちゃん、酷いなぁ…」
エルが苦笑している。私も、初対面の人を相手に失礼発言をしている自覚はある。でも、以前、話を聞いた時にも思ったことだけれど―
「ああいう、イケメン無自覚ハーレム野郎は、ちょっと…」
「セリちゃん?イケメンって付ければ、なに言っても許される訳じゃないからね?」
「分かってます。…でも、だけど、あれは無いです、あれは。」
「あはは。」
パーティメンバーが、イケメン以外、本当に女性しかいないなんて。
(…ううん。それだけなら、いい。特殊だけど、あるかも?だし。)
だけど、その女性達全員が、イケメンの後ろからエルを睨んでいた。それまでは互いに牽制し合っていたくせに、イケメンがエルに笑いかけるのを見て、エルのことを射殺さんばかりの目で。
(…あれは、絶対嫉妬。身に覚えがあるから、間違いない。)
あのイケメンは、自分に好意を持つ女の子を四人も侍らしている。
(…そんなの、絶対嫌だ。だって、苦しい。)
イケメンが四人全員を選ぶのだとしても、誰か一人を選ぶのだとしても。好きな人が、自分だけを見てくれないなんて―
「…あのね、セリちゃん。ライナートって、別に、セリちゃんが毛嫌いするほど悪い奴じゃないからね?」
「でも…」
「僕、こんなでしょ?聖騎士やってる時にも、まあ、それなりに色々あったわけ。…ただ、ライナートだけは、変な色眼鏡掛けずに普通に接してくれたんだよね。」
「…」
「誰にでも優しいやつなんだけどさ、僕のこと、一番の親友だって言って、他の奴らの中傷からも庇ってくれたりね?」
「…」
「…それでまあ、そんな、異性愛者で博愛主義の男なんかを、うっかり好きになっちゃった僕がバカだったっていうだけの話で、」
「エルはバカではありません。そんなの…、そんなことされたら、好きになっても仕方ないです。」
エルに似合わない自嘲の笑みが見たくなくて、エルの言葉を遮った。
「…セリちゃん、なんか、実感こもってるね?」
「はい。」
エルと視線が合う。
「…セリちゃんは、女の子だってこと、ルキにまだ言わないの?」
「はい。」
「…そっか。」
「…はい。」
困ったようなエルの視線から逃れるように下を向く。
ルキの「男パーティが楽」発言に、告白するタイミングを完全に見失ってしまった、と思っている。だから今は、もう暫くは、言えそうもない、とも。
(…今は、というか、いつ言えるのか、全然、分からない、けど。)
エルが、小さくついたため息に顔を上げる。
「なんか…、何だろう?人を好きになるって、本当、ままならないって感じ、しない?」
「ですね…」
また視線が合って、二人で苦く笑う。
「…セリちゃん、容赦ないなぁー。」
困ったように笑うエルの前には、クリームたっぷりのパンケーキ。
試験会場を出た後、黙り込んでしまったエルを引きずるようにして、目についたカフェに連れ込んだ。兄とルキには、「二人でお茶して帰る」と告げて。
勝手に頼んだパンケーキに、いつもなら、キラキラ笑顔でキャーキャー言ってくれるエルの口から漏れたのはため息だけ、元気づけにもならなかったらしい。
(…エルに、こんな顔させるなんて。)
脳裏に浮かぶのは、先ほど試験会場で遭遇したイケメンの顔。エルはまだ何も言わないけど、私の中でイケメンへのヘイトが勝手に溜まっていく。
「…言いたくないなら、いいんです。だけど、話して、それでエルが少しでもスッキリするなら…」
「…うん、ありがとね?」
また一つ、小さくため息をこぼしてから、エルが話し出した。
「…さっきの、ライナートっていうんだけどさー、まぁ、昔の同僚って言うか…」
「エルが聖騎士だったころの騎士仲間、ですか?」
「うん、そう。…それで、まぁ…」
そこでまた口をつぐんでしまったエルが、言うか言うまいか悩んでいるようなので、こちらから突っ込んでみる。
「…あの人ですか?エルが前に言っていた、エルの好きな人というのは?」
「うん。…僕の態度、そんなに分かりやすかった?」
「いえ。ただ、私は前にエルの話を聞いていたから…」
ずっと以前、エルと二人で食事に行った時、酔いに任せてエルが吐露した所謂コイバナ。かつての職場、中央神殿で、聖騎士として共に働いていた仲間を好きになってしまい、騎士を辞めて冒険者になったという、冒険者になったきっかけ話でもあった。
その好きになった相手も、今は王都で冒険者をしていると言っていたし、パーティ構成がやや特殊だというのも聞いていた。だから恐らく、さっきの彼がエルの好きな人、なんだろうと―
(エルの態度だけで判断するなら、むしろ、嫌っているのかな?くらいだったし…)
「…私は、やっぱり、好きになれそうにありませんでした。」
「えー、セリちゃん、酷いなぁ…」
エルが苦笑している。私も、初対面の人を相手に失礼発言をしている自覚はある。でも、以前、話を聞いた時にも思ったことだけれど―
「ああいう、イケメン無自覚ハーレム野郎は、ちょっと…」
「セリちゃん?イケメンって付ければ、なに言っても許される訳じゃないからね?」
「分かってます。…でも、だけど、あれは無いです、あれは。」
「あはは。」
パーティメンバーが、イケメン以外、本当に女性しかいないなんて。
(…ううん。それだけなら、いい。特殊だけど、あるかも?だし。)
だけど、その女性達全員が、イケメンの後ろからエルを睨んでいた。それまでは互いに牽制し合っていたくせに、イケメンがエルに笑いかけるのを見て、エルのことを射殺さんばかりの目で。
(…あれは、絶対嫉妬。身に覚えがあるから、間違いない。)
あのイケメンは、自分に好意を持つ女の子を四人も侍らしている。
(…そんなの、絶対嫌だ。だって、苦しい。)
イケメンが四人全員を選ぶのだとしても、誰か一人を選ぶのだとしても。好きな人が、自分だけを見てくれないなんて―
「…あのね、セリちゃん。ライナートって、別に、セリちゃんが毛嫌いするほど悪い奴じゃないからね?」
「でも…」
「僕、こんなでしょ?聖騎士やってる時にも、まあ、それなりに色々あったわけ。…ただ、ライナートだけは、変な色眼鏡掛けずに普通に接してくれたんだよね。」
「…」
「誰にでも優しいやつなんだけどさ、僕のこと、一番の親友だって言って、他の奴らの中傷からも庇ってくれたりね?」
「…」
「…それでまあ、そんな、異性愛者で博愛主義の男なんかを、うっかり好きになっちゃった僕がバカだったっていうだけの話で、」
「エルはバカではありません。そんなの…、そんなことされたら、好きになっても仕方ないです。」
エルに似合わない自嘲の笑みが見たくなくて、エルの言葉を遮った。
「…セリちゃん、なんか、実感こもってるね?」
「はい。」
エルと視線が合う。
「…セリちゃんは、女の子だってこと、ルキにまだ言わないの?」
「はい。」
「…そっか。」
「…はい。」
困ったようなエルの視線から逃れるように下を向く。
ルキの「男パーティが楽」発言に、告白するタイミングを完全に見失ってしまった、と思っている。だから今は、もう暫くは、言えそうもない、とも。
(…今は、というか、いつ言えるのか、全然、分からない、けど。)
エルが、小さくついたため息に顔を上げる。
「なんか…、何だろう?人を好きになるって、本当、ままならないって感じ、しない?」
「ですね…」
また視線が合って、二人で苦く笑う。
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