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S級試験 ▶34話
#10 モヤモヤして、嫉妬して、息が止まりそうになる
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「あれは、絶対ウソだね。」
「嘘?ですか?」
シュッツさんに近づいていくルキの背中を凝視していたら、横でミランダが呟いた。
「そう。遠耳とか読唇とか。ルキのやつ、使えもしないくせに見栄はっちゃって。」
「…」
まただ─
さっきから、ずっと。何が気にくわないのか、ミランダはずっとルキをディスり続けている。
(身内感覚で謙遜して、ってことかもしれないけど…)
それにしても、ヒドい。私だって、兄のことを心の中や本人相手にならディスる。でも、それを第三者の前でやろうとは思わないし、第三者の立場で聞いてる今は、とっても不快。相手がルキの友人で、ルキ本人が言い返してるから我慢してる、けど─
「…ルキは、そういう嘘はつかないんじゃないですか?」
「え?」
「ルキは、仕事に関わるような、スキルとかそういうことに関して、見栄でも嘘をつくことはないと思います。…遠耳は実際に使っているのを見たことが、」
「ああ!知ってる知ってる!遠耳は、アタシらと組んでる時から使ってたし。使えることは知ってるよ?」
「…」
「けど、こんだけ騒がしい場所で遠耳なんて意味無いし、読唇はねぇ?やっぱり、嘘だと思うよ?」
「…」
「セリ君は知らないだろうけどさ、ルキって、疚しいことがあると直ぐ態度に出んの。さっきも、あんたに突っ込まれて視線逸らしてたの、気づかなかった?」
「…」
(…何だろう。)
この、イラッと、ムカッとする何かは。
(…マウント、取られてる?のかな…?)
ルキに関して色々、「知らないだろう?」「私は知ってるけど」と繰り返される言葉に、嫉妬と言うよりはもっと何か、モヤモヤっとする。
(…私は、スキルが嘘でも、別にいいのに。)
大事なのは、それを口実にルキがミランダを牽制してくれたということ。私が嫌な思いをしないように言ってくれたことが嬉しい。
(だから、ここは私が大人に、…いや、菩薩になる。)
菩薩になって、シュッツさん相手に笑顔全開のルキを愛でることで、モヤモヤをやり過ごす。
そう決めてルキを眺めていたはず、なのに─
(…可愛い。)
ルキが、いつものルキのじゃない。凄くはしゃいでる。
(笑顔が、ルキの笑顔が…)
思わずニヤけそうになる口元を必死で引き締めた。
「…あーあ、あんなにはしゃいじゃって。」
「…」
同じものを見ているらしいミランダの呟き、それが、今までよりずっと優しく聞こえた。
こっそり彼女の横顔を盗み見て─
(あ…)
気づいてしまった。
薄々、そうなのかも?とは思ってはいたけれど。
(ミランダさん、ルキのこと…)
それが親愛なのか、恋愛なのかは分からない。でも、凄く優しい目でルキを見て、幸せそうに笑っている彼女からは、ルキへの確かな好意が伝わって来た。
(嫌、だなぁ…)
今度は、明確な嫉妬。ルキの友人で、元パーティ仲間で、私よりずっとルキのことを知っている彼女が羨ましい。昔のルキを全部知っている彼女が─
「…ほんと、いつまで経ってもガキなんだよねー。ルキも、それから、カッシュも。」
「…」
「あ、カッシュは知ってる?うちのリーダーなんだけど、ルキもアイツも、子どもの頃から全然成長してなくってさ、ほんっと、手がかかるったら。」
「…そうなんですね。」
気の無い相槌に、ミランダが言葉を切った。少しの沈黙の後、
「あのさ…」
「はい…?」
「あーっと、あんた達がパーティ組んだのって…」
「?」
「アイツ、ルキの方から言ってきたの?その、パーティ入れてくれ、みたいな?」
「…いえ、ソロだったルキを兄が勧誘して、それで、」
「やっぱり!」
「…」
「そっか!だよね?いや、そうだとは思ってたんだけどさー!」
突然テンションが上がったミランダに困惑する。
「いや、だってさ、ルキがアタシら以外と組むのって、ちょっと想像出来ないっていうか、あり得ないって思ってたんだ。だから、やっぱりねーって。」
「…」
「ああ、ごめん!セリ君相手に言うことじゃないよね、ごめんごめん!」
「いえ…」
心のこもらない「ごめん」ではあるけれど、実際、暁星のメンバーの仲の良さは有名だった。特に、ルキとカッシュは仕事以外でもいつも一緒に居たから、ルキがパーティを抜けた時は、ロカールの皆が驚いたくらいで。
(…私も、最初は信じられなかった。)
だから、彼女の言うことも分かってしまう。
「…ねぇ、セリ君。」
呼ばれた名前に顔を向ければ、こちらを見据える強い視線にぶつかる。
「悪いんだけどさー。」
「…」
「返してくんない?ルキのこと。」
「嘘?ですか?」
シュッツさんに近づいていくルキの背中を凝視していたら、横でミランダが呟いた。
「そう。遠耳とか読唇とか。ルキのやつ、使えもしないくせに見栄はっちゃって。」
「…」
まただ─
さっきから、ずっと。何が気にくわないのか、ミランダはずっとルキをディスり続けている。
(身内感覚で謙遜して、ってことかもしれないけど…)
それにしても、ヒドい。私だって、兄のことを心の中や本人相手にならディスる。でも、それを第三者の前でやろうとは思わないし、第三者の立場で聞いてる今は、とっても不快。相手がルキの友人で、ルキ本人が言い返してるから我慢してる、けど─
「…ルキは、そういう嘘はつかないんじゃないですか?」
「え?」
「ルキは、仕事に関わるような、スキルとかそういうことに関して、見栄でも嘘をつくことはないと思います。…遠耳は実際に使っているのを見たことが、」
「ああ!知ってる知ってる!遠耳は、アタシらと組んでる時から使ってたし。使えることは知ってるよ?」
「…」
「けど、こんだけ騒がしい場所で遠耳なんて意味無いし、読唇はねぇ?やっぱり、嘘だと思うよ?」
「…」
「セリ君は知らないだろうけどさ、ルキって、疚しいことがあると直ぐ態度に出んの。さっきも、あんたに突っ込まれて視線逸らしてたの、気づかなかった?」
「…」
(…何だろう。)
この、イラッと、ムカッとする何かは。
(…マウント、取られてる?のかな…?)
ルキに関して色々、「知らないだろう?」「私は知ってるけど」と繰り返される言葉に、嫉妬と言うよりはもっと何か、モヤモヤっとする。
(…私は、スキルが嘘でも、別にいいのに。)
大事なのは、それを口実にルキがミランダを牽制してくれたということ。私が嫌な思いをしないように言ってくれたことが嬉しい。
(だから、ここは私が大人に、…いや、菩薩になる。)
菩薩になって、シュッツさん相手に笑顔全開のルキを愛でることで、モヤモヤをやり過ごす。
そう決めてルキを眺めていたはず、なのに─
(…可愛い。)
ルキが、いつものルキのじゃない。凄くはしゃいでる。
(笑顔が、ルキの笑顔が…)
思わずニヤけそうになる口元を必死で引き締めた。
「…あーあ、あんなにはしゃいじゃって。」
「…」
同じものを見ているらしいミランダの呟き、それが、今までよりずっと優しく聞こえた。
こっそり彼女の横顔を盗み見て─
(あ…)
気づいてしまった。
薄々、そうなのかも?とは思ってはいたけれど。
(ミランダさん、ルキのこと…)
それが親愛なのか、恋愛なのかは分からない。でも、凄く優しい目でルキを見て、幸せそうに笑っている彼女からは、ルキへの確かな好意が伝わって来た。
(嫌、だなぁ…)
今度は、明確な嫉妬。ルキの友人で、元パーティ仲間で、私よりずっとルキのことを知っている彼女が羨ましい。昔のルキを全部知っている彼女が─
「…ほんと、いつまで経ってもガキなんだよねー。ルキも、それから、カッシュも。」
「…」
「あ、カッシュは知ってる?うちのリーダーなんだけど、ルキもアイツも、子どもの頃から全然成長してなくってさ、ほんっと、手がかかるったら。」
「…そうなんですね。」
気の無い相槌に、ミランダが言葉を切った。少しの沈黙の後、
「あのさ…」
「はい…?」
「あーっと、あんた達がパーティ組んだのって…」
「?」
「アイツ、ルキの方から言ってきたの?その、パーティ入れてくれ、みたいな?」
「…いえ、ソロだったルキを兄が勧誘して、それで、」
「やっぱり!」
「…」
「そっか!だよね?いや、そうだとは思ってたんだけどさー!」
突然テンションが上がったミランダに困惑する。
「いや、だってさ、ルキがアタシら以外と組むのって、ちょっと想像出来ないっていうか、あり得ないって思ってたんだ。だから、やっぱりねーって。」
「…」
「ああ、ごめん!セリ君相手に言うことじゃないよね、ごめんごめん!」
「いえ…」
心のこもらない「ごめん」ではあるけれど、実際、暁星のメンバーの仲の良さは有名だった。特に、ルキとカッシュは仕事以外でもいつも一緒に居たから、ルキがパーティを抜けた時は、ロカールの皆が驚いたくらいで。
(…私も、最初は信じられなかった。)
だから、彼女の言うことも分かってしまう。
「…ねぇ、セリ君。」
呼ばれた名前に顔を向ければ、こちらを見据える強い視線にぶつかる。
「悪いんだけどさー。」
「…」
「返してくんない?ルキのこと。」
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