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S級試験 ▶34話
#17 仇になるくらいのその優しさが好き
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「ルキさー、本当の本当に身に覚えないわけ?相手がこれだけルキに拘る何か。だって、コレ、ちょっと尋常じゃないよ?」
「…なんもねぇよ。」
「揉めたくらいなんだから、ちょっとはあるでしょ?」
「ねぇって!」
エルの尋問に、ルキが必死になって無罪を主張している。
(…ルキの中では、本当に『何もない』ってことなのかな?)
ただ、ミランダから「ルキがアレコレ面倒を見ていた」と聞いている身としては、手放しでルキの味方をすることも出来ず、悶々とする。いつもルキの面倒見の良さに救われている身としては、なおさらに。
(多分、私とそのリリーさんの立場は同じ。今の私と同じように面倒みられてたんだとしたら…)
そんなん惚れてまうやろーだと思う。その沼に落ちてる私が言うんだから、間違いない。こればっかりは、リリーさんとやらを責められないかも、と思ってしまった。
ルキが、疲れたようなため息をついて、
「…カッシュの奴にも、当時、似たようなこと言われて、散々、説明したんだよ。そりゃ、リリーとも仲悪かったとは思わねぇけど、それで言うなら、他の二人との方が付き合い長い分、よっぽど距離近かったって…」
「…」
「一回、カッシュがキレてからは、意識してリリーとは距離とるようにもしてたしな。」
「…揉めたのって、具体的にどういう内容だったわけ?ルキのどこが駄目とか、どういうことするなとか、言われなかった?」
「あー?」
記憶を探っているのか、少し逡巡してから、ルキが再び口を開いた。
「…元々、暁星は俺とカッシュの二人で始めたんだけどさ。」
「…」
「仕事覚えて、メンバー増やすかって時に、ミランダが田舎から追っかけてきて、三人になって。なったはいいけど、全員が近距離前衛職っつー、バランス悪いパーティだったもんだから…」
確認するように、ルキが視線を向けてくる。
「…もう一人、後衛職要るだろって、カッシュが選んだのがリリーだった…、ってとこまでが、前提な?」
「はい。」
「で、リリーが入った時点で、俺ら、もう冒険者三年目だったし、おまけに元から知り合いだろ?それで、冒険者成り立てだったリリーが委縮しちまって。」
それは、冒険者パーティとしては、割と「あるある」だと思いながら、ルキの話に相槌を打つ。
「実力差もあったしな。組んで暫くの間は、リリーが上手く自分の役目を果たせなかったっていうか…。で、まぁ、そういう仕事面でのフォローを、俺がしてたっつー話なんだけど…」
「…それが、『駄目なこと』だったんですか?」
「んー、まぁ、カッシュとミランダはどっちかってーと、習うより慣れろ、失敗して覚えろって感じで、手出しはしないタイプだったからなー。リリーをあんま甘やかすなみたいなことは、当時、結構、言われた。」
「それは…」
私からすると、ルキの優しさ、長所だと思うし、かなりのキュンポイントなのに─
「そんでも、リリーがカッシュと付き合いだしてからは、手ぇ貸すことは流石に減ったんだけどさ。…ただ、二人が喧嘩した時には間に入ったりしてて、カッシュにしたら、そういうのも面白くなかったみたいで、最終的に、お前は引っ込んでろって殴られた。」
「…」
(ルキの、ルキの面倒見のよさが…)
裏目に出たと言うのだろうか、上手く活かせずに悪循環に陥ってしまったということだけは理解出来た。
(ルキが悪いわけじゃないのに…)
当時を思い出したせいか、沈んでしまったルキにかける言葉を探す。隣で、エルが小さく嘆息した。
「…まあ一応、ルキとその子のことについては分かったよ。納得しとく。…それで?ルキはこの状況、どうしたいって思ってるの?」
「どうしたいって…」
「リリーって子に会いに行く?そしたら、まぁ、一応、この状況は何とかなりそうだよね?」
「行かねぇよ。…もう、パーティも違うしな。話聞いてたのだって、どっちかってーと、カッシュのフォロー、…あいつの味方したかったってだけだから。」
「そ?じゃあ、返信はどうする?『行かない』の一言でも送るんなら、その辺で伝達蝶買ってきてもいいけど?」
「いや…。それは、何か、マズい気がすっから、止めとく。」
ルキの遠い目が、自分を取り巻く伝達蝶の動きを追っている。
「ふーん?ルキがそれでいいなら…」
ルキの言葉に納得したらしいエルが頷いた。頷いてから、ニッコリ笑って─
「潰しちゃお?残りの蝶、全部。」
「…なんもねぇよ。」
「揉めたくらいなんだから、ちょっとはあるでしょ?」
「ねぇって!」
エルの尋問に、ルキが必死になって無罪を主張している。
(…ルキの中では、本当に『何もない』ってことなのかな?)
ただ、ミランダから「ルキがアレコレ面倒を見ていた」と聞いている身としては、手放しでルキの味方をすることも出来ず、悶々とする。いつもルキの面倒見の良さに救われている身としては、なおさらに。
(多分、私とそのリリーさんの立場は同じ。今の私と同じように面倒みられてたんだとしたら…)
そんなん惚れてまうやろーだと思う。その沼に落ちてる私が言うんだから、間違いない。こればっかりは、リリーさんとやらを責められないかも、と思ってしまった。
ルキが、疲れたようなため息をついて、
「…カッシュの奴にも、当時、似たようなこと言われて、散々、説明したんだよ。そりゃ、リリーとも仲悪かったとは思わねぇけど、それで言うなら、他の二人との方が付き合い長い分、よっぽど距離近かったって…」
「…」
「一回、カッシュがキレてからは、意識してリリーとは距離とるようにもしてたしな。」
「…揉めたのって、具体的にどういう内容だったわけ?ルキのどこが駄目とか、どういうことするなとか、言われなかった?」
「あー?」
記憶を探っているのか、少し逡巡してから、ルキが再び口を開いた。
「…元々、暁星は俺とカッシュの二人で始めたんだけどさ。」
「…」
「仕事覚えて、メンバー増やすかって時に、ミランダが田舎から追っかけてきて、三人になって。なったはいいけど、全員が近距離前衛職っつー、バランス悪いパーティだったもんだから…」
確認するように、ルキが視線を向けてくる。
「…もう一人、後衛職要るだろって、カッシュが選んだのがリリーだった…、ってとこまでが、前提な?」
「はい。」
「で、リリーが入った時点で、俺ら、もう冒険者三年目だったし、おまけに元から知り合いだろ?それで、冒険者成り立てだったリリーが委縮しちまって。」
それは、冒険者パーティとしては、割と「あるある」だと思いながら、ルキの話に相槌を打つ。
「実力差もあったしな。組んで暫くの間は、リリーが上手く自分の役目を果たせなかったっていうか…。で、まぁ、そういう仕事面でのフォローを、俺がしてたっつー話なんだけど…」
「…それが、『駄目なこと』だったんですか?」
「んー、まぁ、カッシュとミランダはどっちかってーと、習うより慣れろ、失敗して覚えろって感じで、手出しはしないタイプだったからなー。リリーをあんま甘やかすなみたいなことは、当時、結構、言われた。」
「それは…」
私からすると、ルキの優しさ、長所だと思うし、かなりのキュンポイントなのに─
「そんでも、リリーがカッシュと付き合いだしてからは、手ぇ貸すことは流石に減ったんだけどさ。…ただ、二人が喧嘩した時には間に入ったりしてて、カッシュにしたら、そういうのも面白くなかったみたいで、最終的に、お前は引っ込んでろって殴られた。」
「…」
(ルキの、ルキの面倒見のよさが…)
裏目に出たと言うのだろうか、上手く活かせずに悪循環に陥ってしまったということだけは理解出来た。
(ルキが悪いわけじゃないのに…)
当時を思い出したせいか、沈んでしまったルキにかける言葉を探す。隣で、エルが小さく嘆息した。
「…まあ一応、ルキとその子のことについては分かったよ。納得しとく。…それで?ルキはこの状況、どうしたいって思ってるの?」
「どうしたいって…」
「リリーって子に会いに行く?そしたら、まぁ、一応、この状況は何とかなりそうだよね?」
「行かねぇよ。…もう、パーティも違うしな。話聞いてたのだって、どっちかってーと、カッシュのフォロー、…あいつの味方したかったってだけだから。」
「そ?じゃあ、返信はどうする?『行かない』の一言でも送るんなら、その辺で伝達蝶買ってきてもいいけど?」
「いや…。それは、何か、マズい気がすっから、止めとく。」
ルキの遠い目が、自分を取り巻く伝達蝶の動きを追っている。
「ふーん?ルキがそれでいいなら…」
ルキの言葉に納得したらしいエルが頷いた。頷いてから、ニッコリ笑って─
「潰しちゃお?残りの蝶、全部。」
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