【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン

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【重大発表】二人に大切なお知らせがあります ▶6話

#2 多分、まだ何かあんだろうけど(ルキ視点)

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「…セリ、なんで、そんな離れんだよ?」

「…離れてないです。適正な距離でガモル草採取しているだけです。…ルキの陣地はそっち、です。」

「…」

依頼を受けて訪れたリーベ湖、ロカール近辺では数少ない、所謂そういうスポットなのだが、セリは気づいているのかいないのか、先ほどから真面目な顔して薬草採取に励んでいる。

(…いや、これ、確実に気づいてねぇよな。)

若干、というには露骨過ぎる下心で誘ったはずが、完全なる肩透かし。

「…まぁ、しゃーねぇか。」

「…ルキ?」

「や、何でも。真面目に集めっかなぁって…」

「頑張って下さい…」

相手がセリだから。だから、まぁ、仕方ないかと思える。地面にしゃがみこんで一生懸命に薬草探してる小動物みたいなセリ、この姿を眺めながらなら、何とかなるはず。薬草採取なんて単調作業も─








「…あっという間でしたね。やっぱり、ルキは凄いです。」

「あー、うん?まぁ、俺も、ガモル草、探知で採取したのは初めてだわ。」

「S級冒険者の本気の採取、ですね。」

「あー、まぁ、な?」

素直に称賛してくれるセリに、罪悪感が湧いてくる。結局、眺めてるだけじゃ物足りなくなって、さっさと採取を終わらせようとした結果だなんてのは、絶対、口には出来ない。

セリを警戒させないよう、代わりの言葉を探して─

「…んじゃ、さ?時間余ったし、少しゆっくりして帰らねぇ?」

「いいですね。…お弁当、持ってくれば良かった。」

「いいな、それ。今度はそうすっか?」

「はい。…次、楽しみです。」

(楽しみ、ねぇ…)

警戒心なさすぎんのも考えものだなと思いながら、無防備なセリを湖の見える場所、日当たりのいい草地の上に座らせ、後ろから抱き込んで座り込む。今度は、逃げられないように─

一瞬だけ、身体を固くしたセリ。それも、こちらが動かずにいれば、次第に力を抜き、こちらに身を預けてきて、

「…今日は、付き合ってくれて、ありがとうございます。」

「ん?」

「ルキには、物足りなかったですよね?薬草採取…」

的外れな礼を言うセリに、笑ってしまう。

「ねぇよ、別に。物足りないとか。」

「でも、ルキならもっと、討伐依頼とか…」

「んー?まぁ、モンスター狩るのも好きだけどさ…」

腕の中のセリ、フードが外れ、目の前の金糸がを受けて煌めく。惹き寄せられて唇で触れた。

「…S級、なっちまったからなぁ。いつ、ギルドから呼び出されるか分かんねぇし。だったら、まぁ、それ以外の時は、のんびりやんのも悪くないんじゃねぇ…?」

「…」

「セリと一緒なら、何でもいい…」

「…」

髪の隙間から覗くセリの耳が赤い。誘われるまま、軽く歯を立てれば、

「っひぅ!?」

セリの口からよく分からない音が漏れて、耳を両手で隠されてしまう。

(…やべぇ。今のちょっと、キたな。)

本気で手を出すつもりは無いのに、セリの反応が一々良すぎるのが悪い─

(もうちょっとだけ、なら…)

両耳を手で覆って、縮こまっているセリ。二人の間に隙間が出来たことに─自業自得とは言え─、寂しさを感じてしまう。

「セリ…」

「っ!はい!」

「…」

返事はいいのに縮こまったまま。可愛いけど焦れる。身体を入れ替えて、セリの身体を押し倒した。

「…」

「…」

押し倒したのに、逃げも抵抗もされない─

「…セリ?」

「っ!すみません、ちょっと、放心してました…」

「…なんで?」

なんでこの状況で放心出来る?

自分の所業は棚に上げて、セリの危機管理能力に物申したくなってしまう。

(クソ、やっぱ、シオンか?あいつの教育が、いや、過保護過ぎるせいで…)

さっきまで縮こまっていたくせに、何故か今は、自分の下で笑っているセリ。この状況のマズさにも、この態勢の危うさにも気づいていないらしい。

「…なに笑ってる?」

「え…?笑って、ましたか?」

「笑ってた。」

「えっと、…それはその、ルキが…」

「俺?」

「ルキが、カッコいいなぁって…」

「…」

「…え?ルキ?」

(…マジか。)

マジで、力が抜けた。比喩とかでなく。腕の力がガクッと。

横に転がって、セリを押しつぶすことだけは避けたけれど。

(駄目だ…)

今、絶対、顔赤いだろ、これ─

腕で覆って、顔を隠す。いい歳した男の赤面姿なんて、ぜってぇ見たくないし、見られたくない。見られたら、軽く死ねる。

「あー、もう、マジかよ…」

「ルキ…?」

身体を起こしてこちらをのぞき込もうとするセリ。見られる前に、もう一度捕まえる。寝ころんだまま、胸の中に抱き込んだ。

「ルキ…?」

「あー、うん、オーケー、大丈夫。…セリの想定外の防御力の高さとカウンターにやられてるだけだから。」

「?」

「もうちょい、待ってくれ…」

待てと言えば、大人しく腕の中におさまったセリ。その身体の柔らかさを堪能しながら、何とか態勢を立て直す。何か、全く関係ないことを、さっきのセリの言葉を思い出さないですむ話を─

「あー、そう言えばさ…」

「?」

「ザーラも、知ってたのか?セリが女だってこと?」

思い出したのはギルドでの二人の様子、ザーラは、セリの気持ちを知った上で「良かった」と言っているようだった。なら─

「…ザーラさんも、知っていました。」

「あー、やっぱ、そっか。…いつから?」

「…最初から、です。」

「…」

「あの、違うんです!私が、言ったわけではなくて…」

こちらの動揺を察したのか、胸元でセリが焦ったような声を出す。

「ザーラさんには、最初から、魔力で気づかれてしまって、だから、あの、本当に、私が伝えたわけでは…!」

(…んな、必死になんなくてもいいのに。)

漸く、顔の熱も引いた。腕の力を弛めれば、焦りのせいか、こちらの胸元にしがみついてくるセリ。見上げてくる視線が泣きそうになってる。

「…別に、怒ったりはしてねぇからな?」

「…」

「ただ、まぁ、なんだ、俺だけ知らなかったのかよってのはあるから、まぁ、若干、落ち込む、じゃねぇけど、寂しい?みたいなんはあるから。」

「…ごめんなさい。」

「いや、それはもう、本当にいいんだって。すげぇ謝ってもらったし?」

「…」

それに、この、セリに縋られてるシチュも、すげぇいい─

「あー、うん、だから、なんてーか、俺の我儘なんだけど…」

「?」

「…セリのこと、他の奴が知ってて、俺が知らねーってのが嫌なんだよ。」

「…」

「何でもかんでも話せってわけじゃないけどさ、なるべく、隠し事は無しに…」

「…」

言いかけた言葉を途中で飲み込んだ。セリが、分かりやすく動揺してたから。

「…セリ、実は、隠し事できねぇのな?」

「っ!」

これで、よく今まで女だとバレずに済んだなと思う。

(…てことは、気づかなかった俺も相当、ってことか…)

それでも、結局、可哀想になるくらい動揺しているセリを眺めていれば、隠し事をされているらしいという事実も、大したことじゃないような気がしてきて─

「…まぁ、何かあんだなってのは分かったから。」

「…」

「セリが話してもいいと思ったら、話せ、な?」

「…はい。」

小さく頷いたセリ。それが可愛すぎたから、我慢できずにその唇に嚙みついた。セリの罪悪感に、確信犯的に付け込んで─




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