【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

リコピン

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【重大発表】二人に大切なお知らせがあります ▶6話

#4 二人に出会えて良かった

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「…俺とセリ、実は、前世の記憶があるんだ。」

「…前世?」

「そう。こことは別の世界で生きて死んだ記憶。」

「…」

「…」

兄の言葉に、エルとルキが黙り込んだ。ルキの痛いくらいの視線を感じて、目を伏せる。

「…うーん、前世。…流石に、ちょっと、予想外だった。」

「うん、まあ、そうだと思う。信じられなくて当然っていうか。それが普通の感覚だよね。…で、あー、そうだ。その前世でも、俺とセリ、兄妹だったんだけど、セリが料理出来んのも、その前世の記憶があるからで、俺の魔法銃も、もとはと言えば、その異世界での知識を元にしてあって…」

兄が畳み掛けるようにして言葉を重ねたのは、多分、怖いから。二人の反応、否定の言葉が。

少しの沈黙の後、エルが口を開いた。

「…神殿の教えに、魂の継続っていうのがあってね?聖人の生まれ変わりっていうのが教義上はあるんだよね。ただ、まぁ、実際の『生まれ変わり』に会うなんて、二人が初めてだけど。」

「…えーっと、エルは、信じるってこと?俺の言ったこと。」

「うん。シオンだけならともかく、セリちゃんまで一緒になってそんなウソつく意味ないでしょ?」

「…あー、はい、一部、気になる部分があったけど。…うん、ありがと、信じてくれて。」

安心した様子の兄、私も、少しホッとした。ただ、さっきから、ルキはずっと黙ったまま。そっと様子を窺えば、固い表情で考え込んでいたルキが、こちらを向いて、

「…セリ、いくつだった?」

「いくつ…?」

「その前世ってやつで、…その、亡くなった時って、何歳だった?」

ルキの問いの意味を、一瞬、考えてから、

「…十八、でした。」

「…シオンは?」

「え?俺?二十三、かな?」

「…んなに、若かったのかよ…」

「…」

「…」

そこまで言われて、ルキが何を気にしていたのかが分かった。凄く、辛そうな顔をしてるルキ─

「…あー、えっと、ルキ?まぁ、確かに、俺達、結構、若死にだったけどさ?生まれ変わって人生延長出来てるみたいなもんだから、そこまで悲観とかしないでいいっていうか、うん…」

「…」

兄の言葉に、それでも、険しい顔のままのルキ。それが、そのルキの優しさが、嬉しいと思ってしまう─

「…あの、ルキ?」

「…」

「確かに、その、死んでしまったこと自体は、辛かった、ですけど。でも、あの、生まれ変わって、ルキやエルと会えたから、辛いだけじゃないというか、今はもう、悪くはないって思えるようになってて…」

「…」

「だから、あの…」

そんな顔、しないで─

「…」

「…」

ルキが、詰めていた息をハッと吐き出した。

「…そっか。…まぁ、そうだよな?セリ達が悲観してねぇってこと、俺がグダグタ言ってもな?」

「…」

「それに、俺も。…セリとシオンに会えて、すげぇラッキーって思ってっから。」

「…はい。」

漸く弛んだルキの目元に、今度こそ、安堵した。安堵して、凄く凄く、幸せだと思った。前世の話を疑いもせずに、前世かこの私達を悼んでくれる人に出会えたことを─

弛緩した空気に、緊張していた兄が大きく息をつく。

「はー、良かった!二人が信じてくれなかったら、ホント、どーしようと思ってたんだよね!」

言って、手にした杯の中身を一気に飲み干す。そこから、「良かった」やら、「これからもよろしくね」やらを繰り返し、立て続けに二杯、三杯と手酌でお代わりする兄。そのスピードは流石に、と止めようとしたところで、ルキがこちらを見ていることに気づく。

「ルキ…?」

「…あー、いや、ちょい、気になったんだけどさ?」

「?」

「その、前世ってやつで、セリ…」

「はい…?」

「…結婚してた?」

「え…?」

「…男、いた?結婚してなくても、そういう、好きな奴とか…」

「…」

「うわー…」

ルキの言葉の意味を飲み込もうとしている横で、エルが心底嫌そうな声をあげた。

「引くー、流石にそれは無いわー。引くー…」

「…うっせぇ。仕方ねぇだろ、気になったもんは。」

エルを睨むルキ、不機嫌そうな顔がこちらを向いて、

「…で?いた?」

「…」

どうやら、言い逃れは出来なさそうな雰囲気。だけど、この状況で、皆のまえで、そんな話─

「結婚してなかったよ。てか、前の世界じゃ、十八って全然、結婚とかまだまだって歳だったから。」

「そう、なのか…?」

私の代わりに答えた兄の言葉を確かめてくるルキ。それに黙って頷けば、

「だいたい、セリって彼氏の一人も居なかったし、男っ気ゼロだったから、ルキが心配する必要もゼロ!」

「兄さん!」

(そうだけど!確かに、彼氏なんて居なかったけど…!)

二人にそんなこと教えないで欲しい。恥ずかしさに顔に熱がのぼる。だけど、目の前でルキが嬉しそうに笑っているから。だったら、もう、いいか、この恥ずかしさも甘んじて受け入れようって、思ったのに─

「あ、でも、人生の半分かけた推しはいたよね、セリ?」

「っ!?」

「…推し?」

「そうそう。すっごい嵌まってて、俺にまでカッコいいカッコいいって布教してきたくらい、」

「兄さんっ!?」

ヒドい─!

これは、これは、恥ずかしいなんてもんじゃない─

「ん?セリ、覚えてないの?小学生ん時にはまったリアキュアの敵幹部。セリ、高校生なってもずっと、シェード様、シェード様って、」

「っ───!!」

(覚えてる、けど…!)

兄まで覚えてる必要はないと思う─!

「…セリ?」

「っ!?」

恥ずかしさの極致、顔に上った熱が─

「どういう男だったの、そいつ?」

「…っ!」

ルキの一声で、一気に冷めた。熱どころか血の気まで引きそうな、ルキの低い声─

答えられずに首を振れば、ルキの矛先が兄に変わる。

「…シオン、まぁ、飲め。んで、そのシェードって奴のこと、もう少し詳しく教えろ。」

「っ!?」

結局、ルキと兄の間で「前世の私の初恋話」をされるという羞恥プレイに私が耐え切れなくなった時点で、シェードとは物語の主人公、冒険者のようなものだと伝えて、ルキには何とか納得してもらった。

気づけば、覚悟していたのとは全く違う様相を呈してしまった人生最大の修羅場。でも、多分、これが、現世いまの私達らしい居場所、なんだと思う─




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