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【魔王333号】マハリ地方で停滞 ”事前の対策を” ▶️6話
#3 実は陰で、ってちょっとカッコいい…
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王都到着から三日後、魔王討伐部隊が出征を開始した。勇者を筆頭に冒険者を中心とする部隊のほかに、王宮からは騎士、神殿からは聖騎士が少数精鋭で派兵されている。
ただ、やはり、モンスターとの戦いの中心になるのは、冒険者なわけで─
「勇者くん!フラッシュバード!また来るよ!あ!ほら!そこ!」
「っ!?」
「だめだめ!こう!フラッシュバードは、こう、パリィしてからの…、ゼロ距離射撃!」
「そ、そんな、無理です!」
「…無理じゃねぇって。やれるやれる。」
「パリィ大事だからね!パリィ!」
兄とルキが、楽しそうに勇者をサポート?している様子を、荷馬車の上から眺める。
「…シオン、張り切ってるねぇ。」
「はい。…支援職でなく、戦闘職で参加するのを楽しみにしていましたから。」
普段なら戦闘には参加しない兄が、魔法銃を手に生き生きと飛び回っている。代わりに、私がエルや他の支援職メンバーの警護に回ることになったのだけれど、
(…これは、これで。)
半径一メートルでルキを誤射する危険もなくなったし、何より、楽しそうなルキをゆっくり眺めることが出来る。流石に魔王戦ともなると、そんなことは言ってられないだろうけど、移動中くらいは─
「勇者くん!パリィ!」
「無理ですっ!」
「…」
もう兄はパリィ言いたいだけなんじゃないかと思う。
兄の叫びと勇者の悲鳴にげんなりし始めていたところに、荷馬車に近づいてくる馬が見えた。乗っているのは、白い騎士服から聖騎士だと分かる。
「…エルドウィン、久しいな。」
「…どうも。」
エルをエルドウィンと呼んだその人は、どうやらエルの知り合いらしい。ただ、友達というにはエルの態度が冷たすぎる。
(…元、同僚?)
エルのそんな態度を気にしていない様子の聖騎士さんが、戦闘中の集団をあごで指した。
「ライナートと一緒なのか?あいつ、パーティメンバーに抜けられたと聞いていたが、お前が一緒なら、まあ、心配することは無かったかもしれんな。」
「…別に、ライナートと組んでるわけじゃないよ。僕の仲間はこっちの子。」
エルがこちらを指したので、聖騎士さんの視線がこちらを向く。それに、軽く会釈で返す。
「…なんだ、違ったか。そうすると、あいつは今、仲間無しで戦っているということになるのか?」
「そうだけど。別に心配するほどのことじゃないでしょ?…ライナートなら、直ぐにまたメンバー集まるだろうし…」
「まぁ、確かに。あいつの弱っている女性を惹きつける能力は凄まじいからな。」
「…パーティメンバーがそんなのばっかりっていうのも、どうかと思うけどね?」
何とも微妙な会話を続ける二人。聖騎士さんが、エルの方をじっと見て、
「心配ならば、エル、お前がライナートと組むのはどうだ?」
「えー、僕、もう、パーティ入ってるんだってば。」
「ふん。薄情なことを言うな。お前とライナートの仲だろう?」
「なに、それ。…別に、僕とライナートの仲って言ってもさー…」
「なんだ、本当に薄情なやつだな。ライナートは、お前のために聖騎士を辞めたというのに。」
「…は?」
エルが、困惑の表情を浮かべている。それに、聖騎士さんが肩をすくめて見せ、
「知らなかったのか?…まぁ、ライナートが自ら口にするはずもないか。」
「…ちょっと、ソレ、どういうこと?ちゃんと説明して。」
「お前が聖騎士を抜けた後、お前が所属していた第三の連中が、お前を侮辱する場面があったんだ。それを、たまたま聞いていたライナートが激怒してな。」
「…僕が抜けた後って…」
「まぁ、その場にお前がいるわけでなし、我慢すればいいものを、第三の連中何人かを病院送りにして、責任を取る形で聖騎士を辞めた。…上の連中は引き留めたようだが、本人が固辞してな。」
「噓でしょ…、ライナートが暴力沙汰…?」
「普段のあいつならあり得んことだが、…まあ、それだけ、お前に対する侮辱が酷かったということだ。…私でも、腹に据えかねるものがあった。」
「…」
聖騎士さんの話に呆然自失状態になったエル。聖騎士さんはその様子を少しだけ見守った後、「ではな」と小さく声をかけて去っていった。
「…そんな、僕、そんな話、全然…。だって、ライナート、そんなこと一度も…」
困惑する様子のエルに、思ったことを告げてみる。
「…エルのことが、すごく大切なんですね。」
「…」
エルに伝えた「冒険者になった動機」、それが全て「嘘」なのかは分からない。もしかして、本当にそういう動機もあったのかもしれない。ただ、辞める直接のきっかけがエルなのは間違いないだろうし、ライナートさんはそれを口にしなかった。
(…そんなん、惚れてまうやつ。)
少しだけ、…正直に言うと、凄く、ライナートさんを見直した。
(上から目線だけど…)
これなら、エルのことを任せてもいいかなって思えるくらいには見る目が変わって、今までの自分の所業を深く反省することにした。
ただ、やはり、モンスターとの戦いの中心になるのは、冒険者なわけで─
「勇者くん!フラッシュバード!また来るよ!あ!ほら!そこ!」
「っ!?」
「だめだめ!こう!フラッシュバードは、こう、パリィしてからの…、ゼロ距離射撃!」
「そ、そんな、無理です!」
「…無理じゃねぇって。やれるやれる。」
「パリィ大事だからね!パリィ!」
兄とルキが、楽しそうに勇者をサポート?している様子を、荷馬車の上から眺める。
「…シオン、張り切ってるねぇ。」
「はい。…支援職でなく、戦闘職で参加するのを楽しみにしていましたから。」
普段なら戦闘には参加しない兄が、魔法銃を手に生き生きと飛び回っている。代わりに、私がエルや他の支援職メンバーの警護に回ることになったのだけれど、
(…これは、これで。)
半径一メートルでルキを誤射する危険もなくなったし、何より、楽しそうなルキをゆっくり眺めることが出来る。流石に魔王戦ともなると、そんなことは言ってられないだろうけど、移動中くらいは─
「勇者くん!パリィ!」
「無理ですっ!」
「…」
もう兄はパリィ言いたいだけなんじゃないかと思う。
兄の叫びと勇者の悲鳴にげんなりし始めていたところに、荷馬車に近づいてくる馬が見えた。乗っているのは、白い騎士服から聖騎士だと分かる。
「…エルドウィン、久しいな。」
「…どうも。」
エルをエルドウィンと呼んだその人は、どうやらエルの知り合いらしい。ただ、友達というにはエルの態度が冷たすぎる。
(…元、同僚?)
エルのそんな態度を気にしていない様子の聖騎士さんが、戦闘中の集団をあごで指した。
「ライナートと一緒なのか?あいつ、パーティメンバーに抜けられたと聞いていたが、お前が一緒なら、まあ、心配することは無かったかもしれんな。」
「…別に、ライナートと組んでるわけじゃないよ。僕の仲間はこっちの子。」
エルがこちらを指したので、聖騎士さんの視線がこちらを向く。それに、軽く会釈で返す。
「…なんだ、違ったか。そうすると、あいつは今、仲間無しで戦っているということになるのか?」
「そうだけど。別に心配するほどのことじゃないでしょ?…ライナートなら、直ぐにまたメンバー集まるだろうし…」
「まぁ、確かに。あいつの弱っている女性を惹きつける能力は凄まじいからな。」
「…パーティメンバーがそんなのばっかりっていうのも、どうかと思うけどね?」
何とも微妙な会話を続ける二人。聖騎士さんが、エルの方をじっと見て、
「心配ならば、エル、お前がライナートと組むのはどうだ?」
「えー、僕、もう、パーティ入ってるんだってば。」
「ふん。薄情なことを言うな。お前とライナートの仲だろう?」
「なに、それ。…別に、僕とライナートの仲って言ってもさー…」
「なんだ、本当に薄情なやつだな。ライナートは、お前のために聖騎士を辞めたというのに。」
「…は?」
エルが、困惑の表情を浮かべている。それに、聖騎士さんが肩をすくめて見せ、
「知らなかったのか?…まぁ、ライナートが自ら口にするはずもないか。」
「…ちょっと、ソレ、どういうこと?ちゃんと説明して。」
「お前が聖騎士を抜けた後、お前が所属していた第三の連中が、お前を侮辱する場面があったんだ。それを、たまたま聞いていたライナートが激怒してな。」
「…僕が抜けた後って…」
「まぁ、その場にお前がいるわけでなし、我慢すればいいものを、第三の連中何人かを病院送りにして、責任を取る形で聖騎士を辞めた。…上の連中は引き留めたようだが、本人が固辞してな。」
「噓でしょ…、ライナートが暴力沙汰…?」
「普段のあいつならあり得んことだが、…まあ、それだけ、お前に対する侮辱が酷かったということだ。…私でも、腹に据えかねるものがあった。」
「…」
聖騎士さんの話に呆然自失状態になったエル。聖騎士さんはその様子を少しだけ見守った後、「ではな」と小さく声をかけて去っていった。
「…そんな、僕、そんな話、全然…。だって、ライナート、そんなこと一度も…」
困惑する様子のエルに、思ったことを告げてみる。
「…エルのことが、すごく大切なんですね。」
「…」
エルに伝えた「冒険者になった動機」、それが全て「嘘」なのかは分からない。もしかして、本当にそういう動機もあったのかもしれない。ただ、辞める直接のきっかけがエルなのは間違いないだろうし、ライナートさんはそれを口にしなかった。
(…そんなん、惚れてまうやつ。)
少しだけ、…正直に言うと、凄く、ライナートさんを見直した。
(上から目線だけど…)
これなら、エルのことを任せてもいいかなって思えるくらいには見る目が変わって、今までの自分の所業を深く反省することにした。
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