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【潜入】衝撃の舞台裏、みんなの憧れの学園でまさかの… ▶15話
#3 男装歴10年目にして初めて女装…ではなく、女性としてお仕事します
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「…」
「…」
イグナーツさんからの依頼を受領し、ギルドを後にした。ギルドを出てからもずっと沈黙が続いている。口火を切れない雰囲気。主に、ルキの─
「…よし、じゃあ、エル、お前女装して、」
「ヤだよ。何でセリちゃんがいるのに、僕がわざわざ女装なんてしないといけないの。」
「…」
至極真っ当なエルの意見に、ルキが再び沈黙した。
「…ルキ、あの、大丈夫だと思います。学園の中ですし、女だからって乱暴を働いて来るような荒くれものは、」
「攫われっかもしんねぇだろ?セリに惚れた野郎が、力ずくでどうにかしようとして。」
「…」
「攫われなくても、男と一緒にどっか閉じ込められて、『責任とる』なんて口実で無理やり結婚されられっかもしんねぇし。」
「…」
ルキは、学校に対してどんなイメージを持っているんだろう。そんなバイオレンスな学校に通う生徒はいないと思う。
「…ルキ、大丈夫です。力で来られたら魔術で対抗しますし、閉じ込められたら、ルキを呼びます。…あの、呼んだら来てくれます、よね?」
「そりゃ行く。ぜってぇ見つける、けど…」
「なら、問題ないです。」
「…」
頷けば、ルキも何とか納得してくれたのか、大きく、ため息をついて、
「…分かった。その代わり、ローブはちゃんと、」
「無理です。」
「…」
「え…、あの、学園には制服がありますし、ローブは、流石に目立ち過ぎるので…」
「…」
「…」
「…、よし、ちょっと、依頼キャンセルしてくっから、」
「駄目に決まってるでしょ。」
後ろ向きなルキの発言を、エルが切り捨てた。
「ルキ、いい加減にしなよね?馬鹿なことばっかり言ってないで。」
「…いや、けど、でも、無理だろ…?セリだぞ?セリのまんま、男どもの群れに放流するとか、…そんなん、食ってくれって言ってるような、」
「セリちゃん、認識阻害、別なものに掛けられないの?」
「あ、え?」
ルキとの会話の途中で、エルがグルンとこちらを振り向いた。
「ローブみたいな目立つものじゃなくて、装飾品とか、もっと目立たないものじゃ無理?」
「…全身、性別も分からなくようにするのは無理です。でも、顔の印象を薄くするくらいなら、髪飾りやネックレスでも…」
「オッケー。じゃあ、それで行こう?…ルキ、譲歩だからね。これで我慢しな。」
「…」
エルの決定に、ルキが怖い顔で頷いた。これで一件落着、と思ったのに─
「眼鏡だな!」
「…兄さん?」
「いや、やっぱ、ここは眼鏡一択だろ!?眼鏡をとったら美少女!ベタ過ぎるけれど、王道ゆえの美学!」
「…」
兄がどうでもいいことしか言わない。しかも、さらっと、妹を美少女呼ばわり。
(…兄バカ。)
「…」
イグナーツさんからの依頼を受領し、ギルドを後にした。ギルドを出てからもずっと沈黙が続いている。口火を切れない雰囲気。主に、ルキの─
「…よし、じゃあ、エル、お前女装して、」
「ヤだよ。何でセリちゃんがいるのに、僕がわざわざ女装なんてしないといけないの。」
「…」
至極真っ当なエルの意見に、ルキが再び沈黙した。
「…ルキ、あの、大丈夫だと思います。学園の中ですし、女だからって乱暴を働いて来るような荒くれものは、」
「攫われっかもしんねぇだろ?セリに惚れた野郎が、力ずくでどうにかしようとして。」
「…」
「攫われなくても、男と一緒にどっか閉じ込められて、『責任とる』なんて口実で無理やり結婚されられっかもしんねぇし。」
「…」
ルキは、学校に対してどんなイメージを持っているんだろう。そんなバイオレンスな学校に通う生徒はいないと思う。
「…ルキ、大丈夫です。力で来られたら魔術で対抗しますし、閉じ込められたら、ルキを呼びます。…あの、呼んだら来てくれます、よね?」
「そりゃ行く。ぜってぇ見つける、けど…」
「なら、問題ないです。」
「…」
頷けば、ルキも何とか納得してくれたのか、大きく、ため息をついて、
「…分かった。その代わり、ローブはちゃんと、」
「無理です。」
「…」
「え…、あの、学園には制服がありますし、ローブは、流石に目立ち過ぎるので…」
「…」
「…」
「…、よし、ちょっと、依頼キャンセルしてくっから、」
「駄目に決まってるでしょ。」
後ろ向きなルキの発言を、エルが切り捨てた。
「ルキ、いい加減にしなよね?馬鹿なことばっかり言ってないで。」
「…いや、けど、でも、無理だろ…?セリだぞ?セリのまんま、男どもの群れに放流するとか、…そんなん、食ってくれって言ってるような、」
「セリちゃん、認識阻害、別なものに掛けられないの?」
「あ、え?」
ルキとの会話の途中で、エルがグルンとこちらを振り向いた。
「ローブみたいな目立つものじゃなくて、装飾品とか、もっと目立たないものじゃ無理?」
「…全身、性別も分からなくようにするのは無理です。でも、顔の印象を薄くするくらいなら、髪飾りやネックレスでも…」
「オッケー。じゃあ、それで行こう?…ルキ、譲歩だからね。これで我慢しな。」
「…」
エルの決定に、ルキが怖い顔で頷いた。これで一件落着、と思ったのに─
「眼鏡だな!」
「…兄さん?」
「いや、やっぱ、ここは眼鏡一択だろ!?眼鏡をとったら美少女!ベタ過ぎるけれど、王道ゆえの美学!」
「…」
兄がどうでもいいことしか言わない。しかも、さらっと、妹を美少女呼ばわり。
(…兄バカ。)
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