強制力が無茶するせいで乙女ゲームから退場できない。こうなったら好きに生きて国外追放エンドを狙おう!処刑エンドだけは、ホント勘弁して下さい

リコピン

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終章

23 エンドロールのその後で2

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「あっつーい、何なのよ、もう!」

王都の夏は暑い。そんなこと、昔から分かってたことだけど、忘れていた。だって、王立学園に通っていた頃は、ここまで暑くはなかった。結界の中だったからなのか、暑いと言っても、こんなに我慢出来ないほどじゃなかったのに。

「あーもー、やだー。」

だからと言って、ギャレンに避暑地に連れていって欲しいと頼んでみても、全く相手にしてくれない。「妃教育に励め」それしか言わない。それどころか、ここ暫くは、顔も合わせていない。

理由は、分かっている─

(…ていうか、分かりやす過ぎるのよ!)

自身の愛用していた化粧品が、急に販売停止となり、手に入らなくなってから、肌の調子が良くない。色々試してみるものの、効果は無く、元の化粧品を売っていた店も、いつの間にか他所の国に移転していて、同じものを手に入れるのは絶望的。

それに何より─

(絶対!これが原因よね!あの、エロ王子!)

自分の胸元、少し見通しの良くなったそこに視線を落とす。

(…やだ、また少し…)

ギャレンの好みに合わせて育てた胸。化粧品と同じ店で購入していた豊胸薬は、化粧品と同じ時期から手に入らなくなってしまった。

今は、以前の半分の大きさしかないそこに触れてみる。

(なによ、これでもまだ立派な方じゃない。。なのに、アイツ…)

あんなに好きだと、愛していると囁いていたギャレンの瞳に、もうあの頃の熱は無い。それでも、私達の関係は惰性で続いている─

「…ねぇ、あれないの。あの、かき氷ってお菓子。」

自分につけられた見張り役、侍女達に尋ねてみても、皆、首を振るだけ。

(本当、何なのよもう、最悪。)

何一つ、上手くいかない。折角、あの人が罰を受け、私の前から居なくなったのに。私の隣には、夢にまでみた王子様が居てくれるのに。私には、何も─

(…何で、あの人ばっかり。)

生まれも育ちも、何もかもが自分とは違った女。毎日、幸せそうに笑って、困ったことがあれば助けてくれる美形の執事まで侍らせて、そんな彼女が羨ましくてたまらなかった。

(私だって、あんな風に大切にされて、…愛されたかっただけなのに。)

自分だけの王子様。叶ったはずのその夢が、今はひどく遠い─

「…エンジェ様、手が止まっておられます。」

「ハァ、分かってるわよ!」

侍女の言葉に現実に引き戻される。渋々、強いられた他国語での書簡の練習を続けようとして、

「っ!?」

「きゃぁああっ!?」

「なにっ!?イヤァアア!!」

突然の轟音。ガラス窓が吹き飛んだ。テラスから、部屋の中へと突っ込んで来たのは─

「ドラゴン!?」

「うそっ!?」

「何故、ドラゴンが!?」

混乱する状況、逃げ出したいのに、怖くて身体が動かない。逃げ出そうとする侍女達の姿が見えて、慌てる。

「待って!待ちなさいよ!私を連れていきなさい!」

命じた声に、応える者はいない。我先に逃げ出す姿を大声で呼び止めるが、誰も、足を止めもしない。

(嘘、嘘嘘嘘っ!?いやよ、こんなところで!)

死にたくない!

そう願った思いが届いたのか、扉から、飛び込んできた人影─

「ギャレン!」

「エンジェ!」

助けに来てくれた王子様に、さっきまでの不満は全て吹き飛んだ。

(助けに来てくれた!やっぱり、ギャレンは私のこと!)

「エンジェ!こんなところで何をしている!さっさと逃げるんだ!」

「ギャレン!私、怖くて動けないの!助けて!」

「チッ!面倒な!」

「っ!?ギャレン!?」

舌打ちしたギャレンは、腰の剣を抜くと、そのままこちらに背を向けてしまった。手を貸してくれることもせず─

「来い!ドラゴン!貴様をこの場で滅し、俺は英雄ガロードを超える!」

「…ギャレン…?」

「我が魔剣の錆にしてくれる!」

「ギャレンッ!?」

剣を握りしめ、ドラゴンに向かっていくギャレン、恐ろしさに動けない私の前で、ドラゴンの吐いたブレスが─

「ッギャァアアアッ!?」

「ギャレンッ!!」

ギャレンを直撃した炎が、彼の身体を焼いた。そのまま、ゴロゴロと床をのたうち回るギャレン。どうすることも出来ずに見守る中、ドラゴンの視線がこちらを向いた。

「あ、あ、あ…」

這いずり、逃げようとして、ドラゴンの口がまた赤く燃えだすのが見える。

「い、い、嫌、嫌よ…」

こんな、こんなところで、こんな風に。

ドラゴンが口を開く。燃え盛る炎がこちらへと迫る─




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