3 / 37
本編
2.初めてのお買いもの(奴隷)
しおりを挟む
「それで、お客様?『一番高い奴隷』をご希望とのことでしたが、具体的なご予算はおいくらになりますか?」
「あ…、えと、そうですね…」
奴隷商店の店主の冷静な接客に、こちらも少し冷静になれた。十年、使いもせずに貯め込んだお給料全額、私の財布が火を噴くぜと思ったけれど、良く考えたら、私、奴隷の相場も知らない。
「あの…、実は奴隷を買うのって初めてで…」
違法ではないけれど、倫理的、人道的に、どうなの?と思ってしまうから、今までお店に足を運んだことすら無かった。
「…そうですか。でしたら、そうですね。奴隷を買われる目的、用途をお尋ねしても?」
(ッ!?)
全うな商売。お客様のご要望を丁寧に汲み取ろうとする姿勢はとても大切なこと。基本中の基本。でも─
「用途によって、お値段も変わってまいります。性別や容姿、そうですね、後は技能などにご希望はございますか?」
「…えと、その、ですね…?希望は、男性なんですけど…、容姿とかは特に希望はないです。けど、身体は頑丈、丈夫な方が良くて…」
嫌な汗、出てきた。
「力仕事用ですか?もしくは、護衛用?」
「いえ、違う、んですけど、その、家で、待っててもらうというか…」
「家で待つ?」
怪訝そうな店主に、冷や汗が止まらない。
「いえ、あの、特別、何をして欲しいってわけではなくて、その、家で、あの…」
「…」
(…無理だ。)
八年間、職場以外の人間関係を持たずにきた私には、こういう買い物は無理。そう言えば、前世でも対面販売は苦手だったと思い出す。帰ろう、ポチれないなら諦めよう、そう決めたところで、店主が頷いた。
「…なるほど。承知致しました。」
「え…?」
(承知、出来たの?今ので?)
流石、商売人。ヒアリング力が違う。
「では、こちらで少々お待ち下さい。」
「あ、はい…」
部屋の奥へと消えていく店主を見送ったところで、ふと我に返った。
(…何やってんだろ、私。…帰りたい。)
買う前から、既に後悔。衝動買いなんてするもんじゃない─
「あ…、えと、そうですね…」
奴隷商店の店主の冷静な接客に、こちらも少し冷静になれた。十年、使いもせずに貯め込んだお給料全額、私の財布が火を噴くぜと思ったけれど、良く考えたら、私、奴隷の相場も知らない。
「あの…、実は奴隷を買うのって初めてで…」
違法ではないけれど、倫理的、人道的に、どうなの?と思ってしまうから、今までお店に足を運んだことすら無かった。
「…そうですか。でしたら、そうですね。奴隷を買われる目的、用途をお尋ねしても?」
(ッ!?)
全うな商売。お客様のご要望を丁寧に汲み取ろうとする姿勢はとても大切なこと。基本中の基本。でも─
「用途によって、お値段も変わってまいります。性別や容姿、そうですね、後は技能などにご希望はございますか?」
「…えと、その、ですね…?希望は、男性なんですけど…、容姿とかは特に希望はないです。けど、身体は頑丈、丈夫な方が良くて…」
嫌な汗、出てきた。
「力仕事用ですか?もしくは、護衛用?」
「いえ、違う、んですけど、その、家で、待っててもらうというか…」
「家で待つ?」
怪訝そうな店主に、冷や汗が止まらない。
「いえ、あの、特別、何をして欲しいってわけではなくて、その、家で、あの…」
「…」
(…無理だ。)
八年間、職場以外の人間関係を持たずにきた私には、こういう買い物は無理。そう言えば、前世でも対面販売は苦手だったと思い出す。帰ろう、ポチれないなら諦めよう、そう決めたところで、店主が頷いた。
「…なるほど。承知致しました。」
「え…?」
(承知、出来たの?今ので?)
流石、商売人。ヒアリング力が違う。
「では、こちらで少々お待ち下さい。」
「あ、はい…」
部屋の奥へと消えていく店主を見送ったところで、ふと我に返った。
(…何やってんだろ、私。…帰りたい。)
買う前から、既に後悔。衝動買いなんてするもんじゃない─
404
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
婚約破棄された令嬢が記憶を消され、それを望んだ王子は後悔することになりました
kieiku
恋愛
「では、記憶消去の魔法を執行します」
王子に婚約破棄された公爵令嬢は、王子妃教育の知識を消し去るため、10歳以降の記憶を奪われることになった。そして記憶を失い、退行した令嬢の言葉が王子を後悔に突き落とす。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
婚約破棄された翌日、兄が王太子を廃嫡させました
由香
ファンタジー
婚約破棄の場で「悪役令嬢」と断罪された伯爵令嬢エミリア。
彼女は何も言わずにその場を去った。
――それが、王太子の終わりだった。
翌日、王国を揺るがす不正が次々と暴かれる。
裏で糸を引いていたのは、エミリアの兄。
王国最強の権力者であり、妹至上主義の男だった。
「妹を泣かせた代償は、すべて払ってもらう」
ざまぁは、静かに、そして確実に進んでいく。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
結婚十年目の夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。彼は「送り間違えた」というけれど、それはそれで問題なのでは?
ぽんた
恋愛
レミ・マカリスター侯爵夫人は、夫と政略結婚をして十年目。侯爵夫人として、義父母の介護や領地経営その他もろもろを完ぺきにこなしている。そんなある日、王都に住む夫から「結婚契約更新書」なるものが届いた。義弟を通じ、夫を追求するも夫は「送り間違えた。ほんとうは金を送れというメモを送りたかった」という。レミは、心から思った。「それはそれで問題なのでは?」、と。そして、彼女の夫にたいするざまぁがはじまる。
※ハッピーエンド確約。ざまぁあり。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる