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1.ただいま修行中!
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小学校までは、康哉のような純粋な妖狐の子どもたちは、妖狐の里にある学校に通うらしいんだけど、中学生になると、みんな人間の中学に通うことになっているんだって。
大人になった妖狐はみんな、人間の姿で、人間社会で働いて暮らしている。
だから中学生になると、人間社会で生きていくための訓練をはじめるんだって。
ちなみに、半分人間のわたしは、妖狐の里に入ることすら許されていない。
だから、和真と一緒に、人間の幼稚園と小学校にずっと通っていたんだ。
本当はね、妖狐の里には、人間と結婚してはいけないっていう掟があるらしいの。
今でこそ、人間の世界では、妖狐の存在はないものとして扱われているけれど、昔は、人間に災いをもたらす存在として、殺されたりすることもあったらしくて……。
だから、妖狐にとって、人間は憎むべき存在なんだって。
でもお母さんは、その掟を破って、お父さんと結婚した。
そのせいで、お母さんは結婚して以来、妖狐の里とは絶縁状態なの。
わたしも、お母さんのお母さん――つまり、おばあちゃんにも、まだ会ったことがない。
わたしのお母さんは、妖狐の中でも『白狐』っていう、輝くような真っ白い毛の種族なんだけど、おばあちゃんは、その『白狐』の長―ー一番偉い人なんだって。
おばあちゃんが偉い人だからこそ、お母さんが結婚するとき、きっといっぱい反対されたんだろうなって思う。
それでもお父さんとの結婚を選んだお母さんは、すごく強いなって、わたしは密かに尊敬しているんだ。
でもね、「あなたはここで人間として生きるのよ」ってわたしに言うたびに、お母さんがほんの少しだけ寂しそうな顔をするっていうことを、わたしは知っている。
お母さんも、きっと本当はおばあちゃんに会いたいんだよね。
わたしだったら、「お母さんにはもう一生会えません」って言われたら、すっごく悲しいもん。
和真がかけてくれたタオルをかぶったまま教室を出ようと扉に手をかけた瞬間、外側からガラガラッと勢いよく扉が開いた。
目の前には大きな壁……じゃなくて、えーっと、たしか同じクラスの黒瀬月斗くんだ。
「……おまえら、よく人間なんかと仲よくできるな。見ているだけで吐き気がする」
ぼそりと吐き捨てるような声が聞こえ、思わず黒瀬くんを見あげる。
どういう意味?
「……邪魔」
「あ、ご、ごめんね」
わたしが慌てて横によけると、黒瀬くんは教室の一番うしろの自分の席へと大股で歩いていってしまった。
黒瀬くんは、すらっと背が高くて、漆黒の髪に、同じく漆黒の瞳が特徴的。
「イケメンだけど、怖そうで近づけないんだよね」って女子の間でよくウワサされている通り、人を寄せつけないようなトゲトゲした空気をいつも出していて、なんとなくだけど、特にわたしと康哉にあたりが強い気がするんだよね。
今みたいなことを言われたのははじめてだけど、すれ違うときに「ちっ」って舌打ちされたり、目が合っただけでニラまれたりするのは、日常茶飯事。
わたし、なんにもしてないはずなんだけどな……。
ただ、ひとつだけ心当たりがあるとすれば、黒瀬くんの気配が、人間とは違う気がするってこと。
でも、白狐のそれとも、なんとなく違うんだよね。
ずっと気になってはいるんだけど……怖すぎて「黒瀬くんって、いったい何者なんですか?」なんて聞けないよ!
大人になった妖狐はみんな、人間の姿で、人間社会で働いて暮らしている。
だから中学生になると、人間社会で生きていくための訓練をはじめるんだって。
ちなみに、半分人間のわたしは、妖狐の里に入ることすら許されていない。
だから、和真と一緒に、人間の幼稚園と小学校にずっと通っていたんだ。
本当はね、妖狐の里には、人間と結婚してはいけないっていう掟があるらしいの。
今でこそ、人間の世界では、妖狐の存在はないものとして扱われているけれど、昔は、人間に災いをもたらす存在として、殺されたりすることもあったらしくて……。
だから、妖狐にとって、人間は憎むべき存在なんだって。
でもお母さんは、その掟を破って、お父さんと結婚した。
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わたしのお母さんは、妖狐の中でも『白狐』っていう、輝くような真っ白い毛の種族なんだけど、おばあちゃんは、その『白狐』の長―ー一番偉い人なんだって。
おばあちゃんが偉い人だからこそ、お母さんが結婚するとき、きっといっぱい反対されたんだろうなって思う。
それでもお父さんとの結婚を選んだお母さんは、すごく強いなって、わたしは密かに尊敬しているんだ。
でもね、「あなたはここで人間として生きるのよ」ってわたしに言うたびに、お母さんがほんの少しだけ寂しそうな顔をするっていうことを、わたしは知っている。
お母さんも、きっと本当はおばあちゃんに会いたいんだよね。
わたしだったら、「お母さんにはもう一生会えません」って言われたら、すっごく悲しいもん。
和真がかけてくれたタオルをかぶったまま教室を出ようと扉に手をかけた瞬間、外側からガラガラッと勢いよく扉が開いた。
目の前には大きな壁……じゃなくて、えーっと、たしか同じクラスの黒瀬月斗くんだ。
「……おまえら、よく人間なんかと仲よくできるな。見ているだけで吐き気がする」
ぼそりと吐き捨てるような声が聞こえ、思わず黒瀬くんを見あげる。
どういう意味?
「……邪魔」
「あ、ご、ごめんね」
わたしが慌てて横によけると、黒瀬くんは教室の一番うしろの自分の席へと大股で歩いていってしまった。
黒瀬くんは、すらっと背が高くて、漆黒の髪に、同じく漆黒の瞳が特徴的。
「イケメンだけど、怖そうで近づけないんだよね」って女子の間でよくウワサされている通り、人を寄せつけないようなトゲトゲした空気をいつも出していて、なんとなくだけど、特にわたしと康哉にあたりが強い気がするんだよね。
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わたし、なんにもしてないはずなんだけどな……。
ただ、ひとつだけ心当たりがあるとすれば、黒瀬くんの気配が、人間とは違う気がするってこと。
でも、白狐のそれとも、なんとなく違うんだよね。
ずっと気になってはいるんだけど……怖すぎて「黒瀬くんって、いったい何者なんですか?」なんて聞けないよ!
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