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5.れっつボランティア活動!
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「えっと……先輩、なんでしたか?」
逢坂先輩に声をかけると、「ああ」と言いながらあたしの方を向いた。
「邪魔して悪かったな。爽太と帰るところだったんだろ」
「いえ、ちょっと話をしていただけなので、全然大丈夫です」
首をふるふると横に振ってみせると、先輩がちょっとだけホッとしたような顔をする。
「ならいいんだが。実は、さっき伝え忘れたことがあってな。来週の水曜に、夏祭りの件で保育園に打ち合わせに行く予定なんだが、その日までに紙芝居の用意はできそうか?」
「あ、大丈夫です。今週末、弟たちを連れて図書館に行く予定なので、そのときに探してこようと思ってます」
「そうか。任せてしまって申し訳ない」
「いえ、あたしが自分でやるって言ったことなので。がんばっていい紙芝居を探してきますね」
実はさっきの会議中に、
「紙芝居のセレクトは、あたしに任せてもらえますか?」
って言ったんだ。
だって、逢坂先輩のイケボで紙芝居が読んでもらえるんだよ??
こんなの、あたしが責任を持って吟味するしかないでしょ。
「それにしても、弟たちを図書館に連れていくなんて、佐倉は面倒見がいいんだな。まあ、はじめて会ったときも思ったが」
「はじめて会ったとき……ですか?」
「でも、面倒見がいいのと無謀なのは全くの別物だからな。人間が木にぶらさがっている光景なんて、一度見れば十分だ。もうあんなムチャはするなよ」
ま、まさか……。
さぁっと全身の血の気が引いていく。
ひょっとして逢坂先輩、あのサル女の正体があたしだって気づいてたの!?
あのときのことが頭の中に鮮明によみがえって、かぁっと頬が熱くなる。
今までなんにも言われなかったから、てっきり気づいてないんだと思ってたのに。
あぁぁぁぁサイアクだぁ~~~~。
「そういえば、佐倉にまだあのときの礼を言ってなかったな」
頭を抱えるあたしに、先輩がそんなことを言った。
「お礼を言わなくちゃいけないのはあたしの方です。あのときは助けてくださってほんっとーにありがとうございましたっ!」
ぺこりと頭をさげ、出口に向かってダッシュしようとするあたしの腕を、逢坂先輩がぐいっとつかむ。
「待て。俺の話はまだ終わってない。あのときは、うちのネコが世話になった」
「……へ?」
抵抗をやめて、そっと逢坂先輩の方へ顔を向けると、先輩が眉間にシワを寄せて困ったような表情を浮かべていた。
「あの日、公園からうちのが走り出てくるところを見たんだよ。どうせあいつ、また木からおりられなくなってたんだろ? 自分ひとりでおりられないくせに、どうやらあの木が気に入ってしまったみたいでな。俺も困っているんだ」
「あの子、先輩のとこのネコちゃんだったんですか⁉」
「ああ。でも、まさか助けてくれたヤツがあんなことになっているとは、夢にも思わなかったが」
そう言いながら、逢坂先輩が口元を手でおおう。
「うぅっ、ヒドイです。笑わないでくださいよぉ」
「あまりにも衝撃的すぎて、思い出し笑いせずにはいられんだろ」
口をとがらせて文句を言いながらも、逢坂先輩がいつになくやわらいだ表情を浮かべているのに気づいて、なんだかうれしくなってきた。
やっぱり、生徒会室にいるときはずっと気を張っているのかなぁ。
なんでもできるものすごい先輩だって思っていたけど、なんだか先輩の人間らしい一面を見れたような気がするよ。
「あのっ……先輩も今から帰るところでしたら、途中まで一緒に行ってもいいですか?」
「ああ。べつに、かまわんが」
思いきって逢坂先輩にたずねると、先輩は少し戸惑ったような表情を浮かべた。
「べっ、べつに深い意味はないですからね? せっかく半年間一緒に生徒会の仕事をすることになったので、できればもう少し仲よくなれたらいいなーと思っているだけなのでっ。あっ、も、もちろん爽太くんとも戸田先輩とも仲よくなりたいと思ってますからね⁉」
あ~、なんか言えば言うほど言い訳クサくなっていってる気がする……。
「……すみません。ヘンなこと言って」
気分が落ち込むのに合わせて、顔もどんどんうつむいていく。
「いや。そういうまっすぐなところが、佐倉のいいところだからな」
「……えっ?」
逢坂先輩の思いがけない言葉にそっと顔をあげると、ふいっと顔をそらされた。
「なんでもない。ほら、早く帰るぞ」
不機嫌そうにそう言うと、逢坂先輩は自分の下駄箱に靴をはき替えに行ってしまった。
「は、はいっ!」
パタパタと自分の下駄箱に向かいながらも、口元が思わずゆるむ。
逢坂先輩が、あたしのそういうまっすぐなところがいいところだって言ってくれた。
夢、じゃないよね?
なんだろ、これ。
なんだかうれしくて、ものすごくフワフワする。
逢坂先輩に声をかけると、「ああ」と言いながらあたしの方を向いた。
「邪魔して悪かったな。爽太と帰るところだったんだろ」
「いえ、ちょっと話をしていただけなので、全然大丈夫です」
首をふるふると横に振ってみせると、先輩がちょっとだけホッとしたような顔をする。
「ならいいんだが。実は、さっき伝え忘れたことがあってな。来週の水曜に、夏祭りの件で保育園に打ち合わせに行く予定なんだが、その日までに紙芝居の用意はできそうか?」
「あ、大丈夫です。今週末、弟たちを連れて図書館に行く予定なので、そのときに探してこようと思ってます」
「そうか。任せてしまって申し訳ない」
「いえ、あたしが自分でやるって言ったことなので。がんばっていい紙芝居を探してきますね」
実はさっきの会議中に、
「紙芝居のセレクトは、あたしに任せてもらえますか?」
って言ったんだ。
だって、逢坂先輩のイケボで紙芝居が読んでもらえるんだよ??
こんなの、あたしが責任を持って吟味するしかないでしょ。
「それにしても、弟たちを図書館に連れていくなんて、佐倉は面倒見がいいんだな。まあ、はじめて会ったときも思ったが」
「はじめて会ったとき……ですか?」
「でも、面倒見がいいのと無謀なのは全くの別物だからな。人間が木にぶらさがっている光景なんて、一度見れば十分だ。もうあんなムチャはするなよ」
ま、まさか……。
さぁっと全身の血の気が引いていく。
ひょっとして逢坂先輩、あのサル女の正体があたしだって気づいてたの!?
あのときのことが頭の中に鮮明によみがえって、かぁっと頬が熱くなる。
今までなんにも言われなかったから、てっきり気づいてないんだと思ってたのに。
あぁぁぁぁサイアクだぁ~~~~。
「そういえば、佐倉にまだあのときの礼を言ってなかったな」
頭を抱えるあたしに、先輩がそんなことを言った。
「お礼を言わなくちゃいけないのはあたしの方です。あのときは助けてくださってほんっとーにありがとうございましたっ!」
ぺこりと頭をさげ、出口に向かってダッシュしようとするあたしの腕を、逢坂先輩がぐいっとつかむ。
「待て。俺の話はまだ終わってない。あのときは、うちのネコが世話になった」
「……へ?」
抵抗をやめて、そっと逢坂先輩の方へ顔を向けると、先輩が眉間にシワを寄せて困ったような表情を浮かべていた。
「あの日、公園からうちのが走り出てくるところを見たんだよ。どうせあいつ、また木からおりられなくなってたんだろ? 自分ひとりでおりられないくせに、どうやらあの木が気に入ってしまったみたいでな。俺も困っているんだ」
「あの子、先輩のとこのネコちゃんだったんですか⁉」
「ああ。でも、まさか助けてくれたヤツがあんなことになっているとは、夢にも思わなかったが」
そう言いながら、逢坂先輩が口元を手でおおう。
「うぅっ、ヒドイです。笑わないでくださいよぉ」
「あまりにも衝撃的すぎて、思い出し笑いせずにはいられんだろ」
口をとがらせて文句を言いながらも、逢坂先輩がいつになくやわらいだ表情を浮かべているのに気づいて、なんだかうれしくなってきた。
やっぱり、生徒会室にいるときはずっと気を張っているのかなぁ。
なんでもできるものすごい先輩だって思っていたけど、なんだか先輩の人間らしい一面を見れたような気がするよ。
「あのっ……先輩も今から帰るところでしたら、途中まで一緒に行ってもいいですか?」
「ああ。べつに、かまわんが」
思いきって逢坂先輩にたずねると、先輩は少し戸惑ったような表情を浮かべた。
「べっ、べつに深い意味はないですからね? せっかく半年間一緒に生徒会の仕事をすることになったので、できればもう少し仲よくなれたらいいなーと思っているだけなのでっ。あっ、も、もちろん爽太くんとも戸田先輩とも仲よくなりたいと思ってますからね⁉」
あ~、なんか言えば言うほど言い訳クサくなっていってる気がする……。
「……すみません。ヘンなこと言って」
気分が落ち込むのに合わせて、顔もどんどんうつむいていく。
「いや。そういうまっすぐなところが、佐倉のいいところだからな」
「……えっ?」
逢坂先輩の思いがけない言葉にそっと顔をあげると、ふいっと顔をそらされた。
「なんでもない。ほら、早く帰るぞ」
不機嫌そうにそう言うと、逢坂先輩は自分の下駄箱に靴をはき替えに行ってしまった。
「は、はいっ!」
パタパタと自分の下駄箱に向かいながらも、口元が思わずゆるむ。
逢坂先輩が、あたしのそういうまっすぐなところがいいところだって言ってくれた。
夢、じゃないよね?
なんだろ、これ。
なんだかうれしくて、ものすごくフワフワする。
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