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11.ちゃんと話したい
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階段を二階まで駆けおりて、職員室のある棟への渡り廊下を目指して走っていると、逢坂先輩らしき声がかすかに聞こえてきて、耳がピクッと反応する。
近くにいる!
「逢坂せ……」
途中で言葉を飲みこむと、逢坂先輩のいる渡り廊下の手前の曲がり角に慌てて身を隠した。
戸田先輩と立ち話してる。
……なに話してるんだろ?
走ったせいだけじゃなく、ドキドキと心臓の鼓動が大きくなる。
戸田先輩の声が、いつもより高くて楽しそうに聞こえるのは、きっと気のせいじゃない。
それに、なんだかふたりの距離も近かったような気がする。
もっと早く自分の気持ちに気づけばよかった。
そうしたら、あたしにもチャンスがあったかもしれないのに。
……本当に?
『手のかかりすぎる後輩』でしかないあたしに、本当にチャンスなんかあった?
ううん。どう考えたって、チャンスなんかなかった。
どう考えたって、戸田先輩との方がお似合いだし。
だったら……自分の気持ちになんか気づきたくなかった。
胸の前でぎゅっと両手を握りしめたまま動けなくなっていると、「佐倉さん」と呼びかけられ、ハッとして顔をあげる。
「と、戸田先輩。おつかれさまです」
「今、盗み見してたでしょ」
おもいっきりバレてた!
言い訳の言葉が見つからず、冷や汗がドバドバ出てくる。
「逢坂くんは気づいてなさそうだったけど」
「あの……逢坂先輩は?」
「職員室に行くって言ってたわ」
「そう……ですか」
「佐倉さんにはバレてるみたいだから言っちゃうけど、わたし、逢坂くんのことが好きなの。ずっと前から。だから、邪魔しないでね」
そう言って、にっこり笑う戸田先輩。
「……わかりました」
有無を言わせぬ迫力に、かすれた声でそう言うのが精一杯だった。
そんなあたしに満足そうな表情を浮かべると、戸田先輩は行ってしまった。
近くにいる!
「逢坂せ……」
途中で言葉を飲みこむと、逢坂先輩のいる渡り廊下の手前の曲がり角に慌てて身を隠した。
戸田先輩と立ち話してる。
……なに話してるんだろ?
走ったせいだけじゃなく、ドキドキと心臓の鼓動が大きくなる。
戸田先輩の声が、いつもより高くて楽しそうに聞こえるのは、きっと気のせいじゃない。
それに、なんだかふたりの距離も近かったような気がする。
もっと早く自分の気持ちに気づけばよかった。
そうしたら、あたしにもチャンスがあったかもしれないのに。
……本当に?
『手のかかりすぎる後輩』でしかないあたしに、本当にチャンスなんかあった?
ううん。どう考えたって、チャンスなんかなかった。
どう考えたって、戸田先輩との方がお似合いだし。
だったら……自分の気持ちになんか気づきたくなかった。
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