37 / 42
13.運命……じゃない!
1
しおりを挟む
「さっさと乗れ」
裏門を出てすぐのところに止まっていた乗用車の後部座席を開けると、男はわたしの体を無理やり中へと押し込んだ。
「よし、よくやった」
中で待ち構えていた男が、わたしの両手をプラスチックの固いベルトのようなもので、ぎゅっと締めあげる。
「痛っ」
「このぐらい我慢しろ」
「少しくらいケガしたって、自分でなんとかできるんだろ?」
「たしかにな」
男たちが、汚らしい笑みを浮かべる。
やっぱり知らないんだ。わたしが、自分のことは治せないってこと。
「ちゃんと働いてくれたら、命は保証するよ。三食昼寝付き。おまけに勉強はしなくていい。天国みたいな暮らしじゃないか」
「これも運命だと思って、受け入れることだな」
運命? こんな、他人に押しつけられた運命なんて、本当の運命じゃない。
「やだ! 離して‼ 佐治くーーん‼ わたしはここだよーーーーっ‼」
声のかぎりに叫び続け、両腕を締めあげられたままぶんぶんと振り回す。
「ちっ。殺されたいのか、てめえ」
こんな脅しに屈してたまるか。
この人たちは、きっとわたしのことを、手にかけたりはできないはず。
だって、あなたたちの目的は、わたしのこの能力なんでしょ?
男たちが、細長いタオルのようなものでわたしに猿ぐつわをかませると、紐で腕を座席に固定する。
「うー、うーーっ! うーーーーっ‼」
佐治くん、わたしはここだよ!
「篠崎!」
佐治くんがわたしを呼ぶ声がかすかに聞こえる。
「もう来やがったか。車出すぞ。早く乗れ!」
後部座席のドアを閉め、男たちが運転席と助手席に乗り込むのと同時に、エンジンをかける。
ガンガンガンガンッ!
追いついた佐治くんが、必死にドアを開けようとしているけど、ロックがかかっていて、佐治くんの怪力でも開けられないみたい。
窓ガラスを割ろうとしても、特別頑丈な作りなのか、ヒビは入っても割れる気配がない。
「どいてろ!」
翔くんが鋭い声を発するのと同時に右の手のひらを前に突き出し、ぎゅっとこぶしを握りしめると、めきめきめきっと車のドアがおかしな音を立てた。
なにが起こってるの⁉
「あとは任せた!」
翔くんが叫ぶと、佐治くんがもう一度ドアに手をかける。
「くそっ!」
アクセルを思いっきり踏み込んで、犯人が車を発車させるのと同時に、「ぐおぉぉりゃっ!」と佐治くんがドアを力いっぱい引き、ついにガコンッ! と外れた。
開け放たれた後部座席に飛びついた佐治くんを振り落とそうと、車が蛇行する。
「篠崎、今助ける」
佐治くんが、わたしの手枷をぶちっと引きちぎると、わたしを抱え込むようにして、車の外へと飛び出した。
「うっ……」
わたしをかばうようにして地面を転がった佐治くんの小さなうめき声が耳元でする。
「ちっ。とりあえず、一旦引くぞ」
犯人の車は、わたしたちを置いてそのまま走り去っていった。
裏門を出てすぐのところに止まっていた乗用車の後部座席を開けると、男はわたしの体を無理やり中へと押し込んだ。
「よし、よくやった」
中で待ち構えていた男が、わたしの両手をプラスチックの固いベルトのようなもので、ぎゅっと締めあげる。
「痛っ」
「このぐらい我慢しろ」
「少しくらいケガしたって、自分でなんとかできるんだろ?」
「たしかにな」
男たちが、汚らしい笑みを浮かべる。
やっぱり知らないんだ。わたしが、自分のことは治せないってこと。
「ちゃんと働いてくれたら、命は保証するよ。三食昼寝付き。おまけに勉強はしなくていい。天国みたいな暮らしじゃないか」
「これも運命だと思って、受け入れることだな」
運命? こんな、他人に押しつけられた運命なんて、本当の運命じゃない。
「やだ! 離して‼ 佐治くーーん‼ わたしはここだよーーーーっ‼」
声のかぎりに叫び続け、両腕を締めあげられたままぶんぶんと振り回す。
「ちっ。殺されたいのか、てめえ」
こんな脅しに屈してたまるか。
この人たちは、きっとわたしのことを、手にかけたりはできないはず。
だって、あなたたちの目的は、わたしのこの能力なんでしょ?
男たちが、細長いタオルのようなものでわたしに猿ぐつわをかませると、紐で腕を座席に固定する。
「うー、うーーっ! うーーーーっ‼」
佐治くん、わたしはここだよ!
「篠崎!」
佐治くんがわたしを呼ぶ声がかすかに聞こえる。
「もう来やがったか。車出すぞ。早く乗れ!」
後部座席のドアを閉め、男たちが運転席と助手席に乗り込むのと同時に、エンジンをかける。
ガンガンガンガンッ!
追いついた佐治くんが、必死にドアを開けようとしているけど、ロックがかかっていて、佐治くんの怪力でも開けられないみたい。
窓ガラスを割ろうとしても、特別頑丈な作りなのか、ヒビは入っても割れる気配がない。
「どいてろ!」
翔くんが鋭い声を発するのと同時に右の手のひらを前に突き出し、ぎゅっとこぶしを握りしめると、めきめきめきっと車のドアがおかしな音を立てた。
なにが起こってるの⁉
「あとは任せた!」
翔くんが叫ぶと、佐治くんがもう一度ドアに手をかける。
「くそっ!」
アクセルを思いっきり踏み込んで、犯人が車を発車させるのと同時に、「ぐおぉぉりゃっ!」と佐治くんがドアを力いっぱい引き、ついにガコンッ! と外れた。
開け放たれた後部座席に飛びついた佐治くんを振り落とそうと、車が蛇行する。
「篠崎、今助ける」
佐治くんが、わたしの手枷をぶちっと引きちぎると、わたしを抱え込むようにして、車の外へと飛び出した。
「うっ……」
わたしをかばうようにして地面を転がった佐治くんの小さなうめき声が耳元でする。
「ちっ。とりあえず、一旦引くぞ」
犯人の車は、わたしたちを置いてそのまま走り去っていった。
1
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです
釈 余白(しやく)
児童書・童話
現代日本と不釣り合いなとある山奥には、神社を中心とする妖討伐の一族が暮らす村があった。その一族を率いる櫛田八早月(くしだ やよい)は、わずか八歳で跡目を継いだ神職の巫(かんなぎ)である。その八早月はこの春いよいよ中学生となり少し離れた町の中学校へ通うことになった。
妖退治と変わった風習に囲まれ育った八早月は、初めて体験する普通の生活を想像し胸を高鳴らせていた。きっと今まで見たこともないものや未体験なこと、知らないことにも沢山触れるに違いないと。
この物語は、ちょっと変わった幼少期を経て中学生になった少女の、非日常的な日常を中心とした体験を綴ったものです。一体どんな日々が待ち受けているのでしょう。
※外伝
・限界集落で暮らす専業主婦のお仕事は『今も』あやかし退治なのです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/398438394/874873298
※当作品は完全なフィクションです。
登場する人物、地名、、法人名、行事名、その他すべての固有名詞は創作物ですので、もし同名な人や物が有り迷惑である場合はご連絡ください。
事前に実在のものと被らないか調べてはおりますが完全とは言い切れません。
当然各地の伝統文化や催事などを貶める意図もございませんが、万一似通ったものがあり問題だとお感じになられた場合はご容赦ください。
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
ホスト科のお世話係になりました
西羽咲 花月
児童書・童話
中2の愛美は突如先生からお世話係を任命される
金魚かな? それともうさぎ?
だけど連れてこられた先にいたのは4人の男子生徒たちだった……!?
ホスト科のお世話係になりました!
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる