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5.応援団
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はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。
十分の休憩が言い渡されるのと同時に、わたしはその場にしゃがみ込んだ。
こんなに応援団の練習がハードだとは、思ってもみなかったよ。
けど、この前ビデオで見たみたいに全員の動きをピッタリ合わせなきゃいけないとなると、たしかにこのくらいハードな練習にもなるのかも。
今日から、さっそく応援団の練習がはじまったんだ。
各クラス代表四名。三学年それぞれ五クラスずつだから、全部で六十名。
今日は、全員体操服に着替えて、体育館に集合した。
まずは、振り付けを完ぺきに覚えなくちゃいけない。
隊列移動の練習は、そのあとだ。
それにしても佐治くん、体力あるんだなぁ。
わたしはちょっと踊っただけでこんなに息があがってしまったのに、佐治くんは息の乱れひとつない。
それに、須田くんと凛香ちゃんも。
須田くんは、普段からサッカー部で体を動かしているから、このくらい全然平気みたいだし、凛香ちゃんはダンスを習ってるって、友だちとしゃべっているのを聞いたことがあったような気がする。
たまにわたしみたいにすでに死んだ目をしている子もいるけど、ほとんどの子がまだまだ余裕みたい。
これ、ちゃんとついていけるかなぁ。すでに心配になってきちゃったよ。
「佐治くん、こんなに上手に踊れるのに、なんで最初断ろうとしたの?」
休憩中も、凛香ちゃんは元気に佐治くんに話しかけている。
「沢村にわざわざ理由を言わなきゃいけないのか?」
「い、いや、別に、イヤならいいんだけどね?」
「……」
「あ、そ、そうだ。あのね、応援団のジンクスっていうのがあるらしいんだけど――」
凛香ちゃん、佐治くんに冷たくされても全然めげなくて、すごいなぁ。
きっと本当に好きなんだね、佐治くんのこと。
そんなことを考えていたら、なんだか胸がざわざわしてきた。
なんだろ、これ。
これって、ひょっとして……ううん、ないない。そんなわけないよ。
思わず浮かびそうになった考えを、わたしは全力で否定した。
「えーっと、若葉ちゃん、だっけ? 最初からちょっとハードすぎたかな? ごめんね。明日からは、もう少しペースを落としてじっくりやっていく予定だから」
突然声をかけられ、ぱっと顔をあげると、三年一組の立花未那先輩が立っていた。
三年生の各クラス代表が、それぞれ一、二年生の指導をすることになっているみたいで、わたしたち一年一組の指導係が未那先輩なんだ。
「だ、大丈夫です」
慌てて立ちあがろうとするわたしを手で制すると、未那先輩もわたしの隣に腰をおろした。
「『みんなにカッコいいって思ってもらわなくちゃ。完ぺきにやらなくちゃ』って思うと重くなっちゃうからさ。楽しも。ね! それが一番だからさ」
未那先輩が、わたしに向かってにこっと笑いかけてくれる。
「はい。楽しめるように、一生懸命がんばります!」
わたしが緊張しながらそう返すと、未那先輩がふふっと笑う。
「だからあ、もっと肩の力抜いてこ」
「あ……すみません」
えへへっとわたしが笑うと、「そうそう。そんな感じ」と言って、わたしの肩を軽くぽんぽんっと叩き、未那先輩は立ちあがって行ってしまった。
はぁ~、未那先輩、カッコいいなぁ~。
ダンスはもちろんだけど、今みたいに気遣いできるところもすっごくカッコいい。
練習がはじまって、そっこーで応援団に入ってしまったことを後悔していたけど、せっかくなら、未那先輩や佐治くんたちといい思い出を作りたい。
そんなふうに、ちょっとだけ前向きになれている自分に、ちょっとだけびっくりした。
十分の休憩が言い渡されるのと同時に、わたしはその場にしゃがみ込んだ。
こんなに応援団の練習がハードだとは、思ってもみなかったよ。
けど、この前ビデオで見たみたいに全員の動きをピッタリ合わせなきゃいけないとなると、たしかにこのくらいハードな練習にもなるのかも。
今日から、さっそく応援団の練習がはじまったんだ。
各クラス代表四名。三学年それぞれ五クラスずつだから、全部で六十名。
今日は、全員体操服に着替えて、体育館に集合した。
まずは、振り付けを完ぺきに覚えなくちゃいけない。
隊列移動の練習は、そのあとだ。
それにしても佐治くん、体力あるんだなぁ。
わたしはちょっと踊っただけでこんなに息があがってしまったのに、佐治くんは息の乱れひとつない。
それに、須田くんと凛香ちゃんも。
須田くんは、普段からサッカー部で体を動かしているから、このくらい全然平気みたいだし、凛香ちゃんはダンスを習ってるって、友だちとしゃべっているのを聞いたことがあったような気がする。
たまにわたしみたいにすでに死んだ目をしている子もいるけど、ほとんどの子がまだまだ余裕みたい。
これ、ちゃんとついていけるかなぁ。すでに心配になってきちゃったよ。
「佐治くん、こんなに上手に踊れるのに、なんで最初断ろうとしたの?」
休憩中も、凛香ちゃんは元気に佐治くんに話しかけている。
「沢村にわざわざ理由を言わなきゃいけないのか?」
「い、いや、別に、イヤならいいんだけどね?」
「……」
「あ、そ、そうだ。あのね、応援団のジンクスっていうのがあるらしいんだけど――」
凛香ちゃん、佐治くんに冷たくされても全然めげなくて、すごいなぁ。
きっと本当に好きなんだね、佐治くんのこと。
そんなことを考えていたら、なんだか胸がざわざわしてきた。
なんだろ、これ。
これって、ひょっとして……ううん、ないない。そんなわけないよ。
思わず浮かびそうになった考えを、わたしは全力で否定した。
「えーっと、若葉ちゃん、だっけ? 最初からちょっとハードすぎたかな? ごめんね。明日からは、もう少しペースを落としてじっくりやっていく予定だから」
突然声をかけられ、ぱっと顔をあげると、三年一組の立花未那先輩が立っていた。
三年生の各クラス代表が、それぞれ一、二年生の指導をすることになっているみたいで、わたしたち一年一組の指導係が未那先輩なんだ。
「だ、大丈夫です」
慌てて立ちあがろうとするわたしを手で制すると、未那先輩もわたしの隣に腰をおろした。
「『みんなにカッコいいって思ってもらわなくちゃ。完ぺきにやらなくちゃ』って思うと重くなっちゃうからさ。楽しも。ね! それが一番だからさ」
未那先輩が、わたしに向かってにこっと笑いかけてくれる。
「はい。楽しめるように、一生懸命がんばります!」
わたしが緊張しながらそう返すと、未那先輩がふふっと笑う。
「だからあ、もっと肩の力抜いてこ」
「あ……すみません」
えへへっとわたしが笑うと、「そうそう。そんな感じ」と言って、わたしの肩を軽くぽんぽんっと叩き、未那先輩は立ちあがって行ってしまった。
はぁ~、未那先輩、カッコいいなぁ~。
ダンスはもちろんだけど、今みたいに気遣いできるところもすっごくカッコいい。
練習がはじまって、そっこーで応援団に入ってしまったことを後悔していたけど、せっかくなら、未那先輩や佐治くんたちといい思い出を作りたい。
そんなふうに、ちょっとだけ前向きになれている自分に、ちょっとだけびっくりした。
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