S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

文字の大きさ
15 / 162
第1部 第2章 情熱の美少女追放職人 -古剣修復-

第15話 待てません。待ちきれません

「つまり、高品質の品物を、寸分たがわずに百個でも千個でも一日で作れるのですか?」

 ソフィアは目をきらきらと輝かせる。

 食事のあと、仕事の構想を話したら、物凄く食いついてきてくれた。

「やり方次第じゃ、一万個だって行けると思ってるよ。まだ試作品も無いから、まずはそこからになるかな」

「はい、面白そうです。わくわくしてきました。これは確かに世界初です。前代未聞です。こんなにも素晴らしいアイディアを思いつけるなんて、さすがショウさんです」

「いや、たまたまだよ。植物系の魔物と戦ったときに、樹液がなにかの拍子に固まったのを見つけてね。それを素材にしてなにか作れるんじゃないかって思ったのがきっかけなんだ」

「普通の方なら、そこまでは思いつけても、次の段階は出てきません」

「そこは自分で凄いと思うけど、案外、前世の記憶が関係してたりしてね」

 先天的超常技能プリビアス・スキルが前世の技術を昇華したものだという説を信じるなら、前世の記憶だって、ふとしたきっかけで蘇るかもしれない。

「まあ冗談はさておき、調べてみたらあの素材の特徴は、植物系魔物だけのものじゃないらしい」

 テーブルには、昨日バネッサに届けてもらった本も置いてある。

「魔物の数だけ種類があるわけだけど、どれがおれたちのアイディアに適しているのか。そんなのがまだ本に書かれてるわけもないから、実際に採取して色々と試していく必要もあるね」

「はい。それに並行して装置の準備も進めなければなりません。設計や製作はわたしたちでできますが、実際に動作させるには人の助けが必要ですね」

「ああ、A級以上の魔法使いが必要だなぁ。節約して機能を制限するにしても、試作には月単位でかかりそうだ。雇用費の問題があるね」

「その装置を使う土地も必要になりそうです」

 話していると、嬉しさが実感として込み上げてきて、不意に目頭が熱くなる。

「ショウさん?」

「いや、こういう話、前の仲間たちとはできなかったんだよ。悪気はなかったんだろうけど、物作りの話もろくにわかってもらえなくて……。真剣に聞いてもらえるのが嬉しいんだ」

「わたしも、こういう話ができるのは久しぶりで嬉しいです」

「ああ、せっかくだ。もう少し話を詰めよう」

 と言ったのに、もう少しとはいかなかった。

 夕方になって酒場が賑わいだしても、話は終わらなかった。

「いや、なにしてんのよ、あなたたち」

 バネッサがやってきて止めなかったら、朝までやっていたかもしれない。

「こんばんは。バネッサさんも、ご夕食ですか?」

「いやいや報酬。昼には取りに来ると思ってたのに全然来ないんだもの。もう町を出たかと思っちゃったわよ」

「あ、そうか。忘れてた。この町に長居してたらまずいんだった」

 おれが生きているとジェイクに知られたらまずいから、すぐにでもどこか遠くへ行くつもりだったのだ。ソフィアと話してたら、頭からすっかり抜け落ちてしまっていた。

「まったく。一度熱中しだすとそうなるのは相変わらずね。久しぶりに見れて嬉しいけど。はい、これ報酬。受け取りのサインちょうだい」

 言いつつ金貨袋と一緒に受取書を置いてくれる。

「サインはショウでいいのかい?」

「ええ、大丈夫。上手く処理しとくから」

 金貨袋の中身と受取書の内容が一致しているのを確認してサインする。

「でも、この金額ずいぶん多くないか?」

「あの依頼、査定の結果、A級上位に認定されたのよ。その報酬に、緊急依頼費、それと支給された保険金も含まれてるわ」

「保険なんて入ってたっけ?」

「いやいやいや冒険者ギルド加入者はみんな入ってるわよ。いつも報酬から数%払ってるでしょ。依頼中の怪我や病気は自己責任だけど、その他の理由で怪我して仕事ができないときとか、今回みたいなトラブルで財産を失ったときとか、支給対象になるのよ」

「そっか、全然お世話になってないから知らなかったよ」

「あなたはもう、興味ないことはすぐ忘れるんだから」

「ひとまず昨日借りてた分は返しとくね」

 さっそくバネッサに借金を返す。

「はい、毎度。それでショウはこれから、どうするつもりなの?」

「メイクリエ王国へ行くよ。あのゴーストナイトの墓に、剣を届ける約束があるんだ。あっ、でも……」

 おれはソフィアに向き直る。

「あの国は、ソフィアにはあまりいい思い出まないし、行きたくないよね? おれひとりで行くから、どこかの町で待っていてくれないか。仕事の話の続きは、帰ってきてからしよう」

 ソフィアは珍しく仏頂面で、唇を尖らせた。

「……いやです。待てません。待ちきれません。わたしも一緒に行きます」

「平気なのかい?」

「平気です。確かに嫌な思い出もありますが、いい思い出だってありますから。それにゴーストさんのお墓参りなら、わたしも行きたいですし、なにより――」

 ソフィアは黄色い綺麗な瞳で、おれを見つめてくる。

「一緒に歩んでいきたいと言ったのは、ショウさんです。離れるなんて言わないでください」

 それを言われると弱い。

「わかったよ。一緒に行こう」

「はい、きっと楽しい旅になります」

 ソフィアは道中で、一緒に設計したり、試験や検証をするのが楽しみなのだろう。声からうきうきしているのが伝わってくる。

 けれど、その隣でなぜかバネッサは片手で頭を抱えていた。

「あなた、まーたやったのね……」

「なにを?」

「いやいいわ、本人が気づいてないんじゃしょうがないもの」

 よくわからないが、本人がいいと言うならよしとしておこう。

「今日はもう暗くなっちゃったから、もう一泊して明日の早朝に出発しようか」

「はい。今晩中に荷物をまとめておきます」

「それじゃ、あたしとはこれでお別れね。なにかあったらギルドを通して連絡して。きっと力になれるから」

 こうしておれとソフィアは翌朝、ラスティンの町から旅立つのだった。
感想 35

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !

本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。  主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。 その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。  そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。 主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。  ハーレム要素はしばらくありません。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!