S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ

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第2部 第7章 旅の終わりに -新型義肢-

第136話 限りない祝福があらんことを

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 港町ユーリクでおれたちを待っていたのは、大勢の人々だった。

「シオンさん、みなさん! ありがとうございます! ぼくたちの村を……いや、この国を救ってくれて!」

「シオン、まさにお前は救世主だよ!」

 リリベル村のロンや、勇者ダリアが大声で謝意を叫ぶ。

 それを皮切りに、その他のみんなも次々に声を上げる。

「サフラン様のお陰で、神の御心をより深く知ることができました!」

「魔物にも愛を持って接するアリシアさんは、オレたちの憧れです!」

「ノエルさんの教えてくれたこと、ずっと語り継いでいきます!」

「ソフィアさぁ~ん! あんたの腕前にあたしゃ惚れたんだぁ~!」

 聖職者や魔獣使いビーストテイマー、料理人や魔法使い、職人見習い。

 誰も彼も知った顔。物作りの旅で出会った人々だ。

 セレスタン王は、おれたちに笑いかける。

「ショウ・シュフィール、良き旅だったようだな」

「はい」

「応えてやるといい」

 おれたちは王に言われるまま、精一杯に手を上げて振る。

 人々は大歓声で返してくる。個々の言葉が聞こえないほどに。

 ノエルは涙ぐんで顔をくしゃくしゃにしてしまう。

「うぅう~、みんなぁ、よかったよぉ~。元気でねぇ~!」

 領民相手で慣れているのかアリシアやサフラン王女は、余裕ありげに手を振り笑顔を浮かべている。

 逆に緊張してしまうのは、おれとソフィアだ。

「アリシアさんのように堂々としていればいいのでしょうが……難しいです」

 あまりの緊張のためか無表情になってしまっている。

「あはは……おれたち、本当に救世主扱いだね」

「実際、救世主だろ」

 声に振り返ると、見送りに来てくれたバーンたちがいた。

「評価は受け入れるもんなんだろう、シオン?」

「そうなんだけど、正直、飲み込むのに時間がかかりそうだよ」

 バーンは一歩進み出て、右の拳をおれの胸にそっと触れさせた。

「ありがとう、シオン。お前には、本当に世話になった。なにかあったらいつでも声をかけてくれ。きっと力になってみせる」

「ありがとう、バーン。頼りにさせてもらう」

 するとバーンは、泣きそうな顔で笑った。

「お前に……必要とされるなら、これ以上のことはねえな……」

 バーンの背中を聖女セシリーがさする。

「みなさんのご尽力、改めて深く感謝いたします。今後も私たちスートリア神聖国は――」

「堅苦しいのはもうやめましょう、聖女様?」

 サフラン王女は軽い声色で遮った。

「どうせこの歓声の中です。他の方々には聞こえませんわ。そういうのは調印式でやりましたし……今は普通の、わたくしたちのお友達としてお言葉をくださいませんこと?」

 するとセシリーは時々バーンに見せる、ちょっと悪戯っ子っぽい笑みを浮かべる。

「そうですね。では、みなさん。またお会いしましょう。この先、何度も何度でも、またみなさんと語って、笑って、同じ時を過ごしたいと思っていますから」

「はい。わたくし、呼ばれなくても何度も会いに来ますわ。お覚悟くださいまし」

 セシリーとサフラン王女は楽しげに笑いあう。

 続いて、エルウッドとラウラがふたり寄り添うようにやってくる。

「ふたりは本当に残るのかい? 元々はメイクリエで修行するために来てくれてたのに」

「いいんだ。こっちにはケン師匠もいるし、この国は修行のネタに事欠かなそうだ」

「ラウラもいいの? S級魔法使いを目指してたんだろ」

「正直まだまだノエルさんには教わりたいし、そうでなくても戦争も終わったんだから学院に戻る手段もあるんだけど……まあ、のんびりやろうかなって思うわ。診療所――っていうか今は義肢工房だけど、魔法を教えられる人はやっぱり必要だし」

「そっか、そうだね。ありがとう、ふたりとも。なにかあったら連絡して欲しい」

「もちろんだ。ま、なるべく頼らなくてもいいように腕を磨くつもりだがな」

「ケンドレッドさんにもよろしく」

「ああ、そのケン師匠から餞別を預かってきてる」

 手渡されたのは、小さな模型だ。箱に車輪がついて、小さな魔力石が付いている。

 魔力石の安全装置を外してみると、機構が動き、車輪が回りだす。

 ソフィアもその動きを覗き込む。

「モリアス鋼を使っているのですね?」

「ああ、馬車に代わる乗り物を作るんだって張り切ってる」

「そうか。モリアス鋼のあの伸縮力なら、馬に引かせるよりずっと速度が出せる。これも革命的な装置になるよ」

「これは負けてはいられません。わたしたちも、また新しい物を作りましょう」

 ソフィアの黄色い瞳に、炎のような輝きが宿る。

「ああ。ケンドレッドさんの言葉、確かに受け取ったよ」

 口ではなく腕で語る。彼らしい別れの挨拶だ。

「それじゃあ、みんな元気で!」

 おれたちは船に乗り、人々に手を振る。

 大きな声で感謝と別れの声が聞こえてくる。

 リックや勇者たちも手を振ってくれている。

 やがて聖女セシリーが聖印を切ってひざまずくと、人々も同じようにした。

「――スートリアの救世主に、限りない祝福があらんことを!」

 数えきれない祝福と祈りに包まれながら、おれたちの船は出港する。

 人々は見えなくなるまで、祈りを捧げてくれていた。

「……あ」

 船上で、急にソフィアが声を上げる。

「どうやら、さっそく神の祝福があったようです」

「ん? どういうこと?」

「今思えば、兆候はあったのです。味の好みが変わったり、胸のサイズが変わったり」

「え……っと、それって、もしかして……」

 ソフィアはそっと自分のお腹を撫でる。

「はい。生命の息吹を感じました。わたしはママになります。ショウさんはパパです」

「ぱ……ぱ……っ」

 言葉を失うが、やがて驚き以上の凄まじい感情が湧き上がり、突き動かされる。

「うわぁあ! やったぁああ! ソフィア、ありがとおぉおお!」

 ソフィアの体を気遣いつつ、力いっぱいに抱きしめる。

 おれたちは船上のみんなから溢れんばかりの祝福と拍手を受けるのだった。
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