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一章
20.お兄様の提案
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その後、結局良い案が浮かばないまま帰ることになってしまったミルを見送った後に、それならセシルお兄様にもノアのことについて相談しようと思った私はそのままの足取りでお兄様の部屋を訪れていた。
急に訪れた私に若干驚きつつ、優しい微笑みを浮かべて部屋の中へと入れてくれたお兄様は正しく紳士。
ソファーへと手を引かれて座らせられる。
お兄様の部屋ってそんなに入ったことがないから、なんだか新鮮だ。
目の前に紅茶とお菓子が用意されている間、私はそわそわと落ち着きなく部屋の中を観察する。
黒と金で統一された内装は、豪奢という感じは無いがとても品が良く、調度品一つ一つもシンプルであるが故に質の良いものだと分かる。
勿論私の部屋だってきちんと掃除も行き届いているし、よく小説とかであるピンク一色!みたいな想像するだけでも品の良くなさそうな内装では無いから安心してほしい。
「それで、リリー。僕の部屋に来るなんて珍しいけれど一体どうしたのかな?」
用意を終えた侍女が部屋を退室した後に、セシルお兄様は首をやんわりと傾げながらそう切り出した。
「実は、ノアのことでお兄様に相談したいことがあって」
「ノアの?」
「はい。どうすればノアが怯えなくてすむのかなって。その、前のお家の事情のことを考えるとノアの反応は正しいのかもだけれど、でも私達は使用人だって家族だってノアに酷いことなんてしないし、むしろ私はノアと仲良くなりたいのに、ノアからは距離を物凄く置かれてる気がするので……」
本当に、将来ノアをヤンデレ化させない為にも仲良くなるのは必須なの!ヤンデレ化したら殺されちゃうもの、自分の命は惜しいし何よりユーリ様とのハッピーエンドを迎えられなくなりそうなんだもの!
……こっちが本音なのだけれど、さすがにこの理由は言える訳ない。
まあでも、セシルお兄様に言ったことだって嘘じゃないのよ?
「うん、そうだね。僕もノアとは仲良くなりたいよ」
ノアは僕の義弟になるのだし、と私の言葉にお兄様は同意する。
「でも、それはノア次第だからな……取り敢えず、ノアと話す時間を増やしてみたらどうだい?ノアのためにお茶会でも開いてみたら?あ、勿論その時には僕とミルも同席させてほしいかな。」
どうせミルはノアの事情について知ってるだろうと確信した様子でお兄様がそう提案をする。
なんでそうも当たり前だよね的な雰囲気で話を纏めに入ろうとするのか。
いえ、まあ知ってますけど。私が相談してるのでミルも知ってるんですけど。
お兄様にはミルに相談してるなんて一言も言ってないのにな。
でも、すぐに案が出てきてくれたことには素直にありがたい。
「それなら、明日にでもミルにお兄様の提案を話しておきますね」
「分かった」
流石に強制参加として話をミルに通さずに進めるのはミルが可哀想なので、話すだけは話しておこう。勿論拒否権は無いけれど。
というより、なんだかんだ言いつついつも私に付き合ってくれるので、今回もミルはきっと断らない気がする。
そして、することが決まった私はそれ以上お兄様の部屋に居座る理由も無いので、退室しようとソファーから立ち上がった。
「それじゃあお兄様、私は失礼しますね。私の相談に乗ってくれてありがとうございます」
「勿論、可愛い妹の為だからね」
そう言って穏やかにお兄様は笑った。
急に訪れた私に若干驚きつつ、優しい微笑みを浮かべて部屋の中へと入れてくれたお兄様は正しく紳士。
ソファーへと手を引かれて座らせられる。
お兄様の部屋ってそんなに入ったことがないから、なんだか新鮮だ。
目の前に紅茶とお菓子が用意されている間、私はそわそわと落ち着きなく部屋の中を観察する。
黒と金で統一された内装は、豪奢という感じは無いがとても品が良く、調度品一つ一つもシンプルであるが故に質の良いものだと分かる。
勿論私の部屋だってきちんと掃除も行き届いているし、よく小説とかであるピンク一色!みたいな想像するだけでも品の良くなさそうな内装では無いから安心してほしい。
「それで、リリー。僕の部屋に来るなんて珍しいけれど一体どうしたのかな?」
用意を終えた侍女が部屋を退室した後に、セシルお兄様は首をやんわりと傾げながらそう切り出した。
「実は、ノアのことでお兄様に相談したいことがあって」
「ノアの?」
「はい。どうすればノアが怯えなくてすむのかなって。その、前のお家の事情のことを考えるとノアの反応は正しいのかもだけれど、でも私達は使用人だって家族だってノアに酷いことなんてしないし、むしろ私はノアと仲良くなりたいのに、ノアからは距離を物凄く置かれてる気がするので……」
本当に、将来ノアをヤンデレ化させない為にも仲良くなるのは必須なの!ヤンデレ化したら殺されちゃうもの、自分の命は惜しいし何よりユーリ様とのハッピーエンドを迎えられなくなりそうなんだもの!
……こっちが本音なのだけれど、さすがにこの理由は言える訳ない。
まあでも、セシルお兄様に言ったことだって嘘じゃないのよ?
「うん、そうだね。僕もノアとは仲良くなりたいよ」
ノアは僕の義弟になるのだし、と私の言葉にお兄様は同意する。
「でも、それはノア次第だからな……取り敢えず、ノアと話す時間を増やしてみたらどうだい?ノアのためにお茶会でも開いてみたら?あ、勿論その時には僕とミルも同席させてほしいかな。」
どうせミルはノアの事情について知ってるだろうと確信した様子でお兄様がそう提案をする。
なんでそうも当たり前だよね的な雰囲気で話を纏めに入ろうとするのか。
いえ、まあ知ってますけど。私が相談してるのでミルも知ってるんですけど。
お兄様にはミルに相談してるなんて一言も言ってないのにな。
でも、すぐに案が出てきてくれたことには素直にありがたい。
「それなら、明日にでもミルにお兄様の提案を話しておきますね」
「分かった」
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というより、なんだかんだ言いつついつも私に付き合ってくれるので、今回もミルはきっと断らない気がする。
そして、することが決まった私はそれ以上お兄様の部屋に居座る理由も無いので、退室しようとソファーから立ち上がった。
「それじゃあお兄様、私は失礼しますね。私の相談に乗ってくれてありがとうございます」
「勿論、可愛い妹の為だからね」
そう言って穏やかにお兄様は笑った。
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